観劇+αの日々
Kバレエ TripleBill(2016/07/17)
「ラプソディ」
荒井祐子/伊坂文月

「シンプル・シンフォニー」
中村祥子
小林美奈
井上とも美
遅沢佑介
宮尾俊太郎
栗山廉

「アルルの女」より
熊川哲也/浅川紫織

オーチャードホール
★★★★

 まさかやるとは思わなかった夏公演、行ってまいりました。チケット発売から公演当日までなんかいろいろありすぎて素直な気持ちで見てきたわけではないのが残念です。

 ひとつ驚いたのがシンプルシンフォニー。省エネ版(遠回しな言い方)ラプソディーという印象しかなく、正直見たくなかった。幕が開いた瞬間もああ、ラプソディーだなという感じだったのに、これが面白かった。もっと散漫な、よくわからない作品だったと思ったのに、ちゃんとまとまってる。中心に祥子さんがいて、その隣に遅沢さんがいて、中心にすっと芯が通っていて安定している感じ。3組の踊りという記憶だったのですが、1組と2組という形できれいに分かれ、それで形になっている。なにかドラマがあったわけではないですが、祥子さんのちょっとした手足首のニュアンスが大変魅力的だし、遅沢さんの技術も安定している。井上さんと宮尾さんのペアは温かみがあって、こちらもまとまっている。驚いたことに栗山さんの踊りももちろん未熟なところは目につきつつも、美奈さんの安定した技術の踊りに似合っていた。ちょうどいい組み合わせだとちゃんとした作品としてまとまるんだと思えたのは意外でした。…まあ、直前にラプソディーを見ちゃってるんで、やっぱり似てるなと思ったとかありますけどね…。意外と楽しめました。

 アルルの女は、ああ、これがやりたかったのかとようやく腑に落ちた感じがしました。不勉強なのでこの作品はこれが初見で予習はしていません。去年の青島さんのコンサートで少しだけ見ただけ。その時は彼の踊るホセが見たと思ったのですが、直後にカルメンを見たときはその時ほどのインパクトを感じなかった。ようやくやりたいことをそのままやってるところを見て満足しました。目の前にあるなにかに焦がれるのではなく、手を伸ばしても届かないものに焦がれる焦燥感。誰とも視線を共有せず、ただ一人遠くの世界を見つめ、それに焦がれ手を伸ばし、手に入らないことを知っていても手を伸ばし続けることをやめられない。ほぼ1年前に同じ場所で見て、あれは振りの確認でしかなかったものをちゃんと作品として見ることができて満足です。
 あ、浅川さんは大変かわいかったです。

 そして大変困ったラプソディー。とても好きな作品なのに、いまいち心が踊らなかったのが残念です。そもそも井澤さんの降板が納得いかないし、だったら最初から伊坂さんにしてほしかった。伊坂さんのソロに不満があるというより、もう少し躍り込んだら違ったのではないかと感じられてしまって、なんというか、もったいなかった。モラレスを思わせる彼のユニークさとか楽しかったのですが、どうしてもそれなら最初からそうと言ってくれと思ってしまいます。怪我というわけでもなく、芸術的理由なら最初から予想ができたでしょうに…。井澤さんは後ろの方で踊ってらっしゃいましたが相変わらずキレのある踊り、美しいつま先で、やはりセンターで見てみたかったと思ってしまいます。
 …という感じで好きな演目、大変久しぶりの荒井さんを楽しめなくて残念でした。
 荒井さんは派手さはなくともやはり安定していて素晴らしい。この作品の女性ソロは月のようだと以前思ったのですが、今回も思いました。強烈な勢いがあるわけじゃないけど、間違いなくそこに存在している、大きな存在感がある、包み込むような温かさがある。そんな踊りでした。やはり荒井さんの踊りはもっと見たいです。辻さんの雰囲気がよかったとか新居田さんはやはり楚々とした踊りが好みだとか堀内さん相変わらずしっかりした踊りで早く昇格してくださいとか色々ありましたが、なんだか集中できなくて残念でした。

 さて、秋公演は結局「やる」こと以外発表されず。オーチャードホールの公演予定を眺めながら、いつやってくれるのかとそわそわしています。来シーズンのメンバーも気になりますし、いろいろ気になることがありますが、とりあえずは待つしかありません。
ゆず
2016/07/17(Sun) 22:38:05

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