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Kバレエ 海賊(2015/06/13)
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メドーラ:ニーナ・アナニアシヴィリ コンラッド:遅沢佑介 アリ:井澤諒 グルナーラ:小林美奈 ランケデム:石橋奨也 ビルバント:ニコライ・ヴィユウジャーニン サイードパシャ:スチュアート・キャシディ オーチャードホール ★★★★ なんともコメントに困る公演でした。 キャストが出た時からどうなるか全く分からなかったこの公演。どうなるかと思ってましたが、いや、本当に困った。だめならだめでいいのです。そう一刀両断にできないからコメントに困る…。もともと若い人の多いバレエ団ですしゲスト迎えるのに慣れてませんし、それなのに妙なバランスでまとめようとしてるし、すごく頑張ってるのは分かるし、そこ頑張ってもなあと思いつつ、頑張り評価するのもなんだし、でも思ったよりは良かったし…。もともと日本人ダンサーの基準でも細い人が多いバレエ団の中に入るとニーナは明らかに太目だし年齢上だし、妹というよりはママンだし衣装似合ってないし、安定感と華やかさはあるものの最盛期がとっくに過ぎてしまったものを無理にまとめているのはわかるし…どうしたもんかと思っていたら最後の最後にストーリーがしっくりまとまっており、なんというか、「面白くなかった」とばっさり切り捨てることができないためにたいへん困り果てています。 一つ面白かったのはメドーラは妹に、グルナーラは姉に見えたこと。二人並んで姉妹に見える…というのとはまた違うのですが、ニーナは妹だと思うし、美奈さんは姉だと思いました。また、メドーラというのは皆から愛され、太陽のように光を与えるタイプなのだと感じました。それはメドーラの個性なのではなくニーナ自身の個性かもしれません。でもメドーラがそういうタイプだと思うと、誰もが彼女に魅了されるのも、傷ついたコンラッドが一目で彼女に惹かれるのもわかる気がするんです。そして最後にコンラッドが新しい人生を切り開いていこうとするとき、彼の隣に明るく朗らかなメドーラがいることに安堵する。また、メドーラとグルナーラが皆から愛される存在(妹)と誰かを守り愛していく(姉)存在だと思うと、始終報われないグルナーラの存在になんとなく納得できる気がしました。祥子さんの時の公演は舞台を技術でまとめている感じで、この公演は奇妙なバランスで全体が物語がまとまってる気がしました。キャスティングが発表された時点でバランスが悪いことはわかりきっていた公演で、そんな中で皆さん本当に驚くほど話をまとめてるけどこれが「Kバレエの海賊」だと自信を持って言えるかというとそんなことはなく、けれどよくもまあこのバランスの中で物語の整合性を取る活路を見出したという部分は認めたくもあり、だからといってチケット代高いんだし…と堂々巡りに入ってしまう公演でした。メインが面白くなくってお目当ての好きなダンサーさん見て楽しかったです!でまとめるにはどうも惜しい公演なのです。ああ、本当に困る…。
さて、話を分かりやすい部分に変えます。井澤さんのアリはいつものイメージと異なる雰囲気。遅沢コンラッドとは兄弟のような雰囲気、それでもアリは臣下。なんというか、兄弟でも嫡男とそれ以外は違うよねというか…あ、またナチュラルにいいとこのおうちで例えてしまった。やはり雰囲気は若干上品です。でも上品過ぎずしっくりくる。前方席だったため、細かい演技まで見えました。船から投げ出されたあとの起き上がる前、細かな指の動きさえも雄弁に物語を語っていて、こんなに演技がうまかったかと驚きました。仕える者…臣下というにはあまりにも身近にコンラッドを案じる姿も大変印象的でした。踊りについては力みがあったのか若干軸のずれ(珍しい)や体力切れ(珍しい)を感じましたが、基本は美しいけど力強く、魅力的でした。 遅沢コンラッドについては、久しぶりに遅沢さんの主演を見ることができてそれだけで満足してしまうファンです…。やはりどこか高貴な血を感じつつも粗野な感じもあり、人を率いていく力を感じるコンラッド。愛を語る時はとても雄弁だけど甘くなりすぎない。コンラッドはどちらかというと踊りに見せ場がなく、サポートメインですが、まあ、サポートについては体格の問題もあってよく頑張りましたという感じでした…。ソロは少ないながらも丁寧に踊られていて気持ちよかったです。それにしてもコンラッドの衣装って本当に足を美しく見せるんですね。茶色いタイツに黒いブーツが大変美しく、見ほれました。 コンラッドとアリは主従という関係ですが、海賊の親分と子分という言葉ではくくれないなにかを感じました。アリはコンラッドのすべてに従い、守っている。それを感じたのがビルバントが最初にコンラッドに刃を向けたシーン。コンラッドはメドーラをまず守り、アリがコンラッドを、そしてメドーラを守ったように見えました。この関係性がとても魅力的でした。 ビルバントはまるで自分が海賊団の2番手だと思っているようでした。アリをさしおいて…というより、アリは本当にコンラッドの腹心でそういう海賊団としての地位とは違うところにいるような気がしました。そう考えるとビルバントが自分を二番手だと思うのも不思議はないように思いました。だから洞窟でコンラッドが自分に相談もなく、一人の女に入れ込んで自分の戦利品、宝や女たちを手放すことに腹を立て、刃向かったのがすごくわかる。踊りは特に印象に残らなかったのですが、やはりベテランらしい、スタンダードだけど存在感の濃いビルバントでした。 なんというか…この公演、石橋さんのランケデム目当てで行ったのですが、メドーラとコンラッドを中心としたアリ、グルナーラ、ビルバントの関係が大変面白く、もちろんランケデムもよかったのですが、彼はパシャと同じように物語の軸にいるのでなく引っ掻き回す側にいるんだなあとしみじみ思ったのでした(そう思えたのだから、やはり話全体は面白くなかったわけではないのですよ)。
石橋さんのランケデム、案の定はまり役でした。悪人面だけどたまに軽めの笑い顔が混じるせいで益子伊坂よりは明るめの感じのランケデムでした。仕事はきっちりするタイプですが、どちらかというと仕事きっちりという感じで金への執着は感じませんでした。女たちのことは商品と思っているとは思うのですが、多分なんとなく女好きの気配を感じるランケデム。それにしても石橋さんは見る度にうまく、本当に見る度に変わって行く気がします。ソロもずいぶん安定してきましたし、リフトも不安がない。本当にこの方は見る度に驚かされます。ちなみに上の方で井澤さんの踊りがなんか妙だったと書きましたが、奴隷市場でのアリとランケデムの丁々発止は石橋さんのほうがまとまってて良かったです。 小林美奈さんのグルナーラもはまり役。もの悲しげな表情がグルナーラにぴったり。なんとなく悲劇が似合う雰囲気に、そこはかとなく漂う色気。グルナーラにぴったりでした。ソロもなかなか安定しています。軸がずれているような気がするのにくるくるきれいに回れるのが不思議です。石橋さんのランケデムとの相性もいいです。なにも事情を知らなかったらちょっと物足りないのかもしれませんが、若手ペアがここまでの世界観を作り出してくれることに驚きました。
パシャのキャシディさんはさすがの存在感。なんでしょう、あの格の違う迫力は。キャラクターの方向性としてはニコライさんと同じ「にこにこ笑った女の子たちにふわふわ踊ってほしいだけなのにそれがかなわない」だと思うのですが、ニコライさんのかわいらしさはなく、もっとシリアスな感じがします。だからこそ「追い求めているものは幻」という側面が、より一層教訓じみているように感じました。 ビルバントの手下は伊坂さんと篠宮さん。石橋さんと伊坂さんが入れ替わったようです。相変わらず伊坂さんは濃いめの雰囲気で、ニコライビルバントとのやりとりが短いながらも濃い濃い。ちょっと好色な気がするビルバントの手下で、鉄砲の踊りはしっとりと…から一歩踏み込んだ感じの色気でした、それもよかったです。対する山本さんが結構品のよい感じだったので、バランスはよかったです。ビルバントの存在感が大きく、また手下が伊坂篠宮と濃かったため、コンラッドに反逆というか、海賊団の中で反旗を翻す…というどこか組織だった動きを感じました。 奴隷市場のお金持ちさん達は篠宮さんと福田さんが続投、石橋さんが伊坂さんに、井澤さんが池本さんになったと思います。残念ながらあまり見れてませんが、ほわわんとご満悦な伊坂お金持ち楽しかったです。 海賊の男たちは見覚えのあるお名前の方ばかりでいったいどこを見たらいいのか…。兼城さんは和田さんと同じところ。あいかわらず軽やかで基礎のしっかりした踊りでした。池本さんはアリとは異なりヒゲを付けてちょっと海賊らしくなってました。杉野さんは相変わらずどこにいても楽しそうにおしゃべりしています。ああ、本当に目が足りない…。 ヴァリエーションは大井田さんが安定した踊りで好きでした(ピルエットはダブルだったけど)。蘭さんはヴァリエーションより1幕のギリシャ娘のほうが好きでした。
さていつも大好きなパシャの屋敷の襲撃シーン。ランケデムはアリとの対決の末、足(太もものあたり)を切られていました。ビルバントは遅れてやってきて、にやけ笑いでランケデムを撃つかと思ったら、撃たない。命乞いをするランケデムをなだめるようにして、薄ら笑いを浮かべながら首を掻っ切る。そういう残忍さがよく似合うビルバントでした。アリはグルナーラを守ろうとしているように見えました。だから彼女のそばを離れなかったけどビルバントの動きを見て、コンラッドを守るために飛び出して行ったようでした。アリの死を嘆くコンラッドは、やはり臣下を一人失った、以上の何かを感じました。そして「怒りに任せて」というよりは自分が「仲間殺し」になることを分かったうえで引き金を引いたように見えました。アリを殺したビルバントを許せなかった以上に、自分の判断のミスでアリを死なせてしまった、そんな自分が許せないという側面も見え隠れしていました。ビルバントを今度こそ自分の手で殺すことで、すべてに決着をつけようとしているようだったのです。 仲間を守れなかった、仲間を殺した…遅沢コンラッドはメドーラと生きていこうとしたというより、別の存在に生まれ変わろうとしているように思いました。アリと一緒に、彼と生きた、彼を守れなかった自分を葬り、新しい人間になろうとしているように見えました。その隣にメドーラがいるのは救いに思えました。なぜコンラッドは海賊をやめたのか。宮尾コンラッドと別の意味で納得のいくコンラッドでした。(白石さんと宮尾さんの時は二人で一緒にこれから歩いて行く…という感じで、今回は自分を見失ったコンラッドの傍らでメドーラが彼に寄り添い包み込んでくれる…そういうイメージ)
相変わらずあちこち散漫に目が行っていたのに、なんとなくラストがきれいにまとまっている。本当によくわからない公演でした。
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(2015/06/14(Sun) 01:20:34)
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Kバレエ 海賊(2015/05/31)
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メドーラ:中村祥子 コンラッド:スチュワート・キャシディ アリ:池本祥真 グルナーラ:浅川紫織 ランケデム:伊坂文月 ビルバント:杉野慧 サイードパシャ:ニコライ・ヴィユウジャーニン オーチャードホール ★★★★★
前日ソワレとほぼ同じキャストの公演、基本的にこの公演が上映されるのはうれしいと思えるよい仕上がりでした。前日の公演より細々いいと感じました。(ちなみに感想細々書いておりますが、映像で見たら実は違ったというところがあってももうそれはご愛敬でいいかと思いつつ書きました) 細かいところですが熊川版で重要なところ、グルナーラとメドーラが姉妹に見えるかということ。この公演のパシャの屋敷の二人は明らかに姉妹でした。心が弱ってはいるけど妹を案じる姉と、恐怖の中で姉と再会してほっとして甘える妹。しっかり者だけどどこかやつれた感じのする浅川グルナーラと、彼女より背は高いのにおもいっきり姉に甘えるかわいらしい祥子さんのメドーラの関係が大変美しく、できればこれだけ姉妹を感じる感じでもう一度1幕から初めてほしいなあと感じました。
踊りの面では相変わらずの華やかさでした。祥子さんはグランフェッテの最後で若干着地が乱れたものの、後半のダブル連続は何度見ても息をのみます。池本アリは特別難しい振り付けでは踊ってないのですが、ひとつひとつの動きがとにかく素晴らしい!飛んだときのその高さ、空中での姿勢、足の動きの鮮やかさ。ひとつひとつ見ほれていました。キャスティング当初から心配だった祥子さんのメドーラのリフトはキャシディさんのコンラッドの代打ということでうまくまとまりました。若干アリが暇そうに見えるのはご愛敬かなと(苦笑)。とにかくこのパドトロワのシーンだけでも見る価値があると思えました。 祥子さんとキャシディさんは結構見た目も雰囲気も踊りも相性がよいように見えて、もう少しキャシディさんが踊れたらもっといろんな作品で見られるのにと若干残念に思いました。2幕後半のパドドゥ、しっとりとした雰囲気の中で見える二人のちょっとした足の角度や動かし方がぴったりで、とても気に入りました。 アリに見えるんだか見えないんだか分からない池本アリですが、物語が進むにつれて忠実な臣下に見えてきました。2幕のメドーラがランケデムに連れ去られたあと、海賊たちを集める動きとかとても好きでした。ただパシャのハーレムでグルナーラと再会したときは明らかに姫と再会した王子で、やっぱりこの方王子以外できないんじゃないかと思ってしまいました…とても無理なく自然で素敵な笑顔だったんです。 浅川さんのグルナーラも相変わらず堅調。長いことファンをしていますので、昔は回転が怪しかったのにいつの間にかこんなに軸がしっかりして…という目線で見てしまうところはありますが。奴隷市場で印象的だったのはその強い目線。売られる側になってもその持ち前の気の強さは失われていないようで、最後まで「こんなこと許されるはずがない」とランケデムをにらみつけていました。その強さがとても魅力的だったから、パシャのハーレムでは心が折れてしまったように弱々しく見えたのがとても悲しかった。この弱さがメドーラと対照的で、姉妹の再会シーンももの悲しく思えました。
伊坂ランケデムは奴隷商人が天職だと思いました。益子ランケデムは他に金儲けの手段があったらそちらでもいいんじゃないかという金にがめつい男に思えたのですが、伊坂ランケデムは奴隷商人として行うこと全てが楽しいように見えました。商品の仕入れから披露することも、「商品」がおとなしく鞭に従うことも逆らうところを無理やり従わせることも、奴隷市場を仕切ることも「商品」の価格をつり上げることも、それらが評価されて報酬を得ることも、そして売られていった女たちがおそらく不幸になることさえも彼にとっては最高の娯楽。常にきつい顔をしてるわけではなく結構笑ってる印象があるのですが、それがさらにランケデムという男の腹黒さを表してるように思えました。 よく笑ったのは杉野ビルバントも同じ。あまり見ることのない、よく笑うビルバントでした。洞窟のシーンでメドーラにちょっかいを出そうとしてコンラッドに厳しく咎められるシーンでも笑ってる、まるでコンラッドを試すように。奴隷市場の女奴隷たちを連れてきて非難されてるところでもぎりぎりまで笑ってる。絶対近いうちになにかやらかすと思えるビルバントです。女奴隷たちが「帰りたい」と言って宝を手に去っていこうとしたときも最初は「やあ、どうしたんだい?」とでも言うように笑ってる。なにがあったかは分かってるのに笑ってるし、もちろんその直後にぶち切れる。このメリハリが心底恐ろしいビルバントでした。コンラッドに逆らうのもなにか一時の腹立ちから来たという感じでなく、もっと根の深いものに思えました。その後ランケデムと手を組んで裏切られて…となるのですが、コンラッドがメドーラを救いに行くと駆け出して行った後のビルバントを見ていると、今まではここでひとまず物語に区切りがついたと思えることが多かったのですが、それを感じませんでいた。良い悪いの話でなく、物語が続いていくように感じられたのが純粋に不思議でした。そして最後の話になりますが、アリを殺したときに笑ってるビルバントってあまり見た記憶がありません。杉野ビルバントはアリの忠誠を笑っているように見えました。その後がいまいち記憶が曖昧なのですが、弾を込めなおしたか別の銃を手にしたか、ビルバントはコンラッドを改めて殺そうと、今度こそ殺せると確信しているように見えました。けれど弾は発射されない。この瞬間、本当の意味でビルバントから笑いが消える。この男はここで殺さなくてはいけないと思えるビルバントでしたし、悪人にふさわしい末路でした。 伊坂さんと杉野さんの組み合わせは演目によっては胃もたれおこしそうですが、こういう演目だと大変楽しいです。ランケデムをビルバントが解放するシーンも、ビルバントのなにをやるかわからない底知れなさと、なにをされるか承知の上でふてぶてしい態度を崩さないランケデムというのも大変緊張感があって面白いものでした。手を組むシーンもこれからよくないことが起こるという雰囲気にあふれてましたし、都合が悪くなるとビルバントを切り捨てるランケデムの蹴りも笑いもお見事。手を組んで裏切ってそして最後は両方とも殺されて。全ての成り行きに納得のいく二人でした。 話はビルバントに戻りますが、前日はなんだかよくわからない踊りになっていた鉄砲の踊り、ずいぶんとイメージする「鉄砲の踊り」に近づいていました。しっとりと色気のある…というのは石橋さんや篠宮さんだったのですが、昨日より隣で踊っている蘭さんとの雰囲気がよかった気がします。
3公演連続のニコライさんのパシャ。見ているとなんかかわいく思えてくるのが不思議です。奴隷市場を見ているときはそうでもないのですが、ハーレムのシーンを見てからまた次の公演で奴隷市場に戻ってくるとそのシーンすらかわいく見えてきてしまいます。パシャがきれいな娘たちをかき集めているのはかわいい女の子たちがにこにこ笑いながらふわふわ踊っている姿を見たいがため…と思えてしまうからかもしれません。酒池肉林の世界とは全く違う、まるで少年のふわふわした形のない夢のようなことをなんとかかなえようとしているのだと思うと、はた迷惑だと思いつつもその考え方がかわいく見えてしまうのが不思議です。また、金を使って無理やり女の子たちを集めても彼女たちは命令通りに踊ることはあっても夢の中のように笑顔を見せることはない…というあたりになにか教訓めいたものさえ感じてしまいます。(余談ではありますが、パシャのハーレムのシーンが地味なのは熊川さんらしいこだわりだなあと見るたびに思っています)
この演目は脇でたむろしてる人たちがいろいろ自由に動いてるのでちょっと見ようかなと思うと中心が見られなくってひどい目にあいます…。奴隷市場は皆さん好き勝手やってるので面白い面白い。お金持ちさん達は皆様個性派ぞろい。井澤さんはどこか小心者というか人の良さがにじみ出ているというか、コンラッドがこいつなら静かになんとかできると思えたのも納得の存在感でした(コンラッドに服を奪われる役です)。石橋さんはなんかぽわぽわしてました。ふわふわしてるというか…、不思議な存在感でした(そして手の位置も謎)。福田さんは大変楽しそうで、踊らされてるギリシャ娘さんたちを見ながら自分も軽く手が踊っていました。篠宮さん一人しっかり者だと感じました。サポートも一人難しい部分でしたし…視界も悪い、衣装も重そうな中、お疲れ様です。物乞いの湊さんも酒匂さんも大変楽しそうに舞台を駆け回っていました。酒匂さん、最近本当に調子よさそうで見ているこちらまで楽しくなります。市場の住人達も思い思いにその場にいるようでした。あまり今まで意識していませんでしたが、あの頭の被り物をしながらの側転は結構大変そうでした…。女奴隷さんたちもパシャにアピールしたり、お金持ちさん達と楽しそうに話していたり、つまらなそうにふてくされていたりと、本当にいろいろでした。 2幕の洞窟のシーンでの女性3人のパドトロワは意味がよくわからないと言いつつ、楽しく見ることができました。ちゃんと踊れる方だと気持ちよく見られます。井上さんは相変わらず軸のしっかりした踊りが見事ですし、春奈さんのピルエットの連続は驚くほど安定していました。佐々部さんの踊りも軽やかで細やかな足さばきだったのですが、アームスが乱暴なのが気になりました。よりによって井上さんと春奈さんがそういう細かいところしっかりしてるので、囲まれてしまうと目立つのですよ…。 ビルバントの手下は石橋さんと篠宮さん。ビルバントは兼城さんと杉野さんというタイプの違う二人でしたが、不思議とどちらと並んでもしっくりくる二人でした。石橋さんのほうが若干流されやすく気が弱い感じがしました。コンラッドとメドーラに襲い掛かるシーンの前、二人の抜き足差し足…は軽妙でありながらどこか不気味だけどやっぱり軽やかで、大変魅力的でした。 海賊の男たちは良く見知った名前が並んでいるというか全員見分けがつきました…。今日が最後だということで井澤さんを主に見ていましたが、相変わらずうっとりする美しいシェネでした。無精ひげを生やして足を広げて座る姿はいつもの貴族の三男坊という感じではなく(なんか彼って貴族の三男坊のイメージがあるんです…いい家の生まれだけど嫡男ぽくない)、アリはどんな感じになるかと楽しみになる雰囲気でした。
そんなわけでいろいろ見たいものが散らばっていて見たものそのままに感想も大変散漫ですが、楽しかったです。映像としてみるとどう感じるか、それはそれで楽しみです。
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(2015/06/07(Sun) 23:11:05)
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Kバレエ 海賊(2015/05/30) ソワレ
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メドーラ:中村祥子 コンラッド:スチュワート・キャシディ アリ:池本祥真 グルナーラ:浅川紫織 ランケデム:伊坂文月 ビルバント:杉野慧 サイードパシャ:ニコライ・ヴィユウジャーニン オーチャードホール ★★★★★
アップするタイミングを逸してしまいましたが、キャスト表を眺めてそれぞれの公演の紹介文を書いていました。そのとき、「Kバレエをあまり知らない人にもお勧めできる」と思ったのはこの公演でした。Kバレエは芸術監督を見ればわかるとおりどちらかと言えば勢いで押す感じの部分が強いので、ちょっと人に勧めづらいと言うか独特だと思うことがあるのです。でもこの公演はゲストの祥子さんがとても華があって美しいでしょうし、なによりアリの池本さんがとにかくバレエの美しさを体全体で表してくれると期待できました。それを見るためだけでも価値があるんじゃないかと思っていました。 実際ふたを開けてみて、だいたい思った通りの公演だと感じました。この日のマチネがKバレエの若手公演らしい、いろいろ欠点はありつつもその欠点をお互いの関係性や物語で覆い隠していく舞台だったのに対し、熊川版らしい特性を保持しつつも「王道」と思えるバレエだと思いました。 とにかくグランパドトロワが素晴らしかった!祥子さんの柔らかさがありながらも強靱な踊り、池本さんの的確でスマートな踊り。キャシディさんはさすがに年齢を感じてしまって手に汗握りましたが、女性を美しく見せるのはお手のもの。メドーラとアリの技巧合戦に加わることはなくとも、確かにメドーラのパートナーとしてそこに存在していました。「技巧合戦」ではあったのですが、あまり力押しが強すぎず、でもしっかり見せるものは見せてくれて、気持ちよく技に酔いしれて拍手することができました。 よい方向に意外だったのが祥子さんとキャシディさんの相性がとてもよかったこと。祥子さんはどちらかと言えばコンテンポラリーのイメージの方が強く、背も高くがっしりした感じに思っていたのですが、キャシディさんの隣にいると程良くかわいらしい。一目で恋に落ちるというのも不思議はなく、ちゃんと二人のドラマを感じました。逆に予想通りだったのが池本さんのアリ。踊りについては本当にすばらしかったのですが、王子とは言わずともなにか品格を感じる。コンラッドに対して忠誠心は感じるものの、どちらかと言えば高貴な香り漂う忠誠心ではありました。まあ、あれだけ踊れればあとはいいんじゃないかと思える鮮やかさではありましたが。本当にあれはすばらしかった。
キャスト表を見たときから濃いなあと思っていた伊坂&杉野の悪役コンビ。予想通りの濃さでした。奴隷商人が天職なんだろうなあと思える伊坂ランケデムは重くなりすぎないのにはっきりとした悪人。さすがに再演を重ねているだけあってサポートもお手のものでした。杉野ビルバントはなかなか本心を見せない悪人。こいつはいつかどこかでなんかやらかす、そんな雰囲気を漂わせていました。まあ、鉄砲の踊りが予想通り色気のない力押しになったのはご愛敬…。そんなはっきりと黒い面を持っている二人のやりとりは予想通り力強く、大変おもしろいものでした。 浅川さんのグルナーラも相変わらず美しく、祥子さんのメドーラほどの華はなくともやはり好きなダンサーさんだなあと思いました。ただ、技術的な問題でなく個性をいうなら浅川さんは妹メドーラだと思いますし、祥子さんは姉グルナーラだと思うんです。それもあるし、祥子さんの方が身長が高いこともあり、「姉妹」というより「姉妹という設定のユニット」に見えてしまうことがあったのが残念でした。
翌日マチネも見たのでとりあえずこのくらいで。ちなみに奴隷市場のお金持ちさんたちはFBで確認できた石橋さん、篠宮さんと福田さん、井澤さんでした。福田さんはしばらく分かりませんでしたが、井澤さんはでてきた瞬間に分かったのが自分でも謎です…。
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(2015/06/07(Sun) 21:56:41)
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Kバレエ 海賊(2015/05/30) マチネ
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メドーラ:白石あゆ美 コンラッド:宮尾俊太郎 アリ:福田昂平 グルナーラ:浅野真由香 ランケデム:益子倭 ビルバント:兼城将 サイードパシャ:ニコライ・ヴィユウジャーニン オーチャードホール ★★★★★
こういう公演があるからKバレエに通うのはやめられない! そういう公演でした。キャスト表を見たときからバランスの良さそうな公演でしたが、バランスよく、まとまりよく、ストーリーも踊りもおもしろい、よい公演でした。すごく楽しかったです。 一点だけ難点がありまして…。この公演、ずっと追いかけてる兼城さんの久しぶりの公演でした。年末の「くるみ割り人形」の時から確信はしていましたが、やはりお怪我でお休みをしていたようです。久しぶりに、久しぶりに彼の姿が見られる、しかもちゃんと役が付いている。それがうれしくてうれしくて、メインの踊りでなくても彼の姿を追いかけていました。ストーリーのメインはメドーラでありコンラッドでありそしてアリであることはわかってはいたのですが、結構ストーリーそっちのけでビルバントを見ておりました…。そのせいで感想の軸が若干ずれているのはご了承ください。そういう意味でももう1回見たかったです(でももう1回あっても多分をビルバント見てる)。
冒頭、海賊たちが商戦をおそうシーン、一番驚いたのがアリの凶悪さでした。福田さんのアリが想像していたよりずっと凶悪な笑顔で笑っていました。血なまぐさい行為を望んでいる笑い。そういうアリがまず珍しく、また福田さんがそういう表現をしてくることに驚きました。 全体的にストーリーがまとまっていると感じた公演でしたが、このアリの気質がストーリーの根底にあるように思いました。宮尾コンラッドはどちらかというと穏やかな気質をしています。海賊業をしていて、人を引っ張っていく力はあるけど特に残忍さは感じない。そういう血なまぐさいところはアリが引き受けていた感じがしました。汚れ仕事をアリが引き受けているというよりはそれぞれ己に見合った仕事をしている感じ。それでもアリはコンラッドに仕えているのはわかりましたし、右腕であり、臣下でした。アリがコンラッドの行動に文句をつけることはない、そしてアリを失ったらコンラッドは海賊ではいられない。このあたりがすんなり理解できる組み合わせでした。 また、「くるみ割り人形」のときに感じたとおり、宮尾さんと白石さんはとても相性がいいです。二人が並んでいる姿を見るとしっくりくる。白石メドーラはどこかおっとりした感じの女性でした。なんとなく見ていて危なっかしいところがあって、海賊と一目に恋に落ちるのもなんだか納得できてしまう。宮尾さんと並んだ姿がすごくしっくりくるというのもありますし、また、彼女のおっとりしたところがあるから宮尾コンラッドの物腰の柔らかなところもそんなに強く感じなかったのかと思います。踊りとしてすごく美しかった、というより、二人が並んでいる姿を見るとなんだか気持ちが暖かくなるような雰囲気。洞窟での二人のパドドゥも踊りが美しいとかそういうことを強くは感じなかったのに、幸せそうな二人を見てこちらが幸せになるような思いで見ていました。 いきなり結末の話になりますが、アリと生きるためにコンラッドは海賊であり、メドーラと生きるためにコンラッドは海賊をやめたのだとすんなり理解できる組み合わせでした。宮尾コンラッドがどちらかといえば流されやすいところがあり、海賊業が天職であるアリと生きるのなら海賊でいるし、そういう血なまぐさい世界と縁がないメドーラと生きるのなら海賊をやめるしかない。前者を今まで以上に感じたせいか、後者もすんなりと理解することができました。主演はあくまでメドーラとコンラッド、でもアリは主演に等しいキーパーソンである…。最後にそう感じられた、とても良い公演でした。
浅野さんのグルナーラも魅力的でした。しっかり者だけどどこかふんわりした感じがあるというか…明らかに白石グルナーラのお姉さん。柔らかい雰囲気が姉妹だと感じさせたし、しっかり者のところがお姉さん。踊りについて驚くようなところはありませんでしたが、とらわれの哀れさも姉としての強さも感じられたので好きでした。たぶん今まで見た彼女の役の中では一番よかった。 今までの役の中で一番よかったのはグルナーラのお相手ランケデムの益子さんも同じでした。益子さんはどちらかというと「自分」を押す力が強くって若干くどく感じることがあったのですが、それを感じない。彼の気質からすると陽気な感じがするかと思ったらそんなところは全くない小悪党。金にがめつく、悪人面のよく似合う、いい悪党でした。 ベテラン陣のランケデムを思うと若干底の浅い普通の悪党の益子ランケデムですが、しっくりきたのは全体のバランスと兼城ビルバントとの相性の良さがあったからだと思います。兼城ビルバントもどちらかといえば普通の小悪党。変にこじれたところがなく、良くも悪くも浅い。コンラッドに逆らったのも腹の底からの怒りというより、どちらかといえばムカついたとか、そういう浅さを感じました。ランケデムを切り捨てるときでさえ、つまらない奴と手を組んだとあっさりと切り捨てる。そういう浅い奴だからメドーラに裏切りを暴かれて今度は自分が殺される可能性がでてきたときのおびえ方がとにかく惨めったらしくて情けない。だから宮尾コンラッドが、一時は仲間であったこの哀れで惨めで情けない男を、わざわざここで殺す必要はないって思うのも分かったんです。どちらかといえば穏やかな宮尾コンラッドなら、メドーラの前で彼を殺すわけがない。そう思えたので、なんだかファンなのにほめてるんだかいないんだかわからない文章になりましたが、ランケデムもビルバントも大変バランスがいいと感じました。 踊りについて、兼城さんはどちらかというと飛ぶ、はねるがうまい方だと思うので若干の物足りなさを感じつつも、一つ一つ丁寧な動きは見ていて大変幸せでした。実はいろいろ難しい鉄砲の踊りは、細かく一つ一つのポジションが的確にはまっており、雰囲気としてもしっとりした曲調の中にもビルバントの増長ぶりが感じられ、なかなかおもしろい雰囲気でした。
グランパドトロワ(と言っていいのでしょうか、メドーラとコンラッドとアリの踊り)は本当に素晴らしいものでした。白石メドーラは大変踊りが安定しており、軸がしっかりしてるから安定感があるのに彼女の雰囲気もあってふんわりとかわいらしい。そして福田アリ!このバレエ団に在籍してる人にとってアリという役が特別なものでないわけがなく、たった1回の公演でいかに踊りきるか…という勢いを感じる踊りでした。思い入れと気迫は感じましたが、それが空回りになっておらず、力強さを強く感じるいい踊りでした。 Kバレエはある程度公演期間があるせいか、初日は暖まってないことがまれにあります。それを全く感じない公演でした。それを強く感じたのは2幕冒頭の海賊たちの踊り。コンラッドに対して「俺たちの親分!」という勢いを強く感じました。 脇のキャストは印象的な方はこの後の公演でも変わらないのでまたの機会に。ソワレにはいなかったのは蘭さんのギリシャ娘。どちらかといえば鉄砲の踊りのほうが似合う方ですのでちょっと不思議な気持ちでしたが、色の薄い衣装を身にまとった蘭さんもなかなか素敵でした。もう一人、ソワレはビルバントだった杉野さんは海賊の男たちの一人でした。海賊たちの酔っ払いダンスを始める役割でしたが、こういう部分はうまいですね。後ろの方でなんかお酒飲まされてるなあと思っていたら、とても自然な流れで舞台の前方に飛び出してきました。なかなか楽しかったので、メインの役についてない後半でもぜひやっていただきたいです。
全体的に勢いがあり、バランスよく物語のある良い公演でした。まだまだおもしろくなる余地はあるけど不足を感じない良い公演でしたので、このキャストで是非また見てみたいと思っています。
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(2015/06/07(Sun) 00:42:01)
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Kバレエユース トムソーヤの冒険(2015/04/05)
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トムソーヤの冒険、予想通り全部通いました。楽しかったです。
なんというか不思議な作品で、全体的に流れがかったるいのは事実だし、2幕は白鳥→ジゼル→海賊→白鳥を見ている感覚が拭えないのも事実なんですが、なぜか見終わったときに「ああおもしろかった」と言える。もう一度見たいかというとまた難しい話になるのですが、一つの作品としてちゃんとまとまってるし、マチネもソワレも楽しかったのは事実。よい週末をい過ごすことができました。
マチネソワレ、それぞれ別の意味で楽しかったです。マチネは矢野さんのハックがかわいくてかわいくて。ちょっとくたびれた感じの立ち方からして「ハック」。だらしない感じのする子供、だけどかわいげも愛嬌もあるし、正義感もある。舞台の上ではしゃぎ回っているところを見ているだけで楽しかったです(メアリーの持っていた本を「わかんないや」という感じで見ているのもかわいい)。リゼットとのやりとりでちょっと照れくさそうにしているのもかわいかった。とにかくはつらつとしている姿そのものが魅力的なので、今後が楽しみな方です。 子供たちの中で一番収穫だったのは矢野さんのハックですが、バランスという意味で見るとソワレの四人組が魅力的。ラストまで行ったとき、「トムソーヤの冒険」というのはこの四人の少年少女の冒険だったのかもしれないと思いました。ひとつの作品を作り上げるという大きな冒険。冒険の果てに大きな宝物にたどり着く。上手いとか下手とかじゃなくって、そういう冒険の過程と結果を見せてもらえたのかなあとなんとなく思いました。なにもかもが明らかに子供で、いい意味で子供で、そういう意味で「トムソーヤの冒険」という作品にぴったりだったのではないかと思えました。多分作品の意図としても、脇をしっかり固めるところは固める、あとは子供たちが全力で冒険に挑む…という意味で、ソワレのほうがしっくりくるものだったと思います。トムのわんぱくぶりと、ベッキーのかわいらしいけどお転婆なところ、二人のやり取りのちょっとしたところがなんともほほえましく、また、ハックのちょっとだらしない感じやベンの弱気なところとか、それぞれ個性も感じられて良かったです。マチネではトムの性格が若干半端に思えたのですが、ソワレの1幕終盤、4人だけ残されてなんとなく盛り上がらなかった時にトムが周りを盛り立てていく感じが、ムードメーカーでみんなの前に立って引っ張っていく感じの少年だと思えてました。振付面ではもう少し1幕からそれぞれの個性を感じられたらいいなあとは思いますが、トムとベッキーが主役でさらにハックとベンもその仲間という点は感じられてよ方です。 ソワレの組み合わせが「子供である」ということを生かしているとすると、マチネは演技で押すべきだったと思うのですが、それができていたのがハックと時点でベンという感じでしたので、物語のバランスは悪く感じてしまいました。踊りの面ではもちろんマチネの方がよかったのでそれが残念です。
インジャン・ジョーは二人ともそれぞれおもしろかったので、二人とも見られてよかったです。遅沢さん、短い時間ですが久しぶりに見ることができて安心しましたし、やはりすばらしかった。そこにたたずんでいるだけで他者を威圧できる存在感はさすが。ちょっとした仕草一つも印象的でした。 杉野さんもとてもよかったです。遅沢さんが人生の理不尽さにあがき疲れて枯れてしまった感じがする中で、杉野さんの場合はまだどこかになにか救いがあるかもしれないという気持ちを捨て切れてないというか、まだあがいてあがいて苦しんでいるというか…。すべての理不尽を飲み込んでしまった虚無感が迫力として感じられる遅沢さんと、まだその理不尽さ一つ一つを痛みとして覚えている杉野さんと言ったらいいか…。遅沢さんの方はその理不尽さを天に呪うような側面が強く、杉野さんは自分がなにをされたか一つ一つ覚えていると言ったらいいか。最初の殺人のシーンも印象が違い、遅沢さんの方がもう我慢ができないという思いを強く感じました。登場時間こそ短かったのですが、大変印象的でよかったです。…いいキャラクターなので、ただの宝の運びやさんになっているのがもったいなかったです。それにしても最近ちょっと杉野さんは物足りないなあと思っていましたが、インジャンジョーは大変よかったです(遅沢さんとの違いも、ティボルの時と同じように若さが「個性」と感じられてとてもよかった)。ブログの文章読んでる限りだと朗らかな感じのする方なんですが、こういう泥臭い役の方が似合うのかもしれません。とりあえずビルバントが楽しみです。
女性のソリストについてはソワレの方が好きでした。メアリーはやはりとても好き。本を片手に踊るという難しいことをしているのに、その仕草が彼女の魅力を引き出しているかのように見える。大人びた雰囲気は持っているもののあくまで「大人びた子供」という雰囲気がとても好きですし、踊り自体もとても堅実。芯がしっかりしているのにふわりと軽やかなところがあり、とても好みでした。 ウィリについてはなんでいるんだとかいろいろつっこんでますが、女王はマチネソワレともによかったです。河合さんははかなげな雰囲気がとても魅力的。上から見たときは足の存在感を感じませんでしたが、下から見てもその足の細やかな動きはやはり浮き世離れしてます。吉田さんは登場したときはそれほどのものを感じませんでしたが、長い手足が優美で大変印象的でした。 コールドについては本公演に比べるとやはりいろいろあらがあるのですが、ラストのアームスがびっくりするほどそろっていたのですべて帳消しになりました。 コウモリについては若干難しいのかそれほどの印象はありませんでした。物語をバレエにするというこの作品の中でコウモリが一番好きだったのでちょっと残念です。強いていうなら、女王はソワレの和佐さんが好きです。 3公演連続のリゼットは大変かわいらしかったです。お人形さんのようにキュートで、ちょっと大人びていて、でもどこか幸薄そうなところがあって、同じ年頃の男の子はもちろん、女の子にも愛されるのがわかる雰囲気。ポアントの使い方も大変軽やかでしたし、とにかくなにもかもがキュートでした。いじめられていたのはお芝居だったけれど、ハックが助けてくれたことは本当にうれしかったんじゃないかなあと、ちょっと余韻の残る役でした。
インディアンのボスは宮尾さん。踊りがもう本当にアリ以外の何者でもなく、熊川さん以外が踊るとちょっと見劣りするのはわかりつつも、堂々とした存在感がすばらしかった。いろいろつっこみどころがあるのに、それをさせない自信に満ちた姿でした。トム・ソーヤの冒険にこうしてパターン化されたようなインディアンが出てくるのはいいのか悪いのかと思うところはありましたが、なんというかそういうところも含めて古典バレエのようだと思いました。異国の文化を「エキゾチック」でまとめているような、そんな感覚がありました。 ダンサーについては男性がほとんど団員だというのはわかっていましたが、衣装があれでそれすぎたので、女性の踊りばかり見ていました。シンプルな動きだと思うのですが、大変かわいらしかったです。黒豚さんも大変かわいかったのですがきっとこの役兼城さんの役だと勝手に思ってしまい(以下略)。
ユースのメンバーでは地味にポリーおばさんが好き。美女無駄遣いと言い続けてますが、ちょっとしたステップを踏むときのキュートさ、仕草の上品さはさすが蘭さん。決して華やかではないのにふと目がいく雰囲気がありました。栗山さんの市長はただのイケメン無駄遣いでした…。 西口さんの保安官、3公演連続お疲れさまでした。大塚さんの容態が気がかりです…。明るく軽やかな踊りが魅力的。悪ガキ3人が後ろで踊っているときなんかも彼の長い手足がすごく栄えて見応えがありました。 デビット一座、踊りはこの間のイベントの時よりいいなあと思ったのですが、振り返ってみるとリゼットのかわいさばかりが記憶に残っています。 伊坂さんの先生はとても楽しかったけど、あと2公演くらいあった方がバランスがよかったかなあとちょっと思ってしまったのは事実。楽しかったですが(特に3回目)。
村のシーンでは大人たちも子供たちもほぼ舞台にいるのですが、さすが大人たちは若手とはいえ本公演に出ている方々、大変楽しいです。というか福田さんのベッキーパパが楽しくて楽しくて、ほかが見られないから頼むからじっとしててくれと思うほどに楽しかったです。市長さんのいすに間違えて座って大慌てだったり、ベッキーが帰ってきたときママの方に行かれてがっかりしたり、マフ・ポッター相手に娘自慢しつつも汚い手で触られて不満そうだったり、ああ、楽しい…。朗らかな表情がお転婆娘ベッキーの父親にぴったりで、見ているだけでこちらまで朗らかな気分になりました。石橋さんもとても魅力的でした。程良く品の良さがあり、福田さんとはまた違った魅力がありました。 ところで石橋さんは一番最初に殺されているのですが、教えていただくまで気づきませんでした。気づかなかったのですが、ちゃんと見てみるとくたびれた歩き方からして石橋さん以外あり得ませんでした。
いろいろ書きましたが、一番よかったのはオーケストラかもしれません。というか、井田さん指揮のオーケストラというだけで、私にとって足を運ぶ価値がありました。この方の指揮で見るバレエが本当に好きなんです。そんなわけで、普段の全幕公演とは違った音楽を聞けただけで十分満足してしまっていました。楽しかったです。
プレイベントで熊川さんがトムソーヤを選んだ理由として「自分が好きだから」というようなことを言っていましたが、そういう理由、とても好きです。好きな作品で作られた、若手のための物語。いろいろ問題点があるのはわかるのですが、「よい試みだった」という堅苦しい言葉でまとめたくはないくらい、好きな作品になりました。 感想を一言でまとめるなら「楽しかった」それだけです。
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(2015/04/06(Mon) 23:02:39)
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