観劇+αの日々
■Kバレエ くるみ割り人形(2015/12/18)
マリー姫:中村祥子
くるみ割り人形/王子:宮尾俊太郎
ドロッセルマイヤー:スチュアート・キャシディ
クララ:吉岡眞友子
雪の王:石橋奨也
雪の女王:小林美奈
赤坂ACTシアター
★★★☆
さて、今年もこの季節がやってまいりました。
今年のくるみ割り人形のなにがうれしいかって新しいクララを見ることができること。Kのクララは半分主役みたいなものですが、それでも若い役、たまに新しい方で見たくなります。吉岡さんはトムソーヤで見て、吉祥寺校のパフォーマンスで見て、とても魅力的な方だと思いました。どちらかというと大人びて上品な雰囲気の方なのでクララと言われてすぐにイメージはわきませんでしたが、きっと良いものになるだろうと楽しみにしていました。
実際の舞台を見てみると、本当に「クララそのもの」という言葉がしっくりくる雰囲気でした。大人びて大人しめな雰囲気ですが、それが程よく「内気な女の子」という雰囲気になっている。なによりとても真っ直ぐでのびのびと踊っているのが、見ていて心地よかったです。ただ真っ直ぐに前を向いて踊ってると感じました。それがクララという役にぴったりで、彼女を見ながら、彼女と一緒に冒険ができる、そんな楽しさがありました。真っ直ぐだから人形劇で喜んだり悲しんだりするのがとても自然に見える。真夜中にネズミたちにくるみ割り人形を取られたときの驚きとためらいが本物に見えるから、そのあとの決意が彼女にとってどれほど大きなものかわかる。くるみ割り人形が倒れた後の涙が本物に見えるから、そのあとドロッセルマイヤーとくるみ割り人形の手を取って踊る姿に、こちらの心まで踊る。このパドトロワ、若干の踊りの取りこぼしはあったのですがあまりにクララがのびのびと踊るのですべてがどうでもよくなったというか…彼女が本当にまっすぐ前を向いて踊っているのを見て、ただそれだけで幸せになるような雰囲気でした。クララについては本当に新キャストが出てこなくって、にこにこ笑えてかわいい子ならだれでもいいとか言っておりましたが(荒蒔さんや河合さんに不満があるのでなく、ただ単にもう一人くらい欲しかった)、そういうまっすぐで若々しいかわいらしさを持ちつつも、なんの物怖じもせずのびのび踊ってる姿も大変魅力的でした。もっと見ていたいと思う、大変かわいらしいクララでした。
マリー姫やくるみ割り人形、ドロッセルマイヤーとのバランスもよかったと思います。キャシディさんもなんか久しぶりに見たら年取ったなあとかちょっと踊りが重くなったかなあと思いましたが、そんなことで魅力がかすむわけではないのがドロッセルマイヤーという役です。確かに年を重ねているのはわかるけど、渋みとは違う温かさがあって、大変魅力的でした。やはりドロッセルマイヤーがクララを見守る眼差しが好きですし、パドドゥも本当にあたたかくって軽やかで、クララが安心してのびのび踊れる安定感があって本当に良かったです。ひそかに大好きな2幕冒頭のマリー姫とクララの踊りも魅力的。祥子さんの優雅な踊りと吉岡さんのかわいらしい踊りは大変バランスがよく、とてもいい意味でクララが子供っぽく見えたのがうれしかったです。吉岡さんはどちらかといえば身長が高い方だと感じたのですが、祥子さんも宮尾さんも背が高めで、それもあって彼女のクララがかわいらしく見えたんだろうなあという側面もあると思います(そして宮尾さんは相変わらずソロがどんなにあれれでもパーフェクトないい笑顔)。
人形たちの踊りを見る姿もくるくる表情が変わって愛らしく、ドロッセルマイヤーとのおしゃべりも楽しそう。ドロッセルマイヤーとのパドドゥの時は輝くような笑顔で、1幕の内気な少女とは全く異なった雰囲気を持っています(ここが最高に軽やかでかわいらしく、楽しかったです)。別れのシーンでここにとどまりたいと訴える姿、それから最後に人形を見つける終幕まで、本当に彼女と一緒に楽しく冒険をすることができました。
というわけでクララクララ言っておりますが、1幕ではクララを見つつもあちこち見ていたので目が足りなくなったのはいつものこと。シュタールバウム氏はちょっとびっくりした栗山さん(ブログの写真でうっすらそんな感じではありましたが)。品のある上品な紳士でした。風格もあり、ものすごく魅力的なお父様なのですが、若干ねずみの王様が見たいなあと思ってしまったところはあります(イケメン無駄遣いだけど、去年とても好きった)。酔っ払い紳士は堀内さん。どうしてもバレエ団って若い人が多いので全体的に若くなりがちなのですが、蘭さんともどもご夫妻でよい感じの落ち着きぶりがあって素敵でした。福田さん紳士は相変わらず楽しそうですし、そのほか紳士の篠宮さんや坂元さん、杉野さんまでなかなか目が行かないのが残念なところです。
で、一番見ていたのは兼城さんなのですが。昨年はお怪我でお休みでしたが、今年は一昨年と同じようにグレイの上着を着た少年で出ていて安心しました。酒匂さんと一緒にいい感じの悪ガキでした。踊りについては本当に軽いし柔らかいし、好みのタイプの踊りなので大変幸せに見ておりました。表情については絶好調に悪ガキな酒匂さんの隣にいると若干表情のパターンが少ないかなあと思いつつ、大変楽しそうにしてらっしゃるのでこれからの公演が大変楽しみです。
子供たちは多分、湊さん、河合さん、荒蒔さん、井平さん、飯田さんそれから兼城さん、和田さん、矢野さん、本田さん、三浦さんかなあ。確証は持てませんが、メモ書きまで。
雪の王国は予想通り美奈さんが素晴らしかった!最近雰囲気の柔らかい雪の女王が多かったのですが、吹雪の冷たさを感じる女王。冷たくすました美しさ、眼差しから指先、それから足先の鋭さ。全てが冷たく的確で、うっとりと見ていました。お相手も石橋さんでよかった。雰囲気の冷たさがぴったり合ってる気がします、二人のバランスもよかったです。…のですが、若干お疲れなのかサポートで明らかなミスを二回もしていてびっくりしました…。美奈さん大変良かったし、石橋さんもようやく踊り慣れてきたと思うのにもったいないです。
このあたりから2幕にかけて、何人かお疲れじゃないかと思える方がいらしたのが残念でしたし、これから公演が続くので心配でもあります。
2幕の人形さんたち。花のワルツは雰囲気の本当に違う二組。佐々部さんと井澤さんは踊りはしっかりしてるのになんだか不思議なふんわり感があって、ふわふわ漂う感じ。春奈さんと伊坂さんは逆にしっかり堅実、穏やかな落ち着きがありました。ところで男性二人のタイツが濃い緑になっていて気になりました。昔の黄色に寄った緑が好きなのですが。
アラビアはまさかの杉野さん一枠。体格がしっかりしてるのでリフトは安定感がある…はずなんですが、若干はらはらしたところも無きにしも非ず。福田さんはアリを超えたせいか体格がしっかりしていて少しアラビアっぽくなっていました。内に籠って焦れるような雰囲気に、予想外の迫力がありました。昨年も見ている二人(杉野さんはもっと昔から)ですが、やはりこの役は年を経たほうが重みが出てよいですね。…と少し大人びた若手男性二人を軽く笑っているような井上さんが大変妖艶で美しかったです。
スペインはキャスト表を見て予想した通りのはじけるような明るさでした。中国人形は言うことなし。湊さんはかわいいし篠宮さんは相変わらず軽やかなのにつま先きれいだし。ロシア人形、今日は酒匂さんが元気でした。
さて、フランス人形。ここまで来るまで、ずーっと気になっていた兼城さんの兵士。帽子をかぶっているので若干見づらいのですが、多分、ネズミの襲来を告げるあたりから細々仕切り役をやってらっしゃると思います。相変わらずほっそりとしてるので背が高く見えるなあと思いながら中心に立っている姿を見ていました(これ、動けないので本当に大変そうなのですが)。この位置にいるから踊ってくれるかなあと思っておりましたが、本当にフランス人形で踊ってくれて大変うれしかったです。河合さんのフランス人形も大変かわいらしく、兼城さんの踊りも軽やかで楽しげで、とても幸せでした。また見たいです。
相変わらず再演が重なりすぎてどこに振付の変更があったかよくわかっていません。ネズミラジコンさんたちは新しくなったのかなと思います。モーター音が聞こえませんでした。1幕でくるみ割り人形が王子に戻るところは初演みたいに仮面をつけたまま倒れていました。雪の王国のラストの粉雪たちが縁になる動きは見覚えがない…ような気がしました。気が付いたのはそれくらいです。
ちなみに公演自体はくるみでたまにある「どこが悪かったわけではないけどなにかちぐはぐ」な公演でした。まあ、たまにある。
ゆず
2015/12/19(Sat) 01:38:08
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