観劇+αの日々
「Kolpings Traum(コルピングの夢)」について
 ドイツのFuldaに拠点を置くスポットライトミュージカルプロダクションの5作品目。実在の聖職者、Adolph Kolpingの若い頃の話です。
 このミュージカル、私は2013年初演と今年の再演、両方見ることができました。個人的にはとても好きな作品なのですが、「評価」をするのがとても難しいです。
 どういう話なのかと言いますと、なにせ日本語の資料がほぼない状態なのでつたないドイツ語に頼ることになりますが…。「羊飼いの元に生まれ靴職人であったコルピングが修道士となり、人々を助けるために職人協会を造る決意をするまでの話」となります。実際のエピソードをつなぐのでなく、靴職人仲間のカールとその妻スザンナが没落していくことでコルピングは教会の中の世界にとどまっているだけでは人々を救えないことを学ぶ…というような物語になっています。
 この作品、欠点ははっきりしています。なんというか、話の流れがお行儀よすぎるというか分かりやすすぎるというか、とにかく遊びがほとんどなく「偉人伝」となってしまっているところです。いろんなエピソードを通じてコルピングが成長していくのは分かるのですが、このイベントがあってこういうことを学んだ…というのがいかんせん、言葉が分からないのに、分かりやすすぎるんです。スポットライトミュージカルの作品4作品見ていますが、ここまで誰に見せても問題ない、一から十までしっかりしたお説教ミュージカルってほかにないですよ…。
 質が悪いことに…と言ってしまってもいいかな、いろいろつっこみを入れたいのですが、一応実話ベースなのでむやみにつっこみも入れられないですよね(苦笑)。羊飼いスタートで修道士になったというだけで十分立身出世ですし、そうやって貧しい中から夢を叶えたのだからそこでの地位を固めることに腐心すればいいのに、「すばらしいお説教」するだけじゃ人々が救えないと教会を飛び出したのもすごいと思う。また、「血を流さずに貧しい人たちを救いたい」という考えも理念だけならきれいごとですが、「そういう理想だけではなにもできない」ということさえも物語で表現されていて、実際に血を流さずに人々を救った人の実話ベースの物語なのでつっこみ入れる隙がありませんし、労働者一人一人では資本家に各個撃破されるだけだからみんなで力を合わせよう!という理念もなんら間違ってません。…という、間違ったことはなにひとつ言っていないのですごくつっこみ入れるのが難しい作品だったりします…。ミュージカルとしてもうちょっと表現をがんばってほしいところもあるのですが、なにせ小さなプロダクションががんばって作った新作だとか、ダブル主人公と言えるコルピングとカールは二人ともこのプロダクションが発掘したと言っていい若手だとか、結構がんばってるのが分かってるので、どうもきついことが言いづらいのです。
 …といろいろ言ってしまいましたが、たぶんこの作品好きなんだと思います。好きじゃなければ、遠征しなきゃ見れない作品を5回も見てません(笑)。去年も今年も、この作品を見られる日程で旅程をくみました。役者目当てということは否定しませんが、なんだかんだで見れば楽しんでしまう作品です。
 良くも悪くもまっすぐな作品です。コルピングのきまじめな性格…痛い目を見てもまっすぐ前を見つめ続ける姿はとても好きです。カールの兄貴分気質はコルピングとは全く趣をことにしてますが、それでも真っ直ぐで見ていて心地いいです。若手二人が全力で、自分らしさを保ったままそれぞれ別の人生を歩いていくというのが、オリジナルミュージカルとしてとてもおもしろいです(二人が逆の役を演じるなんてあり得ないと思うほど、二人とも彼らの役を演じています)。工場の経営者のカルヒャーは悪役と言うべき役ですが、どちらかというとエンターテイナーのよう。Claus Damがベテランの底力を見せてくれています。カールの妻スザンナはどちらかというと苦難に耐える感じで、Sabrinaが演じる役じゃないんじゃないかと思うこともありますが、苦しみを大きな声で訴えるのでなくじっと心に押し込めている姿はベテランの風格すら感じます。
 そんなわけで、いろいろ思うところはあれど、なんとなく見に行ってしまう好きな作品です。
 物語としてはコルピングが靴職人としての境遇を嘆き故郷を飛び出していき同じく靴職人のカールとケルンに行きます。ケルンでカールは工場での仕事を見つけ、スザンナという靴職人の娘と結婚します。コルピングは工場の持ち主カルヒャーの病気の妻フリーダの朗読者を経て修道士になるためにケルンから旅立ちます。数年後、修道士となったコルピングはケルンまで戻って来ますが、そこでカルヒャーのやり方に異議を唱えたために工場を首になり職にありつけなかったカールと再会します。…ここまで書けばなんとなく「やりたいことはわかるんだけど…」と私が思った理由もわかっていただけるかと思います(苦笑)。いい話は、いい話なのです(だから突っ込みづらい)。

 音楽視聴
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ゆず
2014/08/31(Sun) 23:25:10

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