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Kバレエ くるみ割り人形(2014/12/22) ソワレ
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マリー姫:神戸里奈 くるみ割り人形/王子:井澤諒 ドロッセルマイヤー:スチュアート・キャシディ クララ:荒蒔礼子 雪の女王:中村春奈 雪の王:池本祥真 ★★★★☆
井澤さんの主演&王子デビューの公演。昨年のシンデレラが玉突き事故(としか言いようが…)で流れてしまったため、本当に待ちに待ったというべき公演でした。とてもよかった…というか、ようやく、ここまできてようやく見られた、Kバレエらしい楽しい公演でした。劇場を出た時のふわふわした感覚、幸福感、これがあってこそ「くるみ」です。
今回のくるみ、友人が見に行きたいと言ったのでキャストを上から下までじっと眺めていた時期がありました。この公演、とても魅力的でした。井澤さんの王子が不安ではありますが、それ以外に不安要素はなし。神戸さんは最近本当に光り輝いてますし、キャシディさんは鉄壁。荒蒔さんは3年目ですから大きく外すことはないでしょうし、中村池本コンビの雪の国はそれだけでも見る価値があるというもの。ただ、年末の平日の昼間という、誰が見に行けるんだという極悪日程だったためにお勧めできなかったんですけどねえ…(私は一年に一度の閑散期のため、有給たたきつけ)。これを見てほしかったなあとちょっと途方にくれたりもしました。
なにがよかったって、神戸さんのマリー姫が本当に良かった!ニキヤはまあ普通でしたが、ジュリエット、カルメンと、今年の彼女は輝きが違いました。贅沢をいえばもうちょっとドラマが欲しかったなあと思いましたが、「くるみ割り人形」に「ロミオとジュリエット」「カルメン」並みのドラマを求めるのが無茶というものです。もちろん、今の彼女ならもうちょっと掘り下げられる気がするのですが…。そう期待してしまうほど、特別な輝きを持ったマリー姫でした。ソロが幸せにあふれているのは当たり前。1幕で登場したときの幻のような存在感、クララの冒険物語の始まりにふさわしい雰囲気がありました。呪いがとけた後の喜びもきらめくようだったし、クララにやさしく語りかけているのがまた印象的でした。細かいところですが、最後のクララとのお別れのシーンで、ちゃんと別れを悲しんでいてくれたのがうれしかったです。その別れ方に、「助けてくれてありがとう、会えてよかった」という気持ちもこもっていて、クララと同じように彼女と別れるのがさみしかったです。 井澤さんの王子、多分今まで見た井澤さんで一番よかったです。踊り自身は本当に良かった!マチネに池本さんの鉄壁ともいえる踊りを見ているのに、見劣りがしないほど。柔軟性と足の力は池本さんのほうが上かもしれませんが、回転は井澤さんのほうが軸がきれいなんじゃないかと思うほど。ほっそりとした足に白いタイツがよく似合っていますし、足のラインが本当にきれい。全体的に少年のような細い体型なのにリフトで不安に感じるところもない。若干サポートで細かい取りこぼしがあった気がしましたが、昨日の遅沢さんの失敗に比べたらかわいいもの。今まではらはらしていたのが申し訳ないくらい、素敵な王子でした。物語としてもクララが思わず助けたくなるような哀れさあり、夢の中の王子のような美しさあり、クララへのあたたかな心遣いあり。「指揮官」というと首をかしげますが、王家に仕え、姫と結ばれる…という物語がしっくりくる王子でした。 パートナーシップ…というところまではあと一息でしたが、なんとなくお互いの雰囲気が合っていたのがうれしかったです。予想通り、あたたかな雰囲気のお二人。派手に技術を誇示するタイプではなく、丁寧な踊りと丁寧な物語。ゆっくりゆっくりその世界に浸っていくような心地よさでした。クララと同じ目線で幸せな気持ちでふたりのことを見ていました。だから最後、手を振り遠くに消えていく姿を、別れたくないと思いながらずっと見ていました。とても楽しかったです。
細かいキャストはマチネと似ていました。マチネと同じ方々も調子を上げていて、そういう意味でもいい公演でした。 最近若手男性の顔が見分けられるようになってしまったために楽しくて仕方ないパーティーの招待客紳士たち。福田さん、篠宮さん、杉野さん、石橋さんがずらっと並んで踊る姿は目の保養以外のなんでもありませんでした(後ろに栗山さん。あと一人は西口さん?)。こういう端役ばっかり見てるのもなあと思いつつ、やはりどんな役でも舞台の上にいると好調不調が分かるなあと思ってしまい、結局目が離せなくなってます…。…初日の杉野さんが微妙に話の輪に入れず寂しそうにぽつんとしていたのが忘れられない…(今回はとても楽しそうで良かった)。クリスマスプレゼントのシーンや人形劇のシーン、いろんな人が楽しそうに会話していて、そのにぎやかさがとても好きです。どこまでアドリブでどこまで決めているのかと思ってみていましたが、酔っ払い石橋紳士は今回は「飲めないけどすすめられて飲んだらべろんべろん」という演技でした。しっかり者の山田夫人との相性も相変わらず素晴らしく、大変目の保養でした。フリッツと長島少年の小芝居もちょっと違ってました。クララからくるみ割り人形を取り上げる時の二人のやり取りが明らかに違って面白かったです。 矢野さんのフリッツですが、いきなり出てきたのに大変楽しいです。本当に楽しそうに踊ってるし、踊りの中でクララにお辞儀するあたりのかわいらしい紳士ぶりも素敵。いたずらっ子で長島少年と色々やってるのも楽しく、ドロッセルマイヤーにネズミを捕られてしょんぼり→返してもらって大はしゃぎの流れもとてもかわいらしい。調べてみたら今年入団…というか今年スクールを卒業したみたいです、パフォーマンスのプログラムにいました。いきなり出てきたのに驚きの安定感で驚きました。ちょっと先が楽しみな方です。ちなみに少年の中では和田少年も気になりました。いたずらっ子で生き生き踊ってるのがかわいいし、帰り際に大人しく母親にコートを着せられて帽子をかぶせられてるのがまたかわいい。女性は安定の山田夫人と湊少女以外にようやく西成夫人が見分けられました。なんとなくアラビアも踊れそうな雰囲気の方でした(花のワルツコールドにもいらっしゃいますが)。 ねずみの王様吉田さんは栗山さんに比べると残念ながらちょっと普通。品格のある栗山さんと違ってなんとなくねずみの粗暴さを表そうとしてる気がするのですが、ちょっとまだ迫力不足かなあ。登場シーンは自分の目でなく被り物のほうの目で見ている感じがしてそこは好きなのですが。ネズミ二匹はなんとなく小生意気な方とそれ以外という見分け方をしています。チーズ弾、今日は完璧でした。なにより井澤王子が「クララをかばわねば!」と焦って動いたせいで被弾したのがよくわかりましたし、そのあときれいにチーズがネズミ陣営に転がって行った。チーズ、なかなか回収が難しいのでこれは良かったと思っていたら、なんとはしゃぎすぎたネズミがチーズをいつの間にか階段セットの下に落としてしまい、ネズミ退場の際に舞台上に置き忘れ!そのあと無事に回収できましたが、周りが常連さんばかりだったので回収が終わるまでみんなそわそわしてました(苦笑)。 中村池本雪の王国ペアは本当に素晴らしいです。さすがにお二人ともお疲れなのか若干取りこぼしはありましたが…。空中でさらに飛び上がるような動きに、あれだけテンポが速いのにふりを追うだけでなくちゃんとニュアンスまで拾う池本さんの踊りの素晴らしさ。舞台中央での跳躍は高さもありながら貫録もあり、何度見ても見惚れます。女性の踊りはどうしても男性よりも地味になりますが、間違いなく堅実にうまい春奈さんの踊り。足さばきの細やかさも素晴らしいですが、ラストの手の位置を変えたフェッテが美しく決まっていました。堂々とした踊り、今日も素晴らしかったです。
人形はちょっと変更あり。 花のワルツの中村篠宮ペアが鉄壁過ぎました。本当に華やかで品のある雰囲気。篠宮さんはあの難度の高い振付を踊りながらもとてもさわやかで驚かされます。春奈さんはいつも通り、雰囲気ぴったりの踊り。益子さん、マチネはどうなるかと思いましたが、ソワレのほうが雰囲気が落ち着いた気がしました。こちらのほうが好きです。 スペインはキャストは同じなのに雰囲気が一変しました。ようやく4人がちゃんと踊ってるように見えました!女性の華やかさ、明るくきりっとした男性の踊り。メリハリがすごくそろっていて、見ていて気持ちよかったです。余談ですが、このメンバーだと男性の背の高い方は栗山さん…と思いましたが、西口さんも背が高く、背の高さでは全く見分けがつきませんでした。 ロシアは坂元さんが絶好調!息をのむ高さを飛んでいました。それに矢野さんがつられてしまったのか、彼のほうは終盤ちょっと失速。ただ、失敗はしつつも最後は笑顔でまとめてくれたのでなんとなく「凄いもの見た」気分は壊れませんでした。(矢野さんのこういうところがすごいと思う)。 書く場所のない長島さん。パーティーの少年は兼城さんの代役だと勝手に思ってます…(去年兼城さんがそこにいたのを覚えてる)。兵隊のほうは彼の本来の役だと思います。舞台の中で何度か兵隊が目立つところ、2幕が分かりやすいですがネズミ軍団の襲来を伝えたり、花のワルツを仕切ってたりするのは基本的に彼だと分かりました。なんのことはないのですがなんとなく目を引きます。少年もなんだかんだ言っていつも面白いことしてますし。湊フランス人形との踊りも大変かわいらしく、実はいなくてはならない存在だと気付きました。
ドロッセルマイヤーとクララも今日が一番よかったと思います。キャシディさんについてはほんのちょっとの雰囲気の違いかと思います。荒蒔さんは調子を上げていると思います。踊りがどんどん軽やかになるし、感情も豊かになる。人形劇やくるみ割り人形がねずみの王様にやられたとき、心の底から心配する姿を見ていると、ドロッセルマイヤーに選ばれるにふさわしい少女だと思えます。
とってもいい公演でした。そう、Kバレエのくるみは、こうあってほしいのです。ようやく見たいものが見られた公演でした。
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(2014/12/23(Tue) 01:47:46)
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Kバレエくるみ割り人形 マチネ
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★★★★ 色々キャストが動いた公演でした。基本的には楽しかったです、一点除いて。
まず何年かぶりの新フリッツ!矢野さんって誰かなあと思ったら、初日から気になっていた黄土色の上着を着ていた少年でした。細かい動きにあらはありますが、くるくる表情が変わるのが愛らしく、落ち着きがなく動くところが本当に「少年」。目を輝かせていたずらしたり、飛び回ってはね回ったり、怒られてしょげたり。それらすべてが本当にかわいい!荒薪さんのクララとの雰囲気も合っていて、お互い並んでいる姿を見るとなんとなくそれだけであったかい気分になりました。昨日に引き続きの石橋山田夫妻も大変目の保養でした。フリッツを見ようと思いつつも脇でなんか楽しいことをやってるので目が行ってしまいます。夫がベロベロになっていて困り果ててる山田夫人と、そんな妻の思いなど知る由もなく「大丈夫大丈夫」と繰り返し、踊りの最中にキスを投げる石橋紳士が大変楽しかったです。本当に目が足りませんでした。 全公演いくかと思ったネズミの王様は吉田さん。悪くはないのですが、ちょっとインパクトに欠けました。それよりも一匹やったら小生意気なネズミがいたんですが・・・(益子さんかしら?本当に小生意気なの)。 雪の王国はとてもよかったです。ファーストアーティスト軍団、やはり福田さんが頭一個抜けてます。池本さんのパーフェクトな雪の王はまるで空中で静止しているようと例えるなら、福田さんは空中を泳いでるみたいと例えられるくらい堂々とした雪の王でした。本当に伸びやかで見ていて気持ちいい!浅野さんもマリー姫はさんざんなことを言いましたが、優しさは感じるものの凛とした美しい女王でした。回転に不安は残るものの、基本的に踊りも満足しました。粉雪部隊、並ぶとわかる、春奈さんの絶好調ぶり。ひとつひとつの動きが正確で、ニュアンス豊かで、思わず目がいきました。
人形たちもずいぶん変わりました。篠宮さんの花のワルツは鉄壁。何年もやってますと言ってるような堂々とした踊りです。華やかで優しく、それなのに足裁きが本当に細やかで正確。浅野さんも華やかであたたかくって、ふたりともまさに「花のワルツ」という雰囲気でした。益子さんは若干動きが遅いのか、ちょっと重く感じました。井上さんがきりっとし過ぎていてあまり華やかでなかったのに加え、サポートがいまいちで踊りにくそうで、隣にパーフェクトなペアがいるのになんとなく残念な組み合わせでした。 アラビアは安心してみていられます。つんとすました猫のような気高い雰囲気の蘭さんがとても魅力的。なんとなくニコライさんしか見えていない雰囲気もあり、そばにたたずむニコライさんの存在感、追いすがるような杉野さんという組み合わせでした。杉野さん、初日は本当に調子悪かったんだなあと思わせる、いつもの杉野さんでした。動きが大きくなくても、勢いがあるのが感じられるんです。 スペインは前3公演と違っていきなり男性がいなくなり、女性の踊りになった印象。メリハリが利いた女性ふたりの華やかな踊りの後ろでたっぱのある男どもがばたばたしてる踊りになってました。ネズミのすばらしかった栗山さん、ここではいまいちでした。 中国は酒匂さんが相変わらず絶好調だったのに、河合さんはいまいちというか、メイクのせいかとても悲しそうに見えて、その時点で楽しくありませんでした。湊さんのぱっと光がともったような明るさが恋しい・・・。決して下手ではないというか、しっかり踊れていたと思うので、笑っていてほしかったです。 ロシアは順当に楽しかったです。坂元さんが余裕しゃくしゃくで踊ってるので矢野さんのいっぱいいっぱいぷりを感じてしまいましたが、最後までとてもいい笑顔だったので気持ちよかったです。 フランス人形はやはり湊さんがかわいい!ばたばたした振り付けなのに、全体がふんわり柔らかく感じられるのがさすが。梶川さんもかわいかったのですが、ちょっとやせすぎのように感じられてむしろ心配でした。兵隊さんたちは隊長長島さん以外は若手っぽかったですが、きれいにまとまっていたと思います。でも自然に湊さんと長島さんに目がいってしまいました。 キャシディさんは相変わらずすてきなドロッセルマイヤー。ちょっと踊りに疲れが見えるかと思っても、サポートの時に的確なところにいる。荒薪さんのクララもとてもかわいい。2幕で呪いにかかった人形たちを心配するのがとても自然な、優しいクララです。踊りも堂々としてきました。
池本さんは昨年も見てますがほんっとうに素晴らしいです!踊りも王子としてのたたずまいもパーフェクト。ちょっと回転が弱いかなと思うところもありますが、本当に難点といったらそれくらい。登場したときのきびきびしてるけど品のある動きがまずよかった。ネズミの王様にやられそうなときは思わず助けたくなる哀れさもある。王子に戻ったときは本当に絵の中から抜け出てきたような王子ぶりで、魔法がとけ、本来の美しい姿を取り戻した喜びを感じる彼の姿を、まるで夢を見ているような気分で見ていました。喜びながらも「マリー姫を助けてほしい」とクララに伝える悲しさも伝わってきました。 2幕も素晴らしかった。マリー姫が元に戻った喜び。そしてそうやって喜び一色で踊っていても、姫の隣にたたずむ王子としての品格を備えながらも、あくまで「騎士」のように姫の後ろにひかえている。すごく存在感があるのに出すぎないところがまた素敵です。グランパドドゥは、言葉もありません。銀と言える王子の白い衣装がとてもよく似合う品のいい雰囲気。踊りはひとつひとつ的確で、美しく伸びたアラベスクに、後ろ足の方があがって見えるグランジュッテ、すべてのポジションが正確で・・・でもどんなに素晴らしい踊りをしても「どやっ」と前に出すぎることなく、いつでも品よくほほえんでる。自分の踊りだけでなくサポートも的確です。ほっそりしてるのに見ていて頼もしくさえ思えるんです。そしてサポートしてるときのまなざしもとても優しい。マリー姫だけでなくクララに対しても気配りを忘れない、うっとりあこがれることのできる王子でした。本当にいつまでも見ていたい王子でしたし、作品を引っ張っていたと思います。うまい、見た目が美しいというのもあるのですが、本当に存在そのものがすがすがしく、立っている姿を見ているだけで気持ちが洗われるような美しい王子です。このバレエ団の若手の中ではやっぱり頭一個抜けてると感じさせられました。 そんなわけで、基本的に楽しい公演でした。
マリー姫については触れなかった時点で察してください・・・。もう、品のある日本語で語れる自信がない・・・。全体的に雰囲気の良かった公演を、マリー姫一人がぶちこわした公演でした。後味悪いなあ・・・。
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(2014/12/22(Mon) 15:57:31)
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Kバレエ くるみ割り人形(2014/12/21)
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マリー姫:浅川紫織 くるみ割り人形/王子:遅沢佑介 ドロッセルマイヤー:ニコライ・ヴィユウジャーニン クララ:河合有里子 雪の女王:佐藤圭 雪の王:杉野慧 ★★★★
正直なことをいってしまうと予想外のバランスでした。昨日ほどではありませんが若干ミスが目に付きました。なにより浅川遅沢ペアが喧嘩でもしたんじゃないかと疑うような微妙なバランスの悪さで、もちろん踊り自体は悪くないのですがこの二人だったらもうちょっと「ふたりならでは」のなにかが引き出せるんじゃないかと思ってしまいました。逆に不安しかなかった雪の王国のふたりはしっかりと踊りきりました。クララもちょっと内気ながらもかわいい少女でしたし、ドロッセルマイヤーもキャシディさんほどでないにしろ品のある麗しい紳士。浅川さん遅沢さんの公演になるかと思ったら全体的にバランスのよい不思議な公演でした。・・・結果的にうまくまとまってたけど、ふたりのファンとしてはちょっと不満が残る・・・。
というわけで、目的と違うところが楽しかったので、ちょっと戸惑っています。好きなバレエ団のくるみ、楽しくないわけはないというわけで楽しかったことは楽しかったので、それはそれで戸惑っている部分もあります。端っこの方から話してしまうと、1幕も2幕も楽しかった福田さんと石橋さん!開幕前から期待していた石橋山田夫妻にまずうっとりでした。ニコライさんのとき以上に蘭さんのしっかりした美しい夫人っぷりが際だちます。なんの話をしているんだという方向けに説明しますと、ちょうど今回石橋さんが演じた枠が赤い上着を着た酔っぱらい紳士枠。序盤から明らかに飲み過ぎておりました。調子に乗って飲み過ぎ、福田紳士にたしなめられたりするあたりの口論とか、夫がべろんべろんになっていることに気づいた蘭さん淑女が「もう本当にすみません、この人ったら・・・」と困り果てて頭を下げているあたりとか、大変に楽しかったです。・・・いや、中心見るべきなんでしょうが、子供たち見ていると兼城さんがいないことを思い出して寂しいんですよ・・・(あ、黄土色した上着を着た男の子(湊さん少女とペアになってた)は結構明るくって好きです)。そんなわけでついうっかりストーリーそっちのけで後ろの方見てしまった、楽しかったです。 ずーーーーーーーっと心配していた佐藤杉野ペアの雪の王国ですが、予想よりずっとよかったです。久しぶりの舞台で圭さんの方が途中で息切れ起こしてたとか、杉野さんがソロ踊りきった後どや顔になってたとか、サポートとかパートナーシップとかは宇宙の彼方に存在するとか、まあ、それはさておき。ちょっと濃い感じはしましたが、不思議と違和感のない雪の王国でした。途中で息切れしたとは言え、序盤の圭さんの足裁きの正確さと冷たく気高い存在感は見事。見ほれました。杉野さんはグダグダになるかと思いきや、きっちり見せてくれました。技術的にはつま先とかそのほかあれやこれや言いたいことはありましたが、迫力がありました。ああ、彼のはったりは本物だったと一安心しました(昨日は本当にそれもグダグダだったんで・・・)。杉野さんはこういうのも踊れるのかとちょっと驚いたというか、安心しました。雪の王がクララを見送るとき、優しい雰囲気でドロッセルマイヤー入ってたあたりはご愛敬。雰囲気も結構あっているふたりでしたので、できればこの後も見てみたいふたりです。圭さんの踊りはきりっとしていて好きなんで、もっと踊る機会が増えるとうれしいです(とずっと言ってる気がする)。 人形たちは少し変化がありました。伊坂さんの花のワルツは技術的に驚くことはなくともやはり踊りもサポートもきれいにまとまってますし、雰囲気も優しくって見ていると安心します。井澤さんもサポートはそこまででもないですが、昨日よりソロは目を引きました。 アラビアは鉄壁の井上さんと福田&石橋。大変目の保養で楽しかったです。福田さんの変化自在ぶりには驚かされます。若干リフト頑張れとは思いましたが、ちゃんと「アラビア」でした。井上さんに仕える福田さん、どこか焦がれる感じの石橋さん。おもしろかったです。 スペインの新規入団の山本さん。以外と背が高くて驚きました。はつらつとした雰囲気でなかなか魅力的。ペアの女性も明るく闊達でめりはりのある動きが魅力的でした。 篠宮さんもぐんぐん役幅を広げてますね、やっぱりすごい。細やかな動きに堂々とした存在感でした。湊さんのかわいさについてはもう言葉もありません、かわいい。 酒匂さんも絶好調。和田さんとのバランスもいいです。 人形たちは昨日より今日の方がバランスがいいように思いました(アラビアの男性はやっぱりニコライさんがいたほうが安定するけど)。 どうにもこうにも書き忘れてるのですが、栗山さんのねずみの王様、好きです。着ぐるみのネズミ感と彼自身の持っている風格がうまくマッチしてると思います。毎日見ているのが楽しいです。
というわけでこれでこのまま鉄壁のグランパドドゥに入るかと思ったらそうでもなかったのが微妙なところです・・・。もちろん、悪くはないです。サポートやリフトに若干の乱れはあったものの、ソロは自信に満ちてるし若干難しいことやってるし、やはりさすがの一言。でも、やっぱりこのふたりだから、それ以上のなにかを求めてしまうし、今年一年あれだけのものを見せてくれたんだからやっぱりさらに上を求めてしまうのが事実。多摩のゲストで出演した公演を思い出しても、遅沢さんは物語があるせいかまだよかったのですが、浅川さんはあのときの方がきらきらしていた気がします・・・。細かいところはやっぱり好きです。くるみ割り王子の、「王子」でなくやはり将校であり騎士である、姫の一歩後ろにひかえ王に仕える雰囲気、マリー姫の呪いがとける前の不安ととけた後の喜び。マリー姫のクララへの感謝、くるみ割り王子への温かいまなざし。悪くはなかったし、ちょっとしたジュッテでも足や手の高さがそろっててきれいだったのは事実。それ以上なにを求めるんだとも思いつつ、やはりもっともっと、「ふたりにしかないなにか」を求めてしまいます。次のシンデレラではないわけですし・・・。 楽しかったんだけどなんかもやもやの残る、不思議な公演でした
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(2014/12/22(Mon) 01:43:03)
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Kバレエ くるみ割り人形(2014/12/20) ソワレ
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マリー姫:浅野真由香 くるみ割り人形/王子:伊坂文月 ドロッセルマイヤー:杉野慧 クララ:河合有里子 雪の女王:中村春奈 雪の王:池本祥真
★★★☆
ミスの目につく公演でした。例えばドロッセルマイヤーの金の杖の出現失敗(こんなミス見たことない)。例えばチーズ砲弾の空中崩壊(壊れたのではなくきれいに真っ二つになったので何が起こったか謎)。例えば中国人形女性の青い布が取れなくって1回退場(見たことないわけではないけどあまりない)。一つ一つのミスに関連性はないと思います。けれどなんと言ったらいいのかな。舞台って、なにかわからないけどすべてがうまく回って予想以上に面白くなることってあります。それの逆パターンを見ているようでした。全てがちぐはぐでかみ合ってなくって、だからミスを引き寄せた。そんな公演でした。
もともと、キャスト発表時点から不安の付きまとうキャストではありました。でも昨年の伊坂さんのくるみ割り王子は良かったし、杉野さんのドロッセルマイヤーもよかった。浅野さんはなんとなくイメージがありませんが、悪いイメージもない。うまくかみ合わばきっと面白くなる…と思ったのですが、かみ合わなかったんです。 ちょっとショックだったのが杉野さん。マチネの紳士があまり楽しそうでなくって、アラビアに疲れが見えて不安だったのですが、その不安が的中したような感じです。はっきり彼らしくないと思ったのが2幕のクララとのパドドゥ。踊れてるのに、不安そうなんです。前方席だから見えてしまったのかもしれませんが、なんとなくおっかなびっくり踊ってるのが伝わってくる。杉野さんの、特にドロッセルマイヤーは物おじせず堂々としたところが大変魅力的で、踊りの不足なんて感じさせない勢いが魅力的で、そういう魅力が全部なくなっていた踊りでした。しかも踊れてなくって不安そうなのではなく、2年目の役で、ちゃんと踊れているのに不安そうという、一番まずい状況でした。また、クララも「悲しい」「不安」は表現できているのですが、「楽しい」が全く伝わってきませんでした。メイクも悪かったのかもしれません。不安そうなクララとドロッセルマイヤーのパドドゥは本来のものと全く異なり、好きなシーンなのにさっぱり心が躍りませんでした。…ふたりともちゃんと踊れていたのですが…。 困ったのが浅野さんのマリー姫。まるで「金平糖」のようでした。マリー姫の、呪いにかけられて助けを求める姿や、呪いが解け、愛する人と結ばれる喜び、そういうのを感じず、ただ微笑みの美しい女性でした。でも、この「くるみ割り人形」にはちゃんと物語がなくては成り立ちません。そして浅野さん自身、「金平糖」のヴァリエーションを美しく踊るだけで見惚れるというほどにはうまくないということも、分かってしまいました。まるで発表会のように自分に課せられた踊りを全うする…Kバレエでこういう踊りを見るのはすごく久しぶりだと思います。 伊坂さんのくるみ割り王子はちゃんとくるみ割り王子でした。兵隊たちを指揮する指揮官であり、呪いにかけられた青年。本来の姿を失っていることに苦しみ、愛する女性の苦しみを嘆き助けを求め、呪いが解けたことを全身で喜ぶ。踊りもしっかりしているし、サポートも丁寧。でも、バレエって一人で頑張ってもどうにもならないし、彼自身、そうやって一人で中心に出ていくタイプでもないし、そこまで圧倒的な実力があるわけでもない。丁寧に役作りをして物語を作るタイプの方だと思うので、彼のいいところは失ってないのはわかるけど、それが生かされてない公演でした。本当に良かったんです。くるみ割り人形と王子の踊りわけもはっきりしていたし、王子に戻った時なんとなくはっと見惚れる品の良さがある。サポートは出すぎることなく引きすぎることもなく、ちゃんと支えてる。ソロは派手ではありませんが、踊る喜びが生きている喜びと言わんばかりの華やかさがある。クララとの別れも暖かさと別れに対するもの悲しさがあり…本当に良かったんです。でも、一人で踊ってる以上に、一人で演技してるのってさみしいですよね…そんな公演でした。
色々ぐだぐだだった中で、「パーフェクト」と言いたくなった雪の女王と王!特に池本さんの王!素晴らしいです!主役を重ねてきたせいか、風格が増してきました。威厳を備えつつも、相変わらず柔軟性の高い美しいアラベスク。空中での姿勢がいちいち美しいですし、あれだけバタバタした曲なのに音に追われている感じがせずに音の中で自由に踊ってる。春奈さんも細やかな足さばきであの難度の高い振付をこなしていました。堂々とした踊りで、本当に二人とも見ていて気持ちよかったです。 人形たちのキャストはそんなにマチネとは変わらず。席の関係でマチネはあまり見えなかった井澤さんの花のワルツはいいところもあり悪いところもあり。ソロがすっごくきれいに決まっているところがあったり、若干サポートが不安だったり…。王子の時はいいところが開花するといいなあと思っております。 公演前から絶対にあると信じ込んで楽しみにしていた石橋さんのアラビア!彼はどこか暗い影がある雰囲気があると信じているので楽しみにしていましたが、楽しかったです。井上さんとニコライさんがパートナーで、石橋さんは愛人といった感じでしょうか?二人の男を従わせる美しい女王の井上さん、隣にいるのは自分がふさわしいと信じて疑ってないニコライさんと、一歩下がってるけれど食いついている感じの石橋さんと言ったらいいのか…面白い雰囲気でした。 酒匂さんはフリッツも中国人形も絶好調だったり、蘭さんは光でも放ってるんじゃないかというほど目を引いたり、福田さんのスペインがとっても楽しそうで幸せだったり、湊さんは子供も粉雪も可愛かったり、荒蒔さんの子供が可愛かったり、篠宮さんの花のワルツが鉄壁だったり、加瀬さんのフランスがちょっといい感じだったり、和田さんは子供もロシアもなかなか良かったり、坂本さんは意外と大きいけどロシアでは派手に飛んでいるなあと思ったり。いろいろ言いましたが、結局は好きなバレエ団の「くるみ」です。楽しかったです。
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(2014/12/21(Sun) 02:17:20)
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くるみ割り人形(Kバレエ)
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★★★★ 兼城さんどこーーーー!!??
兼城さんがいない舞台の寂しさに私がいつまで耐えられるか、いつになったら慣れるか微妙なところではありますが・・・。 気を取り直して。舞台はとても楽しかったです。バランスのよい舞台。初めて見る白石&宮尾ペアはなかなかいい雰囲気ですし、荒薪は&キャシデイ鉄壁。雪の王国もがんばったし、人形たちも楽しかった。特別秀でたものがあるわけではないけど破綻もない、バランスのいい公演でした。
なによりうれしかったのが、白石&宮尾ペアの雰囲気が良かったこと。白石さんはやはり「姫」というには若干色気があるのですが、宮尾さんのふんわり柔らかいオーラがあるとその色気が柔らかく優しくなる感じ。宮尾さんは相変わらずソロに若干の不安が残るのですが、リフトについては不安なし。堂々とした雰囲気があり、また白石さんがためらうことなく飛び込むので安心してみることができました。白石さんのマリー姫は表情豊かだし、登場時間が短くてもちゃんと印象に残る存在感。悲しみも喜びも、ちゃんと伝わってくる。ちょっと色っぽいかなと思うところはありましたが、ほほえみや存在そのものがとても暖かいのでとても幸せになる。宮尾さんのくるみ割り王子は存在感と包容力が抜群。相変わらずソロでもちょこちょこミスがあるのですが、こっちの勘違いなんじゃないかと思うほど自然な笑顔と堂々とした態度(これ、見習って欲しい若手がたくさんいる・・・)。相変わらず安定した白石さんの踊りもあり、心配していたグランパドドゥもとてもきれいにまとまってました。もっと見たいと思える二人だったのでこれからも楽しみです。 キャシディさんのドロッセルマイヤーはまあ、言うまでもなく鉄壁。舞台の底を支えてくれてるし、きっちりとストーリーを語ってくれる。荒薪さんはミカエラが大変よかったので期待してましたが、とてもかわいらしいクララでした。お顔立ちは素朴(失礼)ですが、不安や喜びがしっかり伝わってくるかわいらしいクララ。ドロッセルマイヤーとのパドドゥも羽のように軽やかで、本当に魅力的でした。 去年、グダグダだったというかむしろキャスティングした方が間違ってると言いたかった雪の王。今年はちゃんと踊れてました、よかったー。こういう言い方って本来はほめてることにはならないと思いますが、あのテンポであの振り付けを思うと、そして石橋さんの階級を思うと、あれだけ踊れたらそれで十分と思います(というかいい加減振り付けどうにかして・・・)。とりあえずソロがしっかり踊れれば・・・と思っていたらなんとか踊れてましたし、サポートもそんなひどいことにはなってなかったので安心しました。 井上さんは雪の女王もアラビアも絶品!あの雪の女王の激しい振り付けも堂々とした笑顔で乗り切ってました。軸も安定しているので、不安定な石橋さんのサポートが必要なのか必要じゃないのかと思ったり思わなかったり・・・。アラビアも堂々とした女王ぶり。男二人を従え、妖艶なまなざしで愛を与えている雰囲気。ぐっと引き込まれる魅力を感じました。 花のワルツは席の関係で中村&篠宮ペアばかり見てました。篠宮さんも夏のコンサートでみたとは言え、本公演では初とは思えない安定しています。雰囲気もぴったり。そしてそれ以上に安定して華やかな中村さんの踊り!振り付けがばたばたしているのを気づかせない、柔らかで華やかな動きでした。安定感も抜群で、うっとり見ほれてました。 スペインは福田&石橋がとにかく光輝いていて、女性に目がいかなかった・・・。Kバレエはずっとつきあってじっくり見てますのでなおいっそうわかるのだとは思いますが、二人とも「伸びている」ことを感じる、光輝くような踊り。光を放っているような華やかで切れのある踊り、目が離せませんでした。・・・二人のスペインの解釈が若干違うような気がしたのはご愛敬かな。(あと女性二人に目がいかなかったこと・・・) ネズミの王様は栗山さん。たっぱがある上に頭にネズミの頭を乗っけているのでかなりの高身長。宮尾さんの王子を上回る大きさというのはそれだけで存在感があります。ネズミの格好をしているのになにやら不思議な風格があって、今まで異常に「王様」を感じさせます。ネズミで、悪役で、それなのに不思議なエレガントさを感じさせる存在感。おもしろいです。まだ頭にのっかっているネズミの頭が「帽子」に見えてしまうところがあるので、それがちゃんと「頭」に見えたらおもしろいと思います。全公演連続だと思うので、この先が楽しみです。
さて、プログラムで見るとわかっちゃうソリストの少なさ。ファーストアーティストさんたち早くあがってこないかなあと思っています。福田さん、蘭さん絶好調、石橋さん好調、荒薪さん、酒匂さん、篠宮さん、長島さんは堅実にうまい、杉野さんは若干伸び悩みかなという雰囲気。 この後どんな風に変わっていくか、楽しみです。
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(2014/12/20(Sat) 16:00:49)
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