観劇+αの日々
新作歌舞伎 NARUTO -ナルト- (2018/08/05) マチネ
 ワンピース歌舞伎見た後、国立劇場での歌舞伎鑑賞教室に行ったり(2か月連続)、シネマ歌舞伎の弥次喜多行ったり、巳之助さんと隼人さんの夜話に連れていってもらったり、まあ、そんなこんなが下の記事からありまして(あ、名古屋の観劇記まとめてなかった)、ナルトに行ってまいりました。原作ファンの友人と一緒だったのですが、お安めの席で見やすいところで土日で…と選んだら2日目、愛之助さんのマダラの初日になりました。
 歌舞伎の経験値は上記の程度(その前に2度ほど歌舞伎座に行ってますがその程度)、ナルト原作は一通り読んだことがある程度のどちらのファンとしても中途半端な感じです。ちなみに一番好きなキャラクターは綱手です。

 1幕が終わって、もうとにかく怒涛の専門用語で、これ、初見の人ついていけるのかと思いましたが、原作を知らない人は知らないなりに楽しんでいるようなので、なんかそういう、こういう人はどう思うのかなあ的な感想は横に置いておいて、初見の感想です(何度か行きます)。あとネタバレ配慮なしです。
 作品の雰囲気として、原作を知っている身としては、ワンピースがああなって、ナルトがこうなるというのはすごくしっくりくるものでした。スーパー歌舞伎と新作歌舞伎の違いとかそういうものはあまり感じなくて、純粋にワンピースとナルトの作品性の違いに思いました。そういう意味ではすごく素直に楽しめました。全72巻をまとめると言ったのはまさに言葉通りで、原作を一通りしか知らない私でもあちこちうまく名台詞名シーンをつなぎ合わせているのはわかりました。ただ、どうしてもその分見せ場と山場ばかりで、また死にかけたー生きてたー、みたいに感じてしまったのが少しもったいなく思いました。展開が早すぎて若干物足りなさを感じるような、でもあそこもここも書きたいというのはわかるような、そんな感じでした。あと、場面転換で幕が完全に閉じてしまうのが何回かあったのはどうにかならないかなあと。
 とても話しやすいところとしては、綱手と自来也が、まあ、予想はできていたけど本当に予想以上に魅力的で本当にありがとうございますというところです。綱手はビジュアルを見た時はやっぱり歌舞伎に寄せるからそうなるよねという感じだったのですが、見ているうちに綱手にしか見えなくなってくる。特に5代目火影になってからは完全に綱手そのもの。火影として貫禄はありつつも、きつくなりすぎない、でも堂々たる雰囲気で、もちろん美しく。綱手の強さ弱さ、いろんな面が見えて、でも火影にふさわしい、人の上に立つにふさわしい人物に見えて、大変眼福でした。中途半端な原作ファンですが、こういう風にイメージしたものがそのまま3次元になるのを見るのはやはり楽しいものです。猿弥さんの自来也については、ワンピースのジンベエが好きすぎたのでなにひとつ不安はなかったのですが、まんま自来也というか、飄々としていながらもちゃんと芯の通ったいい男で、大変魅力的でした。遠目でも術の印を切る手の動きが美しく、そんな些細なところまで惹きつけられました。
 ナルトについては話しにくいというかなんというか…。本当にナルトそのものだたとしか言いようがなく、登場時のちょっと緩い感じのところからずっとナルトで、なんかかえって感想を言いづらいというか。素でそのまま演じてるような感じで、はたと我に返ってそういえば巳之助さんが演じてるんだということに気付くような感じです。ほかの人の演じ方に不満があるわけではなく、ただ本当に一番そのものだと感じました。原作を読んだときはナルトの成長を感じたのですが、この公演ではあまり感じず。成長をしたのではなく、ただ自分の意志を貫き、最初は気持ちだけだったものが、最後はちゃんとそれに見合った実力を持ち、まわりにそれを認めさせた…という物語に思いました。そういう風に筋が通っていて、分かりやすい物語でした。
 逆に若干途中までの流れが分かりづらかったのがサスケ。イタチの本心が徐々に明かされていくこともあり、なんか周りに流されてくるくる立場を変えているように見えてしまっている部分もありました。原作と感じ方が違ったけれど納得をしたのは最後の最後、自分にとっての火影とはなにかを語ったあたり。イタチの思いを継ぎたいというか、失ってしまった兄をなんらかの形で生かしたいというか…そんな、自分から孤独に突っ込んでいくのではなく、逆に孤独に突っ込んでいくように見えて、誰かに寄りかからずにはいられない、そんなサスケに思えました。だからナルトと戦って、そこでナルトの方に寄りかかっていいことを知ったというか。最後の場面が左手を失ったことをどこか誇らしく思っているように見えて、彼にとってはそれが己が孤独ではないことの証なのかなあなどと思いました。
 最後の本水での立ち回りはすごかったのですが、若干怪我しないか心配になったりならなかったり。あといい場面ですが水音でセリフが聞こえないのはもったいないなあとか、ナルトが右腕を失ったことが分かりにくくないかなあとかそんな感じです。

 サクラちゃんが本当に女の子でかわいいとか、大蛇丸さすが存在が見事だし色気があるとか、マダラの人外感がすごかったとか、イタチの殺陣が大変美しく見惚れたとか。カカシについては、原作読んでると6代目火影も納得なのですが、やっぱりそこまでは盛り込めなかったのか、ちょっと強い人程度になってるのが残念でしたという原作ファンのわがままです。

 走り書きですが、とりあえず「1回目見ました」のメモ書きです。久しぶりに通う公演なので、この後どうなるか楽しみです。
ゆず
2018/08/06(Mon) 00:11:41
Re:新作歌舞伎 NARUTO -ナルト- (2018/08/05) マチネ
こんばんはー、ご無沙汰しております。
メールのお返事しようかとしている間に、コメントありがとうございます。
見ての通り頭から沼に突っ込みかけてます(翌日も行った)。

そうですよね、あの固有名詞の連続はもうあきらめるしかないですよね…。あれもこれも書きたかったのはわかりますが。
後半は私も固有名詞が思い出せなくって半分くらい放置してました。

原作ファンの方の評価、すごく高いですね。
原作のストーリーを自然に補完しながら見ていると思えば納得です。
舞台だけだといろんなエピソードが畳みかけるように続いてる分、かえってその余白を想像する余地がなくなっている気はします。

脚本レベルで整理してほしいとは思いつつも、細々整理されて見やすくなると思うので、楽しみにしています。
あ、南座は多分行きます(笑)。

ああ、さすが歌舞伎の世界、みんな青田買いが早い…。
サクラちゃん、本当にかわいかったです。
なにか特別なことをしているわけではないのに、普通にかわいいです。
ゆず
2018/08/08(Wed) 22:24:42
Re:新作歌舞伎 NARUTO -ナルト- (2018/08/05) マチネ
はいっ(^^)/ 初見で専門用語についていけなかった人です。でも技や人名を諦めたおかげで、ストーリーの方には付いて行けた…はず。

サスケに関してはゆず様に近い感想です。とくに3幕、二転三転する間の時間が短すぎて、あれ、一歩間違えばこじらせた上に騙されやすいただの超めんどくさい男になってましたよ。。。
今回、珍しく原作ファンの評価の方がやけに高い印象ですが、きっとその裏にあったであろう葛藤や省略された背景事情を自然と補完しながら観ているからなんだろうな、と思いました。

そうはいっても十分面白かったですし、まだまだ進化していくでしょうから、仰る通りこれからが楽しみですね!
長文失礼いたしました。

(ちなみにサクラちゃんは、T様が中学生の頃から目をつけていた役者さんです)
マリゴー
2018/08/06(Mon) 23:49:51

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