観劇+αの日々
新作歌舞伎 NARUTO -ナルト- (2018/08/10) マチネ ・ソワレ
 3回目、4回目の観劇です。このくらいになるといろいろ自分の中でも整理されてきますし、ああ、あそことここが繋がっているのかとか、あれ、この台詞聞き逃していたとか、いろんなことがわかってきます。そういう意味でもとても楽しいマチソワ観劇でした。(席は花道隣の席と花道なんて全く見えない3階席センターだったので、大変バランスは良かったです)

 回数を重ねると好きなところはますます好きになり、苦手なところはますます苦手になるものですが…1幕の前半はやはりなんというか気持ちがうまくつながらないというか、助長というか、なんだろう、おさまりが悪い。これをやらねばならぬというのはわかるのですが、なんかもう少しどうにかならないかとかもやもや考えていると自来也が出てきてようやく面白く…と思ったところに場面転換で幕がしまってかなり時間が費やされるのがものすごく気になりました。せっかく盛り上がってきた気持ちが途切れてしまう。同じ幕が閉まるのでも、3幕の本水のところはいいんです、あれは仕方ないとかありますが、気持ちがすごく盛り上がるし、幕が開いた後も本水で幕が開いた瞬間に物語にのめりこめる。でも1幕だとそこまで気持ちも盛り上がってないし、幕が開いても当たり前だけどそこまで気持ちも盛り上がらない。新しい作品なのだから、やはり場面転換は気にしてほしいと思いました。
 あと、1幕の音楽が段々耳障りになってきたなと。ストーリーが転換するところでそれに合わせて曲が変わるのですが、演技がうまい人がやってる後ろでそういうBGMが聞こえるとかえってチープになると感じました。あと、ミナトとクシナのシーンもうるさいかなあと。南座の時はもう少し取捨選択してほしいなあと思いました。

 今日中に書き上げてしまわないといけないのでざっくりと。
 猿之助さんのマダラ、ようやく見ることができました。ああ、なるほど確かに愛之助さんと造りが全く違う。出てきた瞬間、闇が動いたのかと思いました。禍々しい、「なにか」。それが九尾の力を得て実体を得て、自分が望むままに力をふるえるようになった気がしました。完全に私の直感で語っていますが、愛之助さんは最初は「個」であったのに最後は恨みや執着のような概念になった感じがしました。逆に猿之助さんは、漂う闇の一部だったものが、最後に実体を得たように思いました。雰囲気が逆。でも、どちらにしろ九尾の力を手に入れてからのほうが強いという感覚は変わりません。本当に同じ脚本で同じストーリーの流れで、こんな風に雰囲気が変わるのかと驚かせました。それにしても猿之助さんが演じて、「澤瀉屋!」と声がかかると、一気に歌舞伎らしくなるなあと思いながら見ていました。

 なんかぼんやりと物語の輪郭が見えたのですが、これは大人たちが生み出したいろんなわだかまりを、ナルトが、サスケがそれぞれ別の形で引き継いで、けれどそれをお互いに改称した話なのかなあと思いました。なんとなくぼんやりとした感想ですが。(そう思うと、九尾関係でいろいろ苦労したナルトをもっと見たいとか欲が出る。サスケが上の世代の禍根すべて背負ってしまったのは感じたので)
 1幕のナルトがすごく子供子供していてかわいくて、まあそれはともかく夢は大きいけど全然実力がそれに追いつかなくて。でも、そんな自分を受け入れて、でも自分の夢は曲げず、徐々に夢を語るにふさわしい自分になっていく。ちゃんとナルトの成長物語になっていました。九尾に乗っ取られそうなときはちゃんと化け狐で、少年から成長していく様子も見れるし、全幕通していろんな面が見れて大変楽しいです。
 ミナトは目で見ると確かに巳之助さんなんですが、本当に声は別人。これは初めて見た時からそうなのですが「ナルト」と呼びかける声色がとても好き。あれこれ言葉で語らなくても、どれだけミナトがナルトを思っているか、その一言に込められてる気がするんです。
 サスケは本当に手のひらくるくるなんですが、なんとなく腑に落ちてきたというか。イタチを殺したあと空っぽになってしまって、兄の死を、兄の思いをどう消化すればいいかわからなくて、考えが定まらなかったのかなと。だから最後に、自分にとっての火影とはなにかを語った時、ようやく彼の考えに筋が通ったように見えました。あと、大蛇丸に言われたこと、意外と彼の心に残っているのだと思わされました。
 しかし、隼人さんのサスケは本当にイケメン。本水のシーンで3階からオペラグラスで覗いていても一瞬のすきもなくイケメン。瞬きをしているのか疑わしい暗い目を見開いていて、またそれが美しく、大変魅力的でした。ようやく真正面から最後に横たわっている二人を見ることができたのですが、なんか2回ともサスケのほうが手を失っていることが分かりやすかったです。本当に些細な位置の違いだとは思いますが。
 イタチはゆったりした服を着てゆったりした動きをしているしなにを考えているかわからないので、一息に動き出すとその素早い動きに驚かされます。緩急の付け方が本当に見事。サスケとの対決の時ダミーと入れ替わるのはあの部分と分かるにはわかるのですが、理屈としてはわかるけど本当にあの瞬間に入れ替わったのかと目を疑う素早さでした。
 鬼鮫は厭味ったらしいよく通るいい声が印象的です。彼も基本的にゆったりと動いているし武器も大きいのに殺陣になると動きが大きく素早く、見ごたえがあります。

 最後のエピローグのシーン、ちょっと今まで勘違いしてたかなと。サスケの雰囲気が明らかに「数年後」で。着ている服の雰囲気だけかと思いましたが、メイクを明らかに変えているというか、カーテンコールで青年時代に戻ったというか。ナルトも確かに少し年を経た感じ。カカシがサスケに語っている内容は直後のものに思えましたが、それ以外は数年たってからの物語のように感じました。あの直後にナルトが火影に就任したというのはやはり少し違和感があり、でも7代目火影まではやってほしいので、このふわっと時系列がずれた感じは良いなあと思いました。ところでサスケが左手を失ったのははっきりしていますが、ナルトはどうなんでしょう?上手の階段を上った時は右手が見えていたのですが、そのあとのシーンであえて右手を見せないようにしていた、あるかないかわからないあいまいな状態にしていたので、ちょっと気になりました。サスケの台詞で片手を失ったことに言及しているから、見えないほうがいいなあというわがまま…(まだ言う)。
(書くところないけど、ここのサクラとサスケの身長差が大変大変好みでした)

 他にも何かあった気がするけど時間切れ。おやすみなさい。

 (メモ:マチネの7班登場時のセリフは、サクラ「今日はなんか静かね、ナルト」ナルト「なんか疲れちまった」だったかと)
ゆず
2018/08/11(Sat) 02:51:14

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