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  Kバレエ ロミオとジュリエット(2014/06/28) ソワレ

ジュリエット:神戸里奈
ロミオ:池本祥真
マキューシオ:酒匂麗
ベンヴォーリオ:益子倭
ティボルト:ニコライ・ヴィユウジャーニン
ロザライン:白石あゆ美
パリス:川村海生命

Bunkamura オーチャードホール
★★★★☆

 長々おつきあいしてきたロミジュリツアーもこれで最後です。最後の最後、とてもいい公演でした。
 ただ申し訳ないことにマキューシオの感想が薄いです。酒匂さんが悪かったというのでなく、兼城さんのファンとしてなんとなく悲しくて目がいかなかったんです。これについては固定ダンサーのファンで申し訳ないと思いつつ、だったら変な発表しないでほしいという主催側への不満もあります。マキューシオは決して簡単な役ではありませんし、明らかにメインキャラクターの一人です。兼城さんがけがをしたとか、仕上がらなかったから経験者がやったとかならともかく、全く初役の酒匂さんが出てきた理由がわかりません。舞台を見ても、明らかに昨日今日練習を始めた雰囲気ではありませんでした。ロミオとジュリエット目当てに取ったチケットではありますが、それでも何ヶ月も前から楽しみに待っていたキャストが、理由もわからず変わったのはどうしても納得がいきません。そういう意味で、私がのめり込めなかった一因は主催側にあると思うので、個人的には正当な不満だと思っています。

 さて気を取り直して舞台本編。大変いい公演でした!ちゃんと「ロミオとジュリエット」を見た気がします(ここ数公演「ティボルトとマキューシオ(とベンヴォーリオ)」を見ていた気がするんで…)。さらに言えば、これはご本人たちも承知の上だと思うので失礼だとは思いませんが、浅川&遅沢は年齢的にも雰囲気的にも原作通りのイメージではない。そういう意味で、ようやく出会えた「ロミオとジュリエット」らしい作品でした。また、全体的にも空気がいい具合に暖まっていて、脇のキャラクターも生き生きしており、大変楽しかったです。
 なにがうれしかったって、やはりロミオとジュリエットがイメージするそのままだということ。ロミオはエレガントさのただよう品のいい少年でしたし、ジュリエットは子供から抜け出す直前の少女でした。今回はロザラインが白石さんでしたし、マキューシオもベンヴォーリオも若かったので、年上のお姉さまにあこがれる子犬たち…もとい、少年たちという構図が引き立ちました。美しい高嶺の花の気を、なんとかして引こうとしている感じ。舞踏会の前のシーンで、ロミオがひざまずいて口づけを求めているのに、軽くおでこにキスをしてあしらわれるのがなんとも象徴的でした。
 池本さんの踊りは堅調すぎて言葉もありません。本当に本当にきれいな足とポジション!!流れるような動きなのにひとつひとつの動きが流れておらず、ジャンプも高いし柔軟性も高いし、見ほれるしかありません。高いアラベスク、完全な形のままのオフバランスのパッセ、後ろの足が高いジュッテ、見事なアラベスクアティチュード…並べるときりがありません。白いタイツのよく似合う、本当に美しい踊りでした。
 神戸さんのジュリエットは本当に愛らしい!以前見たときと変わらぬイメージの、愛らしくっておてんばなジュリエット。前のイメージが強いせいか、踊りが段違いにうまくなっていたことに驚きました。背中が柔らかくなっていて、アラベスクのラインがとてもきれい。弾むような動きもとても軽やか。パリスとの結婚を拒んだときは、結婚すること…というかどこか大人になることを拒んでいるように思えました。
 二人が出会った瞬間…というか、ジュリエットがロミオに気づいた瞬間、彼女から感じたのは純粋な喜びでした。理由はわからない、だけれど心が躍る…そのあとのソロはそう言っているようでした。だから今までどこかおっかなびっくりだったのに、急に幸せそうに踊り始める。そしてロミオが降りてきたとき、初めてその喜びがなんであったか知る…という感じがしました。
 基本的に1幕は幸せにあふれている二人で、それを顕著に感じたのはバルコニーのシーンでした。二人は同じ速度で大人になっていくように思えました。今までなにも知らなかったことを理解するみたいに、人生には喜びがあふれていることを知る。今までは地中で眠っていたかのように、二人とも目覚めていく。ふたりの踊りそれぞれもとても伸びやかでしたし、生き生きしていましたがそれ以上に、二人で同じように目覚めていく、変わっていく感じがとても魅力的でした。

 街に戻ってきてからのロミオは恋わずらいというよりはここでも幸せそう。この世界にこんな幸せがあったことを知らなかったみたいにかみしめています。一人だけ大人になって自分の世界にこもるロミオのことがベンヴォーリオやマキューシオは不満そう。なかなかいつもの「ロミオ」に戻らなかったけれど、結局渋々最後はいつもの三人組に、片足だけ戻ったような感じがしました。
 結婚式も基本的に幸せな二人でした。雰囲気は暗いのに、二人が信じている幸せには全く揺るぎがない。ロレンスはきっといろいろ不安を感じてロミオに十字架を託したのでしょうが、その心配をなんとなく理解できないと思えるロミオでした。ジュリエットが去っていくところも「もう大丈夫」と幸せそうに安堵しているように見えました。
 マキューシオとティボルトの決闘についてはなぜかマンドリン兼城さんに目が行くしキャピュレットの若者に目が行くしで完全に目が泳いでいていつものように語れませんが…(というかいつもがおかしい)。マキューシオがどちらかと言えば好戦的というのはよくあるパターンですが、ベンヴォーリオもその気配がありました。ロミオは相変わらずの平和主義者ですが、ベンヴォーリオはこのまま流れに任せておけと言っているようでした。それはベンヴォーリオのマキューシオへの信頼のように思えました。実際に強くってティボルトを負かすことのできたマキューシオは(とても少年らしい笑顔で笑うので、どこか小憎たらしいけどなんとなく頼りになる雰囲気)、自分自身、ティボルトに負けたことを信じようとしていないように見えました。このあたり言葉にしてしまうと伊坂マキューシオと似てしまうのですが、伊坂マキューシオが仲間を守るために強くあらねばならぬと思っていたから負けるのを受け入れられなかったのに対し、酒匂マキューシオは自分の判断がどこで見誤ったかが分からない…という感じがしました。「なぜ」と問いかけるように死んでいきました。酒匂さんのマキューシオが若かったからこそこの問いかけは痛々しく、また、ロミオにこの問いかけは受け止めるには若すぎると感じました。本当に優しいロミオだったから、ここで理性を失ってしまったのが本当に悲しかった。今日もティボルトの敗因のひとつは「疲労」だと感じました。そしてロミオが突き刺した剣はティボルトの喉元へ。これはこの組み合わせだけ違ったのかトラブルなのかわかりませんが、なぜかいつもより残酷に映りました。ティボルトはロミオの罪を暴こうと声を上げようとするが声がでないとのどをかきむしり、剣を引き抜いた瞬間絶命したように見えたので。
 寝室のシーン、ロミオは人を殺めた人間がジュリエットのそばにいてはならない…そう思っているようでいた。引き留めるジュリエットも去ろうとするロミオも相変わらず年若い雰囲気のままなのですが、ふたりの距離感がもう子供ではないと感じさせるのが悲しい。まじめで清廉なのロミオだからこそ、自分の罪をしっかり正面から受け止めている気がしました。
 ジュリエットが失ったのはロミオというよりは彼女自身の心のようでした。喜びのなくなってしまった心はなにも感じず、それこそ生きてはいるけれど死んでいるのと同じ。喜ぶことも悲しむこともなくなって、あれほど感情豊かだったジュリエットの顔には、なんの感情も浮かんでいない。たまにこの作品を見ていると、パリスともう少し話をすればよかったのではと思うことがあります(バレエに限らず)。でも、今回はそれを感じませんでした。ジュリエットの心はもう死んでしまったから、どんな言葉も誰の言葉も彼女の耳には届かない。彼女が取り戻そうとしたのはロミオというよりは自分の心であり、ロミオがいないということは心がなくなると同じ…そう感じさせるジュリエットでした。ロミオとの幸せな時間を思い出しているときも、そんな風に幸せを感じることのできる心を取り戻そうとしているように思えました。
 ジュリエットにとってロミオが自分の喜びであり感情そのものだったのと同じように、ロミオにとってもジュリエットは心そのものだったのかもしれません。彼の場合は離れていてもジュリエットが生きていればそれを小さな喜びとして生きていったでしょう。ロミオ自身は自分の幸せはあきらめてますから。霊廟のシーンでは「こんなことになるために離れたわけではない」と訴えているようでした。毒薬を飲んだ後、よろめきながらもジュリエットに近づこうとするもかなわず…という流れの中で死んでいき、ジュリエットが目覚めるという流れがとても美しかった。目覚めたジュリエットは、不思議と「彼女はここで行きている」ということを強く感じました。ジュリエットについてはもうここまでのシーンで心が死んでしまっているのを感じたので、死を選ぶのも仕方ないと思いました。ずっと求めていたロミオは、彼女の心は、喜びは、もう戻ってこないと知って、あの霊廟の中で取れる行動はひとつだけだと思いました。悲しいけれど、帰結すべきところに帰結していく…そんな終わり方でした。

 浅川&遅沢ペアの時もロミオとジュリエットの物語が本当に面白かったのですが、今回は周りもいい具合にあったまっていて、全体的に楽しめました。予想通り面白くってよかったのが益子さんのベンヴォーリオ。マキューシオの間違いじゃないかと思いましたが、実際マキューシオ寄りでした。トラブルメーカーだと思っていましたが、絶対ティボルトにはけんか吹っかけてますし(そして反省してない)。舞踏会の後もロミオのことふたりとも忘れて女性を口説き体制に行ったふたりなんて初めて見ました。でもやっぱりベンヴォーリオは弟分だと思うのは、マキューシオがベンヴォーリオに売られたけんかを横からかっさらってくれたり、なんとなくベンヴォーリオがマキューシオを頼りにしている感じがしたからかもしれません。踊りも全体的に軽々としているんですが、とにかく全体的に役付けがしっかりしていて、それが伝わってくることに驚きました。今までのベンヴォーリオ像とは明らかに全く違うのですが、「自分はこれを演じる」とはっきり思っていて、疑っていないのがまずすごい。出てきた瞬間から本当に楽しそうで、もうそれだけでこの公演が楽しいものになると確信できました。
 酒匂さんのマキューシオについては上記の通りです。出てきた瞬間からちゃんと動きも役も体に入っていて、少なくとも初役で硬くなっているなんてことはあり得ず、とてもいいマキューシオでしたのでなんかもやもやが残るのが本当に酒匂さんに申し訳ない。舞踏会のシーンも踊りが軽やかだったし、ティボルトとの決闘シーンもよかった。彼のキャリア的にもちょうどいい抜擢なので、なんで前日発表になったのかともやもやした思いが残ります…ほんとうにもったいない…。
 最後の最後になってしまった白石さんのロザライン。大変美しかったです。外見も美しいのですが、足さばきも本当に美しくて見惚れました。ティボルトとは恋人同士。同年代でなんだかんだ言いつつお互いのことを信頼してるんじゃないかと思う関係でした。そうやって自分の世界を築いているから、そりゃロミオたちみたいな子犬…もとい、少年たちに対しては本気になることはあり得ないと思えました。ティボルトの死のシーンでは憎しみより怒りより、ずっと悲しみを感じました。どうしてこんな理不尽が許されるのか…愛する人を失った女性の、強い嘆きでした。
 ニコライさんのティボルトは前回より踊り寄りになった気がします。舞踏会のシーンのささやか踊りもとてもきれい。マキューシオとの決闘の前の踊りも勢いを増したように思いました。少し無骨で融通の利かなそうなところはありますが、漂う品格は相変わらずです。
 川村パリス、決して悪い人ではないんですが、マチネの宮尾さんがいい人オーラを漂わせていたので若干分が悪かったです。マチネを見た時にキャピュレット夫妻が途中まで身分と立場で自分の心を押し殺していたようにパリスも心を殺していたのかなと思うようになったのですが、もしかしてそれが一番納得できるのが川村さんかもしれません。ジュリエットの死への嘆きはなぜか一番強く心に届きました。

 年末のくるみ割り人形にお名前がなくて、地味ーに深ーくさみしく思っている日向さんを今日はしっかり見てきました。彼女の細やかなポワントの動きは、Kバレエの若干動きが多すぎる振付にぴったり合っている気がしてとても好きなのです。動きが早くても柔らかで優美で、やっぱり好きだと思いながら眺めておりました。
 マンドリンに兼城さんがいたのは残念なようなお怪我じゃないと分かってほっとしたような…。心のさみしさを埋めるためにもずっと見ていたのですが、若干回転が弱いかなと思いつつ、はじけるような笑顔は相変わらず奇抜な衣装に負けておらず好きです。とても柔らかく飛んでくれるのが心地いいですし、ひょうきんな感じも好きなので、いつか本当にマキューシオが見てみたいです。
 話が長くなる上に話がそれるので別枠で書きますが、2幕のキャピュレットの若者がとてもすてきでした。登場したときの周りを威圧する感じから、なんとも目を引きました。結構周りがよく見えていて、マキューシオとティボルトとの決闘の時はかなり強気で歩いているのに、マキューシオを殺した後はティボルトにこの場を去るようにしきりに勧めています。まるでそれが悪い方に転がっていくことに気づいていたみたいに。ロミオとの決闘についてはやめるよう言っているようですが、ティボルトは聞かない。人々の間を歩いているのは序盤と変わらないのですが、戸惑いが加わった気がします。だからティボルトが殺された後、大事に巻き込まれないようにそそくさと姿を消したのも納得です。ティボルトの従者として来たのは間違いないと思うのですが、ちゃんと自分の意志を感じる、不思議な存在感でした。ただ、登場したときに自分が飲みかけのボトルをティボルトに渡すのはどうかと思うの(笑)。(多分杉野さんだと思うのですが、帽子と髭のせいでいまいち確信持てず)

 ロミオとジュリエットは本当に少年と少女で、出会って同じ速度で成長し、互いに心をあずけていたから片方がいなくなったら生きることができませんでした。ロミオとマキューシオとベンヴォーリオはそれぞれ違う個性を持った少年たちでした。ティボルトとロザラインは見目麗しい、互いのことを理解した恋人たちでした。
 …というそれぞれのキャラクターがよく生きた公演でした。大変楽しかったです。やっぱり小さな人間関係のバランス、全体のバランスって大事です。どうしても年長者の少ないバレエ団なので、若手公演でないとバランスがいい公演ってあまり望めないのだと思います。踊りの面は池本さんと神戸さんがしっかり締めてくれましたし、演技はとても面白かったし、いい公演でした。

Kバレエ
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(2014/06/30(Mon) 01:10:08)





  Kバレエ ロミオとジュリエット(2014/06/28) マチネ

ジュリエット:ロベルタ・マルケス
ロミオ:熊川哲也
マキューシオ:伊坂文月
ベンヴォーリオ:井澤諒
ティボルト:遅沢佑介
ロザライン:山田蘭
パリス:宮尾俊太郎

Bunkamura オーチャードホール
★★★★

※ 若手ばっかり見るのはいい加減にしましょう

 この公演の簡単な感想を言うと上記の通りになります。最近いろいろ若手の見分けがつくようになったのが楽しいのか、完全に視線がさまよっていて、なに見に行った状態になっておりました。それで楽しいんだからたちが悪い・・・。

 ファーストキャストなのに今日まで見られなかったのは伊坂マキューシオと宮尾パリス。二人もさすがの存在感でした。
 伊坂さんのマキューシオは結構地に近いんじゃないでしょうか。ひょうひょうとしていて女好きというのはマキューシオの共通事項ですが、ちょっと熱血入っていて兄貴分として引っ張っていこうとしているのが彼らしいと思いました。ただ若干気合いが空回りというか、ちょっと危なっかしいのですが、それをベンヴォーリオがいい具合にフォローしている気がしました。井澤ベンヴォーリオはちょっとぼんやりおっとりしている気がするのですが、ちゃんと見ているし気づいている、意外としっかりしている側面があるのですが、なんとなくそれで損をしてるんじゃないかと思える不思議なタイプでした。ちょっと先走り気味なマキューシオをフォローするのはベンヴォーリオで、でも何かあったときにベンヴォーリオを守るのはマキューシオで。池本マキューシオと違って明らかに伊坂マキューシオは井澤ベンヴォーリオより年上だったので息のぴったりあったコンビとは違いましたが、これはこれで好きです。舞踏会のシーンの踊りのニュアンスの付け方もおもしろかった(ただちょっと後半体力厳しかったかも)、普段ひょうひょうとしてるからたまに真顔になったときが不思議なくらいかっこいい。若干好戦的な面があり、ティボルトと自分の実力を見極めた上で1幕はベンヴォーリオが売られた喧嘩を買い、2幕はこれ以上ごたごた首を突っ込まれないように決着をつけようとして剣を取ったように思えました。実際に剣も強そうでしたし、なにより仲間は自分が守るんだという気概が感じられるのがかっこよかったです。ティボルトに刺されてからは、どちらかといえば卑怯な手段とはいえ、自分が負けたことを受け入れられていないように思いました。誰かを守るためには強くあらねばならな…というマキューシオだった気がします。まあ、女好きのおもしろい奴でもありますが。舞踏会の後に舞踏会帰りの女性たちにちょっと軽くあしらわれてるのに「ロミオは任せた!俺はこっちを口説きにいく!」とばかりに去っていった姿や、ふたりとも心配だけどロミオよりもなんとなくマキューシオを心配して追っかけていったベンヴォーリオの関係、とても好きです。(あと、伊坂マキューシオは早口でおしゃべりだと思う)
 宮尾さんのパリスは本当にいい人でした。舞踏会でジュリエットがつかれていて…のくだりも「ああ、疲れてしまったんですか、それは仕方ないですね(優しい笑顔)」と、キャピュレット卿のフォローなんて必要がないくらい。人当たりが良く穏やかそうな人柄だったので、ちょっとかわいそうだったのも事実。この公演のようなバランスだと、どうしてもジュリエットが話してくれれば悪いようにはしなかったよ、などと思ってしまうのです。しかしあの衣装は宮尾さん専用にした方がいいんじゃないかというレベルで似合いますね。
 今回チケットの目的は遅沢ティボルトでした。前回、1回しか見なかったのでとても後悔していたんです。相変わらずとんがった感じのティボルトです。本当に品格と風格がなければただのチンピラです。キャピュレット卿がジュリエットをパリスと結婚させることに反対というか…そもそもジュリエットのことが嫌いなのかもしれません。舞踏会の場に出てきてもしゃんとしていない彼女を見てまるで「親に甘やかされて育ったバカ娘」と思っているようでした。ただ、そう思っているとするとロミオとの会合後の彼女に対する容赦のなさにも納得がいきます。キャピュレット卿の実子でもないのに卿と対立することもいとわないとでも思ってそうに思えるのは、キャピュレット家の若者たちの心を掌握しているからかもしれません。彼の後ろをついて行こう、彼の言葉に従おうと若者たちが思っているからこそ、彼の自信も増長には思えませんでした。そんなティボルトの唯一の「隙」がロザラインかなあと思いました。どちらかと言えば憎からず思っている妹がわがまま言うから片耳を貸している…程度の距離感なのですが、とがった感じのするティボルトにそんな隙があるのがなんとなく人間味があって面白いと思ってしまいます。それにしても遅沢さんの足は本当にきれいですね…。舞踏会の前のシーンのちょっとした踊りが大変楽しくって見惚れました。特に難しい動きではないからこそ美しさが際立っていた気がします。(ほんとどうでもいいレベルの話なのですが、舞踏会でロミオを探しているとき、2階部分で「くそっ」と言わんばかりにこぶしを軽く振り下ろす動きがとても好き。些細な動きなんですが、こういう細やかさが彼らしいなと)マキューシオとの決闘シーンはやはり動きが二人とも軽くて鋭くて、見ごたえがありました。
 蘭さんのロザラインは相変わらずとてもきれい。ロミオたちの前では「ちょっと年上のきれいなお姉さん」なのに対し、ティボルトの前では本当にかわいらしいというギャップがとても好き。井上ヴェローナ娘との衝突もなんとなく同年代という感じのバランスが好きです。
 井澤ベンヴォーリオは今日もおっとりとした優しい雰囲気と柔らかな踊りが大変魅力的でした。遅沢ティボルトと並ぶと一方的にけんか吹っかけられた感が半端ないです。遅沢ティボルト自身に気迫はあるのですが、剣を受ける相手が井澤ベンヴォーリオだとそれが際立つ気がします。池本マキューシオと並んでいた時は闊達な少年といった面が今日よりも強かったかもしれません。伊坂マキューシオと並ぶと明らかに年少といったバランスもあり、「年下」としてみんなから愛されている側面を強く感じました。踊りは本当に見ていて心地よくなる優しい空気で、腕の動きが優美なのが印象的。王子をぜひ見てみたいという動きでありながらこのバレエ団の振付を軽々とこなす足を持っており、マンドリンの踊りの軽やかさは本当に見惚れました。

 ロミオとジュリエットについてはやはりうまいなあと。ふたりとも情熱的という話にやっと納得がいきました。ただ、マルケスがラテン系ということか、彼女のほうに先に色香を感じてしまうことになんとなく難しさを感じてしまいました。
 最近の視線泥棒さんこと杉野さんですが、2幕はモンタギューにいたのでついうっかり視線がそちらにふらふらと。階段の手すりに寝そべったりオレンジお手玉したり、えらく楽しそうです。益子さんの若者と仲が良く、ふたりとも大変楽しそうでした。ふと気づいたら、浜崎さんも含め、このモンタギューズは全員スクール出身者(益子さんは1年きりですが)。のびのび踊る三人を見ながらそんなことを思っていました。杉野さん、キャラクター系の役が多いですが、こういう若手が踊る役なんかはすごくそつなくこなしてしまいますね。ロザラインがティボルトの死を嘆いているとき、そばにいた女性をかばうようにして去って行ったのが印象的。
 兼城さん、マキューシオが見られなくなって海の底に沈みそうなくらい落ち込んでいますが、とりあえず元気なお姿がみれて安心しました。2幕のお祭りのシーンで、相変わらず飛び上がった後にさらに一段高く飛んでるのではないかという跳躍が大好きです。柔軟性も高いし楽しそうだし、マキューシオ見たかったな・・・。

 いったいなにを見入ったんだと言われて返せる言葉は上記の通りですが、大変楽しかったです。

Kバレエ
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(2014/06/29(Sun) 23:18:05)





  Kバレエ ロミオとジュリエット(2014/06/22)

★★★★
 先週見たキャストの公演、また見てまいりました。マキューシオとティボルトのための公演だと先週は思ったのですが、今週もさらにそれを感じました。マキューシオとティボルトのバランスがとてもよく、お互いが自身の実力以上のものを出せていると感じた公演でした。2回見ることができてよかったです。…まあ、マキューシオとティボルトが飛びぬけていいと、ティボルトが死んだ瞬間の燃えつき感が半端ないというところはあるのですが…。
 福田さんのマキューシオ、なにより印象的だったのが登場した瞬間から「マキューシオ」だったこと。マキューシオはムードメーカー、幕開きから雰囲気を盛り上げてくれていて安心しました。一年前はユースの公演に向けて王子になろうとしていた人とは思えないほど、とても味のあるキャラクターになっていました。女好きのお調子者、気が付くとどこでも女の子に声をかけているのですが、それがなんとなくほほえましく見れてしまう不思議なバランス。「陽気なお調子者」というのは福田さんのマキューシオの間違いのない個性でしたが、自分がそうやってその場にいることで回りの空気を和ませていることに気付いているように思えました。ロミオのこともベンヴォーリオのことも仲間として大好きで、ロミオの恋煩いを心配したり、ベンヴォーリオをなんとなく引っ張って行ってたり、なんとなく突っ込みに容赦がなかったり。ひょうひょうとした中に、押しつけがましくない程度の兄貴風を吹かせていたのかなあと思います。踊りもずいぶん軽やかになって、そこもマキューシオらしくなっていました。舞踏会のソロも軽やかで楽しかったです。
 杉野さんのティボルトも相変わらず堅調。自分の中にちゃんと正義があって、キャピュレット家の男子としての理想像があって、それに従って生きているように見えました。でもそういう正義や理想もまだ青い…というのかな、キャピュレット卿になにか言われたら揺らいで分からなくなると言ったらいいのか…確たる理想はあるけど、まだそれに芯が通ってない若いティボルトでした。もちろん全体的に若い方なので、「自分」が確立している遅沢ティボルトと違うけれどどちらもありと思えました(キャピュレット卿と真っ向から対立できるのが遅沢ティボルトで、どこかにキャピュレット卿に認められたいと思っているのが杉野ティボルかなあ)。踊りについては1幕はやはり判断できるほど踊ってないと思えましたが、2幕は鋭さが増したと思えました。惜しかったのがロザラインとの関係。明らかにロザラインに好意を持っているけれど、立場上自分を律しているように見えるティボルトでした。ただ、ロザラインがなにを考えているかわからず、また、ティボルトがロザライン以上に相手に好意を示していることに違和感を感じました。…これはロザラインからの感情が薄いからティボルトから感情を出したのかなあと勘ぐってしまうような不思議なバランスでした。

 役が自分の中で完成しているのにうまく周りとかみ合わなかった2人がその実力を本当の意味で発揮するのは二人が対峙する時でした。そもそも1幕の時点で、二人の剣の合わせる音の激しさというか力強さに驚かされました。ティボルトにはティボルトの正義があったと思います。キャピュレット家の人間としてその正義に従い、舞踏会に侵入した3人への決着をその場でつけようとした。けれどそのやり方をキャピュレット卿に頭から否定された。そこから深酒につながり、自分の手で決着をつけようとした。マキューシオはいつでも女の子にちょっかい出して楽しんでいるお調子者です。そんなひょうひょうとした彼が、勢いのあるティボルトの剣を軽々とかわしていく。その姿は爽快ですらありました。帽子を取ったとき、ひょうひょうとした中に気持ちを「本気」に切り替えたように見えました。自分の強さを疑ってなかったティボルトにとって、明らかにおちょくってる態度なのに確実に強いマキューシオの事は本当に腹立たしかったと思います。負けることなんて考えもしなかったティボルトは、「こけにされた」レベルで翻弄されていました。プライドもずたずたで、だからマキューシオに剣を突き刺した時、そこにはっきりとした殺意を感じました(もしかしたらティボルトが剣を落とした後、マキューシオが振り上げた剣に恐れを感じたとき、ティボルトは自分自身を許せず強行に及んだのかもしれません)。ティボルトはマキューシオを殺すつもりでしたし、そのあと、自分の心臓を指してさあ殺してみろとばかりに徴発さえしていました。この時、二人ともマキューシオの死は確実な未来として予感していたと思います。上の繰り返しになりますが、福田マキューシオは実際にお調子者の女好きで、そんな自分がムードメーカーであることを知っている人物でしたが、最期までの瞬間はそんな「お調子者の自分」を演じているように見えました。もう助からないことを分かったうえで、街のみんなから愛されていたムードメーカーである女好きでお調子者のマキューシオを演じて、誰かに心配をかけたり悲しませたりしないようにしながら、最期までマキューシオのまま生きて死んでいったように見えました。ティボルトはそんなことも構わず、自分の正義を全うしたような感じでした。マキューシオの血を払うような姿が冷酷で不気味ですらありました。マキューシオを殺すつもりで殺したティボルトは、ロミオに挑まれてロミオさえも殺すつもりだったでしょう。ロミオとの決闘では本来はティボルトのほうが強いけれど、ロミオの気迫に飲まれているような感じと、最後にはティボルトの疲労が勝敗を分けたように思えました。最期の瞬間まで闘争心を失わないティボルトで、自分の体から剣を引き抜いたのはそれでまたロミオに挑みかかるためのようにも見えました。
 とにかくこの2人の決闘のシーンが本当に濃かった!お互いに自分の個性が確立していて、それを全力でぶつけ合っているのが分かりました。特に福田さんは最初はただの調子のいい奴という雰囲気から、それだけが魅力ではないマキューシオの魅力を余さず見せてくれたと思います。次の公演、福田さんのホセは今でも全く予想がつきませんが、それでも彼には似合わないと思っていたマキューシオがこんなにぴったりだったので、なにか面白いものを見せてくれるのではないかと思っています。杉野さんについてはもうなにも言うことがありません。次の舞台でもきっと面白いものを見せてくれるであろうという期待感しかありません。次はどんな役を演じるのか、とても楽しみです。

 いつも目が足りなくて困るマンドリンは、今日も目が足りませんでした。今回は来週のモンタギュー3人組ことロミオ、マキューシオ、ベンヴォーリオがそろってるんですよね。3人ともなんとなく役の人柄がにじみ出ている気がしました。マンドリンは結構好き勝手できるのか、それぞれの雰囲気が全く違っておもしろいです。池本さんはどこかエレガントさが漂い、兼城さんはなんとなく女好きな雰囲気、益子さんは人なつっこい感じ。来週の公演は本当にふたを開けてみてどうなるか楽しみなのか不安なのか分かりませんが、とりあえずこの楽しい雰囲気が幕開きの時に伝わってくれば大丈夫ではないかなあと考えておりました。兼城さんの踊りは好きなので街の人々から見ていますが、マンドリンは始終歌っていて本当に楽しそう!あまりにも自然なのでこれが彼の個性かと思ったら街の人々はそこまで始終にこにこしているわけではありませんでした(当たり前)。相変わらずの重さを感じさせない跳躍で、大好きです。
 荒井さんのジュリエットは相変わらず堅調なのは分かります、とても愛らしくって軽やかだけど、なにをやっても安定している。ピルエットの美しさときたら言葉もありません。でもどうしても宮尾ロミオとのやり取りにしっくりくることがなく、ああ、きれいだなあと思って流れて行ってしまいました。
 栗山さんのベンヴォーリオと浅野さんのロザラインは悪くなかったのですが、福田さんと杉野さんが引き離した印象。この2人がもうちょっと違ったら作品全体の感想も違ったような気はします。

 というわけで若干ちぐはぐがある感じの公演だったのですが、とにかくマキューシオとティボルトがよかったので妙に印象深い公演となりました。

Kバレエ
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(2014/06/26(Thu) 01:14:33)





  Kバレエ ロミオとジュリエット(2014/06/21)

★★★★

 Kバレエのためにだけに遠征するのって本当に久しぶりです。行こうかどうか悩んでいたのですが、池本マキューシオ見たい&杉野ティボルト1回だけじゃやだ・・・という理由で行ってまいりました。
 ちなみに、いつもおほしさまの数で舞台の良し悪しを何となく記録していますが、今回本当は対象外にすべきだったんじゃないかと思うくらい一部しか見てません(苦笑)。後ろの方の席だったこと&似たようなキャストで来週見るので、今日限りのキャストを見よう・・・とオペラグラスを駆使していたらえらいことになってました。でもまあ、先週の2公演の間くらいは楽しめたかなあと思っております。

 そんなわけで池本さんのマキューシオがお目当てだったのですが、びっくりするほど優しくて品のいいマキューシオでした。1年前には考えられなかったことなんですが、彼、本当にロミオタイプです。どこかロマンチストで平和主義者というロミオのイメージにぴったり当てはまると思います。ではマキューシオではなかったかというと、ちょっとイメージとは違いましたがちゃんとマキューシオでした。明るくて愉快なロミオの弟分でベンヴォーリオの兄貴分。ベンヴォーリオとふたりで一組といった雰囲気がありながらもベンヴォーリオがさらに弟タイプなのでふたりをみあやまることはありませんでした(服の問題でなく)。彼の本質が現れたのはティボルトとの決闘のシーンかもしれません。彼の優しさが若干このシーンの迫力が減少していた原因かなあと思わなくもないのですが、誰かを苦しませたり悲しませたり、そういうことすべてを嫌うという雰囲気がありました。ティボルトとの決闘を受けたのはヴェローナ娘さんを彼が傷つけたからであるし、刺されてもそのことを素直に口にしなかったのはそれによって誰かを心配させるのがいやだったからだし、最期の瞬間さえティボルトを恨んでいるというよりは残されたロミオを案じているようにさえ見えました。誰かが死んでいく痛々しさと言うより、そんな状況になっても自分以外の人間を案じることのできる彼の優しさがとにかく悲しかった。本当に優しさと暖かさが全面に出ていたマキューシオでした。タイプとしては本当にロミオなので、来週が大変楽しみです。マキューシオとしては珍しいタイプでしたが、ひょうひょうとした空気は間違いなくまとってましたし、女の子たちにちょっかい出してるのもすごく自然でしたし、恋わずらいロミオを励ますところもロミオへの仲間意識を感じました。最後についてはやっぱり優しさを感じるのがいかにも池本さんですが。舞台下手で恋わずらいロミオとベンヴォーリオとふたりで引き戻してるところ、マンドリンをつま弾く様など大変かわいかったです。踊りの方は1幕に若干疲れが見えたかな。鋭さというか、いつもの切れがなかったのがちょっと気になりました。熊川ロミオの場合はどうしても年齢やら経験やらの関係で三人組のバランスが難しくなってしまうのですが、マキューシオとベンヴォーリオががっつりふたり一組という雰囲気はおもしろかったです。背格好も似てますし、踊りの質も似ている。とにかくふたりで仲良くしている雰囲気が好きでした。それにしても池本さんのジュッテアントルラッセ、柔軟性が高くて大好きです。あと、とても意外なのですがあの奇抜な衣装が「品のいい服」に見えたことが何度か見えてびっくりしました。オペラグラス多様が原因かもしれませんが、胸元あたりがすっごくエレガントに見えたんです。
 井澤さんのベンヴォーリオは弟分・・・というかちょっとおっとりしているので同世代のマキューシオに引っ張られている感じでした。人の良さがにじみ出ている感じで、冒頭のティボルトのチャンバラシーンからそれを感じました。どう見ても一方的にけんかをふっかけられています。踊りは池本さんより若干ふんわり軽い感じ。全体的に良いところ出身のお坊っちゃんという感じです。優しくておっとりしていて品がいい。そんな優しいタイプだからこそ終盤、ジュリエットの死をロミオに伝えにいくところが痛々しい。これはほかの方の感想を先に読んでいたからそう感じたのかもしれませんが、ベンヴォーリオはロミオにジュリエットの死を伝えたらロミオさえも失ってしまうことを知っていた気がします。それでも伝えなくてはいけない、でも伝えたくない、けれどロミオはジュリエットの死を察してしまう・・・そんな風に見えました。去っていくロミオを追うことすらできなかった姿が本当に痛々しい。
 ちなみにベンヴォーリオの感想が少ないのは、ひとえにオペラグラスを使いすぎていた上に今日しか見れない人ばっかり見ていたからにほかなりません。それは上記の池本マキューシオであり、伊坂さんでもあります。まさか伊坂さんがこの公演にいるとは思わずびっくりしました。モンタギューとマンドリンにいました。マンドリンは「ムードメーカー」という雰囲気も漂わせて、あの衣装に負けない明るさがありました。街の人に紛れているときは片っ端から女の子に花を捧げては片っ端から降られておりました(爆笑)。伊坂さんはたまに「やりすぎ」を感じてしまうのですが、今日のようなバランスならマキューシオも楽しみです。
 そしてラブコールを叫び続けてようやく見られました遅沢ティボルト・・・相変わらず麗しいです。無骨でありながらも品格がある姿が本当に好き。切れやすいというよりは何か確信があってモンタギューに対して敵意を持っているように思いました。根っこにあるモンタギューへの憎しみが、すべての感情より優先しているように思えました。あと、娘の美しさを自慢するキャピュレット卿を見て、辺り一帯がジュリエットの愛らしさにちょっと和んでいるのに、一人だけ眉間のしわがさらに深まったように見えたのが印象的。本当に付け入るすきのないようなタイプなので、ロザラインの言葉にだけはちょっと耳を貸すように見えたのが彼らしいロザラインへの愛情というか距離感の表現なんだろうなあと思いました。なんと言ったらいいのかな・・・誰も寄せ付けない雰囲気があるのに、ロザラインが寄り添っても全くいやな顔しないのがいいなあと思うのです。ロザラインはふたりきりの時は彼女らしくなくちょっと愛情過多という感じに寄り添っているのが好きです。ティボルトの気質を理解した上でそこにいてくれるという安心感があります。とにかく見た目華やかで、「赤」という色に負けていない、ふさわしい雰囲気のあるふたりで、目の保養でした(このふたりとても好きだけどでもやっぱり遅沢&白石の組み合わせも見てみたかった・・・)。決闘のシーンで深酒をしておりましたが、なにかのやけ酒・・・とは感じませんでした。やけになってたとか切れていたとかでなく、ただ今までできなかったことを、酒の力を借りてやっただけ・・・というか、それが彼の本質にさえ思えました。最初に声をかけてきた相手に花を投げ飛ばしたのもなんか納得。憎まれて当然だし、でもそんなティボルだけれどロザラインは理解した上で寄り添っていたと思えて、その手に力がなくなっていたことに気づいた嘆きが本当に痛々しかったし、ただ憎まれているだけの人間じゃないと思わされる救いのなさが好きです。踊りについては重厚感と鋭さがあって大変好きです。私はこの方のつま先が好きなので、舞踏会のシーンでもすっかり見とれておりました。マキューシオとの決闘シーンの前でも見とれておりまして、池本さんもつま先がきれいな方なので、ついうっかりストーリーそっちのけで見ほれておりました。マキューシオとの決闘のシーンはなんでしょう、なにかがうまくかみ合わなかったみたいに迫力がなかったのが残念。ただその後のロミオとの決闘はちゃんと殺し合いに見えたので安心しました(と言うのも変な言い方ですが・・・)。
 キャピュレットの若者に杉野さん発見。結構見分けられる方だと思ってるのですが、帽子をかぶるだけで分からなくなるものですね・・・苦戦しました。舞踏会の後のシーン、ロミオが投げた仮面をティボルに渡したのが彼だと思います。明確な「怒り」を感じ、その空間がキャピュレットの赤の衣装そのままに、炎のような空気を感じました(ほかのシーンではティボルと違って穏やかそうな人柄だったんですけどね)。もうちょっとあちこち見たいのですが、キャピュレットの若者がいる時はティボルがいるのでそちらに目がいってしまうのも事実・・・。
 兼城さんの街の人々は1幕はなんとか見つけられたかな。やはり帽子はくせ者です。そんなに柔軟性の分かる踊りでは見てないと思うのに、相変わらず柔らかくって軽いなあと思いながら見ておりました。

 そんなわけで、偏った見方をすると心に決めた公演でしたので、感想は偏ってます。マルケスずいぶんうまくなったなあとか(前に見たのは初演の時)、哲也相変わらずよく回るなあとか、ロミオとジュリエットの振り付けが細々遅沢&浅川ペアの時と違ったなとか、川村さんやっぱり固い気がするとか、ブレンデンさんいつの間に復活したの!?とか、浜崎さんは今日もよく働いてるなあとか、日向さんの踊りはやっぱり好きだけど役柄は相変わらず興味が持てないなあとか、福田さんは今日も楽しそうでよかったとか、篠宮さんと石橋さんは見分けがつかなかったとか、そんな感じで。終盤、近所で子供が本気で泣いておりましたが、そういえば終盤は暗いし人が死にまくるなあと今更のように思い出しておりました。

Kバレエ
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(2014/06/22(Sun) 00:01:09)





  女教皇(Die Papstin) あらすじ

 ある嵐の夜。村の修道士である父親が弟のヨハンネスを連れて旅に出ていたので、小さなヨハンナは母親と二人で、小さな家の中で過ごしていた。嵐におびえるヨハンナは母親に、彼女の故郷で語られている異教の物語をしてほしいとせがむ。母親はヨハンナに、神々の使者である二羽の大ガラス、フーギンとムーニンの話をし、ヨハンナはその幻を目の前に思い描いた(Boten der Nacht)。すると突然父親と弟が戻って来、禁じられた宗教の話をした母親は父親に激しく罰せられた。
 同じころ、ローマの貴族の息子であるアナスタシウスは、父親アルセニウスの望みの元、やがて教皇となることを決意する(Zum Ruhme der Familie)。
 ある日、父親は旅の学者、エスクラピウスを招く。自分の息子は優秀であるため、教会付きの学校に入れてもらうためだ。しかし父親が信じたヨハンネスの優秀さは、ヨハンナのものだった。教えていないはずなのに文字を読み書きするヨハンナの姿を見てエスクラピウスは感心し、彼女を連れて行こうとするが、父親は逆に激昂し、ヨハンナを厳しく罰した(Wechselbalg )。
 次の夜、ヨハンナとヨハンネスはともに家を出て、エスクラピウスと落ち合った。彼は司教フリューゲンティウスに二人を引き合わせるが、彼もまたその場に招かれていたアナスタシウスも少女を学校に入れることには反対だった。地方伯ゲロルトの提案によりアナスタシウスはヨハンナの知性を試す。難しい問いかけに迷いなく答えるヨハンナのことをフリューゲンティウスも認めざるを得なかった。少女のための宿舎を持たない学校であったが、ゲロルトがヨハンナを引き取ることになり、ヨハンナは学校に入ることを許された(Im Namen des Herrn)。
 しかし人一倍優秀なヨハンナは学校でもうとまれ、エスクラピウスとゲロルトのほかに味方はなかった。
 やがて成長したヨハンナはある日、エスクラピウスがこの学校から離れていくことを聞かされる。気落ちした彼女を、ゲロルトは大市に誘い出す(Jahrmarkt in Saint Denis)。その市でふたりは古代の水力学を用いた機構の描かれた羊皮紙を買った。ゲロルトはその設計図の通り機構を再現する。喜びの中でふたりは互いの思いを打ち明けるが、その関係はやがてゲロルトの妻リヒルトの知るところになった(Wehrlos)。
 ゲロルトが皇帝の軍隊に従軍するために領地を離れることになると(Parasit der Macht)、リヒルトはヨハンナを全く別の男と結婚させようとした。
 そして結婚式の当日…。

スポットライトミュージカル
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(2014/06/17(Tue) 23:01:38)





  Kバレエ ロミオとジュリエット(2014/06/14) マチネ

ジュリエット:浅川紫織
ロミオ:遅沢佑介
マキューシオ:石橋奨也
ベンヴォーリオ:栗山廉
ティボルト:ニコライ・ヴィユウジャーニン
ロザライン:山田蘭
パリス:川村海生命

Bunkamura オーチャードホール
★★★★☆

 主演二人目当てでとった公演ですが、二人のための公演でした。大変楽しかったです。

 最近主演ペアとなることの多い二人ですが、踊りの質も雰囲気も背格好もぴったりと合っているので、見るほどにはまっています。もちろん最近二人とも実力を付けているのもあるのですが、それ以上に「ふたりならでは」の雰囲気を感じることができるのがうれしいのです。ロミオとジュリエットは前回の公演でも見ており、今回も楽しみにしていました。ふたりとも単独で見るとロミオタイプともジュリエットタイプとも言い難いのですが(特に浅川さんのほう)、ふたりならふたり独自の世界を作り出してくれると思えます。初演の時に見た遅沢ロミオがとても好きで、再演の時は「ロミオが遅沢さんだったらジュリエットは浅川さんしかいないかな」くらいの期待感だったのですが、今回は「是が非でもこの2人で見たい!」という勢いでした。

 上で「二人のための公演」と書きましたが、どちらかと言えば浅川ジュリエットのほうが印象的でした。もちろん遅沢ロミオには風格と気品がありつつも若々しさがあり、なにより踊りも絶好調で素晴らしかったです。けれど物語の流れを思い出すと、どうしてもジュリエット寄りにならざるを得ません。また、踊りについても今日の浅川さんは素晴らしいものを見せてくれました。
 ロミオは若い好青年。冒頭のシーンでためらいがちにバラをロザラインに渡す姿が可愛らしいほどに。ただ、その後のシーンに移ったとき風格というか貫禄でちょっと年齢を感じたところはありました。これは隣にいたマキューシオとベンヴォーリオが実際に若く、ほっそりとしていたからかもしれません。でも、基本的にはまだ恋することにあこがれているような青年でした。
 対するジュリエットは本当にかわいかった!浅川さんは団の中でもどちらかと言えば大きな方になると思うのですが、全くそれを感じませんでした。ちょこちょこ動く姿がかわいらしく愛らしい。これは目の中に入れても痛くないと、乳母の気持ちが分かりました。舞踏会のシーンも驚くほど初々しかったです。
 舞踏会での出会いは最初に階上にロミオがいたときからはっきりと始まっていました。「あの人は誰だろう」。誰だか分からない、だけど知りたい。そんな好奇心の高まりが、ふたりをまず引き合わせたように思えました。気のせいか、身を乗り出すように、生き生き伸び伸びとしたジュリエットを見ていたロミオの視線をジュリエットは感じていたように思えました。うまくいえないのですが、何カ所かジュリエットが雑踏の中に紛れは現れているロミオを意識していたような気がしたのです(ああ、またあの人が見ている、誰だろう…という感覚)。それもあってふたりの出会いはとても自然に思えました。出会うべきして出会った、そんな感じさえしました。見つめあっているロミオの目線がジュリエットにひきつけられているのは当然なのですが、「この人はどんな人だろう」と仮面の向こうを知りたいと思っているジュリエットの姿が印象的でした。
 舞踏会の後のほんのわずかな逢瀬すら泣きそうでした。このあたりは完全にお互いのことを知りたいと思い、少し知ったらまたさらに知りたくなる…ということの繰り返しでした。ロミオとジュリエットというのは一緒にいる時間がほんの一瞬でどこに惹かれたのか…を理屈で説明することが大変難しい物語です。だからこのあたりの「知らないけどもっと知りたい」というふたりの胸の高鳴りは「なぜ惹かれたのか」に対する答えに思えました。すれ違う一瞬、指先が触れ合ったとき、ロミオの喜びとジュリエットのどちらかといえば驚きと戸惑いが印象的。
 舞踏会の後のロミオは幸せに酔ってるようでした。マキューシオやベンヴォーリオの声なんて聞こえない(ああ彼女がほほ笑んでる…と幸せそうに明後日の方角を見ているレベル)。一瞬だけ正気を取り戻したように軽く飲みに行こうと誘って、結局は喜びを歌うようにジュリエットの元に戻っていく。このシーンでは喜び一色なのに、もう一度ジュリエットに会うとその喜びがあふれすぎてどこか戸惑いが生まれているように見えました。
 バルコニーシーンは本当に美しかった!ふたりとも踊りが絶好調です。浅川さんのアラベスクの美しさ軽やかさ安定感、遅沢さんのジャンプにも軽やかさと鋭さ、そして安定感がありました。そしてなによりも素晴らしかったリフト!キャストによっては難度の高いリフトと感じる部分にそれを感じず、流れるような美しさと、そしてふたりの胸の高鳴りだけを感じました。リフトが本当に羽のように軽やかで、喜びで飛び立っていくような、愛することを知って自由になっていくような、そんな雰囲気がありました。ふたりの雰囲気は徐々に変わっていくのですが、特にジュリエットが顕著。一瞬一瞬で表情が変わっていく、自分の知らない感情が自分の中にあることを知る。「愛することは喜びを知ること」…がらにもなく、そんなことを思ってしまいました。こうして変わってしまったら、知らなかった頃の自分には戻れないと思えました。一度目のキスはジュリエットに強くためらいと戸惑いを感じ、ロミオの方も壊れやすいものにふれる…というか遠慮というか、そんなものを感じました。キスをした後のふたりは互いに感情があふれ出ていて、ジュリエットには驚きを、ロミオには喜びを強く感じました。二度目のキスはまた雰囲気が変わったのが印象的。最後まで「相手のことをもっと知りたい」という感情を感じ、ごく自然に寝室のシーンにつながっていくと思えるふたりでした。別れ際、お互いにキスを投げて手を伸ばす姿が絵のように美しいと思いました。

 ヴェローナの街に戻ってきたロミオはすっかり恋煩い。なにをするのも上の空といった感じです。「こっちに戻って来い」と言わんばかりのマキューシオに対しても、今までの子供同士のじゃれあいの部分が減って、一人だけ大人びで穏やかに笑うようになったように思えました。マンドリンを手にしたり、お酒を飲んだり、いつものことをしても、いつものロミオには戻らない…そんな風に見えました。若々しさは相変わらずなのですが、ちょっと大人びた空気をまとう遅沢ロミオが本当に素敵。まあ、ジュリエットの手紙をもらってまた有頂天になるのですが。大好きな斜め飛び(名前分からない)も見られて満足です。
 結婚式のシーン。なんでいきなり結婚なんだというつっこみに対しては、誰か(ここではすなわち神?)に祝福してほしかったのかもしれない、それがふたりがこの瞬間一番求めたことなのかもしれないということが思い浮かびました。別れ際のジュリエットが寂しそうに見えて、でももう夫と妻なのだからとどこか安心しているように見えたのが悲しいくらいいじらしかった。
 マキューシオの死のシーンで、ロミオは深い悲しみの中にいるように思えました。我を失う悲しみが彼に剣を取らせた。その悲しみが徐々に怒りに変わり、越えてはいけない一線を越えてしまったように見えました。ちょっと話は外れますが、同じことをこの後のロザラインにも感じました。悲しみが怒りに変わり憎しみの連鎖が続いていく…そんな絶望的な闇の深さがこのシーンにはありました。
 寝室のシーンのやり取りは思ったほど色気を感じず、けれど流れるようなリフトにはバルコニーのシーンと違うものを感じました。知らないものを知りたいというより、お互い知っているうえで互いの思いにこたえていたのかなあと思います(うまく言えない)。息がぴったりという意味では同じなのですが、なんとなく以前より距離が近く、それは物語の中で当たり前で、それがすごいと思いつつ、とても切なかった。ロミオはジュリエットが結婚することを知らなかった…もしくはそんなにすぐ結婚するとは思ってなかったように感じました。ジュリエットの嘆きを受け止めてもなにもできないというもどかしさがあるように思えました。2人でロザリオを見ているとき、二人にとって神の前での誓いがとても大きな意味を持っていると感じました。分かれ間際、なんとなくジュリエットはひばりの声(原作の脚本にあるもの)を聞いているように思えました。「夜が明けてしまう、別れの時が近づいている」そんなどうしようもない現実を、彼女が感じているように見えました。
 結婚を拒むジュリエットは「人形としては生きられない」と訴えているように思えました。それまでの彼女が「父親の人形」であったというわけではないと思うのですが、それでも自分の意志と感情を持ち、望みをはっきりと訴えるところに彼女の強さを感じました(自分の望まない相手と結婚することは「心を殺す」すなわち「人形」になることだと理解したのかもしれません)。ロミオは去って行ってしまった、誰も助けてはくれない、心を殺して生きることはできない、心を殺さなければロミオ以外の人間と結婚なんてできない…そんなどうしようもない行き詰まりが彼女の天への訴えになったように思えました。
 毒薬を飲む前のジュリエットは一時、幸せだった瞬間を思い出します。このシーンはその時の時間を思い出しその時に戻りたいと思う…というイメージだったのですが、幻すら失うことを恐れて、唯一の可能性にかけて毒を飲んだように思えました。
 ジュリエットの死を知ったロミオはもう理性を失っていたので、パリスを殺したことも分かっていない気がしました。ジュリエットを引きずるロミオに一瞬びっくりしたのですが、彼女をどこかへ連れて行こうとしたのだと感じました。彼女は答えないし、抱きかかえると「重い」。この重さがロミオの心を折ってしまったように見えました。抱きかかえてもバルコニーの時のようにこたえてくれない、羽のように軽かったジュリエットはもうどこにもいない…その絶望が、もう二度と取り戻せないという実感がロミオに死を決意させたように思いました。毒を飲み、せめても最後にジュリエットにキスしようとしたけれどそれがかなわず…という流れが印象的。ロミオが息絶える瞬間とジュリエットの目覚めはほぼ同じ。この時の弦楽器の音が「壮絶」という言葉を使いたくなるほど切なく美しくかった。ロミオと、そしてジュリエットが死んでいく様子を、ずっと十字架が見守り続けていたのがなぜか心に残りました。神紙は彼らを祝福していたはずなのに、いや、そもそも祝福なんてしていなかったのか…。天に嘆きを訴えるジュリエットを見ながら、そんなことを考えていました。神も十字架も、もちろんなにも答えない。ジュリエットが死を選んだのは当然というか、それが彼女が「今」感じる望みのすべてに思えました。ロミオから感じたのはまさに喪失感であり、絶望でした。ジュリエットもロミオが死んだと知った時や、毒薬がもう残っていないと気づいた時には混乱と絶望を感じました。けれど最後に感じたのは「今度は連れて行って」という、どこか穏やかにすら思える、祈りのような願いでした。ジュリエットは死の間際、ロミオの傍らにあり、自分の手をロミオの手に向かって伸ばし、体を重ねて死んでいったからそう感じたのかもしれません。天に延ばされた手も含め、絶望で終わるという感じのしないラストシーンでした。
 もっと落ち着いて視野を広く持って物事を決めれば、いつか幸せになれたかもしれません。けれど一瞬一瞬、自分の心に忠実に生きていたふたりでした。それは「ダンサー」の生き方そのものなのかもしれません。穏やかなふつうの人生を妥協して生きるのでなく、今、自分が信じる道を突き進む。その先になにが待っているかなんて考えない。もちろん「若さ」は感じましたが、「若さ故のおろかさ」と感じないふたりでした。一瞬一瞬自分の心に忠実に、自分を欺くことなく、ただ「生きていた」。ふたりの物語は死をもって幕を閉じましたが、その生き方を「悲劇」とまとめることはできない、そんな物語でした。
 プログラムの浅川さんのインタビューにあったように、今感じたことをそのまま演じているというのを感じました。踊っているという感じがせず、感じているままに動いているという感じでした。この2人は本当に素晴らしい!今後とも2人での主演をお願いしたいです。

 主演が素晴らしかったこの公演、若手はまあ、いろいろでした…。本日初役の初日となる石橋さんと河村さんは、昨日の福田さんと栗山さんを思わせるがっちがちぶりでした…。端正なロミオが筆頭ということもあってなんとも端正で品のある悪ガキ三人でそれはそれで目の保養だったのですが、石橋さんがとても固かったのと、引っ張っていけたのがまだ固め(でも昨日よりずっといい!)の栗山さんだったのでなんとも分が悪かったです。石橋マキューシオ、もちろんいいやつでした。2幕で恋煩いのロミオを励ますあたりも、とにかく三人でじゃれているのが一番幸せだと言わんばかりの雰囲気、好きでした。ただ、ティボルトとの決闘のシーンも若干印象が薄くて残念でした。川村パリスは1幕が見ていて手に汗握りました…。踊りもいまいちだったのですが、「婚約者を紹介されて実際に予想以上にかわいくて気に入ったが、そでにされて腹を立てた貴族のボンボン」という感じで、好感度の低いパリスという珍しい存在になってしまっていました。けれど2幕は優しさというか品の良さというか…そういうものが見えてきた気がします。特に霊廟で見せたジュリエットの死への嘆きは、彼もちゃんとジュリエットを思っていたのだと感じられてよかったです。このあと何度か出演があるので、1幕でもその温かさが見えるといいなあと思います。パリスが悪い奴になるとストーリーがちょっと違ったものになってしまうので。
 栗山さんは昨日よりずっと良かったです!マキューシオに引っ張られる弟分の雰囲気もかわいらしかったですし、なによりほっそりしていて柔軟性の高い踊りはとても好みでした。
 ニコライさんのティボルトはどちらかと言えばキャラクター寄り。踊っているという印象はあまりありませんでしたが、特に問題はありません。切れやすいところはありつつも一つ一つの所作に重厚感と品の良さを感じました。ロザラインのことは嫌ってはいないと思いますが、ロザラインの求めるほどの愛情はないのかな?ちょっと公私きっちり分けている感じが、ロザライン目線になるともどかしくもありました。
 蘭さんのロザラインはイメージぴったりだと思いましたが、やっぱりぴったりでした。高嶺の花…とまではいきませんでしたがそれでも美しい、みんなの女神様。色気を振りまくように見えても品格を失うことなく、彼女自身が愛されて当然と思っているように、愛されるのが不思議じゃないロザラインでした。そんな風にいろんな人の気持ちを引いているように見えて、本当にティボルトのことが好きなんだなあと思えるところがとても好き。ティボルトの前にいるときは、恋する乙女というか、なんとなくかわいらしさすら感じます。このギャップがとてもすてき。踊りもとても艶っぽく華やか。最後のティボルトの死のシーンでもっと気迫がほしいと思いましたが、そのあたりは追々よくなっていく気がします。
 びっくりキャストは杉野さんのロレンス!確かに川村さんがやっていましたので誰がやるのかとは思いましたが、とても意外でした。身長的には川村さんより低くロミオよりももちろん低いのに、そのことについて違和感は感じませんでいた。おそらく領主も彼がやったと思うのですが、その堂々とした雰囲気は相変わらず見事でした。もちろん中心に立って周りを制するには足りないところもあるのですが、彼自身がそのことに臆していないのは感じました。初役若手たちの不調ぶりを思うと、大きな役ではないけれどこういうところでもしっかり自分の仕事を全うする彼のすごさを改めて感じます。
 マンドリンに井澤さんがいてびっくりしました。連日ベンヴォーリオのはずなのに、びっくりです。ただ、そのせいか若干お疲れだったのかもしれません。池本さんもどこかお疲れ気味で、ちょっと残念なマンドリンでした。なぜかこのシーンでは視線がさまよってしまい、背後にいる長嶋さんがなんか楽しいことしてるなあと眺めておりました(苦笑)。
 酒井さんのキャピュレット夫人は身長で選ばれたのでしょうか。どうしても若さは感じてしまうのですが、若干「後妻さん?」と感じつつもジュリエットの母親としてあまり違和感はありませんでした。キャピュレット卿については言うまでもなく鉄壁。彼の気品が、この作品全体に品格を与えていると思います。霊廟での二人のやり取りが印象的。悲しみながらもパリスに詫びるように頭を下げた後、キャピュレット夫人の嘆き、そしてなんとか彼女を抱きとめるキャピュレット卿の苦しみ、それは今までキャピュレット家の当主としての振る舞いを捨てて、本当に一人の娘の父と母に戻った瞬間に思えました。

 というわけで、若干問題点が残っていると感じつつも、本当に楽しい公演でした!一回きりなのが残念でなりません。

Kバレエ
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(2014/06/16(Mon) 22:48:20)





  Kバレエ ロミオとジュリエット(2014/06/13)

ジュリエット:荒井祐子
ロミオ:宮尾俊太郎
マキューシオ:福田昂平
ベンヴォーリオ:栗山廉
ティボルト:杉野慧
ロザライン:浅野真由香
パリス:ニコライ・ヴィユウジャーニン

Bunkamura オーチャードホール
★★★☆

 Kバレエの若手公演はうまい具合に化学反応が起こらないとつらいということを如実に感じた公演でした・・・。くるみ、バヤデールといい具合に化学反応が起きた作品が続いてたから忘れてましたが、こういう、テンションがあがらず過ぎていってしまう公演があったことを、久しぶりに思い出しました・・・。
 先にまずかったことを言ってしまうと、荒井さんと宮尾さんはやっぱり相性が悪いと思います。再演に引き続き2回目だから・・・と思いましたが、残念ながらさっぱり心動かされませんでした。荒井さんのジュリエットはKバレエ初演で一番最初に見たジュリエットですが、本当に感動的で大好きですし、宮尾さんもうまく作品にはまればいいということをバヤデールで感じました。お互いの呼吸が伝わってこないと言うか・・・それぞれ以前よりうまくなっているのが分かるのに、バラバラの世界で踊っているようにさえ感じました。一目惚れの運命の恋は「なんで恋してるの?」と思わせちゃだめなんですよね・・・。荒井さんについてはその手の不満を感じたことはありませんし、宮尾さんもバヤデールでガムザッティと「運命の出会い」をしていました。そのとき感じた胸の高鳴りを今回は感じることができず、そして二人の若い故の疾走が物語の要となる作品では、二人の間の愛情が感じられなければほかがどんなにもり立ててもおもしろくないものだとしみじみ感じました。

 全体的に若手公演というせいもあってか、序盤が固く、さらに言えば主演カップルがあまり場を暖められず、なにが原因と言いきれないですが、盛り上がりに欠ける公演でした。今回が初役という人も多く、そういえば退団者多かったなあと久しぶりに思い出してしまいました。
 そんな中ですごく印象的だったのがまず井上さん。1幕の冒頭はこんな大きな役が付いたのは初めてであろう栗山ヴェンヴォーリオ(とても細身で端正、そして宮尾さん以上と思われる長身!)とこれまた抜擢と言っていい福田マキューシオががちがちに固く、まず盛り上がれませんでした。Kバレエのダンサーって飛んで跳ねてがうまいという以上に、舞台の上でいきる、演じる喜びを知っていると思うのですが、それが感じられない。若い、ある意味盛り上げ役と言っていい二人にそれを感じなくてどうしようかと思っていたのですが、そんな中見える井上さんの踊りがなんとも鮮烈なこと!一挙手一投足が流れ星のように強い光を放っており、しかし動きが正確で勢いがあり、思わず目がいきました。勝ち気でどこかコケティッシュ、みんなを引っ張って行けそうな姉御肌でもあり、大変魅力的でした。
 お目当ての杉野ティボルト、よかったです。2幕がとてもよかったので1幕を思うとまだ調整中だったかなと思うのですが、出てきた瞬間からぶち切れた目をしており、なんというか、作品に入れているという安心感がありました。若いなあと感じるところありつつ、帽子が似合わないなあと思うところはありつつ、でも臆すことなく舞台の真ん中にいる姿、切れてても品格を失わない所作がとても気に入りました。なんとなく剣の強いティボルト・・・という感じがしました。
 マキューシオベンヴォーリオはどこから・・・と言うわけでもありませんが、マキューシオが引っ張っていく形で徐々に作品に入っていった気がします。福田さんのマキューシオは品のよい端正さがあるけれどひょうひょうとつかみ所がなくそして女好き。2幕でいろんな娘さんたちと仲良くしていましたが、それが絵になるというかほほえましいというか、不思議な雰囲気です。ロミオの恋わずらいを心配したりベンヴォーリオを引っ張っていったり、若干兄貴風吹かせているところも好印象。後半になるほど足取りも軽くなり、ひょうひょうと生きていることそのものが楽しそう。不思議とあの奇抜な色の衣装も似合っており、最初はどうなるかと思いましたがとても好きになりました。ベンヴォーリオも話が進むにつれて個性が見えてきます。細身の長身ということで一瞬弟分に見えないのですが、どこかおっとりしている雰囲気が末っ子気質という雰囲気を感じました。踊りもさわやかというか軽やかと言うか・・・もうちょっと足先までコントロールできてる方が好みですが、あの長身なので今は厳しいかなあとも思います。先々楽しみです。
 もともとティボルト大好き人間なのでティボルトとマキューシオの決闘が結構クライマックスになりがちなのですが、今回は間違いなくそのパターンでした。まず酔っぱらいティボルトがすてき。多分、キャピュレット卿にこってりとしぼられたのでしょう。完全に前後不覚であり、けれど品格を失っておらず、ちゃんと色気も伴っているのに驚きました。うーん、このバランス、どうやって覚えたのかしら・・・。踊りにも安定感があり、ファンとして一安心です。マキューシオとの決闘シーンはお互いの力の加減を知ってるからこそと言うか・・・全く手加減なしという決闘で迫力がありました。このシーンはティボルトが弱い、マキューシオが強いどちらかを強く感じるのですが、今回は後者でした。1幕からティボルトは結構強いように思えたのですが、ひょうひょうとしていてマキューシオの腕前はそれ以上。ギャップ萌えと言いますか、迫力満点でなおかつティボルトを軽やかに手玉に取るマキューシオがとても魅力的に見えた瞬間でした。
 マキューシオの死はティボルトも見たいしマキューシオも見たいしで視線がさまよっておりましてなんとも言いがたいのですが・・・ティボルトの方を結構見ていたのですが、「自業自得だ」と言わんばかりの表情には空恐ろしさを感じます。目のはしにマキューシオが入る程度だったのですが、血が流れているという演技、程良く力の抜けた踊りが魅力的で、思わず見入っていました。
 ・・・と、このあとロミオとティボルトの決闘になるわけですが、今回一番印象的だったのはこのあたりでした。そのあと、あまり心に残らなかったのが残念です・・・。
 マンダリンボーイズ(勝手に命名)は皆さん良いバネを持っているので視線が定まらず大変でした、目が足りない・・・。とりあえず池本さんが相変わらず端正でつま先がきれいなのと、兼城さんが軽やかだったのが確認できたので満足します。2幕のモンタギューボーイズ(勝手に命名)の中に浜崎さんがいた気がします(キャスト表がないので自信なし)。足のラインがとってもきれいになってました。
 女性については大好きな日向さんがジュリエットの友人しか出ず、この役がいまいち好きになれないのでテンションが低いままです。浅野さんのロザラインは悪かったところはないのですが、でも印象が薄のも事実・・・。
 演出として大きな変更はなかったと思います。なにせ再演をあまり見てないので印象が薄のでよく分かりません。
 というわけで若干テンションいまいちですが、始まりましたロミジュリ月間、今回もちょっと通います。

Kバレエ
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(2014/06/13(Fri) 23:31:41)




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