エリザベート(2011/10/29) ★★★★★
ツアーのエリザベートの感想を簡単に。キャストはたぶんファーストキャスト。本日のキャストがモニタにしか表示されず、それが3、4分に1回くらい上から下まで見ることのできないほどの短時間しか表示されず、諦めた・・・。 すばらしい公演でした。メインキャストが若かったのでどんなもんだろうかと思ったけど、その面をマイナスにする必要が全くなかった。セットがツアー版だからウィーンで見たものよりちゃちいとかオケがやっぱりウィーンに比べたら・・・というところが難点なくらい。 なによりエリザベートがすばらしかった!この公演において全体がすばらしい中、さらにエリザベートが図抜けてすばらしいって本当に至福。特に1幕前半は間違いなく私が見た中で一番いい。とにかくかわいくてかわいくて、こんなかわいい子に魅了されない方が間違ってる。風のように自由な少女が味方のない王宮につれてこられて、それでも自分は自分でいたいという意志を貫き通す。生にしがみつき、死に憧れる。彼女のエリザベートの魅力を説明すると「エリザベート」という女性の魅力をそのまま説明するに等しいくらい、そのものでした。高音まできれいな、丸みのあるかわいらしい声が場面によっては凛としても聞こえて、とってもすてきでした。来年のライムントでも引き続き演じる予定のようです。 Der Todはロックでした。エリザベートという作品の音楽はどちらかといえばオペラよりの重厚な音楽ですが、それを彼一人でかき乱す、別世界。かなりがっちりした体格だけど精悍な感じがして違和感はなし。ツアーは始まったばかりですが、ベテランエリザベート(エリザベートとしてはベテランというだけで年齢的には若手ですが・・・)とちゃんと対等に渡り合ってました。高音で叫ぶときの音が本当にきれいで、「Wenn ich tanzen will」が最高音まで全くストレスなく聞けました(このときの勝ち誇るエリザベートを見下す感じの表情がツボ)。勢いはあったけど、熱血ともちょっと違う感じでした。強いていえば温度を感じなかったのかな、冷たいわけでもなかった。 ルケーニは若手でどうかと思いましたが、めちゃくちゃ良かった!若くってちょっとかわいいんですが、ぎらぎらした勢いがあるし、歌い方も演じ方も結構自由。ちょっと鼻につく感じとかこざかしい感じとか、いかにもルケーニ。話がテンポ良く進んでいく感じがいいな。 フランツは案の定、年とってからがさらに格別良かった(笑)。今まで見たフランツと何となく違うけど、でも台本で読んだフランツそのまま。皇帝らしさはあと一息かな。エリザベートを「Mein Angel」と言っても違和感がないのはさすが。癖のある高音を堪能できる作品ではないけど、「悪夢」のDer Todとの叫び合いは目と耳の保養でした。 ルドルフはJesperそっくりでびっくりした。でも儚い系でなく病んでる系。ワイルドホーンのルドルフを王子様タイプの人がやったらこうなるだろうと思える雰囲気。いいから薬やめろと思った。何かにすがらないと生きていけない弱い人。 ゾフィーがとにかく良かった。年齢的にもいい感じだし、頑ななところ、フランツを前にしてちょっと態度が柔らかくなるところとかすてき。エリザベート、フランツ、ゾフィーについては、それぞれ言ってることは理解できるけど、互いの主張がぶつかり合って皆不幸になっていくあたりが見事でした。
細かいところはまたいずれ。
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