|
ザンクトガレン版 Tanz der Vampire
|
あまりにも待ちくたびれましたが、ようやくザンクトガレンのTanz der Vampireのキャストが発表されました。
Graf Krolock : Thomas Borchert Sarah : Mercedesz Csampai Alfred : Tobias Bieri Professor Abronsius : Sebastian Brandmeir Chagal : Jerzy Jeszke Magda : Sanne Mieloo Herbert : Christian Funk Koukol : Thomas Huber Rebecca : Anja Wessel
クロロックはザンクトガレンでTdVをやるならこの人だろうと100人中100人が思ったであろうThomas。 今もミュンヘンで演じている、言うまでもないベテラン伯爵。 ザラは以前ベルリンでも同じ役を演じたロシアの方。 そしてアルフレートはびっくりTobias! フリードリヒの若フリードリヒで見たことがありますが、大変透明感のあるきれいな声をしたかわいらしい方で、確かにアルフレートもできると思います。 Thomasのクロロックは見たいのですが、Tobiasのアルフレートというのも大変魅力的です。
さて、今回のザンクトガレン版ですが、演出はUlrich Wiggers。 ポランスキーさんがスイスに行けるとか行けないとかというのもあるせいか、なんとドイツ語圏初の「新演出」です。 質の高いオーケストラ、ベテランクロロック、新演出、ドイツ語と、楽しみな要素が盛りだくさんです。
ザンクトガレンではレパートリー制ですので、観劇の難易度が高いのは相変わらず。 現在、2月から5月までの公演が予定されているようです。 今シーズンは行ける見込みがない身の上としては、来シーズンの再演を今から祈るのみです。
|
Thomas Borchert | Link |
Trackbacks:0 | Comments:0
(2016/10/25(Tue) 00:30:46)
|
|


|
Kバレエ 夏のイベントあれこれ
|
夏の細々としたイベントの話。シーズンが明ける前にとあわてて書いてるので簡単に。
まず、小さなイベントですが赤坂でのジェンツのトーク。無料の小さなイベントでしたが、杉野さんと栗山さんが踊ってくれたのが大変うれしかったです。杉野さんに黒、栗山さんにしろというのは大変合いますし、これはまた見たいと思う組み合わせでした(というかジークフリートとロットバルトですね、そういえば)。熊川さんが途中でいらしてびっくりしました。あと・・・「夏休み皆さんでどこかに行かれたりするんですか?」という質問に、益子さんが以前こんなことが・・・と結構とんでもない話してくださって、ああ、みんなちゃんとここにいてよかったなあとか思ってしまいました(書くのがはばかれる真面目にやばい話)。
毎年恒例となっているオーケストラ+バレエの青島さん指揮とお話しのコンサート。 オーケストラメインでバレエもあってトークもあってお得だよ!と言いたいのに、全体の構成がグダグダで、Kバレエファンとして若手ファンサー見に行くくらいしか楽しみがないのが残念です。例えば今回のトーク、くるみ割り人形に出演した経験について聞いて、栗山さんがネズミの王様をやったと言ったら「クララの敵ね」と返すのはいいとして去年はクララのパパだったことつっこんでほしいし、王子様でなくドロッセルマイヤーみたいな年を取った役を・・・ときたら二十歳そこそこでドロッセルマイヤーやった杉野さんのことにもふれてほしいし、なんというかかゆいところに手の届かない公演でした。選曲についてのちぐはぐさはまあもうつっこんでも仕方ないとして、作曲家の話とかもうちょっとちゃんと話してほしかったなあと思いました。なんか中途半端でコンサートとしてのテンポが悪くなる程度で、がっつり話を聞けたという気がしないのが残念でした。(というか、青島さんが一人でしゃべってる時はなかなかフランクで面白い話も聞けて楽しいので、なんかこう、もっとなんとかなったのではと思ってしまうのです)
さてバレエの話。 ヒラリオンが見たい見たいと言い続けていた堀内さんがアルブレヒト。予想外でしたがこれがとても素敵。まじめそうで朗らかな好青年。庶民的なところと品がいいところが程良く混じっていて、子供の頃は平民の子たちと泥まみれで遊んでいて、でも親に勝手に婚約者も決められ、そういう貴族の家の堅苦しさに辟易して外の世界に出て行ってジゼルと出会って恋に落ちた感じ。ジゼルより少し年上に見えて、それが婚約者がいて結婚もそう遠くない雰囲気を感じさせつつも、ジゼルにとって少し年上であこがれるにちょうどの年齢というバランスもよかったです。吉岡さんのジゼルのかわいさは言及するまでもなし。「ドアをノックする音がしたの、きっと彼だわ」というあたりから花占いのシーンまでだったのですが、喜怒哀楽がすべてかわいい。あどけなく純真な少女という感じで、病弱面はそこまで強く感じないけど、あまり外の世界を知らず狭い世界で生きてきたという雰囲気。ほんのちょっとした首の傾げ方というか、そういう動作がかわいくって、ああこういう子に出会っちゃったらそりゃ永遠の愛も誓いたくなると思えるかわいらしさ。ふんわりした動きもかわいらしく、見ほれました。短いシーンですが二人ともとてもそれぞれの役らしく、雰囲気も合っていて、続きが見たくなりました。 コッペリアからスワニルダとコッペリウス博士のシーン。なんでよりによってこんなシーンをやったのか不明なのですが、大変かわいらしかったです。今まで気付きませんでしたが、コッペリウスは背中をかがめているとはいえメインキャストのキャシディさんは結構大柄。ニコライさんもそこそこの身長はありましたが、三浦さんは明らかに小柄な方。背中を丸めてしまうと河合さんより小さくなる。コッペリウスの魔法の本もいつもと同じものなのでしょうが、いつも以上に大きく見えて滑稽。しかめっ面のくそじじいで、それなのにコッペリアが動いたと思うとにっこりと、本当にうれしそうに笑う。このギャップが大変かわいらしいコッペリウスでした。河合さんはどこか悲しげに見えるお顔立ちだと思っていたのですが、なんというかそれがうまくスワニルダに合っていた気がします。お人形のようにかわいらしく、でもいたずらっ子だというのが分かる。なんでこのシーンを抜粋したかわかりませんが、青島先生からせっせと魂を抜いてはコッペリアに命を注ぎ込もうとするコッペリウスが大変かわいらしく、スワニルダもいい感じでかわいらしいいたずらっ子で、前後が見てみたいと思えました。久しぶりにやらないかしら。 ジェンツは椅子を使った5人の踊り。サントリーホールのコンサートで踊ったものらしいです。物語のない踊りですが、5人それぞれらしい踊りで楽しかった。それにしても杉野さんってまるで歌うように踊るのだとしみじみ思っておりました。 矢内さんと山本さんの青い鳥のグランパドドゥは丁寧に踊られた印象。くるみのロシア人形、いつもの組み合わせですが、矢野さんは本当に楽しそうに踊られます。スペインは戸田さんがいい感じでした。 最後はくるみの姫と王子のパドドゥのアダージョのみ。池本さんの王子は相変わらず完璧。この方、ポジションがとにかく美しいのでなにをやっても美しい。久しぶりに見ましたが見ほれる以外なにもできません。ふわりと柔らかい雰囲気と王子らしい凛々しい雰囲気。どちらも程良く入り交じっていて魅力的でした。相変わらずの白いタイツのに合うまっすぐに伸びた足。今年も年末に見られたらいいなあと思っております。佐々部さんはいまいち。踊り込んでいないのが分かる荒い踊りで大丈夫かと思ったら最後のピルエットでかかとをついちゃう大失態。こんなの発表会でもなかなか見ない。何度も本番で踊ってるのに、なにが起こったのかとびっくりしました。 そして一番最後のフィナーレ。ダンサー全員が舞台の上にいる中で、ふつうに王子が姫をエスコートしてる佐々部池本ペア。池本さんがとても自然に佐々部さんの手に軽くキスしたのが大変素敵でした。その後のほほえみを含め、完全に王子でした。もう、さすがとしか言いようがありません。 来年も公演の予定があるようですが、できれば土日にやっていただきたいものです・・・平日はちょっとハードルが高いです。
スクールのパフォーマンスは横浜と恵比寿に行きましたが、どちらも仕事帰りだったので全部見られなかったのが残念です。 横浜校はUpperBのコンテンポラリーが楽しかったです。普段あまりコンテンポラリー見ないので偉そうなことは言えませんが、4人しかいない生徒さんそれぞれにちょうどいい踊りという感じで、素直に楽しめました。バヤデールの抜粋はカンパニーのセットを使い、太鼓の踊りまであるのですっかり公演が見たくなりました(太鼓の踊り楽しかったです)。矢内さんが高慢なお嬢様に見えつつも、ソロルがニキヤを思い出してる時にひどく悲しそうで、そんなところが大変かわいらしいガムザッティでした。兼城さんのカブリオールが大変美しくって満足です(ただ、筋肉ないせいかサポートはほんとにどっこいしょ・・・)。 恵比寿校は池本さんを見に行ったわけですが、本当に相変わらずパーフェクトに美しい池本さん(回転の軸がずれたのは見なかったことにする)。立っている時のラインが本当に美しいし、あっと驚くほど飛ぶのにこれ見よがしでなく、本当に上品。本当に足のラインが美しくって、素晴らしいなあ、美しいなあと思っている間にあっという間に時間が過ぎていきました。バジルかというと床屋の息子ではありませんが、王子というわけでもなく、しかし本当にバレエって美しいなあと思える美しい足のラインであり、手のラインでした。サポートにも安定感があり、本当に美しいです(それしか言うことがない)。
ジェンツのサマーディナーショー。ディナーショーに行くのは初めてですが、大変楽しかったです。ステージが会場の真ん中にありどう使うかと思いましたが、うまく両面を正面として使っていたと思います。あと、ダンサーは背中もきれいなので後ろを向いていてもそんなに疎外感がなかったです。公式ページにもありましたが、益子さんが直前のお怪我で不参加。5人が本来の姿で足りないんだろうなと思わせるフォーメーションはありつつも、宮尾さんが言ったように「杉野君が益子君の分まで飛び、篠宮君が益子君の分までまわり、僕と栗山君で益子君の分までどやります!」のとおり(?)、それはそれで楽しいパフォーマンスでした。 オープニングに熊川さん振付の作品(これはいつか別の機会にちゃんと5人で見たい)、宮尾さん振付の「愛」をテーマにした連作、新上裕也さん振付の作品・・・という流れもよかったです。新上さんの作品は「戦場の男達」みたいな感じで、皆さんタンクトップにジーパン。照明も暗め、踊りはバレエを基礎にしつつも若干重力の重さを感じる雰囲気で、メンバーに無理なく毛色の違う雰囲気で、まさに「別の魅力」を最後に見せてくれて楽しかったです。 宮尾さん振付の「愛」をテーマにした連作。物語を感じる、それぞれにあった音楽とパートナーと雰囲気の踊りで、特別斬新だったりするわけじゃないけど、小ぢんまりした会場で短い時間に立て続けに見るのにぴったりの作品。別の機会に大きな会場でやるとちょっといまいちなんじゃないかと思う、本当にその場にふさわしい作品だったと思います。かわいい女の子(美奈さん)を見つけてなんとか気を引こうとする宮尾、杉野、篠宮から逃げ回る美奈さんが大変かわいらしく、最後に出てくる栗山さんは本当に王子様。どこか初々しさの残るさわやかな組み合わせの踊りでした。 次が篠宮さんを取り合う女性二人、涌田さんと飯田さん。飯田さんが益子さんとペアだったのはフィナーレでも明らかだったのですが、これが本来どんな踊りだったのかは不明。篠宮涌田ペアに突っかかってくる飯田さんという感じのコメディタッチ。気の強い女の子二人に振り回される篠宮さんが大変楽しかったです。コメディだけど踊りの鋭さはさすがの一言で、だからなんでバジルは平日真昼間だったのかと(以下略)。 杉野さんと蘭さんのペアは個人的に一押しなので、本公演でなかなかお目にかかれませんがこういう機会に見られてよかったです。こちらも若々しいカップルですが、栗山さん美奈さんとはもちろん全く違う雰囲気。行け行け押せ押せ杉野さんと、ちょっと一歩引き気味だけどラブラブには間違いないカップル。これはこれでかわいらしく、若干コメディ寄りの、なんともほほえましい作品でした。 最後は「別れの曲」というタイトルだけでドラマを感じさせる宮尾さんと浅川さん。今までの若い人たちとは違う、「ここまでの物語」を感じさせるふたり。ものがなしい曲ですし、かなしいドラマを感じるのですが、二人の人柄のせいか暗くなりすぎず、ただ美しいと感じる踊りでした。 この全体の流れがうまくまとまっており、最後のフィナーレも美しく、大変楽しいショーでした。・・・お値段がお値段なので1回きりのつもりだったのですが、次にあったときに「行かない」理由を作るのが大変そうです・・・たのしかった・・・。
最後にボーイズサマースクールのエキシビジョン。ボーイズのサマースクールの成果発表+講評+小林さんと遅沢さんによるQ&Aコーナー+若手ダンサーによるエキシビジョンと盛りだくさんで楽しかったです。バレエ関係のトークって微妙なことが多いですが、あと一歩踏み込んでほしいと思うところはありつつも、変な質問などはなく、大変楽しいイベントでした。途中で熊川さんがいらしてびっくりしましたよ。 小林さんと遅沢さんのQ&Aはまじめなんだかボケボケなんだかわからないところがあり、笑いすぎておなか苦しい。食事を気にすることはありますか・・・という話で、 司会「ジェンツの皆さんもすごく気にしてプロテイン飲んでいる方とか」 遅沢「益子」 司会「気にせずラーメン食べてる方とか」 遅沢「杉野」 のあたりで完全に呼吸困難におちいってました(イメージ通りのお二人です)。 大変なことばかりだけどカーテンコールは本当に幸せだとか、体が出来上がってくるのは20代後半くらいだとか、ストレッチ大事だとか、甲をのばすトレーニング大事だとか、なにはなくともポジション、5番だとか、そんな感じでした。 さて、エキシビジョン。 本田さんはスクール卒業時にも見ましたが、バジル。こういうソロは久しぶりに見ましたが、やはり彼も基本のしっかりした踊りをされてるなあと思いました、つま先がきれい。青島さんのコンサートに引き続いての坂元さんと矢野さんのロシア人形。矢野さんは相変わらずのびのび楽しそうですが、空中での美しさとか、そういうしっかりまとめてくる感じは坂元さんさすが。あとのトークで矢野さんが15歳(!)でバレエを始めるまではバスケをやっていたと聞けました、本当に経歴が謎な方です。兼城さんは兼城さんだなあと思う大変かわいらしい踊り。相変わらずほっそく、膨張色白をものともしない細長い手足で、コメディ調の道化のようでなにか恋い焦がれるような動作も大変かわいらしく、かわいらしかったです。・・・さっきまで遅沢さんが口を酸っぱくポジションポジションと言っていたので、ピルエットのプレパレーションが何番だかわからない状態だったのが気になって仕方なかった・・・。最後のフィナーレでは彼らしい190度くらい足が開いたジャンプの連発見られたので安心しましたが。 堀内さんのジェームズ。あれはスカートでなく民族衣装!と思っても、角刈りのにーちゃんがスカートはいてるようにしか見えず一瞬おろおろしましたが、さすがとしか言いようがない踊り。見どころは足さばきという言葉にたがわず、正しいポジションから次の正しいポジションへ素早く移り変わっていく。本当に美しい足で、いいもの見せていただきました!(昇格求む) 最後は吉岡さんと吉田さんの海賊の奴隷市場のグランパドドゥ。吉岡さんはジゼルはピッタリだったからメドーラタイプではないかと思いましたが、グルナーラを踊っていてもやはりメドーラに見えました。特にK版では姉妹という設定になってますので、吉岡さんはかわいらしい「妹」、メドーラが似合うと思います。いつかメドーラで見てみたいです(踊りはとても素敵だった)。びっくりしたのが吉田さん。「踊り」じゃない、完全に「ランケデム」。ちゃんと奴隷市場で踊ってる、金持ちたちにグルナーラを売りつけようとしている。どこに誰がいて、自分がなにをしているかちゃんと把握している。極悪人タイプという感じではありませんでしたが、逃げ回るグルナーラを見ながら「いきのいいイイ女」くらいには思ってる、ちゃんと「奴隷商人」。ご本人やってみたいとおっしゃっていましたが、これは見てみたいと思えるランケデムでした。
というわけで、夏のイベントあれこれでした。そろそろ恐怖の新シーズンメンバー発表ですので、それまでに書いてみました。まあ、大きな移動は、秋公演のお知らせを見たらなんとなく見当つきますよね・・・。
|
Kバレエ | Link |
Trackbacks:0 | Comments:0
(2016/08/21(Sun) 00:28:02)
|
|

|
エリザベートとフランツのハンガリー訪問
|
エリザベートはそこそこ好きで東宝初演からウィーン公演、日本来日を含むツアー公演といろいろ見ていますが、何度も見ているとやはり新しい発見があるものです。 このことについて気が付いたのは忘れもしないドイツツアー公演。フランツはMathias Edenbornでした。この公演、最初は行くつもりがなかったのですが、なかなか決まらなかったフランツ役がかねてから好きだったMathiasだと知り、大慌てで日程調整して行きました。
ハンガリー訪問のシーンでふと思ったことがありました。 「フランツは小さなゾフィーの死を悲しんだんだろうか?」
史実は置いておいて、ミュージカルでの話ですが、これについては完全に先入観がありました。自分の子供が死んだのだから嘆くのは親として当然と思っていましたし、なにより東宝版初演の鈴木フランツの嘆きぶりがずっと胸に刻まれているので疑問に思ったことはありませんでした。けれどふと気づいてみると「娘」です。世継ぎにはなれない「娘」。そう思って台本を見てみると少し気になる点がありました。 東宝版だとだいたい以下のようなことをはなしています(うろ覚え)。 「子供たちを返したなら、どんな遠くへも参りましょう。まず子供たち。返してください」 「母上に、掛け合うよ」
手元にあったエッセン公演の時の台本だとこんな感じです。 「子供たちと一緒なら旅をします。まず子供たちを返して!そうしたらあなたの公務にもしたがいます」 「旅は散歩ではない、子供たちはまだ小さい」 「もう長いこと子供たちと離れています、それなら答えは「ノー」です」 「神よ。もう君がなにを考えているかわからない。だが頼む、君の言うとおりにしよう」
ほぼ直訳なので、ニュアンスは拾えてないかもしれませんがなんとなくのイメージは伝わるかと思います。これを読むと旅に子供たちを連れていくことは危険であるとフランツは認識していた気がします。東宝版と違うところは色々ありますが、「小さなゾフィーの死は突然訪れたものでなくあらかじめ予見できたものだった」という違いは、結構大きなものだと思います。 ハンガリー訪問のシーン自体の違いはさらに大きいので面倒なのですが・・・。印象的なのはエルマーたちの台詞。 「彼女は悲しんでいるように見える」 「子供たちは病気だ。小さなゾフィーは高熱だ」 エリザベートは子供たちが高熱を出しているのを知っているのにその場にいる・・・この直後に棺を持った「死」が現れるのですが、「死」が能動的に小さなゾフィーを殺したのでなく、長い旅に耐えられず高熱を出した子供が亡くなった、というありきたりの悲劇の中にエリザベートが「死」を見た・・・というように印象が結構変わります。
上記の公演は1回しか見ることはなく、印象の違いを抱えたまま台本を読みつつ時は流れました。 さて昨年、上海までツアーエリザベートが来るという話がありました。最初は行くつもりなどなかったのですがなかなか発表されなかったフランツ役が前から応援していたMaximilian Mannで(以下略)。くだんのシーンについてどう感じるかと思いながら見に行きました。 先入観はあったのかもしれませんが、やはりフランツは「子供の命が危ない」ことを知りながら子供たちと共にハンガリーに行ったように思えました。それはエリザベートとの会話のシーンでも思いましたし、ハンガリー訪問のシーンでも感じました。フランツの隣で、熱を出して苦しんでいる子供のことが心配でたまらないエリザベートをとがめるような眼差し、きっとエリザベートが子供のそばにいたいと訴えたとしても許さなかったと思えるフランツの眼差しが、それを感じさせました。 ちなみにこのときのエリザベート、つまり子供が高い熱で苦しんでいるのにそばにいることさえできず不安でたまらず、夫にそれを訴えようとするも優しいはずの彼は「約束を果たせ」とばかりに冷たい目線で一瞥するばかりで逃げ場もなく、どうしようもない不安でふるえている彼女は恐ろしいほどまでに美しく、先ほどのエルマーたちの言葉の続きの通り「心配ごとが彼女をさらに美しくする」としか言いようがなく、とても印象的なシーンでした。こう、なんと言ったらいいのか・・・子供が病気であるという親にとっての自分が苦しんだ方がましという状況を「苦悩する皇后は美しい」でまとめてしまうこの作品、やはりとても好きだと思いました。
余談ではありますが、エリザベートという作品でフランツをどう演じるかってふたつパターンがあると思います。ひとつは為政者としてはしっかりしているけれど弱い部分があった人という方法、もう一つはマザコン→嫁の尻に敷かれていただめ男という表現。どっちであっても話は破綻しないと思いますし、ウィーンであったらどちらでもいいです。史実のフランツ・ヨーゼフがどういう人でありなにをしたかという証は街中にいくらでもありますから。でも海外では「フランツ・ヨーゼフ」を知らない人も多いのですから、実在の人物に敬意を払い、「完璧な人ではなかったが、並以上の王者であった」と思わせてほしいという願いがあります。幸いにして後者のフランツを私は見たことがありません。また、先述のMathiasもMaximilianも、エリザベート目線では確かに問題のある夫だったのかもしれませんが、君主として育てられ、それ以外の生き方を知らなかった人間・・・という表現の方向性が大変好みでした。
|
ミュージカルその他 | Link |
Trackbacks:0 | Comments:0
(2016/07/25(Mon) 01:30:50)
|
|

|
Kバレエ TripleBill(2016/07/17)
|
「ラプソディ」 荒井祐子/伊坂文月
「シンプル・シンフォニー」 中村祥子 小林美奈 井上とも美 遅沢佑介 宮尾俊太郎 栗山廉
「アルルの女」より 熊川哲也/浅川紫織
オーチャードホール ★★★★
まさかやるとは思わなかった夏公演、行ってまいりました。チケット発売から公演当日までなんかいろいろありすぎて素直な気持ちで見てきたわけではないのが残念です。
ひとつ驚いたのがシンプルシンフォニー。省エネ版(遠回しな言い方)ラプソディーという印象しかなく、正直見たくなかった。幕が開いた瞬間もああ、ラプソディーだなという感じだったのに、これが面白かった。もっと散漫な、よくわからない作品だったと思ったのに、ちゃんとまとまってる。中心に祥子さんがいて、その隣に遅沢さんがいて、中心にすっと芯が通っていて安定している感じ。3組の踊りという記憶だったのですが、1組と2組という形できれいに分かれ、それで形になっている。なにかドラマがあったわけではないですが、祥子さんのちょっとした手足首のニュアンスが大変魅力的だし、遅沢さんの技術も安定している。井上さんと宮尾さんのペアは温かみがあって、こちらもまとまっている。驚いたことに栗山さんの踊りももちろん未熟なところは目につきつつも、美奈さんの安定した技術の踊りに似合っていた。ちょうどいい組み合わせだとちゃんとした作品としてまとまるんだと思えたのは意外でした。…まあ、直前にラプソディーを見ちゃってるんで、やっぱり似てるなと思ったとかありますけどね…。意外と楽しめました。
アルルの女は、ああ、これがやりたかったのかとようやく腑に落ちた感じがしました。不勉強なのでこの作品はこれが初見で予習はしていません。去年の青島さんのコンサートで少しだけ見ただけ。その時は彼の踊るホセが見たと思ったのですが、直後にカルメンを見たときはその時ほどのインパクトを感じなかった。ようやくやりたいことをそのままやってるところを見て満足しました。目の前にあるなにかに焦がれるのではなく、手を伸ばしても届かないものに焦がれる焦燥感。誰とも視線を共有せず、ただ一人遠くの世界を見つめ、それに焦がれ手を伸ばし、手に入らないことを知っていても手を伸ばし続けることをやめられない。ほぼ1年前に同じ場所で見て、あれは振りの確認でしかなかったものをちゃんと作品として見ることができて満足です。 あ、浅川さんは大変かわいかったです。
そして大変困ったラプソディー。とても好きな作品なのに、いまいち心が踊らなかったのが残念です。そもそも井澤さんの降板が納得いかないし、だったら最初から伊坂さんにしてほしかった。伊坂さんのソロに不満があるというより、もう少し躍り込んだら違ったのではないかと感じられてしまって、なんというか、もったいなかった。モラレスを思わせる彼のユニークさとか楽しかったのですが、どうしてもそれなら最初からそうと言ってくれと思ってしまいます。怪我というわけでもなく、芸術的理由なら最初から予想ができたでしょうに…。井澤さんは後ろの方で踊ってらっしゃいましたが相変わらずキレのある踊り、美しいつま先で、やはりセンターで見てみたかったと思ってしまいます。 …という感じで好きな演目、大変久しぶりの荒井さんを楽しめなくて残念でした。 荒井さんは派手さはなくともやはり安定していて素晴らしい。この作品の女性ソロは月のようだと以前思ったのですが、今回も思いました。強烈な勢いがあるわけじゃないけど、間違いなくそこに存在している、大きな存在感がある、包み込むような温かさがある。そんな踊りでした。やはり荒井さんの踊りはもっと見たいです。辻さんの雰囲気がよかったとか新居田さんはやはり楚々とした踊りが好みだとか堀内さん相変わらずしっかりした踊りで早く昇格してくださいとか色々ありましたが、なんだか集中できなくて残念でした。
さて、秋公演は結局「やる」こと以外発表されず。オーチャードホールの公演予定を眺めながら、いつやってくれるのかとそわそわしています。来シーズンのメンバーも気になりますし、いろいろ気になることがありますが、とりあえずは待つしかありません。
|
Kバレエ | Link |
Trackbacks:0 | Comments:0
(2016/07/17(Sun) 22:38:05)
|
|

|
| < Back Next > |
|
|