観劇+αの日々 ホーム | モバイル
04月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30


  「Kolpings Traum(コルピングの夢)」について

 ドイツのFuldaに拠点を置くスポットライトミュージカルプロダクションの5作品目。実在の聖職者、Adolph Kolpingの若い頃の話です。
 このミュージカル、私は2013年初演と今年の再演、両方見ることができました。個人的にはとても好きな作品なのですが、「評価」をするのがとても難しいです。
 どういう話なのかと言いますと、なにせ日本語の資料がほぼない状態なのでつたないドイツ語に頼ることになりますが…。「羊飼いの元に生まれ靴職人であったコルピングが修道士となり、人々を助けるために職人協会を造る決意をするまでの話」となります。実際のエピソードをつなぐのでなく、靴職人仲間のカールとその妻スザンナが没落していくことでコルピングは教会の中の世界にとどまっているだけでは人々を救えないことを学ぶ…というような物語になっています。
 この作品、欠点ははっきりしています。なんというか、話の流れがお行儀よすぎるというか分かりやすすぎるというか、とにかく遊びがほとんどなく「偉人伝」となってしまっているところです。いろんなエピソードを通じてコルピングが成長していくのは分かるのですが、このイベントがあってこういうことを学んだ…というのがいかんせん、言葉が分からないのに、分かりやすすぎるんです。スポットライトミュージカルの作品4作品見ていますが、ここまで誰に見せても問題ない、一から十までしっかりしたお説教ミュージカルってほかにないですよ…。
 質が悪いことに…と言ってしまってもいいかな、いろいろつっこみを入れたいのですが、一応実話ベースなのでむやみにつっこみも入れられないですよね(苦笑)。羊飼いスタートで修道士になったというだけで十分立身出世ですし、そうやって貧しい中から夢を叶えたのだからそこでの地位を固めることに腐心すればいいのに、「すばらしいお説教」するだけじゃ人々が救えないと教会を飛び出したのもすごいと思う。また、「血を流さずに貧しい人たちを救いたい」という考えも理念だけならきれいごとですが、「そういう理想だけではなにもできない」ということさえも物語で表現されていて、実際に血を流さずに人々を救った人の実話ベースの物語なのでつっこみ入れる隙がありませんし、労働者一人一人では資本家に各個撃破されるだけだからみんなで力を合わせよう!という理念もなんら間違ってません。…という、間違ったことはなにひとつ言っていないのですごくつっこみ入れるのが難しい作品だったりします…。ミュージカルとしてもうちょっと表現をがんばってほしいところもあるのですが、なにせ小さなプロダクションががんばって作った新作だとか、ダブル主人公と言えるコルピングとカールは二人ともこのプロダクションが発掘したと言っていい若手だとか、結構がんばってるのが分かってるので、どうもきついことが言いづらいのです。
 …といろいろ言ってしまいましたが、たぶんこの作品好きなんだと思います。好きじゃなければ、遠征しなきゃ見れない作品を5回も見てません(笑)。去年も今年も、この作品を見られる日程で旅程をくみました。役者目当てということは否定しませんが、なんだかんだで見れば楽しんでしまう作品です。
 良くも悪くもまっすぐな作品です。コルピングのきまじめな性格…痛い目を見てもまっすぐ前を見つめ続ける姿はとても好きです。カールの兄貴分気質はコルピングとは全く趣をことにしてますが、それでも真っ直ぐで見ていて心地いいです。若手二人が全力で、自分らしさを保ったままそれぞれ別の人生を歩いていくというのが、オリジナルミュージカルとしてとてもおもしろいです(二人が逆の役を演じるなんてあり得ないと思うほど、二人とも彼らの役を演じています)。工場の経営者のカルヒャーは悪役と言うべき役ですが、どちらかというとエンターテイナーのよう。Claus Damがベテランの底力を見せてくれています。カールの妻スザンナはどちらかというと苦難に耐える感じで、Sabrinaが演じる役じゃないんじゃないかと思うこともありますが、苦しみを大きな声で訴えるのでなくじっと心に押し込めている姿はベテランの風格すら感じます。
 そんなわけで、いろいろ思うところはあれど、なんとなく見に行ってしまう好きな作品です。
 物語としてはコルピングが靴職人としての境遇を嘆き故郷を飛び出していき同じく靴職人のカールとケルンに行きます。ケルンでカールは工場での仕事を見つけ、スザンナという靴職人の娘と結婚します。コルピングは工場の持ち主カルヒャーの病気の妻フリーダの朗読者を経て修道士になるためにケルンから旅立ちます。数年後、修道士となったコルピングはケルンまで戻って来ますが、そこでカルヒャーのやり方に異議を唱えたために工場を首になり職にありつけなかったカールと再会します。…ここまで書けばなんとなく「やりたいことはわかるんだけど…」と私が思った理由もわかっていただけるかと思います(苦笑)。いい話は、いい話なのです(だから突っ込みづらい)。

 音楽視聴
 CD


スポットライトミュージカル
| Link | Trackbacks:0 | Comments:0
(2014/08/31(Sun) 23:25:10)





  VAMP 〜魔性のダンサー ローラ・モンテス〜(2014/08/25)

黒木メイサ:ローラ・モンテス
中川晃教:フランツ・リスト
水田航生:トーマス・ジェームズ
新納慎也:アレクサンドル・デュマ
中河内雅貴:アレクサンドル・デュジャリエ
早乙女太一(友情出演):/(闇)
橋本さとし:ルートヴィヒ1世役

EX THEATER ROPPONGI

 実在のダンサー、ローラ・モンテス…ある悪女の物語。
 観劇の前にちょっと調べてから行きました。色々な男たちを渡り歩いた…とあったので、きっと美しく妖艶なダンサーと、彼女に魂を奪われ、地位も身分も財産もあったのに破滅していった男たちを描いた、破滅していく男たちとそんな男たちを踏み台に一層輝いていく女の、ダークで色気のある物語かなあと思っていました。思ってたんですけど違いました…。うーん、「男性が作った作品」だと思いました。暗くって大人向けの作品ではあるのですが、色っぽいというよりえろい。そして「運命に翻弄された哀れな女」の側面が強く、「男性が理想とする女性像」をひしひしと感じてしまいました。特に終盤に行くほどそれが強かったので、そういう作品だと割り切るしかないのかなあと思っております。

 作品として一人の男とひとつの花とその色がモチーフとなって物語が進んでいくのが面白かったです。映像的…とほかの方が言葉にしているのを見てはじめて気づきましたが、ちょっと普段見ている舞台と雰囲気の異なる演出も興味深かったです。冒頭のシーンで5人の男たちとそれぞれとローラの関係が文字で出てくるあたりなんか象徴的なんですが、このはじまり方結構好きです。ただ、作品のつくりは丁寧ではないので、一人一人の男とどう出会ってどんな情熱が交わされて男は破滅し女はより輝くか…という側面が薄かったのが残念でした。アイディアは面白かったので、もう少し生かしてほしかったなあ。ちなみに個人的に一番ずっこけたのは最初のシーンでローラが「(ドレスの)ファスナーあげて」と言うところ。「彼女の時代にファスナーあったっけ!!??」となってしまって話に入り込めなかったんですよねえ(苦笑)。(ちなみに調べたら「1891年に米国ホイットコム・ジャドソン氏が、靴ヒモを結ぶ不便さを解決しようと考えたものがファスナーの起源とされています。」だそうです(YKK株式会社HPより)。ローラは没年1861年)

 役者目当てで行ったのですが、うわさに聞いていて初めて見た早乙女太一さんは本当に素晴らしかった!「闇」という役柄そのものの存在。艶やかに滑らかに存在する漆黒の中で、最も暗く最も美しい部分がそのまま人間の姿を取って動き出したみたい。あの存在感は一見の価値がありましたし、心を奪われました。殺陣はメイサさん相手だったのでゆったりとしたものでしたが、その動きの美しいこと美しいこと!体の動きの美しさや剣の動きの美しさや鋭さを持っているのはもちろん、翻る手首がなんとも美しく滑らかでした。2階席からだったのに、オペラグラスなしでも細かい動きが目に焼き付く美しさでした。
 もう一人のお目当てだった中川さんは、ローラとのシーンが…その…苦手なタイプのエロで…つらかった…。これだけだったら目も当てられないと思いましたが、ストーリーというより物語のテーマを語るように途中で歌が入ってくれて安心しました。彼を見るのは何年振りか覚えていませんが、相変わらずというかますます素晴らしくなっていますね!そんな声の出し方をしてよく喉を壊さないなあと驚くような、叫ぶような高音を、耳に心地よく歌ってくれる人ってそうそういません。5重唱になってもその独特の声ははっきり聞こえました。やっぱりすごいなあ。

 ところで、この劇場初めて行ったのですが、新しい劇場なんですね。これから稀にミュージカルもやるようなので、覚書程度に。六本木駅から徒歩10分圏内と結構近いのがありがたいです。駅から劇場に行くまでにもおしゃれな感じのお店が結構あって、ほかの劇場に行く時と違う気分になりました。劇場は地下2階と地下1階で実質1階部分と2階部分になってます。客席数900人くらいということですが、四季劇場に慣れてると若干大きな箱に感じるかも。2階席が若干高いのが気になりました。その代り四季劇場みたいに窮屈な感じはしません。
 「ONCE」というミュージカルが11月に上演されるのですが、オーチャードやオーブみたいに無駄に馬鹿でかい箱じゃなくってこういうところで見たい!と思いました(BW作品ですが、なぜか周りに見に行った人がいたうえに絶賛してるので気になってる)。1階席部分には降りていきませんでしたが、オケピの概念がない、舞台の低い感じの劇場だったので、面白そうでした。でも、これ絶対見るなら1階席です!2階席だと全体を見るのにはいいですが、プロモーションを見る限りでは一体感を楽しむ作品みたいなので、1階席のほうがいいなあと、座ってもいないのに思っております。

ミュージカルその他
| Link | Trackbacks:0 | Comments:10
(2014/08/27(Wed) 23:35:49)





  フリードリヒ(2014/08/02, 2014/08/03)

★★★★☆

 初演の頃からあこがれ抜いてようやく見に行けた作品。DVDがあるので一応全編通しでは見ていたのですが、そうなると一層生で見たくなるというのが舞台おたくの業というもの。見たい見たいと言い続け、日程が決まった瞬間に今回の旅程はほぼ決まりました。作品としてたくさんの欠陥があるのはわかっているのですが、大好きな作品です。

 プロイセン王国の強大化に努めたフリードリヒ2世の物語。老年期の王が、若い頃処刑された親友カッテの幻影とともに自分の人生を振り返る・・・という形で物語は進んでいきます。

 ちなみにこの作品、ドイツ語の難度がかなり高いです・・・。偉そうに感想を言っておりますが、聞き取りはかなりひどいものです。その点ご了承ください。

 スポットライトミュージカルはほぼキャストを見に行くためにあるものだと思っていますが、今作もその通り。テープ演奏だしダンスの振り付けは相変わらず全部やり直すべきレベルだし(いえ、正確にはずいぶんやり直してるんですが、振り付け家が同じだから方向性は全く変わっていないという・・・)、そのほか諸々欠点はありますが、キャストの方々の完成度の高い演技を小さな劇場で見ることができるのがこのプロダクションの作品を見る楽しみの一つです。
 主演Chris Murrayは鉄板。若干精神分裂気味のカリスマ的な君主を、その多面的な魅力をうまく一人の人間としてまとめていました。語り部として幕開きから長い時間舞台の上にいるのに歌うのは終盤3曲連続という偏りっぷりですが、年齢や心情をうまく演じ分けてるのでくどく感じませんでした。彼は演技がおもしろく歌も迫力があるので主演で見ると大変楽しいですが、ロングランの看板俳優と言うには若干弱い。こういう地方劇場で一番生きる役者さんだと思います。君主として全盛期であろう中年の頃の闊達な雰囲気、老年期の誰も信じない人間嫌いのやっかいな老人という雰囲気。厳しさと統率力、そしてその影に人間らしい苦しみや悲しみが見え隠れし、そして青年期になくしてしまったはずの愛らしいとさえいえる雰囲気もちゃんと残している。このあたりのバランスが絶妙で、Chris Murrayという役者の多面性を余すことなく引き出していると思いました。ミュージカル俳優として見頃のこの時期に、彼ありきの作品を見ることができて本当に幸せです。
 Tobias Bieriのフリードリヒ、2年の月日が流れているのに変わらない瑞々しい好青年でうれしかった!「ソプラノ」と言いたくなるほどの柔らかな声は健在。繊細で、音楽と詩を愛した皇太子・・・という言葉にぴたりとはまる。どこか浮き世離れした透明感のある雰囲気がこの作品にぴたりとはまっていると思ったので、彼が2年前のままの独自の柔らかさを持ち続けていたことをうれしく思いました。多分年齢的には20代前半から半ばくらいだと思うのですが、欧州の俳優さんでその年代でも「永遠の少年」らしさを保っているのって珍しいと思います。しかも彼の場合は性別すら置いてきてしまったかのように見えるほど、不思議な透明感がある。どこか夢見がちで愛情過多な少年。ヴィルヘルミーネやカッテに示すその愛情表現も押しつけがましくなく、年頃なのにどこかほほえましくさえ見えます。一方で王者としての資質というのでしょうか・・・王太子時代では父親とその臣下たちに「プロイセンの恥さらし」とそしられても折れない強さがありましたし、即位してからは王太子時代と変わらぬ優しさの陰に王者としてのしたたかさが見え隠れしているように感じました。(というか、即位後はわずかな登場時間でしたが、少年時代の若々しさというか瑞々しさというかそういうのが失われていて、ちゃんとコントロールしてるのかと驚かされました)
 カッテのMaximilianは初演と同キャストですが、ヴィルヘルミーネが変わったことによって過去のシーンが若干変化した気がします。「青年期のフリードリヒの親友」という設定は変わらないのですが、若干フリードリヒの庇護者の側面が強くなった気がします。「親友」「臣下」であることは変わってないのですが、DVDの時よりも年齢差を感じ、年上の余裕を持ってフリードリヒを見守っている感じがしました。「幻影」カッテはどこか皮肉屋。場面が変わると雰囲気ががらりと変わります。フリードリヒのことをどこか嘲笑しているかのように思える。彼が「何者」なのかについては作品のテーマに関わると思うので後述します。ほぼ出ずっぱりなのに歌のシーンがほとんどないのは相変わらず。それがちょっと残念でした。
 初演から変わったフリードリヒの姉ヴィルヘルミーネはSabrina Weckerlin。役者としては、言い方は悪いですが格が上がったわけですので、もちろん外すことはありません。DVDとイメージは違いますが、フリードリヒより一層年上という雰囲気になっていただけで、それ以上の違和感はありませんでした。変わったとすれば1幕でのフリードリヒとの雰囲気が恋人同士とのそれに近づいていたということでしょうか(笑)。喧嘩して仲直りしてじゃれあって・・・というやりとりが姉弟のそれよりは若い恋人同士といった方がしっくりくる雰囲気でした。終盤の年老いた姿も、違和感がないと言えば嘘になりますが、しっかりと年を重ねた貴婦人の姿になっていました。彼女の魅力が100パーセント出る役かというとちょっと違いますが、それでも魅力的なヴィルヘルミーネでした。ショーストッパーChris Murrayとの二重唱は予想通り圧巻でした。
 キャストのバランスの良さはDVDを見てしみじみ感じていましたが、今回も改めて感じました。若老フリードリヒ二人は背格好が似ているというプラスポイントを存分に生かしていたと思います。また、老フリードリヒの動きがまれに若フリードリヒを思い出させ、年齢的に全く似ていないのに、老フリードリヒに若フリードリヒを重ねることがありました。Chris MurrayもTobiasも「背が低い」というほどまで低い方々ではありませんが、周りとのバランスのせいか小ささが際立っている気がしました(史実的にオッケーらしい)。その背の低さが、若フリードリヒのかわいらしさや愛されている雰囲気を出していたと思いますし、逆に老フリードリヒは若干小柄ながらも周りを圧する威圧感を出していたと思います(若い背の高い兵士を若干見上げる形ながらも叱責していたシーンなんかが象徴的)。若者3人についてはDVDと違うバランスできれいにまとめていたと思います。DVDでは3人一緒にまとめてじゃれあってた気がしますが、今回はカッテとヴィルヘルミーネがそろって大人になっていた印象。フリードリヒだけ夢見がちな少年のままでしたが、彼が将来の主君とわかりつつ一歩後ろに控えながらも、彼の目線にあわせて夢を分かち合う姿は相変わらずほほえましかったです。カッテとヴィルヘルミーネが恋仲というオリジナル設定もあり、1幕後半はいったいどこをどう説明したらいいのかわからない奇妙な三角関係になっておりました(笑)。3人がそれぞれの理由でほかの2人を思い合っていたのがわかるから、そしてそれがすべてうまく行っていた時間があるとわかるから、カッテの死によってすべてがバラバラになってしまったことが悲しくて仕方ありませんでした。
 父王はClaus Dam。イメージと違いましたが、そのあたりはベテラン、外しませんね。最初は息子への愛情が見えて驚いたのですが、アウグストスに招かれてフリードリヒがフルートを吹いたときの表情が印象的でした。「自分の息子が望んだ通りの人間に育ってないと気づいて忌々しく思っているが、それ故に大騒ぎして場の雰囲気を壊すまでのことはしない」という、苦々しさを理性で隠しているような表情でした。彼のいらだちは結局爆発し、「望み通りに育たなかった」息子を失敗作のように、冷静に判断した上で殺すように思えました。自分が間違っているとは決して思っておらず、きちんと判断した上でフリードリヒを殺すように思えたので、カッテを敵と判断した後は彼を殺すことにためらいなんかなかったと思うのです。DVDと雰囲気は違いますが、説得力と存在感のある父王でした。いや本当にさすがです。

 観劇にあたって、資料の量からしたら「ほんの少し」としか言えないのが残念ですが予習をしました。日本語の資料とドイツ語の資料で内容の偏りがあるかとかそんなことに足をつっこめるはずがなく、日本語の本すらろくすっぽに読んでないレベルなのですが、一点気になることがありました。ミュージカルに史実云々を言い出すときりがないのですが、日本語だとWikipediaにも載っているカッテ処刑のシーンが全く違うんですよね。フリードリヒはカッテに許しをこうてないし、カッテはフリードリヒに心を伝えていない。処刑の前にカッテが手紙を読んでいる演出なのでカッテはフリードリヒの思いを知って死んでいったのは間違いないでしょう。けれど逆にカッテがなにを思って死んでいったかをフリードリヒも観客も最後まで、もしくは最後になっても知ることはない。「私は殿下のために喜んで死にます」というメッセージをフリードリヒがカッテから受け取ることはありません。まあ、どういう状況下でこのやりとりをしたのかということをふまえてこれらすべてを「創作」と切り捨てたのかなあと勝手に思っています。そうなってくると気になるのが回想シーンと過去のシーンの違い。冒頭のシーンでフリードリヒはカッテに謝っていますが、実際は謝っていない。謝るのはラストシーン、つまりフリードリヒ自身の寿命が間もなくつきるころです。謝って許しを得て、フリードリヒはようやくカッテと目を合わせます。それまでは幻影カッテがそこにいることを若干目の端でとらえている気はしましたが、目を合わせることはありませんでした。幻影カッテはどこか嘲笑的です。書記官(?)に自分の半生を語っているとき、フリードリヒのことを否定的に口を挟みます。もう一点、この作品ではカッテの死後なにがあったかはフリードリヒが口で語るのみで、若いフリードリヒが次に観客の前に姿を現すのは即位してからになります。「カッテの死」「即位」の別の事象をある程度一つにまとめている気がするんです。そう考えると「カッテの幻影」とは「カッテの死、もしくは即位の時に失ったフリードリヒの若い頃の考え」の象徴かなあと思うのです。いくつもの戦争を乗り越えて国力を増強していったフリードリヒ大王。そのやり方が国のために正しかったという王自身とそれによる影の部分を語ったカッテの幻影、つまり王のもう一つの心なのかなあと思っております(あくまで聞き取れた狭い範囲内で)。基本的にその印象で間違いないのですが、違和感を感じたのは「生き写し」をフリードリヒが歌った後、カッテがフリードリヒに杖を差し出すシーン。このシーンからラストシーンまでは「カッテ自身」だと感じました。嘲笑的なわけでも見守っているわけでもない。ただそこに、「いる」。それ故に不思議と「そばにいたかったカッテ」「そばにいてほしかったフリードリヒ」という構図を強烈に感じました。フリードリヒはずっとカッテに謝りたかった、けれどカッテに謝るということはある種矛盾した自分の人生を否定することであり、それを認めると王でいられなかった、だから今まで謝ることができなかった。年を取って弱ってそれこそもう自分が長くないと理解して、ようやくカッテと和解した・・・それは結局年若かった頃の自分に戻ることだったのかと思っています。カッテから許しを得たときの老フリードリヒの、子供のような笑い顔を見ながらそんなことを考えていました。
 長い文章の割に分かりにくくってごめんなさい。うまくテーマを言葉にしたいのですがなかなかうまくいかない・・・。
 そして、やっぱり最後の最後、カッテが一人階段を下りていって姿を消す理由はいまいちわかりませんでした・・・。

 演出は基本的にDVDと同じ。あまり好きではありませんが、見慣れたせいか生で見たせいかDVDで見たときより分かりやすくなっている気がしました。カッテ処刑後フリードリヒ即位までに色々ありつつ時間が流れたのも、サンスーシー宮殿で老フリードリヒが出てきたのも不思議と唐突さを感じませんでした。
 DVDとの変更点は、気づいた限りでは以下の通りです。
・「Wir Beide Gehoren Zusammen」は振り付け一新。むくれるフリッツをヴィルヘルミーネが慰める感じかな。喧嘩して仲直りして・・・の距離間のとり方(といか緊張感?)がまるで幼なじみの恋人同士みたい。
・カッテが最初からヴィルヘルミーネに好意を抱いてるのが分かりやすくなった気がする。
・オルセルスカとはちょっとお話する程度。気になってフリッツから追いかけるみたい。ヴィルヘルミーネは残念そう。そこでカッテがダンスを申し出る。ダンスは一新だが相変わらず。
・「Spiel Mich」年上のお姉さまに目隠しされたり服脱がされるフリッツ。どうしろと。
・「Uns're Zeit」振り付け半分くらい変わったかな。カッテとヴィルヘルミーネの二人が「もう仕方ないなあ」と完全に年上の余裕でフリッツ接してる。恋人同士というか夫婦が子供見守るレベル。
・「Die Schande Preussens」、ラストで男性陣がフリッツをとりかこむ。
・ヴィルヘルミーネとカッテ、完全に大人の恋人同士。ただ若干ヴィルヘルミーネはフリッツにやきもちを焼かせようとしてる?
・父王の虐待は腹部を杖でたたく→階段をつき落とす。階段の影に隠れなくなった。
・「Nur Darauf Kommt's An」序盤は多分歌詞も違う。

 方向性としてはキャスト変更に伴ってかヴィルヘルミーネ、父王のあたり、劇場の大きさのせいか振り付け全般が変わっていた気がします。振り付けの変化はほとんど意味がありませんし、ヴィルヘルミーネのあたりはどちらでも悪くない。いい変更だと思ったのは「Die Schande Preussens」のあたり。1回目はDVDでは父子の対立を描いているような気がしましたが、今回はフリードリヒの味方をするものなどいないという面とそれでも彼が折れない強さを持っているということを表していた気がします。2回目は父王の暴行を受ける姿が観客に見えるようになったのですが、ほんのささやかな違いでどれだけフリードリヒがひどい目に遭っているかよくわかりましたし、なによりなにが起こってもフリードリヒを助けようとするのはカッテだけ・・・という面が強調された気がします。わずかな違いですが、この二点は気に入っています。

 基本的にサブタイトルはドイツ語の「神話と悲劇」ではなく英語の「Long way to Sanssouci」が好きです。けれど実際に見て、「大王の偉業」という神話と、青年時代の自分を殺して王になったフリードリヒの人生を「悲劇」といっているのかとなんとなく思いました。
 正直、脚本がはっきりわからないと批評していい作品ではないと思っています。それでも見ている間は楽しくて楽しくて仕方ありませんでした。・・・話としては最初から最後まで暗いのですが・・・。とにかく暗くって気持ちが沈む作品ですし、老フリードリヒがヴィルヘルミーネと決裂・・・王であるために愛する姉のために開かれていた扉を自分で閉じた後で肩を落とした背景で「七年戦争」の曲が始まるあたりなんか死にたくなるくらいつらいです。それでも、やはり好きな作品だと思いました。またいつか再演の機会を得て、私もまた見に行けることを祈ります。

 そのほかのキャストのこととか細かいこといっぱい書き残してますので機会がありましたら続き書きます。

スポットライトミュージカル
| Link | Trackbacks:0 | Comments:7
(2014/08/19(Tue) 23:17:54)





  Kバレエ新シーズン昇格入団退団情報

いまさらですが…。

【昇格】
Principal Soloist
白石あゆ美

First Artist
石橋奨也
梶川莉絵
國友千永
益子倭

Artist
加瀬愛実
西口直弥

白石さんの昇格はうれしいです!
カルメン、本当に期待しています。
石橋さん、益子さんの昇格は納得。
梶川さんはたまーに気になっていた方なのでうれしいです。

【入団】
Artist
本田祥平
小林美奈
中西夏未
涌田美紀
和田瞬
矢野政弥

Apprentice
片岡沙樹
大川すみれ
宇多優里香
和佐七海
吉田このみ

先日小石川スクールのパフォーマンスで見かけた方もちらほら。
先々が楽しみです。

【退団】
Soloist
日向智子

Artist
愛澤佑樹
浜崎恵二朗

日向さんははっきりと、浜崎さんはうっすらそんな気はしていたので心は穏やかです(しくしくしく)。
日向さんについては、これは良し悪しですが、ロミジュリ公演期間中に退団がなんとなくわかったので、最後の最後踊りをしっかり見届けることができました。
この先どうなってしまうかわからないので、そうやって「区切り」をつけられるとありがたいです。
…浜崎さんと愛澤さんは見届けてないんでちょっとへこんでおります…。
浜崎さんはロミジュリでようやくいい感じになってきて楽しみだったのですが…。
残念です。
別の場所でお目にかかれることを祈っております。

Kバレエ
| Link | Trackbacks:0 | Comments:0
(2014/08/18(Mon) 00:40:58)





  ミュージカルショップSoMのセール対象品あれこれ

 ドイツのミュージカルショップ、Sound of Musicがセールをやっております。気になるものは持っておりますので、せっかくですから同じ作品のCDの違いなんかを勝手に語ります。詳しい出演者はリンク先を確認していただきたいのですが、メモ書き程度に来日した方のお名前並べています。

・エリザベート
201408_eli_0.jpg 201408_eli_1.jpg 201408_eli_3.jpg
左:Maya Hakvoort, Mate Kamaras, Andre Bauer
真ん中:Annemieke van Dam, Mark Seibert
右:Annemieke van Dam, Mark Seibert
 全曲収録版はこの3つ(それ以外は一部収録やカラオケ)。左右がウィーン劇場協会です。
 左につきましては全く違うので詳しくは言いませんが、右のふたつについてちょっと違いを説明します。真ん中がドイツツアープロダクションで、右がそのツアーが終わった後のウィーンプロダクションです。キャストはエリザベート、トート、ルキーニが同じですまあ、オーケストラはウィーンの方がいいです・・・。あと、メインが演じ慣れているため、こちらの方がよいとは思います。・・・・・・・・・・・。私は真ん中のCDでフランツを演じているMathias Edenborn(ウィーン版R&Jのベンヴォーリオ)が大好きです・・・(涙)。

・モンテクリスト伯
201408_monte_1.jpg 201408_monte_2.jpg
左:Patrich Stanke, Mark Seibert
 左が英語版、右がドイツ語です。歌詞カードはともになし。両方ともスタジオ録音です。左の方が上演前に発売されたもので、キャストが豪華です。右の方は実際に上演されたときのキャストなので若干演技がしっかりしてるかなと思いつつ、聞き比べないとわからない程度の違いではあります。キャスト目当てなら左側、ドイツ語目当てなら右側だと思います。というか、どちらも趣が違うので、結構交互に聞きます。

・レベッカ
201408_re_1.jpg 201408_re2.jpg
左:Uwe Kroger, Andre Bauer
 左が初演のウィーン劇場協会のもの、右がステージエンターテイメントのものです(全曲収録はこの2枚だけ)。ザンクトガレン公演のCDは残念ながらありません・・・。「どちらか」といえばやはりウィーン劇場協会プロダクションの初演版をおすすめします。けれどステージエンターテイメント盤のダンヴァース夫人は初演エリザベートのPiaなので、こちらはこちらで聞き応えがあります。

・ロミオ&ジュリエット・ルドルフ
201408_RJ.jpg 201408_R.jpg
左:Lukas Perman, Marjan Shaki, Mark Seibert
右:Uwe Kroger
 どちらも2枚CDがありますが、1枚がコンセプト盤、上記の画像のものが全曲収録盤です。一通り持っておりますが、上記作品については全曲収録盤を持っていれば十分かと思います。ルドルフはDVDもあります

・ツタンカーメン
201408_t_1.jpg 201408_t_2.jpg
両方:Andre Bauer
 傑作ではありませんが、オリジナルミュージカルとしてはなかなか耳なじみがよく、どちらもよく聞きます。主演はエッセン盤エリザベートでルドルフを演じていたJesper Tyden。左がドイツ語版、右が英語版です。ドイツ語がオリジナル言語の作品なので全体的に左の方が曲がきれいに聞こえますが、やはり単調な曲ではありますのでDrew Sarichが中心となってそこかしこにアレンジのある右の方が聞き応えがあります。BGMとして流しておくのにおすすめのCDです。ちなみにドイツ語のほうはDVDもあります

・Tanz der Vampire
201408_tdv_1.jpg 201408_tdv_2.jpg
両方:Lukas Perman, Marjan Shaki
 左が10周年記念コンサート盤、右がウィーン再演盤(全曲収録)です。クロロック、ザラ、アルフレート、教授は同じ(クロロックはKevinではないのでご注意を・・・というかKevin伯爵のCDがないのですよ・・・)。収録曲数が多い方がいい・・・かと思いきや、短期集中公演のせいか、のりのいいコンサート盤もなかなかいいです。もう、2枚とも買ってしまえばいいと思うの。

・JCS
201408_JCS_1.jpg 201408_JCS_2.jpg
 どちらもウィーン劇場協会のコンサートで、Drew Sarichがジーザスを演じています。左がコンセプト版で右が全曲盤。ストレートに右をお勧めしたいのですが、キャストが違うのでなんとも言い難いところ。個人的には左のユダがウィーン再演のルキーニなので結構好きなんです。

・そのほか
 If I sing
201408_if.jpg
 M!のレオポルト、モンテクリスト伯のタイトルロールのオリジナルキャストThomas Borchertのソロアルバム。基本的に、彼が演じたことのある役が演じた順に並んでいます。ドイツ語圏俳優らしい作品が並んでいます。演じたことのある役ですからそれぞれ物語を感じますし、アレンジがおもしろい曲もあり、聞き応えがあります。とてもおすすめなので買うといいです!(注:私はThomas Borchertの10年来のファンです)

・Frank Wildhorn & Friends
201408_ff.jpg
 ウィーンで開かれたワイルドホーンコンサートのライブCD。ワイルドホーン先生のトークが入ってるので聞くところが少ないのが残念。ただ、ドイツ語圏が誇るミュージカル俳優であるThomas、Pia、そしてそれ以上に心に響く歌を歌うワイルドホーンのミューズ、Linsa Ederそれぞれの歌が本当にすばらしい!とても聞き応えのあるいいCDですので、是非。ワイルドホーンファンには無条件でおすすめできます。

・Musical Forever
201408_mf.jpg
Maya Hakvoort, Lukas Perman, Marjan Shaki
 ウィーンで開かれたコンサートのCD。ウィーンが誇るウィーン劇場協会のオーケストラを中心に、メジャーミュージカルの曲を集めたコンサートのライブ盤。オーケストラもシンガーも一流、名曲ぞろいということで、ミュージカルが好きなら絶対に外さないCDになっています。
 ちなみにこれの2もオーケストラは美しいのですが、指揮者の引退公演で、全体的にお祭りモード。一曲一曲楽しむというより、お祭りの空気を分けてもらうような気分になるCDです(特に最初から最後までグダグダのTotale Finsternisとかね・・・)。というわけで2は人を選ぶのですが、こちらは誰が聞いてもおもしろいと思います。

・ドラキュラ
201408_d.jpg
Uwe Kroger
 ドイツ語圏ミュージカルの名優をこれでもかと集めたキャスティングにワイルドホーンの耳なじみのいい曲。ワイルドホーンが好きなら絶対にはまると言いきれるCDです。特に「Zu Ende」はこの二人のために作曲されたという言葉に恥じない派手な曲になっておりまして、何度聞いても飽きません。是非一度聞いてみてください。

・アーサー王
201408_artus.jpg
Patrick Stanke, Mark Seibert, Annemieke van Dam, Sabrina Weckerlin
 ワイルドホーンの新作。ワイルドホーンらしい雄大な雰囲気の曲で、ああ、ワイルドホーンだなあと思いつつ楽しく聞けます。たぶん来年とか再来年に日本でも公演があると思うので(注:根拠はありません)、予習にでもぜひ。

・ネクスト・トゥ・ノーマル
201408_N2N.jpg
Sabrina Weckerlin
 ドイツの地方都市で上演されたのですが、看板俳優のPia、Thomas、Sabrinaが参加している意味が分からない豪華キャストのCD。ライブ録音で本当にドラマチックなのですが、惜しいことにセリフ部分がカットされていて、演技が濃いだけにちょっと聞きづらいです。

 これだけ書いてみて気づいたのですが、「Thomas Borchertファンなら持っておけ」と思っているCDが全部今回のセールの対象でした(笑)。ファンとして自信を持っておすすめできるCDですので、この機会に是非(笑)。
 ちなみに、以下のCDです。
・If I Sing(ファン必携)
・モンテクリスト2種(ふたつとも別々の魅力があります)
・F&F(特に「Man I used be」が絶品)
・ドラキュラ(Uweとの「Zu Ende」は何度聞いても最高!)
・Musical Forever2種(1はもちろん、2もファンとしては楽しい)
・TdV2種(その日の気分で聞きたいのが違う)
・N2N(普通のお父さん役というのがまた素敵)

 一応リンクは確認したつもりですが、個人の手作業ですので間違ってたらごめんなさい。不足おかしな点疑問等あったらコメントかツイッターで声かけてください。

欧州大陸側ミュージカル
| Link | Trackbacks:0 | Comments:0
(2014/08/16(Sat) 22:34:42)





  食べた物いろいろ

今回食べたもの色々。そのほかアイスクリームを1日1Kugel。
1ユーロなんです、ありがたいです。
それはそれとしてこの食生活でなぜ1.5キロ太った・・・?
(あ、ホテルの朝食はこの後フルーツとヨーグルト食べてます)。

機内食。夜便なのでこれが到着前です。
20140802_1.jpg

到着後Fuldaで朝ごはん。せっかくなので雰囲気のいいところで。この広場のあたりはカフェやレストランが軒を連ねてます、イタリアン多いけど。
20140802_2.jpg

観劇前に時間が余ったので手近なセルフサービスのカフェで。残ってたのがこれくらいだったけど、ゴマまみれで完食できず…。
20140802_3.jpg

朝ごはん。ごくごく普通のホテルの朝ごはん。
20140803_1.jpg

お散歩してからカフェへ(奥の赤い建物)。いかにもなドイツのカフェで気に入りました。前日の朝ごはんを食べた広場のはす向かい位。
20140803_2.jpg

しっかり酸っぱいレモンケーキ、おいしい。
20140803_3.jpg

バートヘルスフェルトの朝ごはん。普通の朝ごはん(前日夕飯はくいっぱぐれる)。
20140804_1.jpg

ポツダムへ移動後、駅でレバーケーゼ購入。ハムのようなもの?いつもぺろりと食べてしまう。
20140804_2.jpg

ポツダムで。なんとなく入ったお店。
20140804_3.jpg

ドイツ的には軽食だと思うけど私には十分です。
20140804_4.jpg

ポツダムのホテルは朝ごはんなしだったのでカフェで軽く。
20140805_1.jpg

オランダ人街で。半分でいい。雰囲気よかったけど、虫にまとわりつかれる…。
20140805_2.jpg


20140805_3.jpg

翌朝ポツダムで朝ごはん。朝だったせいか地元の人しかいない小さなパン屋でした。朝のほのぼのした雰囲気があって好きでした。
20140806_1.jpg

一人しかいない店員さんがせっせと焼いてくれた出来たてオムレツ。作り立てというだけでありがたい。
20140806_2.jpg

ハンブルクのフィッシュアンドチップス。おいしいけど量が多い。
20140806_3.jpg

ハンブルクの朝ごはん。ちょっと豪華。季節のせいかニシンのサラダがあったけど、酸っぱいだけに感じた。
20140807_1.jpg

国際海洋博物館併設のカフェ。がっちり固いパン。
20140807_2.jpg

どう考えても二人前ある。スズキの一種らしい。さっぱりした白身に濃い味付けのトマトがよく合っておいしい。半分だったらもっと嬉しかった。
20140807_3.jpg

ハンブルク2泊目の朝ごはん。
20140808_1.jpg

ヴュルツブルク腹ごなしのハムチーズクロワッサン。
20140808_2.jpg

セルフサービスのカフェ。見た目よりすっぱかった。
20140808_3.jpg

ヴュルツブルクのホテルも朝食なしだったので駅でようやくソーセージ。普通。
20140809_1.jpg

いまさらNordSeeのミックスボックス。閉店間近のせいかイモがなかったので揚げたて。これを食べるとドイツにいるなあと思う。
20140809_2.jpg

よく見かけたので買ってみたが、いまいち甘さがはっきりしなくて好きじゃなかった。
20140809_3.jpg

Fuldaに戻って同じカフェ。のんびりしてるので時間があるときに行くべき。やはりこのケーキを食べないとドイツに来た感じがしない(最終日です)。
20140809_4.jpg

朝が早かったので駅でチーズのプレッツェル。味の薄い本体にチーズがよく合って、これ好き。
20140810_1.jpg

フランクフルト中央駅で空港行のICを待ちながら(絶賛遅れてた)。バターの風味は薄いけどサクサクパイのアップルパイ、ちょっとくどいけどおいしい。
20140810_2.jpg

飛行機待ちのチョコレートクロワッサン。コーヒーによく合いますね。
20140810_3.jpg

帰りの機内食。1食目はあまりにもおなかいっぱいなのでパスしました(食べすぎ)。
20140810_4.jpg



旅(2014/08/02-2014/08/11)
| Link | Trackbacks:0 | Comments:0
(2014/08/16(Sat) 02:12:07)





  2014年夏の旅行

絶対にすべての感想をあげられないのでざっくりと。

・フリードリヒ
★★★★☆
念願かなって再演見れました!!
曲まで手を入れてほしかったのですが、残念ながら大変どうでもいいところ1曲変わったくらいで基本は同じ。
演出もDVD通り地味なものです。
若干説明ぜりふがうまくなったかもしれませんが。
半ばキャストを見に行ってるのであまり不満はないです。
初演からキャスト変更ありつつも、押さえるべきところは押さえていただいて大変うれしかったです。
あまりにも楽しくってどこから語っていいか悩んでるのでまたの機会に…。
見に行ってよかったです。

・キスミーケイト
★★★☆
客席は受けてたけど私は辛かった…飽きるんだよ…。
せりふが全部聞き取れてたら違ったかもしれませんので偉そうなことは言えませんが(特に劇中劇以外の部分の地名がドイツに変わっててどっかんどっかんうけていた)。
予習はふっるい映画版のみ。
こっちより退屈だったんだから辛いなあ。
一番しんどかったのが「じゃじゃ馬ならしの上演中の舞台裏での離婚したカップルのお話」という部分が生かされてなかったこと。
展開がたるすぎて、「今本番の舞台中である」ということを忘れる舞台裏ものってつまらないです。
こういうラブコメをドイツで見るのは珍しいのですが、言葉がわからないと難しいですね。
大河ドラマの方が展開が早く人の生き死にが絡んでいて感情の起伏が多いので、大まかなストーリーがわかってれば(勘違いも含め)楽しめる気がします。
ダンスも迫力があり、役者さんたちも健闘していましたし、最初は舞台の上になにもないのにいろいろ小道具やセットを運び込んで空間を作る演出は楽しかったですが、休憩なし2時間半のラブコメディって飽きます。
Thomasは押しの強さの中に不器用さもあり、とても自然体で演じていたと思うし相変わらずのええ声だったのですが、いまいち盛り上がれませんでした。
リリィもすごくうまかったしかわいげがあったのですが、カタリーナが、これは演出だと思いますが、かわいげがなかったのが残念。
もちろん男勝りのじゃじゃ馬でいいのですが、そのなかになんかかわいらしさがほしいなあと思うのです(この点、Mayaさんはキュートでした)。
ロイスとベンの若いカップルもよかった!
ちょっと古風な演技が作品にはまってまし、ダンスも抜群でした。
舞台はいまいちだったのですが、素晴らしかったオーケストラ!
古き良きコメディミュージカルなのにと言ってしまっては失礼ですが、さすが数をそろえただけあります。
厚みのある音楽に聞き惚れました。

・オペラ座の怪人
★★★★
Mathias追っかけえんやこらさっさ…。
見れなかったらどうしようと思いつつ、見れたよ、よかったよ…。
評判が恐ろしく悪いですが、評判の悪さがわかる「声質」。
ミステリアスさを全く感じない「陽性」とも言うべき声は、特に声ばかりが響く1幕がきついです。
でも、最後まで見るとちゃんとMathiasらしい、「これありか!」と思える解釈をぶつけてくるファントムで安心しました。
そう、こういう役者さんだって知ってるから彼のこと好きなの。
夢見がちなVarerieクリスティーヌととても相性がよかったと思います。
クリスティーヌが求めたからファントムは音楽の天使になった。
クリスティーヌは大人になったからもう音楽の天使は必要なくなった。
クリスティーヌが求めなくなったから音楽の天使は音楽の天使でなくなりすべての破滅を願ったけど、クリスティーヌが愛を示したから滅びることなく消えた…というおとぎ話。
ラウルがセカンドだったことがあっていまいち弱く、クリスティーヌが一人勝手に大人になった感じがしたのが少し残念でした。
カルロッタがすっごいかわいかった!
「わたくしうまいでしょう、当然ですけどね」という感じの鼻につくところがあって、これはクリスティーヌのかわいさはいいなあと思える。
カルロッタにしてはすごく若くて細くって美人。
でも声はしっかりオペラなカルロッタ。
舞台にいると鼻につくのに舞台から降りるとすねたりするところが妙にかわいいのが素敵。
アンドレとフィルマンのでこぼこコンビも楽しかった。
アンドレはそれでも舞台に興味があるしカルロッタのファンでもあったと思うのだけど、フィルマンは間違いなく経営のことしか頭にない俗物。
そのあたりのバランスがとても楽しかった。
結構面白かったけど、エンジンがかかるのが遅かったのとオーケストラこれでいいのかと思ってしまったのは事実。

・モンテクリスト
★★★★☆
つっこみどころだらけだけどチケット代が安くって(最前列40ユーロ以内)キャストのレベルが高かった作品。
海賊たちが全員女で着ている上着がどう見ても無印良品で千円で売ってるTシャツだったり、男性アンサンブルが二人しかいなかったり、男性のフォーマル服がふつうに現代のスーツだったり、ジャコポが女性だった時点で色々お察しください。
でも歌は本当によかったので、このお値段でコンサートだと思ったら十分ですしコンサートよりはおもしろかった。
Yngveのモンテクリスト伯は「本能で感じたまま演じている」という感じで、特に序盤の喜びや嘆きがダイレクトに伝わってきてすばらしかったです。
若干ラストが「自分が幸せになったから考え方変わった」という感じが強すぎてちょっと置いていかれましたが。
「いつかは王に」のリプライズで1幕が終わります。
メルセデスの「世界を抱きしめていた」の終盤がモンテクリスト伯との二重唱になっていたり、悪役三人組の歌がやたらと派手だったり、ラストが主役二人の「離れない」とアンサンブルのコーラスになっていたり、結構音楽のアレンジがおもしろかったです。

・コルピングの夢
★★★★
ついうっかり再訪。
初演からキャストも音楽も演出も大きな変更はありませんでしたが、若干見やすくなった気がします。
多分カールが血肉の通った人間になったのが一番の違い。
「忘れてはいけない、あなた方が何者なのか」の終盤あたりで理想を言うコルピングと結局現実の泥にまみれるカールという感じが強くなったのもよかったし、「私たちの夢に戻って」で感じた、「愛するものたちを守る自分でありたい」という弱さも感じられてよかった。
キャストについては文句ないけれど、昨年以上にスザンナをSabrinaが演じる必要があるのかと感じてしまったのが残念。
役者の力量と役の大きさが合わないの。
Claus DamとLeonさんは相変わらず作品の底ざさえをしてくれてすばらしかったです。

ちょっと色々ありまして今回は旅行日数に比べて観劇回数が控えめではありますが、見るべきものが見られた幸せな旅でした。






旅(2014/08/02-2014/08/11)
| Link | Trackbacks:0 | Comments:0
(2014/08/16(Sat) 00:12:48)





  なぜか今頃レディベス

今更レディベスのことがふつふつと。
もちろん「いまさらはまった!」ではないです。
最近観劇された方の感想を読んだから・・・というのもあるのですが、やはり観劇したときと同じく、スポットライトミュージカルのことどうも思い出さずに入られないんですよねえ。
つい先日スポットライトミュージカルの方を見に行ったということもありまして、どうもあれこれ思い出さずにはいられないんです。
「似ている」というのは必然だと思います。
歴史ミュージカルはそんなに数があるわけではありませんし、それがある程度似ているのはおとぎ話を骨組みだけにするとそっくりだというのと同じものだと思います。
でも思い出せば思い出すほど、「レディベス」だけにしかない良さもあったけど、「レディベス」にはなくてスポットライトミュージカルにはあったいい点もいろいろあったなあとちょっと思わずにはいられないんです。
どーにもこーにもそれが引っかかって仕方ありません。
なんで引っかかるかというと、ミュージカル界の大御所が作った作品なのに吹けば飛ぶような(実際一昨年飛びかけた)弱小プロダクションが作ったものに比較されてどーすんだよ・・・と思わずにはいられないからだと思います。
「レディベス」の記憶も若干薄まってる昨今、何となくもやもやが募る毎日です。


日記
| Link | Trackbacks:0 | Comments:13
(2014/08/16(Sat) 00:09:02)





  レディ・ベス(2014/05/10)

レディ・ベス:平野綾
ロビン・ブレイク:加藤和樹
メアリー・チューダー:吉沢梨絵
フェリペ:平方元基
アン・ブーリン:和音美桜
シモン・ルナール:吉野圭吾
ガーディナー:石川禅
ロジャー・アスカム:石丸幹二
キャット・アシュリー:涼風真世

★★★☆
帝国劇場

 感想を一言でいってしまうと、「なにがやりたかったかわからない」になります。歴史物なのか恋愛物なのかまずそこからわからない。さらになぜ「エリザベス一世でなければならなかった」かがわからない。根本がわからないので、わからないなりに紐解いてみました。
 ちょっと前置きですが、私はスポットライトミュージカルというドイツFulda発のミュージカルプロダクションが好きです。こちらは「ご当地歴史ミュージカル(聖人多し)」を作っているプロダクションで、現在5作のオリジナルミュージカルを作っています。私はそのうち2作目を再々演時に、3作目と5作目を初演時に、4作目は初演時の映像を見ています。そんなわけで「オリジナル歴史ミュージカルの初演」というものがどこまで行けるのかということをすでに経験しているので、結構ずけずけ言いたいことを言っておりますのでご了承ください。(こちらのプロダクションのほうが面白いとは言いませんが、地方都市の小規模カンパニーと勝負してもしょうがないでしょう)

 この作品、ぱっと見た目そんなに悪い作品ではありません。音楽はそこまでは印象に残らないですがやはり耳なじみがよく美しいですし、歌い手の中で破綻している人は一人もいません。セットも衣装も豪華ですし、星座版のような回り舞台がとても面白い。豪華キャストは名前だけにおぼれずしっかり自分の役を演じています。でも見終わったとき、なんのカタルシスもないんです。
 振り返ってみると問題点はまず序盤にありました。緞帳のない舞台上にあるきれいなセット、そして四季では聞くことのできない重厚なオーケストラの生演奏、リーヴァイさんの華やかな音楽。気持ちが盛り上がるのに、一番最初に「歴史の勉強」よろしくアスカムがそこまでの物語を説明し始めて驚きました。石丸さんは相変わらずの美声で聞き惚れましたが、しかしいくら節をつけているとはいえ説明台詞。面白くありませんでした。
 一つ不思議なのは、この導入部は「エリザベス一世を知らない人向け」に作られたと考えることはできても、この後にそういう素人向けの説明がないんです。物語はベスが戴冠した場面で終わります。ベスがよき女王になるであろうということはずっと語られていますが、「どういう女王になったか」ということは語られてません。確かに人間として優しく寛容で知的であることは間違いなく美徳です。しかしその美徳を持っている人間が優れた王者になるわけではありません。この物語は少女ベスが様々な経験をしてよき女王エリザベスになるまでの物語だと思います。少女ベスがどういう生い立ちであったかは説明しているけど、女王エリザベスがどういうことを成し遂げたかが語られてないあたり、彼女を知っている人のための作品なのか知らない人の作品なのかわかりませんでした。
 歴史ものとして面白くないと思ったのが史実が生かされていないこと。歴史ものというのは史実と虚構をうまく織り交ぜながら物語を盛り上げていくものだと思うのですが、その「史実」の部分が生かしきれてない。「歴史もの」の優位な点は、歴史に名前を残す人はそれが事実であれ伝説であれ、創作には及びもつかない印象的なエピソードがあるんですよね。男装してお忍びとかバルコニーとか「生まれて初めて幸せ」とかどっかで聞いたことのある話でなく、「彼女ならでは」のエピソードを物語にもっと印象的に盛り込んでほしかったです。

 こうやって気になっている点を上げていくと、この作品はなにをやりたくて作られたかというそもそもの問題点にたどり着きます。歴史上にあまた存在する人物の中で彼女を、架空の物語で彼女をモデルにしたというものでなく、彼女自身を語る意味。それがわからなくなるんです。
 問題点を洗っていくと、中心人物がベスとロビンであるということがそもそもの問題に思えてきます。ロビンはモデルはいるのかもしれませんが、架空の人物です。架空の人物はどうしても実在の人物に比べて存在が弱い。物語の構成を考えるとき、ベスとロビンのラブストーリーを中心とするなら史実があまり使えず、歴史物である意味が薄くなります。逆に歴史物と考えると、実際に存在しなかった人にスポットを当てすぎることができず、「ロビン」というメインキャラクターの存在そのものが曖昧になります。いったいどこを目指してエリザベス一世の若い時代を題材に選び、「ロビン」という架空のキャラクターを作ったのか。それがわからないのです。
 これについては個人的にははっきりした答えがあります。「物語の構成がまるで宝塚のよう」。この一言です。宝塚であれば歴史として物語が浅いと文句を付けるのがそもそもナンセンスです。見に行く側も男役と娘役の二人のラブストーリーを見に行くのですから。二人のラブストーリーを描くのに選ばれた題材が日本人の大好きな中世のヨーロッパで、「バージンクイーンと呼ばれた女王の若き日の恋」という物語であれば全く不思議はありません。必然的に物語は恋愛に傾き、テーマは二人の愛になり、最後にベスは運命の恋でなく宿命を選ぶ・・・まあ、この結末が宝塚でできるかは知りませんが、恋愛中心に考えればこれで全く問題はないのと思うのです。でもこれが宝塚の作品でないとしたら、これでは物足りないのです。

 色々歴史ミュージカルを思い出していって不思議になるのが、「エリザベート」や「モーツァルト!」は間違いなく良質なミュージカルだということ。両方とも「該当の人物を知っていること」を前提としてますが、それでもインパクトのある導入部、要所要所で歴史的事実の説明、歴史と虚構を交えながら物語を進め、最後はちゃんと一つの普遍的なテーマでまとめる。そういう手腕があったのに、この作品ではそれを感じない。だからどうしても作詞作曲家の手を放れた後でなにか手を加えられたのではと勘ぐってしまうのです。(そう言う意味で振り返ると、スポットライトミュージカルはそこまで到達してないなあと思うのですよ(苦笑))
 実際、部分部分はとてもおもしろいんです。予想より登場時間が少なくて残念だったのですが、メアリーは歴史的事実を交えながら彼女自身の物語が展開します。両親の残した禍根にとらわれ続けたメアリーとベス。メアリーは一方の宗教(理解度が浅いのであえてこの言い方にします)に厳しかった。最初は望まれていたのにやがてブラッディメアリーと呼ばれる。そしてその後に即位したベスは寛容さを持っている。彼女は「自由」の象徴である吟遊詩人ロビンと恋に落ちた。…なんというか、色々なモチーフがあるのですが、それがすべて投げっぱなしなんです。歴史物に架空の人物を混ぜるなら、その架空の人物によって実在の人物がなにか影響を受けてくれないとおもしろくありません。象徴だけはあるのに全部とっちらかっているので、演出が違ったらもっと違うものになるのではと思わずにはいられません。
 フェリペと悪役二人がとても良かったのですが、それが私の中では物語を楽しめなかったことの象徴でした。物語の中心、つまりベスが女王になるまでの物語とベスとロビンの恋物語から離れた部分がおもしろかったということを語っている気がするのです。酔狂で歌舞伎者でどこか芯の通った道化者がおもしろくないわけありませんし、自分の正義のために誰が血を流してもかまわない悪役というのははっきりしていて間違いなくおもしろい。けれど三人ともベスが、ロビンが、二人の物語がどうであれあまり変わらなくてもいい存在なので、だからこそ楽しいのだと思ってしまいます
 フェリペは大変おもしろい役だとは思いますが、最初からベス派で驚きました。それでなくても、1幕から民衆もベスの味方ですし、教師二人はベスをほめちぎっています。「幾多の苦難を越えて…」というには最初から味方が多すぎるように感じました。むしろメアリーの周りにいる人々の方が彼女の権力に群がっているだけに見えて、メアリーの孤独や悲哀を感じます。
 「おもしろくなかった」わけではないんです。「惜しかった」。おもしろそうな要素があるのにそれが生かし切れていない。それがもったいなかったので「どうすればいいだろう」と考えてしまいます。
 この作品、悪い意味で新作で、悪い意味で輸入作品だと思いました。「悪い意味で新作」というのは言うまでもないですね、話の全体が散らかってる。なにがテーマでなにを伝えたいかがまとまってない。実際に板の上に上げてみないとわからないこともあるかと思いますが、とにかく全体が散らかってる。「悪い意味で輸入作品」というのはつまり「いい意味での新作」でないという意味でもあります。私もそんなに新作を数多く見たわけではありませんが、それでもドイツ語圏でありがたいことに見ることができた初演作品、もしくは初演キャストというのは、やはりその人たちを基準として作品を作っているのが感じられました。作品のテーマと曲とシナリオと出演者と。もちろんすべてがそろってから作られる作品ばかりではないですが、完成をした作品を見るとそれらを切り離すことが不可能に思えるんです。また、ミュージカルは「初演キャストにあわせた曲」というものが珍しくありません。それが感じられない。ダブルキャストという、ファーストセカンドキャスト制とは違う「どちらが優れているとは公式は明言しない」システムだから仕方ないと思うのですが、初演のおもしろさは「初演キャストにあわせられた曲」にいくらかあると思うので、もったいないと感じました。誰を中心とした物語にしろ、なにかテーマのはっきりした物語にしろ、キャストとスタッフが密に連携をとっていれば「なにをやりたいか」というのがもっとうまく表現できた気がするんです。「なにがやりたいか」ということがはっきりしない作品は、やはり脚本や音楽を外注した「輸入作品」でしかないのかと思ってしまいます。(上記スポットライトミュージカルは「なにをやりたいか」はすごく伝わってくるのです。その役者のために作られた曲も、そのキャストの魅力をうまく引き出しつつ物語に溶け込ませることができるので、初演の面白さを感じます)

 キャストについては作品の不備があって語りにくいのですが少しだけ。今回、繁忙期のしっぽだったためにほとんどキャストは選んでません。というか、行ける日程の方が一握りだった・・・。

・平野ベス
 全く期待していませんでしたが、子供っぽいお姫様が嫌味にならないかわいらしい人でした。誰に対しても寛容で愛情をもてるおおらかさがとても自然。歌についてもこれだけ詠えれば個人的には文句ないです。最初は本当に子供だったのでこのまま女王に成長するシナリオがちゃんと整備されてればなあと思わずにはいられませんでした。
・加藤ロビン
 なかなか男前でかっこよかったのですが、いかんせんシナリオが悪かった。見ている間に彼に対する悪い印象はなかったのですが、振り返ってみるとなんのために存在したのかわからず、ほめ言葉が思い浮かばないのが残念です。
・吉沢メアリー
 もっと掘り下げてほしかった人物。冷たさと頑なさを感じましたが、それなのにどこかかわいらしく、ある意味哀れに思える人。彼女に肩入れしてみていて、結構彼女のことが好きだったのですが、ベスとの和解が意味不明でがっくりきました。このあたりもう少し整理してほしかった・・・。彼女が救われたと思えたら、それが一番幸せだったのですが。
・石丸アスカム
 先生。悪くはなかったんですが、別にキャストを選んでいくほどでもなかったなあと。ベスの導き手であるという設定は分かるのですが、じゃあなんだったのかというと記憶に残ってません。占星術をモチーフとした全体の雰囲気にすごく合っていてすてきだったんですが、それとストーリーがかみ合ってくれないのです。
・平方フェリペ
 楽しかった!個人的にはもう少しイギリス王座に固執してくれたりベスに出会って、もしくは状況の変化を受けて変わってほしかったなあとは思いますが、こういうジョーカーみたいなキャラはとても楽しいです。登場シーンのインパクトの強さがうまい具合に作用していたと思います。
・キャット
 大変すてきな貴婦人だったのですが、テーマを堂々と歌われてびっくりしました。すてきなのに、むしろこの役は必要かという問いかけの方が先にきてしまうのがもったいないです・・・。
・アン
 雰囲気があってうまい人だと思ったのですが、存在意義を最後まで理解できず。
・ガーディナー
 禅さんに任せておけば問題ないですね、問題なかったです。コメディに傾きすぎず、重くなりすぎないバランスというのはさすがです。・シモン
 問答無用で面白いですね。楽しげな雰囲気がありつつ、思った以上に曲者という雰囲気が好きでした。

 なんかもう少しどうにかならなかったのかなあと思ってしまいました。

ミュージカルその他
| Link | Trackbacks:0 | Comments:14
(2014/08/14(Thu) 00:36:11)





  学んでない

こんばんは。
相変わらずなにひとつ懲りず学ばずのため、バタバタしたままドイツ行ってきます!
ひー、やり残したことばっかり!

旅(2014/08/02-2014/08/11)
| Link | Trackbacks:0 | Comments:2
(2014/08/01(Fri) 19:44:08)




201409のログ 201407のログ

RECENT ENTRIES
新作歌舞伎 NARUTO -ナルト- (2018/08/23) ソワレ
新作歌舞伎 NARUTO -ナルト- (2018/08/19) マチネ ・ソワレ (4)
新作歌舞伎 NARUTO -ナルト- (2018/08/10) マチネ ・ソワレ
新作歌舞伎 NARUTO -ナルト- (2018/08/05) マチネ
新作歌舞伎 NARUTO -ナルト- (2018/08/05) マチネ (2)
スーパー歌舞伎II ワンピース(2018/04/22) マチネ
ドイツ旅行の観劇まとめ
ベルリンノートルダム
ベルリンノートルダム 感想にもならないあれこれ
Kバレエ 海賊(2017/05/27) ソワレ
RECENT COMMENTS
・DexyOnemy / ブランドスーパーコピーバッグ
・KLOSTERMANN81 / Доброго дня
・Imittigiordar / スーパーコピーブランド専門店
・NeooBlern / Создаю копии сайтов от 500 рублей за лендинг
・ゆず / Re:新作歌舞伎 NARUTO -ナルト- (2018/08/19) マチネ ・ソワレ
・マリゴー / Re:新作歌舞伎 NARUTO -ナルト- (2018/08/19) マチネ ・ソワレ
・ゆず / Re:新作歌舞伎 NARUTO -ナルト- (2018/08/19) マチネ ・ソワレ
・マリゴー / Re:新作歌舞伎 NARUTO -ナルト- (2018/08/19) マチネ ・ソワレ
CATEGORIES
日記
欧州大陸側ミュージカル
ミュージカルその他
劇団四季全般
海洋物
映画
CD&DVD
旅(2005/03/11-2005/03/15)
Mozart!(ブダペスト)
Tanz der Vampire
Jekyll & Hyde
旅(2005/04/30-2005/05/09)
その他舞台
ダンスオブヴァンパイア
Thomas Borchert
旅(2005/10/06-2005/10/11)
モーツァルト!
Romeo & Julia
ブログ不具合・修正
本宅更新
Kバレエ
旅(2007/04/26-2007/05/03)
旅(2007/10/05-2007/10/09)
旅(2007/12/11-2007/12/16)
欧州大陸側来日
スポットライトミュージカル
欲しいものメモ
アレルギー治療中
旅(2009/03/13-2009/03/29)
ドイツ語圏劇場
旅(2009/07/07-2009/07/13)
旅(2009/12/19-2009/12/23)
旅(2010/11/03-2010/11/8)
旅(2011/07/02-2011/07/10)
旅(2011/10/29-2011/11/03)
旅(2012/07/14-2011/07/23)
旅(2013/01/11-2013/01/15)
旅(2013/08/31-2013/09/09)
旅(2013/11/01-2013/11/05)
年間観劇記録まとめ
そのほかバレエ
旅(2014/08/02-2014/08/11)
旅(2014/11/19-2014/11/25)
旅(2015/09/18-2015/09/28)
旅(2017/07/22-2017/08/01)
ARCHIVES(1205)
2018 年 08 月 (5)
2018 年 05 月 (1)
2017 年 09 月 (1)
2017 年 07 月 (2)
2017 年 05 月 (2)
2017 年 03 月 (2)
2017 年 02 月 (1)
2016 年 12 月 (2)
2016 年 11 月 (2)
2016 年 10 月 (3)
2016 年 08 月 (2)
2016 年 07 月 (2)
2016 年 06 月 (2)
2016 年 05 月 (5)
2016 年 03 月 (1)
2015 年 12 月 (9)
2015 年 11 月 (4)
2015 年 10 月 (2)
2015 年 09 月 (1)
2015 年 07 月 (1)
2015 年 06 月 (7)
2015 年 05 月 (1)
2015 年 04 月 (6)
2015 年 03 月 (3)
2015 年 01 月 (3)
2014 年 12 月 (9)
2014 年 11 月 (3)
2014 年 10 月 (9)
2014 年 09 月 (8)
2014 年 08 月 (10)
2014 年 07 月 (1)
2014 年 06 月 (7)
2014 年 05 月 (5)
2014 年 04 月 (2)
2014 年 03 月 (7)
2014 年 02 月 (2)
2014 年 01 月 (4)
2013 年 12 月 (13)
2013 年 11 月 (1)
2013 年 10 月 (7)
2013 年 09 月 (7)
2013 年 08 月 (5)
2013 年 07 月 (8)
2013 年 06 月 (7)
2013 年 05 月 (6)
2013 年 04 月 (4)
2013 年 03 月 (7)
2013 年 02 月 (3)
2013 年 01 月 (4)
2012 年 12 月 (9)
2012 年 11 月 (8)
2012 年 10 月 (6)
2012 年 09 月 (9)
2012 年 07 月 (3)
2012 年 06 月 (3)
2012 年 05 月 (6)
2012 年 04 月 (4)
2012 年 03 月 (6)
2012 年 02 月 (10)
2012 年 01 月 (8)
2011 年 12 月 (14)
2011 年 11 月 (13)
2011 年 10 月 (14)
2011 年 09 月 (17)
2011 年 08 月 (10)
2011 年 07 月 (4)
2011 年 06 月 (3)
2011 年 05 月 (6)
2011 年 03 月 (9)
2011 年 02 月 (1)
2011 年 01 月 (6)
2010 年 12 月 (8)
2010 年 11 月 (4)
2010 年 10 月 (2)
2010 年 09 月 (6)
2010 年 08 月 (5)
2010 年 06 月 (7)
2010 年 05 月 (3)
2010 年 04 月 (2)
2010 年 03 月 (10)
2010 年 02 月 (6)
2010 年 01 月 (9)
2009 年 12 月 (6)
2009 年 11 月 (5)
2009 年 10 月 (15)
2009 年 09 月 (3)
2009 年 08 月 (2)
2009 年 07 月 (8)
2009 年 06 月 (5)
2009 年 05 月 (6)
2009 年 04 月 (8)
2009 年 03 月 (4)
2009 年 02 月 (2)
2009 年 01 月 (1)
2008 年 12 月 (5)
2008 年 11 月 (2)
2008 年 10 月 (5)
2008 年 09 月 (4)
2008 年 08 月 (2)
2008 年 07 月 (5)
2008 年 06 月 (3)
2008 年 05 月 (5)
2008 年 04 月 (8)
2008 年 03 月 (6)
2008 年 02 月 (5)
2008 年 01 月 (20)
2007 年 12 月 (23)
2007 年 11 月 (19)
2007 年 10 月 (23)
2007 年 09 月 (6)
2007 年 08 月 (12)
2007 年 07 月 (10)
2007 年 06 月 (15)
2007 年 05 月 (17)
2007 年 04 月 (13)
2007 年 03 月 (9)
2007 年 02 月 (10)
2007 年 01 月 (6)
2006 年 12 月 (16)
2006 年 11 月 (18)
2006 年 10 月 (9)
2006 年 09 月 (7)
2006 年 08 月 (9)
2006 年 07 月 (12)
2006 年 06 月 (17)
2006 年 05 月 (10)
2006 年 04 月 (21)
2006 年 03 月 (20)
2006 年 02 月 (12)
2006 年 01 月 (20)
2005 年 12 月 (15)
2005 年 11 月 (22)
2005 年 10 月 (33)
2005 年 09 月 (26)
2005 年 08 月 (28)
2005 年 07 月 (33)
2005 年 06 月 (24)
2005 年 05 月 (23)
2005 年 04 月 (17)
2005 年 03 月 (24)
2005 年 02 月 (9)
2005 年 01 月 (15)
2004 年 12 月 (12)
2004 年 11 月 (8)
2004 年 10 月 (6)
2013 年 4 月 (1)
過去ログ
LINK
とんぼのせなか
Sound of Music(SoM)
ANA
オーストリア航空
ルフトハンザ航空
スカンジナビア航空
ウィーン劇場協会
オペレッタ劇場(ブダペスト)
Thomas Borchert
Boris Pfeifer
VEIT SCHÄFERMEIER
Grazer Oper
Romeo & Julia
Tanz der Vampire
FLEUGELz
Da Capo
Die Bahn
musicalzentrale
Frank Wildhorn
新国立劇場
K−バレエカンパニー
チャコット
Kバレエブログ
das musicalmagazin
Das Theater Chemnitz
STAGE ENTERTAINMENT
Tanz der Vampire Fanclub
Elisabeth - Die Legende einer Heiligen
Chris Murray
Sabrina Weckerlin
チベットNOW@ルンタ
ちべログ@うらるんた
オーストリア連邦鉄道
M.A FIELD
Jesper Tyden
Felix Martin
Alexander di Capri
ロイヤル・オペラ・ハウス
劇団四季
下村尊則の徒然絵巻
Vámpirok Bálja
スイスインターナショナルエアラインズ
Mathias Edenborn
シュツットガルト劇場
スイス鉄道
Theater St.Gallen
Tecklenburg Freilichtspiele
LOGIN


Copyright © 2004 観劇+αの日々. All Rights Reserved.
[PHPウェブログシステム3 FLEUGELzネットマニア ]