観劇+αの日々
■Kバレエ くるみ割り人形(2015/12/19 ソワレ)
マリー姫:浅川紫織
くるみ割り人形/王子:遅沢佑介
ドロッセルマイヤー:スチュアート・キャシディ
クララ:荒蒔礼子
雪の王:益子倭
雪の女王:中村春奈
★★★★☆
赤坂ACTシアター
「悪くないけどなんかちぐはぐ」公演って続くときは続くのでどうなるかと思いましたが、なんかやっと求めている「Kバレエのくるみ割り人形」が見られた気がします。細々ミスのある公演だったのですが(これはこれでどうにかならないか…)、最後はとても幸せで、終わってしまうのが悲しくて仕方ない公演でした。満足です。
Kバレエのくるみ割り人形はクララとドロッセルマイヤーの物語であり、そしてマリー姫とくるみ割り人形の物語です。内気な少女の冒険嘆と魔法にかけられたお姫様と王子様の物語。女の子が勇気を出したから悪い魔法はとけて、お姫様と王子様は幸せに暮らしました…その「お姫様と王子様は幸せに暮らしました」がはっきりと感じられて、それがうれしくて仕方ありませんでした。
ファンモード全開になりますが、遅沢さんの王子がとにかく魅力的で、幸せでした。幸せで幸せで仕方ないのに、どこかもの悲しくなるような胸が痛くなるような感覚、これが好きだったということを久し振りに思い出しました。マリー姫の手を取りその手を頬に寄せる姿が何とも美しく、けれど幸福感にあふれすぎて切なさすら感じる。王子の見守る視線の暖かさ、王子を仰ぎ見るマリー姫の柔らかで美しい表情。最後のグランパドドゥは二人の「結婚式」という設定がすごくしっくりくる雰囲気で、ようやくここまでたどり着くことができたという幸福感がありました。まるで幸福そのものが音楽をまとって踊ってるみたい。アダージョが本当に美しくって、ちょっとした仕草、触れる手であったりお互いのちょっとした視線であったり、そんなところから踊ってるときの手足の角度、それからリフトの軽やかさ。なにもかもが美しいし幸せだし、アダージョはもう幸せすぎて泣きそうな気分で見ていました。泣けなかったのがお二人のミス(あり得ないぶつかり方した)というあたりがちょっと残念ではありますが。ソロもよかったのですが、やはりコーダがまた素敵でした。本当にいつまでもいつまでも見ていたいお二人でした。フィナーレのあと人形たちの去った後にマリー姫が王子に寄り添う姿がまた印象的でした。とても美しかったのですが、楽しい物語がここで終わると感じられ、結末を知っている身の上としては別れを告げられるクララより一足先に寂しい気持ちになっていました。(でもここで見つめ合うシーンは吸い込まれそうに美しかったので好きです)
クララとドロッセルマイヤーは特に言及する必要がない鉄板さ。雪の王国の前のパドトロワも久しぶりに安定したものを見た気がします。荒薪さんのクララは華やかさにはやはり欠けるのですが、見ているうちにその真っ直ぐなかわいらしさにひきつけられます。素直でかわいらしい、特に笑うと本当にかわいい!2幕のドロッセルマイヤーさんとのおしゃべりもずっと見ていたいかわいらしさでした。吉岡さんの時は彼女を見守っていた気がするのですが、今日はクララと一緒に冒険をしたような気がします。キャシディーさんのドロッセルマイヤーも相変わらずの安定感。杉野さんと見比べるとはっきりしますが、「見守る」という言葉がしっくりきます。
相変わらず目の足りないパーティのシーン。栗山さんのシュタールバウム氏は「お父さん」と見るとちょっと若いかなと思っていましたが、だんだん「お父さん」に見えてきました。「若き当主」としては文句なしで、特にパーティの終わった後のたたずまいに品があって好きです。酔っぱらい紳士は相変わらず堀内さん。酔っぱらいぶりが大変素敵なのですが、子煩悩パパっぽいところも素敵です。そして蘭さんの夫人が本当に美しくって!夫の見事な失態におろおろしつつシュタールバウム夫人にお詫び入れる、しっかり者の美人奥様、本当に美しいです。石橋さんの紳士は福田さんのきらきら若いパパと違って相変わらずの渋い雰囲気。伊坂さんは髪に若干白いものが混じっている、落ち着いた雰囲気でした。そのほか、篠宮さん、杉野さん、坂元さんがいらっしゃったと思います。
真夜中のネズミ、去年自己申告により全公演かどうかはわかりませんが、益子さんと山本さんがネズミさんだということはわかりました。今日は益子さんが雪の王なのでだれがネズミさんかなあと思っておりましたが、二匹のうち一方がやたらうまい。ネズミなのにやたらきれいに高く飛ぶのです、とにかく二匹の実力差が歴然としてるほど。確信は持てないので言及はここまでにしておきますが…ちょっとびっくりしたネズミさんでした。
雪の王国は春奈さんが鉄板の美しさでした。彼女だと冷たい感じで踊っていてもきつくなりすぎず、バランスがいい気がします。かなり難易度の高い振付ですが、それを感じさせないしっかりした踊り。益子さんは予想通りソロに問題はないのですが、あの、サポートが…。この後の花のワルツを含め「泣きたい」から「殴りたい」に進化しました。ちょっとこれどうにかならんものか。
2幕はマリー姫を目覚めさせる王子の表情が若干の不安から喜びに変わっていくところが大変好きで、そのあたりから私が喜色満面でとても幸せな気分で見ていました。マリー姫の愛されて育ったお姫様の雰囲気や、王子の士官としての身分の高さを感じさせながらもやはり姫の一歩後ろで彼女を見守る(王子と言ってるけど、つまり厳密には王子じゃない)というちょっとしたニュアンスも好きでした。花のワルツ、ちょっと残念だったのが…個人的趣味ですが、神戸さんのマリー姫には荒蒔さんのクララ、浅川さんのマリー姫には河合さんのクララのほうがいいかなあと思えたこと。マリー姫とクララの踊りが若干しっくりきませんでした。ソロの春奈さんと伊坂さんはやはりいい雰囲気。華やかだけど、明るいけど、ふわふわしすぎてないバランスが好きです。
アラビアは石橋さんと杉野さん。体格がっちり、若干色気強めのお二人でした。杉野さんがサポート枠でしたが、少し安定してきたかと思いました。辻さんがほっそりとしていて若干暗めの面影を持ちつつも色気は強すぎることなく、けれどどこか蠱惑的という不思議なバランス。濃すぎることなく、けれど程よく雰囲気もあり、なかなかいいバランスの三人でした。
スペインは相変わらず華やか。岩渕さんかわいいし、松岡さんかわいいし。福田さんも山本さんも程よく品がありつつもサポートがうまくよく飛ぶのでたいへん気持ちよく見ていました。というか、相変わらず福田さんがキラキラオーラ発しながら軽やかに飛んでました。
湊さんと篠宮さんの中国人形は本当に安定感があります。というか湊さんかわいい。ロシア人形は酒匂さんのちょっとしたニュアンスの付け方がなんか楽しかったです。フランス人形は何より河合さんがかわいかったです。ちょっと物悲しげな表情に浮かぶ笑顔が、この若干不思議な振付に合ってる気がします。お供の兵士は本田さん、兼城さん、三浦さんだと思います。
グランパドドゥはもう散々書いたので繰り返しになりますが、本当に幸せでした。出てきた瞬間から続く幸福感が、最後まで続きました。特にアダージョが好きで好きで、このお二人のアダージョが大好きだったことを今更思い出しました。踊りの面で見てもお二人とも安定していてよかったです。特に遅沢さんは若干波があるので、白いタイツが映える長い足が軽やかに見えてとても安心しました。とてもきれいなマネージュで幸せでした。
そんなわけで細かい突っ込みどころありつつも、「幸せ!」と言える公演でした。楽しかったです。
ゆず
2015/12/20(Sun) 01:36:08
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