観劇+αの日々
■Kバレエ 白鳥の湖(2016/05/27 ソワレ)
オデット/オディール:矢内千夏
ジークフリード:宮尾俊太郎
ロットバルト:スチュアート・キャシディ
ベンノ:益子倭
パ・ド・トロワ:新居田ゆり、小林美奈、山本雅也
Bunkamura オーチャードホール
★★★☆
うーん、困った。
正直、見る側の状況としてもよくなかったのは事実です。まれにあるのですが、観劇時に情報量がオーバーフローして受け止めきれず、時間がたってからぶり返すこと。完全にその状況で、観劇前にツイッターのチェックなどしながらマチネを思い出し泣けてくるというような状態。舞台に集中できなかったというのもありますが、そのほかなんとも言えない公演でした。
矢内さん、結構よかったです。「主演デビュー」としてはこれだけできれば十分だと思います。とても自信にあふれた踊りで、物おじせず、しっかり踊ってる。アームスも思っていた以上に柔らかく、柔軟性の高さを感じる美しい踊り。オデットははかなく美しく、オディールは力強く。グランフェッテはさすが最近の若い子はすごいですね、ちゃんとトリプル入れてくる。正直昔から回転の苦手な浅川さんより見ごたえあるんじゃないかと思うほど。
でもそれだけ、それ以上でもそれ以下でもない。とても美しい踊りでしたね、で終わってしまって、物語としての感動がない。これですべてがグダグダだったら抜擢ミスで済むのですが、ちゃんと美しかったから、もっと別の役のほうがよかったのではとか、相手役が違ったのではとか思ってしまい、なんとも複雑な気分。
宮尾さんは宮尾さんでよかったのがまた残念といえば残念。やはり王子として中心にいることが当たり前になってきたし、ソロも決めるときは決めるようになってきた。良かったんだけど、なんかオデットともオディールともバランスが悪い。宮尾さんもいい年なので細いとは言いつつも若干がっちりしてきています。だからほっそりした(そして決して大柄ではない)矢内さんが隣に来てしまうと、彼女の華奢さが際立ってしまい、どこか存在感が薄く見えてしまう。オディールをエスコートしているようなバランスも気になりました。昨年秋の白石さんとの公演が大変素晴らしかったのもあり、どうしても物足りなさを感じました。
なにかこう、うまくかみ合えばもっと面白かったろうに、いまいち盛り上がれない公演でしたが、私が悪いと言われればその通りで、またいろいろ複雑です。
それでも楽しい公演ではありました。
ベンノは益子さん。宮尾ジークフリートに一番しっくりくるのは益子ベンノとずっと思ってましたが、その通り、明るく華やかなジークフリートにぴったりのベンノでした。子供っぽくやんちゃなのですが、予想外にうるさくない。若さははじけてましたがどちらかといえば大人しめで、しっくりくるバランスでした。パドトロワの三人も若い感じでしたがこれがこれでとてもかわいい。山本さんは秋の公演よりも踊りがしっかりした以上に雰囲気がよくなった。穏やかでさわやかな雰囲気で、ただ踊っているのではなく、なんとなく王子の友人というか話し相手というか、今はそうでなくてもこれから距離を縮めていけそうな雰囲気。美奈さんは相変わらずかわいらしく、新居田さんは微妙に見分けがついてないのですが久しぶりにちゃんと見るとやはり好みの細やかな動き。三人のバランスもよく、大変楽しかったです。
さて王子の友人たち、キャスト表に書いてないので「多分」という前置詞を付けたうえで(敬称略)。堀内(筆頭友人)、池本、石橋、栗山、牧野(多分)、女性は吉岡、井平くらいしかわからず。酒匂、兼城、本田、矢野、和田、三浦、田中、佐野、女性は河合、荒蒔、飯田、吉田。堀内さんは相変わらずいい友人。1幕のラストでジークフリートに踏み込みすぎず話しかけ、それによってジークフリートも悩みを打ち明けやすくなるという流れが好きです。全体をなんとなく見ていてなんかひとり完璧な美しさで踊ってるなあと思ったらそれは池本さんです。無駄に美しくってもったいないです。アントルシャの足先の美しさとか、アラベスクの角度の美しさとか…本当に素晴らしいです、見たいのがこの役かどうかというのは置いておいて。栗山さんは吉岡さんと踊っていました。ふたりともどちらかというと背が高いと思うのですが、なんとも言えずおっとりふんわりした雰囲気のお二人でお似合い。石橋さん、スペインのキレッキレぶりと違って穏やかな笑顔が素敵でした…とか見ていると目が足りません。(隙を見てちゃんとにこやか笑顔の兼城さん見ているから本当に目が足りない。いる位置は秋公演と同じで、最初は鳥かご持って出てきます)
コールドは秋公演よりまとまりがあったかなあと思います。足音もあまりせず、好きです。
キャシディさんのロットバルト、秋公演の時は微妙に存在感が薄くって何事かと思ったのですが、今日は私のイメージするキャシディさん。確かに踊りはいまいち荒っぽいけど、立ってる姿だけでもう別格。杉野さんが割と小技を利かせるロットバルトだと思ったのですが、キャシディさんはそんなことをせず、ただたたずむ姿がとにかく美しい。動かないのではなく、細々した動きをしないことでむしろ風格や威厳を感じる。やはりキャシディさんはいいなあと思わされました。キャシディさんのロットバルトと宮尾さんのジークフリートってあまりなかったと思うのですが(少なくとも私が見るのは初めて)、これがなかなかいいバランスでした。確かにジークフリートはロットバルトに負けるけど、程よい負け具合でした。
ナポリ、なんとなく全体を見ていたのですが、多分こちらがファーストキャストなのかなと思えるキレのいい踊り。難しい割には見栄えのあまりしない踊りだと思うのですが、大変楽しかったです。チャルダッシュは春奈さんが美しく、伊坂さんがきりっと決めていて、熟年夫婦という感じが好きです(そしていい感じに尻に敷かれてそうな伊坂さん)(そんなこと言いつつほとんど兼城さん見てました、にこにこ笑ってないのもかわいい、つま先がきれい)。マズルカ、よくわからないけど大変美しい形で踊ってる池本さんとやたら華やかな杉野さんに目が行きます。スペインはとにかく蘭さんと石橋さんの組み合わせが好きです(仮面をしてようがこの二人くらいはわかる)。ここだけなんともねっとりした色気というか、赤と黒が濃いというか、雰囲気が重くて好きです。
そんなわけで楽しいことは楽しかったです。
ゆず
2016/05/28(Sat) 01:57:24
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