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  2014年まとめ

 一年のまとめの季節が参りました。
 今年の観劇数は52回、ざっくりとした内訳は以下の通りです。

 Kバレエ 25回
 欧州遠征 10回
 そのほかバレエ 3回
 来日ミュージカル関係 4回
 四季+東宝 6回
 そのほかもろもろ 4回

 (これでも過去6年の中で最低です…)
 Kバレエが限界突破した感じです。おかげで来日バレエにほとんどいけませんでした。ボリショイ行きたかったけどお財布がついて行かなかった…(ウィーン行ってたというのもありますが)。今、Kバレエが提供してくれるものと、私が行きたいものはありがたいことに一致しています。そういうことってなかなかないので、その幸福をかみしめながら、この状況が続く限りは同じくらいのペースで行きたいなあと思っています。なにか食い違いを感じたり飽きたら、また別の舞台に移ります。とりあえず今年は浅川さんと遅沢さんの舞台をたくさん見ることができて本当に幸せでした。どれもこれも夢のような時間でした(あ、くるみの1回目のことは忘れました)。一番好きだったのはカルメンの2回目。浅川さんと遅沢さんでドラマティックな物語を見ることができるのがまず嬉しくって、ソリストも手堅く、脇も楽しく、本当にメインも周りも全部楽しい公演でした。しばらく余韻に浸っていたし、もう一度見たいと思え、また、次があったらまた違った物語になるだろうと思える組み合わせでした。これが見たくってKバレエに通ってるのだと、心の底から思った公演です。来年は今のところ浅川さんの公演情報がなくって大変さみしいです。またお二人を主演で見ることができますように。

 ドイツ語圏については「フリードリヒ」を見に行くことができて本当に良かった!初演前から見に行きたいと思っていて見に行けなくって、再演でようやく捕まえることができました。演出はいまいちだし、物語としては絶望的に暗く、興業的にいろいろ厳しいとは思いますが、好きな作品です。見に行ってみて、改めて好きな作品だと思いましたし、劇場にいることが、その空間にいることができることがうれしくって仕方ありませんでした。どんなにどんなに遠くにあっても、好きな作品って出会えるのだと思った次第。歌詞を翻訳していたらいろいろおもしろい発見もあったので、できればもう一度見に行きたいです(わがまま言うなら老若フリッツとカッテは同キャストで)。今回2回しか見ることができなくって、キャーキャー言ってるうちに終わってしまった感がするのは事実(苦笑)。もう少しじっくり味わいたいです。DVDがあるのに、実際に見た方がいいと思えるのが舞台おたくとして病の重いところではあります…。

 4月ごろの目標の答え合わせ。ドイツ語については継続して独学しておりますが、独険受験はなし。年2回のうち1回はKバレエで大阪遠征、もう1回はドイツ語圏遠征しておりました…。文法洗い直しはやらなくてはいけないことなので、もうちょっとがんばります。来年こそせめて受験位はしたいものです。バレエについては頑張りました!5月以降、かなり熱心に通いました。レッスンとレッスンの間が4日以上あいたのって、欧州遠征した時と、ロミジュリで大阪遠征したときくらい。今更頑張ったところでなんになるかの世界ではありますが、運動嫌いの事務職なので、健康のためにも続けたいです。行きたい稽古場色々あるのに「近いから」の言葉一つで場所選んでる程度の熱意ですけどね(苦笑)。…運動量増えたのに体重ほとんど減ってないのは謎ですが…(食いすぎ)。

 来年はバレエフェス、シュツットガルトバレエ来日がどうなるか…。バレエフェスはさすがに見たいし、オネーギンは大好きなので1回以上見たい!Kバレエもあるし、ドイツにも行きたいし、ウィーンのモーツァルト!再演も見たい。こんな状況でさらにドイツ語圏ミュージカル来日があったらにっちもさっちもいかないけど、でも来てほしい…といったところです。見たいものは色々あるので、お財布と相談しつつ、楽しみたいです。…すっかりバレエ(Kバレエ中心)とドイツ語圏ミュージカルの人間になっちゃったなあ。

 それでは。
 今年一年お世話になりました、来年もよろしくお願いします!

年間観劇記録まとめ
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(2014/12/29(Mon) 22:14:22)





  Kバレエ くるみ割り人形(2014/12/24)


★★★★☆
 公演自体はとてもよかったです。・・・よかっただけに、21日のあれはなんだったのかと問いただしたくはあるんですが・・・。おとぎ話はおとぎ話、でもそれだけではすまない美しさと幸福感。それが2回見たくって2枚チケット取ったわけですし、1回外れてももう1回でフォローしてくれたからいいんだよというものでもないし、でも、とりあえず最後の最後でいいものを見られたからよかったという気分でもあり・・・ファンとして大変微妙な顔をしていますが、楽しいことは楽しかったです。

 浅川さんと遅沢さんがとてもよかった・・・というか、遅沢さんがちゃんと遅沢さんらしい踊りに戻ってくれてよかったです。21日のあれはなんだったのか。21日はネズミ戦でずっこけたせいか若干慎重な踊りに見えました。それにしても、いつ見ても美しいつま先のライン!くるみ割り人形登場後の簡単なステップすらラインが美しくってうっとり眺めてました。ネズミ王様とのやりとり(これ、毎年危険だと思ってるのでやめてほしいんだが)もうまくいって一安心。そこからはなんとなく流れに乗れた気がします。
 グランパドドゥも良かったのですが、花のワルツがとてもすてきでした。姫と王子の物語を感じるシーンでとても好きなんです。幸せそうな王子の姿を見ているとこっちまで幸せになるというかむしろ切なくなるというか・・・これが見たかったのだと、パズルのピースがはまったような気分で見ていました。
 もちろん、グランパドドゥもすばらしかったです。浅川さんもきらきら度が21日より増していて、本当に美しい。多摩シティバレエのくるみも見たのですが、なにより違うなと思ったのが王子の立ち方。「くるみ割り人形」の王子ってなぜそこにいるかがわかりにくいのですが、Kバレエ版はマリー姫のパートナーとして隣に寄り添ってる。だからその姿がすっきりとまとまっている。そこに王子がいるのがとても自然だから、気持ち的にもすっきりして見ることができます(花のワルツの踊りがあるから、さらにこのシーンが生きているような気がする)。サポートは鉄壁(に戻ってくれて本当に良かった・・・)。流れるようなサポートがあたたかいし、堂々と踊るマリー姫は本当に美しい。幸せいっぱいの姿を見ることができて満足です。

 ニコライさんのドロッセルマイヤー、いつの間にか貫禄がでてきた気がします。比較対照として杉野さんが来たせいか、それとも年齢を重ねた上での貫禄か。なんとなくそこにいると安心する雰囲気がありました。
 河合さんのクララ、たぶん好きです。序盤、どうもふるわなかった印象があるのですが、気がついたら「悲しい顔」で踊ってるのではなく、内気な少女がはにかみながら笑っているように見えるようになりました。踊りも楚々とした感じが好みですし、ドロッセルマイヤーとのパドドゥあたりになると、内気な中にも積極性が見えてかわいらしいです。ほっそりとしたルックスに見合った軽やかな踊りも好きです。最初の頃はなんだかんだ言ってましたが、好きなクララかもしれないと思えるようになりました。

 浅野さんと福田さんの雪の王国は安心してみていられます。福田さん、いつの間にかサポートが安定してきた気がします。「雪の王国」と言うには若干柔らかい感じのする二人ですが、ダンサー殺しの振り付けを堂々と踊りきるあたりは本当にさすが。井上さん、中村さんが絶好調なので浅野さんの最後のフェッテが若干弱く見えてしまいますが、基本的に安心してみられる組み合わせでした。
 花のワルツの男性のタイツの色がいつもと違って首を傾げました。緑が濃すぎて変な感じ・・・。中村&伊坂ペアを基本見ていましたが、華やかで好きなペアです。伊坂さんはソロだと井澤さんに負けるかなあと思ってしまうのですが、全体的なまとめ方はうまいと思います。
 アラビアは若手二人と井上お姉さま(といいたくなってしまう雰囲気)。ニコライさんの時はあまり気になりませんでしたが、福田さんだと若干サポートが難しそうに見えます。・・・というか、そもそも福田さんはアラビアの雰囲気でなく、ほっそりとした体にアラビアの露出度の高い服が似合ってないというか思わず王子の上着を肩に掛けたくなると言うか、むしろ花のワルツが見たいと言うか、ああ、サポートできる人が他にいないからやってるんだなあと思わせる雰囲気。石橋さんはその無骨で骨太な感じがいかにもアラビアなので、来年はサポート枠がんばってほしいです(と言いつつ、彼の焦がれるような雰囲気は今の枠にぴったりですが)。井上さんは相変わらずお美しく、うっとり見ほれました。女王のように見下し妖艶にほほえむのが本当に美しいのです。
 スペインは特筆事項なし。特に目立たない若手枠でした。
 篠宮さんの中国人形、帽子がずれてこのまま踊るのかと思ったらぐるっと回って首の下へ。これは無理だと思ったら踊りながらなにごともなくあっさり頭の上に戻しました。この切り替えの早さ、すごいです。バネの強くて明るい雰囲気の二人、良かったです。
 ロシアは酒匂&和田コンビが好きです。やはり身長が近い組み合わせの方が好きです。矢野さんとの組み合わせだったらどうなったかしら?勢いのある二人、相変わらず迫力のあるロシアでした。

 ネズミ王様栗山さんは予想通り良くなってると思いました。段々頭に乗っけている顔で見ているように思えてきました。それにしてもどんなに荒っぽく動いてもエレガントさを感じられるのがすごいです。

 1幕のパーティーのシーンでのアドリブは今日も絶好調。石橋酔っぱらい紳士が大変陽気に気持ちよく酔っぱらってる姿がおもしろかったです。ところで、今回人形劇の王様がえらく大きい子で気になりました。小柄な男性ダンサーさんたちとあまり変わらず、ドロッセルマイヤーさんたちが腰を痛めないか心配になってしまいました。・・・王様自身も人形が出てくる枠に頭ぶつけてないか心配ですし・・・。

 そんなわけで長々おつきあいしましたくるみ割り人形もこれで打ち止め。なぜかいろいろあっちゃいましたが、最終的には楽しい公演で終わりました。また来年も見たいと言うか、来年こそ、生演奏で見たいです。生演奏ならいつも手に汗握るパドトロワとか雪の国ももう少し安心してみられる気がするのです・・・。

Kバレエ
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(2014/12/27(Sat) 16:12:31)





  Kバレエ くるみ割り人形

★★★★

 なぜかちぐはぐな公演が続いておりました今年のKバレエくるみ。ようやく昨日のソワレ(折り返し地点)でKバレエらしいものがみれてほっとして、その勢いに乗ってほしいと思っていたこの公演。色々ありましたが、結果的には楽しい公演でした。

 この組み合わせ、呪われてるんじゃないかと思ったのが2幕のマリー姫の登場シーン。本来はネズミの絵がくるっと回転するはずが回転しなかった・・・。ちょっとだけ透き間が空いたのでそこから浅野さんが出てきたので事なきを得ましたが・・・ひやりとした数秒間でした。
 客席に浅野さんか伊坂さんの関係者かなんかいらっしゃったのかなあという雰囲気で、客席の雰囲気がちょっと違ったのは事実です。でも、あんなにグダグダだった姫と王子の物語が、今回はちゃんと見えたことに驚きました。なにがすごかったかって、グランパドドゥのアダージョが一番よかったということ!もちろんこの作品の一番の見せ場ではありますが、まさかこのふたりのアダージョがこんなに素晴らしいなんて思いも寄りませんでした(失礼)。動きはアダージョでしたし派手ななにかがあったわけではないのですが、じわじわと幸福感が伝わってくるというよりは爆発するような多幸感を全力でぶつけてくるような感じ。そういうところが伊坂さんらしいなあと思いつつ、浅野さんもそれにつられている気がしてとてもいい雰囲気でした。浅野さんのマリー姫、20日は「笑ってるだけ」と感じたのですが、今日はちゃんと幸せと喜びを踊っているとわかりました。今まで感情を感じない方だと思っていたのですが、今日はそんなことはありませんでした。ちょっとおてんばな気配を残すお姫様で、王子とは幼なじみで一緒に遊んでたんじゃないかなという雰囲気。そうやってちゃんと物語の背景を考えたくなるマリー姫でした。伊坂さんの王子は相変わらず堅調。なんとなくすべてそつなくこなすけど、どこか飛び抜けたところがあるわけではない方だからなんとなく忘れがちですが、見る度にいつも「やっぱりこの方うまい」と思わされてます。白タイツもそつなく着こなすし、サポートは的確、ソロも勢いがあるけど品を失ってない。感情表現にちょっと元気がありすぎるかなと思うことはありますが、今日はそれがいい方向に作用していた気がします。よくわからないけどいいものをみたという気分になりました。アダージョが終わった後の、なんだかわからないけど幸せ!というあの感覚はちょっと経験のない、不思議なものでした。
 杉野さんのドロッセルマイヤーも、彼らしいドロッセルマイヤーが戻ってきてくれて安心しました。踊りもサポートも演技も、全体的に力任せであることは否定しませんが、その勢いが魅力的なんだと思い出しました。はったりきかせるくらいの勢いでぐいぐい押していって、でもクララを見守る眼差しはちゃんと優しい。ベテラン二人とは全く違う個性を持っていますが、なんだかんだで好きなドロッセルマイヤーです。
 今のクララ二人だったらたぶん荒薪さんより河合さんの方が杉野さんに合うとは思うのですが、「お疲れさまでした・・・」の一言です。不思議なもので、不安そうにしか見えなかったメイクも、今日は「内気な少女」のものに見えました。はにかんだように笑うのがとてもかわいい。ドロッセルマイヤーとのやりとりも大変かわいらしかったし満足なのですが、パドトロワで杉野さんがリフトしくったのに、パドドゥではちゃんとかわいらしく微笑みながら踊っててくれて安心しました。キャシディさんの、気がつくと的確なところにいるサポートと違ってなんか半歩ずれてる感じのサポートですが、彼女の笑顔にだまされたところはありますが、心地よくだまされることができてよかったです(20日はそれができなかったわけで・・・)。

 基本的にみなさまよくなってきたなあと思ったのですが、お疲れだった井上さん。雪の王国で若干それを感じ、花のワルツでそれを確信。実際うまい方なので悪くはないのですが、若干精彩を欠いていた印象でした。まあ、連投の方はほかにもいらっしゃいますが、石橋さんとか益子さんとか、サポート不安定な方と踊ってると疲れるよなあと思います。逆に池本さんや篠宮さんといったサポート盤石な方と踊ってるせいか、中村さんは相変わらず魅力的な踊りでした。中村さんと篠宮さんの花のワルツ、とても好きです。踊りも雰囲気も笑顔も、どれも柔らかくって癒されます。
 井上さん若干お疲れもあり、石橋雪の王との雰囲気は若干ちぐはぐでしたが、お互いソロは安定してきていると思います。どうしても昨年のことがあるのでソロがうまくいくとそれだけで安心してしまうのですが(苦笑)。踊りがすごく好きというわけではないのですが、石橋さんの雪の王の雰囲気はなんとなく好きなのです。
 人形たちはそんなに変更がなかったのですが、いきなりアラビアが変わりました。なんとなく見覚えのある方でした、身長は低めで、荒薪さんと同じくらいに見えました。顔立ちにも幼さは見えるのですが、つんとすました雰囲気が確かに「アラビア」。よい家のお嬢さんという雰囲気の娘に、どちらかといえば体格のいい男二人がかしずく、おもしろい雰囲気でした。
 基本見たことのあるキャストが多いこともあり、人形さんたちの踊りは片目で見ながら、舞台端にいるクララとドロッセルマイヤー見てました。この二人が楽しそうにしてるのを見るのが好きなのです、楽しかったです(矢野さんのロシア、今日はちゃんと体力続いてましたお疲れさまです)。

 20日の公演がグダグダでどうなるかと思いましたが、ちゃんとまとまりのある楽しい公演になってました。一安心したというか、20日は何であんなことになっちゃったのか・・・。

 メモ。1幕の紳士は篠宮さん(車いすを押している)、ニコライさんと石橋さん(酔っぱらい紳士)、福田さんと誰か(酔っぱらい紳士介抱)、杉野さんと坂元さん、栗山さんと誰か(吉田さん?)、誰か(西口さん?)という感じでした。少年は長島さん、矢野さん(酒匂さん)、和田さん、本田さん、後一名不明。少女は湊さん、河合さん(荒薪さん)、井平さん、後二名不明。淑女は山田さんと西成さん以外はさっぱりわかりません。ネズミ2匹は本人たちの自己申告により益子さんと山本さん確定。なんか見ているとムカついてひっぱたきたくなる・・・もとい、にぎやかな方が益子さんだと思います。フランス人形のパートナーは長島さん、本田さん、あと一人は山本さんかなあ(22日以前は長島さん以外は違ったけど忘れました)。キャスト表にかかれていない人たちはこんな感じでした。
 ニコライ酔っぱらい紳士、久しぶりにみましたが、やはり千鳥足がとても自然、うまいなあ。福田紳士は人形劇で子供と一緒にはしゃいでるのがおかしい。以外とお酒飲んでるし、パーティーではしゃぎすぎたのか退場時には腰を痛めてるし、地味にだめだめ紳士でした(笑)。

Kバレエ
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(2014/12/23(Tue) 21:11:01)





  Kバレエ くるみ割り人形(2014/12/22) ソワレ

マリー姫:神戸里奈
くるみ割り人形/王子:井澤諒
ドロッセルマイヤー:スチュアート・キャシディ
クララ:荒蒔礼子
雪の女王:中村春奈
雪の王:池本祥真
★★★★☆

 井澤さんの主演&王子デビューの公演。昨年のシンデレラが玉突き事故(としか言いようが…)で流れてしまったため、本当に待ちに待ったというべき公演でした。とてもよかった…というか、ようやく、ここまできてようやく見られた、Kバレエらしい楽しい公演でした。劇場を出た時のふわふわした感覚、幸福感、これがあってこそ「くるみ」です。

 今回のくるみ、友人が見に行きたいと言ったのでキャストを上から下までじっと眺めていた時期がありました。この公演、とても魅力的でした。井澤さんの王子が不安ではありますが、それ以外に不安要素はなし。神戸さんは最近本当に光り輝いてますし、キャシディさんは鉄壁。荒蒔さんは3年目ですから大きく外すことはないでしょうし、中村池本コンビの雪の国はそれだけでも見る価値があるというもの。ただ、年末の平日の昼間という、誰が見に行けるんだという極悪日程だったためにお勧めできなかったんですけどねえ…(私は一年に一度の閑散期のため、有給たたきつけ)。これを見てほしかったなあとちょっと途方にくれたりもしました。

 なにがよかったって、神戸さんのマリー姫が本当に良かった!ニキヤはまあ普通でしたが、ジュリエット、カルメンと、今年の彼女は輝きが違いました。贅沢をいえばもうちょっとドラマが欲しかったなあと思いましたが、「くるみ割り人形」に「ロミオとジュリエット」「カルメン」並みのドラマを求めるのが無茶というものです。もちろん、今の彼女ならもうちょっと掘り下げられる気がするのですが…。そう期待してしまうほど、特別な輝きを持ったマリー姫でした。ソロが幸せにあふれているのは当たり前。1幕で登場したときの幻のような存在感、クララの冒険物語の始まりにふさわしい雰囲気がありました。呪いがとけた後の喜びもきらめくようだったし、クララにやさしく語りかけているのがまた印象的でした。細かいところですが、最後のクララとのお別れのシーンで、ちゃんと別れを悲しんでいてくれたのがうれしかったです。その別れ方に、「助けてくれてありがとう、会えてよかった」という気持ちもこもっていて、クララと同じように彼女と別れるのがさみしかったです。
 井澤さんの王子、多分今まで見た井澤さんで一番よかったです。踊り自身は本当に良かった!マチネに池本さんの鉄壁ともいえる踊りを見ているのに、見劣りがしないほど。柔軟性と足の力は池本さんのほうが上かもしれませんが、回転は井澤さんのほうが軸がきれいなんじゃないかと思うほど。ほっそりとした足に白いタイツがよく似合っていますし、足のラインが本当にきれい。全体的に少年のような細い体型なのにリフトで不安に感じるところもない。若干サポートで細かい取りこぼしがあった気がしましたが、昨日の遅沢さんの失敗に比べたらかわいいもの。今まではらはらしていたのが申し訳ないくらい、素敵な王子でした。物語としてもクララが思わず助けたくなるような哀れさあり、夢の中の王子のような美しさあり、クララへのあたたかな心遣いあり。「指揮官」というと首をかしげますが、王家に仕え、姫と結ばれる…という物語がしっくりくる王子でした。
 パートナーシップ…というところまではあと一息でしたが、なんとなくお互いの雰囲気が合っていたのがうれしかったです。予想通り、あたたかな雰囲気のお二人。派手に技術を誇示するタイプではなく、丁寧な踊りと丁寧な物語。ゆっくりゆっくりその世界に浸っていくような心地よさでした。クララと同じ目線で幸せな気持ちでふたりのことを見ていました。だから最後、手を振り遠くに消えていく姿を、別れたくないと思いながらずっと見ていました。とても楽しかったです。

 細かいキャストはマチネと似ていました。マチネと同じ方々も調子を上げていて、そういう意味でもいい公演でした。
 最近若手男性の顔が見分けられるようになってしまったために楽しくて仕方ないパーティーの招待客紳士たち。福田さん、篠宮さん、杉野さん、石橋さんがずらっと並んで踊る姿は目の保養以外のなんでもありませんでした(後ろに栗山さん。あと一人は西口さん?)。こういう端役ばっかり見てるのもなあと思いつつ、やはりどんな役でも舞台の上にいると好調不調が分かるなあと思ってしまい、結局目が離せなくなってます…。…初日の杉野さんが微妙に話の輪に入れず寂しそうにぽつんとしていたのが忘れられない…(今回はとても楽しそうで良かった)。クリスマスプレゼントのシーンや人形劇のシーン、いろんな人が楽しそうに会話していて、そのにぎやかさがとても好きです。どこまでアドリブでどこまで決めているのかと思ってみていましたが、酔っ払い石橋紳士は今回は「飲めないけどすすめられて飲んだらべろんべろん」という演技でした。しっかり者の山田夫人との相性も相変わらず素晴らしく、大変目の保養でした。フリッツと長島少年の小芝居もちょっと違ってました。クララからくるみ割り人形を取り上げる時の二人のやり取りが明らかに違って面白かったです。
 矢野さんのフリッツですが、いきなり出てきたのに大変楽しいです。本当に楽しそうに踊ってるし、踊りの中でクララにお辞儀するあたりのかわいらしい紳士ぶりも素敵。いたずらっ子で長島少年と色々やってるのも楽しく、ドロッセルマイヤーにネズミを捕られてしょんぼり→返してもらって大はしゃぎの流れもとてもかわいらしい。調べてみたら今年入団…というか今年スクールを卒業したみたいです、パフォーマンスのプログラムにいました。いきなり出てきたのに驚きの安定感で驚きました。ちょっと先が楽しみな方です。ちなみに少年の中では和田少年も気になりました。いたずらっ子で生き生き踊ってるのがかわいいし、帰り際に大人しく母親にコートを着せられて帽子をかぶせられてるのがまたかわいい。女性は安定の山田夫人と湊少女以外にようやく西成夫人が見分けられました。なんとなくアラビアも踊れそうな雰囲気の方でした(花のワルツコールドにもいらっしゃいますが)。
 ねずみの王様吉田さんは栗山さんに比べると残念ながらちょっと普通。品格のある栗山さんと違ってなんとなくねずみの粗暴さを表そうとしてる気がするのですが、ちょっとまだ迫力不足かなあ。登場シーンは自分の目でなく被り物のほうの目で見ている感じがしてそこは好きなのですが。ネズミ二匹はなんとなく小生意気な方とそれ以外という見分け方をしています。チーズ弾、今日は完璧でした。なにより井澤王子が「クララをかばわねば!」と焦って動いたせいで被弾したのがよくわかりましたし、そのあときれいにチーズがネズミ陣営に転がって行った。チーズ、なかなか回収が難しいのでこれは良かったと思っていたら、なんとはしゃぎすぎたネズミがチーズをいつの間にか階段セットの下に落としてしまい、ネズミ退場の際に舞台上に置き忘れ!そのあと無事に回収できましたが、周りが常連さんばかりだったので回収が終わるまでみんなそわそわしてました(苦笑)。
 中村池本雪の王国ペアは本当に素晴らしいです。さすがにお二人ともお疲れなのか若干取りこぼしはありましたが…。空中でさらに飛び上がるような動きに、あれだけテンポが速いのにふりを追うだけでなくちゃんとニュアンスまで拾う池本さんの踊りの素晴らしさ。舞台中央での跳躍は高さもありながら貫録もあり、何度見ても見惚れます。女性の踊りはどうしても男性よりも地味になりますが、間違いなく堅実にうまい春奈さんの踊り。足さばきの細やかさも素晴らしいですが、ラストの手の位置を変えたフェッテが美しく決まっていました。堂々とした踊り、今日も素晴らしかったです。

 人形はちょっと変更あり。
 花のワルツの中村篠宮ペアが鉄壁過ぎました。本当に華やかで品のある雰囲気。篠宮さんはあの難度の高い振付を踊りながらもとてもさわやかで驚かされます。春奈さんはいつも通り、雰囲気ぴったりの踊り。益子さん、マチネはどうなるかと思いましたが、ソワレのほうが雰囲気が落ち着いた気がしました。こちらのほうが好きです。
 スペインはキャストは同じなのに雰囲気が一変しました。ようやく4人がちゃんと踊ってるように見えました!女性の華やかさ、明るくきりっとした男性の踊り。メリハリがすごくそろっていて、見ていて気持ちよかったです。余談ですが、このメンバーだと男性の背の高い方は栗山さん…と思いましたが、西口さんも背が高く、背の高さでは全く見分けがつきませんでした。
 ロシアは坂元さんが絶好調!息をのむ高さを飛んでいました。それに矢野さんがつられてしまったのか、彼のほうは終盤ちょっと失速。ただ、失敗はしつつも最後は笑顔でまとめてくれたのでなんとなく「凄いもの見た」気分は壊れませんでした。(矢野さんのこういうところがすごいと思う)。
 書く場所のない長島さん。パーティーの少年は兼城さんの代役だと勝手に思ってます…(去年兼城さんがそこにいたのを覚えてる)。兵隊のほうは彼の本来の役だと思います。舞台の中で何度か兵隊が目立つところ、2幕が分かりやすいですがネズミ軍団の襲来を伝えたり、花のワルツを仕切ってたりするのは基本的に彼だと分かりました。なんのことはないのですがなんとなく目を引きます。少年もなんだかんだ言っていつも面白いことしてますし。湊フランス人形との踊りも大変かわいらしく、実はいなくてはならない存在だと気付きました。

 ドロッセルマイヤーとクララも今日が一番よかったと思います。キャシディさんについてはほんのちょっとの雰囲気の違いかと思います。荒蒔さんは調子を上げていると思います。踊りがどんどん軽やかになるし、感情も豊かになる。人形劇やくるみ割り人形がねずみの王様にやられたとき、心の底から心配する姿を見ていると、ドロッセルマイヤーに選ばれるにふさわしい少女だと思えます。

 とってもいい公演でした。そう、Kバレエのくるみは、こうあってほしいのです。ようやく見たいものが見られた公演でした。

Kバレエ
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(2014/12/23(Tue) 01:47:46)





  Kバレエくるみ割り人形 マチネ

★★★★
 色々キャストが動いた公演でした。基本的には楽しかったです、一点除いて。

 まず何年かぶりの新フリッツ!矢野さんって誰かなあと思ったら、初日から気になっていた黄土色の上着を着ていた少年でした。細かい動きにあらはありますが、くるくる表情が変わるのが愛らしく、落ち着きがなく動くところが本当に「少年」。目を輝かせていたずらしたり、飛び回ってはね回ったり、怒られてしょげたり。それらすべてが本当にかわいい!荒薪さんのクララとの雰囲気も合っていて、お互い並んでいる姿を見るとなんとなくそれだけであったかい気分になりました。昨日に引き続きの石橋山田夫妻も大変目の保養でした。フリッツを見ようと思いつつも脇でなんか楽しいことをやってるので目が行ってしまいます。夫がベロベロになっていて困り果ててる山田夫人と、そんな妻の思いなど知る由もなく「大丈夫大丈夫」と繰り返し、踊りの最中にキスを投げる石橋紳士が大変楽しかったです。本当に目が足りませんでした。
 全公演いくかと思ったネズミの王様は吉田さん。悪くはないのですが、ちょっとインパクトに欠けました。それよりも一匹やったら小生意気なネズミがいたんですが・・・(益子さんかしら?本当に小生意気なの)。
 雪の王国はとてもよかったです。ファーストアーティスト軍団、やはり福田さんが頭一個抜けてます。池本さんのパーフェクトな雪の王はまるで空中で静止しているようと例えるなら、福田さんは空中を泳いでるみたいと例えられるくらい堂々とした雪の王でした。本当に伸びやかで見ていて気持ちいい!浅野さんもマリー姫はさんざんなことを言いましたが、優しさは感じるものの凛とした美しい女王でした。回転に不安は残るものの、基本的に踊りも満足しました。粉雪部隊、並ぶとわかる、春奈さんの絶好調ぶり。ひとつひとつの動きが正確で、ニュアンス豊かで、思わず目がいきました。

 人形たちもずいぶん変わりました。篠宮さんの花のワルツは鉄壁。何年もやってますと言ってるような堂々とした踊りです。華やかで優しく、それなのに足裁きが本当に細やかで正確。浅野さんも華やかであたたかくって、ふたりともまさに「花のワルツ」という雰囲気でした。益子さんは若干動きが遅いのか、ちょっと重く感じました。井上さんがきりっとし過ぎていてあまり華やかでなかったのに加え、サポートがいまいちで踊りにくそうで、隣にパーフェクトなペアがいるのになんとなく残念な組み合わせでした。
 アラビアは安心してみていられます。つんとすました猫のような気高い雰囲気の蘭さんがとても魅力的。なんとなくニコライさんしか見えていない雰囲気もあり、そばにたたずむニコライさんの存在感、追いすがるような杉野さんという組み合わせでした。杉野さん、初日は本当に調子悪かったんだなあと思わせる、いつもの杉野さんでした。動きが大きくなくても、勢いがあるのが感じられるんです。
 スペインは前3公演と違っていきなり男性がいなくなり、女性の踊りになった印象。メリハリが利いた女性ふたりの華やかな踊りの後ろでたっぱのある男どもがばたばたしてる踊りになってました。ネズミのすばらしかった栗山さん、ここではいまいちでした。
 中国は酒匂さんが相変わらず絶好調だったのに、河合さんはいまいちというか、メイクのせいかとても悲しそうに見えて、その時点で楽しくありませんでした。湊さんのぱっと光がともったような明るさが恋しい・・・。決して下手ではないというか、しっかり踊れていたと思うので、笑っていてほしかったです。
 ロシアは順当に楽しかったです。坂元さんが余裕しゃくしゃくで踊ってるので矢野さんのいっぱいいっぱいぷりを感じてしまいましたが、最後までとてもいい笑顔だったので気持ちよかったです。
 フランス人形はやはり湊さんがかわいい!ばたばたした振り付けなのに、全体がふんわり柔らかく感じられるのがさすが。梶川さんもかわいかったのですが、ちょっとやせすぎのように感じられてむしろ心配でした。兵隊さんたちは隊長長島さん以外は若手っぽかったですが、きれいにまとまっていたと思います。でも自然に湊さんと長島さんに目がいってしまいました。
 キャシディさんは相変わらずすてきなドロッセルマイヤー。ちょっと踊りに疲れが見えるかと思っても、サポートの時に的確なところにいる。荒薪さんのクララもとてもかわいい。2幕で呪いにかかった人形たちを心配するのがとても自然な、優しいクララです。踊りも堂々としてきました。

 池本さんは昨年も見てますがほんっとうに素晴らしいです!踊りも王子としてのたたずまいもパーフェクト。ちょっと回転が弱いかなと思うところもありますが、本当に難点といったらそれくらい。登場したときのきびきびしてるけど品のある動きがまずよかった。ネズミの王様にやられそうなときは思わず助けたくなる哀れさもある。王子に戻ったときは本当に絵の中から抜け出てきたような王子ぶりで、魔法がとけ、本来の美しい姿を取り戻した喜びを感じる彼の姿を、まるで夢を見ているような気分で見ていました。喜びながらも「マリー姫を助けてほしい」とクララに伝える悲しさも伝わってきました。
 2幕も素晴らしかった。マリー姫が元に戻った喜び。そしてそうやって喜び一色で踊っていても、姫の隣にたたずむ王子としての品格を備えながらも、あくまで「騎士」のように姫の後ろにひかえている。すごく存在感があるのに出すぎないところがまた素敵です。グランパドドゥは、言葉もありません。銀と言える王子の白い衣装がとてもよく似合う品のいい雰囲気。踊りはひとつひとつ的確で、美しく伸びたアラベスクに、後ろ足の方があがって見えるグランジュッテ、すべてのポジションが正確で・・・でもどんなに素晴らしい踊りをしても「どやっ」と前に出すぎることなく、いつでも品よくほほえんでる。自分の踊りだけでなくサポートも的確です。ほっそりしてるのに見ていて頼もしくさえ思えるんです。そしてサポートしてるときのまなざしもとても優しい。マリー姫だけでなくクララに対しても気配りを忘れない、うっとりあこがれることのできる王子でした。本当にいつまでも見ていたい王子でしたし、作品を引っ張っていたと思います。うまい、見た目が美しいというのもあるのですが、本当に存在そのものがすがすがしく、立っている姿を見ているだけで気持ちが洗われるような美しい王子です。このバレエ団の若手の中ではやっぱり頭一個抜けてると感じさせられました。
 そんなわけで、基本的に楽しい公演でした。

 マリー姫については触れなかった時点で察してください・・・。もう、品のある日本語で語れる自信がない・・・。全体的に雰囲気の良かった公演を、マリー姫一人がぶちこわした公演でした。後味悪いなあ・・・。

Kバレエ
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(2014/12/22(Mon) 15:57:31)





  Kバレエ くるみ割り人形(2014/12/21)

マリー姫:浅川紫織
くるみ割り人形/王子:遅沢佑介
ドロッセルマイヤー:ニコライ・ヴィユウジャーニン
クララ:河合有里子
雪の女王:佐藤圭
雪の王:杉野慧
★★★★

 正直なことをいってしまうと予想外のバランスでした。昨日ほどではありませんが若干ミスが目に付きました。なにより浅川遅沢ペアが喧嘩でもしたんじゃないかと疑うような微妙なバランスの悪さで、もちろん踊り自体は悪くないのですがこの二人だったらもうちょっと「ふたりならでは」のなにかが引き出せるんじゃないかと思ってしまいました。逆に不安しかなかった雪の王国のふたりはしっかりと踊りきりました。クララもちょっと内気ながらもかわいい少女でしたし、ドロッセルマイヤーもキャシディさんほどでないにしろ品のある麗しい紳士。浅川さん遅沢さんの公演になるかと思ったら全体的にバランスのよい不思議な公演でした。・・・結果的にうまくまとまってたけど、ふたりのファンとしてはちょっと不満が残る・・・。

 というわけで、目的と違うところが楽しかったので、ちょっと戸惑っています。好きなバレエ団のくるみ、楽しくないわけはないというわけで楽しかったことは楽しかったので、それはそれで戸惑っている部分もあります。端っこの方から話してしまうと、1幕も2幕も楽しかった福田さんと石橋さん!開幕前から期待していた石橋山田夫妻にまずうっとりでした。ニコライさんのとき以上に蘭さんのしっかりした美しい夫人っぷりが際だちます。なんの話をしているんだという方向けに説明しますと、ちょうど今回石橋さんが演じた枠が赤い上着を着た酔っぱらい紳士枠。序盤から明らかに飲み過ぎておりました。調子に乗って飲み過ぎ、福田紳士にたしなめられたりするあたりの口論とか、夫がべろんべろんになっていることに気づいた蘭さん淑女が「もう本当にすみません、この人ったら・・・」と困り果てて頭を下げているあたりとか、大変に楽しかったです。・・・いや、中心見るべきなんでしょうが、子供たち見ていると兼城さんがいないことを思い出して寂しいんですよ・・・(あ、黄土色した上着を着た男の子(湊さん少女とペアになってた)は結構明るくって好きです)。そんなわけでついうっかりストーリーそっちのけで後ろの方見てしまった、楽しかったです。
 ずーーーーーーーっと心配していた佐藤杉野ペアの雪の王国ですが、予想よりずっとよかったです。久しぶりの舞台で圭さんの方が途中で息切れ起こしてたとか、杉野さんがソロ踊りきった後どや顔になってたとか、サポートとかパートナーシップとかは宇宙の彼方に存在するとか、まあ、それはさておき。ちょっと濃い感じはしましたが、不思議と違和感のない雪の王国でした。途中で息切れしたとは言え、序盤の圭さんの足裁きの正確さと冷たく気高い存在感は見事。見ほれました。杉野さんはグダグダになるかと思いきや、きっちり見せてくれました。技術的にはつま先とかそのほかあれやこれや言いたいことはありましたが、迫力がありました。ああ、彼のはったりは本物だったと一安心しました(昨日は本当にそれもグダグダだったんで・・・)。杉野さんはこういうのも踊れるのかとちょっと驚いたというか、安心しました。雪の王がクララを見送るとき、優しい雰囲気でドロッセルマイヤー入ってたあたりはご愛敬。雰囲気も結構あっているふたりでしたので、できればこの後も見てみたいふたりです。圭さんの踊りはきりっとしていて好きなんで、もっと踊る機会が増えるとうれしいです(とずっと言ってる気がする)。
 人形たちは少し変化がありました。伊坂さんの花のワルツは技術的に驚くことはなくともやはり踊りもサポートもきれいにまとまってますし、雰囲気も優しくって見ていると安心します。井澤さんもサポートはそこまででもないですが、昨日よりソロは目を引きました。
 アラビアは鉄壁の井上さんと福田&石橋。大変目の保養で楽しかったです。福田さんの変化自在ぶりには驚かされます。若干リフト頑張れとは思いましたが、ちゃんと「アラビア」でした。井上さんに仕える福田さん、どこか焦がれる感じの石橋さん。おもしろかったです。
 スペインの新規入団の山本さん。以外と背が高くて驚きました。はつらつとした雰囲気でなかなか魅力的。ペアの女性も明るく闊達でめりはりのある動きが魅力的でした。
 篠宮さんもぐんぐん役幅を広げてますね、やっぱりすごい。細やかな動きに堂々とした存在感でした。湊さんのかわいさについてはもう言葉もありません、かわいい。
 酒匂さんも絶好調。和田さんとのバランスもいいです。
 人形たちは昨日より今日の方がバランスがいいように思いました(アラビアの男性はやっぱりニコライさんがいたほうが安定するけど)。
 どうにもこうにも書き忘れてるのですが、栗山さんのねずみの王様、好きです。着ぐるみのネズミ感と彼自身の持っている風格がうまくマッチしてると思います。毎日見ているのが楽しいです。

 というわけでこれでこのまま鉄壁のグランパドドゥに入るかと思ったらそうでもなかったのが微妙なところです・・・。もちろん、悪くはないです。サポートやリフトに若干の乱れはあったものの、ソロは自信に満ちてるし若干難しいことやってるし、やはりさすがの一言。でも、やっぱりこのふたりだから、それ以上のなにかを求めてしまうし、今年一年あれだけのものを見せてくれたんだからやっぱりさらに上を求めてしまうのが事実。多摩のゲストで出演した公演を思い出しても、遅沢さんは物語があるせいかまだよかったのですが、浅川さんはあのときの方がきらきらしていた気がします・・・。細かいところはやっぱり好きです。くるみ割り王子の、「王子」でなくやはり将校であり騎士である、姫の一歩後ろにひかえ王に仕える雰囲気、マリー姫の呪いがとける前の不安ととけた後の喜び。マリー姫のクララへの感謝、くるみ割り王子への温かいまなざし。悪くはなかったし、ちょっとしたジュッテでも足や手の高さがそろっててきれいだったのは事実。それ以上なにを求めるんだとも思いつつ、やはりもっともっと、「ふたりにしかないなにか」を求めてしまいます。次のシンデレラではないわけですし・・・。
 楽しかったんだけどなんかもやもやの残る、不思議な公演でした

Kバレエ
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(2014/12/22(Mon) 01:43:03)





  Kバレエ くるみ割り人形(2014/12/20) ソワレ


マリー姫:浅野真由香
くるみ割り人形/王子:伊坂文月
ドロッセルマイヤー:杉野慧
クララ:河合有里子
雪の女王:中村春奈
雪の王:池本祥真

★★★☆

 ミスの目につく公演でした。例えばドロッセルマイヤーの金の杖の出現失敗(こんなミス見たことない)。例えばチーズ砲弾の空中崩壊(壊れたのではなくきれいに真っ二つになったので何が起こったか謎)。例えば中国人形女性の青い布が取れなくって1回退場(見たことないわけではないけどあまりない)。一つ一つのミスに関連性はないと思います。けれどなんと言ったらいいのかな。舞台って、なにかわからないけどすべてがうまく回って予想以上に面白くなることってあります。それの逆パターンを見ているようでした。全てがちぐはぐでかみ合ってなくって、だからミスを引き寄せた。そんな公演でした。

 もともと、キャスト発表時点から不安の付きまとうキャストではありました。でも昨年の伊坂さんのくるみ割り王子は良かったし、杉野さんのドロッセルマイヤーもよかった。浅野さんはなんとなくイメージがありませんが、悪いイメージもない。うまくかみ合わばきっと面白くなる…と思ったのですが、かみ合わなかったんです。
 ちょっとショックだったのが杉野さん。マチネの紳士があまり楽しそうでなくって、アラビアに疲れが見えて不安だったのですが、その不安が的中したような感じです。はっきり彼らしくないと思ったのが2幕のクララとのパドドゥ。踊れてるのに、不安そうなんです。前方席だから見えてしまったのかもしれませんが、なんとなくおっかなびっくり踊ってるのが伝わってくる。杉野さんの、特にドロッセルマイヤーは物おじせず堂々としたところが大変魅力的で、踊りの不足なんて感じさせない勢いが魅力的で、そういう魅力が全部なくなっていた踊りでした。しかも踊れてなくって不安そうなのではなく、2年目の役で、ちゃんと踊れているのに不安そうという、一番まずい状況でした。また、クララも「悲しい」「不安」は表現できているのですが、「楽しい」が全く伝わってきませんでした。メイクも悪かったのかもしれません。不安そうなクララとドロッセルマイヤーのパドドゥは本来のものと全く異なり、好きなシーンなのにさっぱり心が躍りませんでした。…ふたりともちゃんと踊れていたのですが…。
 困ったのが浅野さんのマリー姫。まるで「金平糖」のようでした。マリー姫の、呪いにかけられて助けを求める姿や、呪いが解け、愛する人と結ばれる喜び、そういうのを感じず、ただ微笑みの美しい女性でした。でも、この「くるみ割り人形」にはちゃんと物語がなくては成り立ちません。そして浅野さん自身、「金平糖」のヴァリエーションを美しく踊るだけで見惚れるというほどにはうまくないということも、分かってしまいました。まるで発表会のように自分に課せられた踊りを全うする…Kバレエでこういう踊りを見るのはすごく久しぶりだと思います。
 伊坂さんのくるみ割り王子はちゃんとくるみ割り王子でした。兵隊たちを指揮する指揮官であり、呪いにかけられた青年。本来の姿を失っていることに苦しみ、愛する女性の苦しみを嘆き助けを求め、呪いが解けたことを全身で喜ぶ。踊りもしっかりしているし、サポートも丁寧。でも、バレエって一人で頑張ってもどうにもならないし、彼自身、そうやって一人で中心に出ていくタイプでもないし、そこまで圧倒的な実力があるわけでもない。丁寧に役作りをして物語を作るタイプの方だと思うので、彼のいいところは失ってないのはわかるけど、それが生かされてない公演でした。本当に良かったんです。くるみ割り人形と王子の踊りわけもはっきりしていたし、王子に戻った時なんとなくはっと見惚れる品の良さがある。サポートは出すぎることなく引きすぎることもなく、ちゃんと支えてる。ソロは派手ではありませんが、踊る喜びが生きている喜びと言わんばかりの華やかさがある。クララとの別れも暖かさと別れに対するもの悲しさがあり…本当に良かったんです。でも、一人で踊ってる以上に、一人で演技してるのってさみしいですよね…そんな公演でした。

 色々ぐだぐだだった中で、「パーフェクト」と言いたくなった雪の女王と王!特に池本さんの王!素晴らしいです!主役を重ねてきたせいか、風格が増してきました。威厳を備えつつも、相変わらず柔軟性の高い美しいアラベスク。空中での姿勢がいちいち美しいですし、あれだけバタバタした曲なのに音に追われている感じがせずに音の中で自由に踊ってる。春奈さんも細やかな足さばきであの難度の高い振付をこなしていました。堂々とした踊りで、本当に二人とも見ていて気持ちよかったです。
 人形たちのキャストはそんなにマチネとは変わらず。席の関係でマチネはあまり見えなかった井澤さんの花のワルツはいいところもあり悪いところもあり。ソロがすっごくきれいに決まっているところがあったり、若干サポートが不安だったり…。王子の時はいいところが開花するといいなあと思っております。
 公演前から絶対にあると信じ込んで楽しみにしていた石橋さんのアラビア!彼はどこか暗い影がある雰囲気があると信じているので楽しみにしていましたが、楽しかったです。井上さんとニコライさんがパートナーで、石橋さんは愛人といった感じでしょうか?二人の男を従わせる美しい女王の井上さん、隣にいるのは自分がふさわしいと信じて疑ってないニコライさんと、一歩下がってるけれど食いついている感じの石橋さんと言ったらいいのか…面白い雰囲気でした。
 酒匂さんはフリッツも中国人形も絶好調だったり、蘭さんは光でも放ってるんじゃないかというほど目を引いたり、福田さんのスペインがとっても楽しそうで幸せだったり、湊さんは子供も粉雪も可愛かったり、荒蒔さんの子供が可愛かったり、篠宮さんの花のワルツが鉄壁だったり、加瀬さんのフランスがちょっといい感じだったり、和田さんは子供もロシアもなかなか良かったり、坂本さんは意外と大きいけどロシアでは派手に飛んでいるなあと思ったり。いろいろ言いましたが、結局は好きなバレエ団の「くるみ」です。楽しかったです。

Kバレエ
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(2014/12/21(Sun) 02:17:20)





  くるみ割り人形(Kバレエ)


★★★★
 兼城さんどこーーーー!!??

 兼城さんがいない舞台の寂しさに私がいつまで耐えられるか、いつになったら慣れるか微妙なところではありますが・・・。
 気を取り直して。舞台はとても楽しかったです。バランスのよい舞台。初めて見る白石&宮尾ペアはなかなかいい雰囲気ですし、荒薪は&キャシデイ鉄壁。雪の王国もがんばったし、人形たちも楽しかった。特別秀でたものがあるわけではないけど破綻もない、バランスのいい公演でした。

 なによりうれしかったのが、白石&宮尾ペアの雰囲気が良かったこと。白石さんはやはり「姫」というには若干色気があるのですが、宮尾さんのふんわり柔らかいオーラがあるとその色気が柔らかく優しくなる感じ。宮尾さんは相変わらずソロに若干の不安が残るのですが、リフトについては不安なし。堂々とした雰囲気があり、また白石さんがためらうことなく飛び込むので安心してみることができました。白石さんのマリー姫は表情豊かだし、登場時間が短くてもちゃんと印象に残る存在感。悲しみも喜びも、ちゃんと伝わってくる。ちょっと色っぽいかなと思うところはありましたが、ほほえみや存在そのものがとても暖かいのでとても幸せになる。宮尾さんのくるみ割り王子は存在感と包容力が抜群。相変わらずソロでもちょこちょこミスがあるのですが、こっちの勘違いなんじゃないかと思うほど自然な笑顔と堂々とした態度(これ、見習って欲しい若手がたくさんいる・・・)。相変わらず安定した白石さんの踊りもあり、心配していたグランパドドゥもとてもきれいにまとまってました。もっと見たいと思える二人だったのでこれからも楽しみです。
 キャシディさんのドロッセルマイヤーはまあ、言うまでもなく鉄壁。舞台の底を支えてくれてるし、きっちりとストーリーを語ってくれる。荒薪さんはミカエラが大変よかったので期待してましたが、とてもかわいらしいクララでした。お顔立ちは素朴(失礼)ですが、不安や喜びがしっかり伝わってくるかわいらしいクララ。ドロッセルマイヤーとのパドドゥも羽のように軽やかで、本当に魅力的でした。
 去年、グダグダだったというかむしろキャスティングした方が間違ってると言いたかった雪の王。今年はちゃんと踊れてました、よかったー。こういう言い方って本来はほめてることにはならないと思いますが、あのテンポであの振り付けを思うと、そして石橋さんの階級を思うと、あれだけ踊れたらそれで十分と思います(というかいい加減振り付けどうにかして・・・)。とりあえずソロがしっかり踊れれば・・・と思っていたらなんとか踊れてましたし、サポートもそんなひどいことにはなってなかったので安心しました。
 井上さんは雪の女王もアラビアも絶品!あの雪の女王の激しい振り付けも堂々とした笑顔で乗り切ってました。軸も安定しているので、不安定な石橋さんのサポートが必要なのか必要じゃないのかと思ったり思わなかったり・・・。アラビアも堂々とした女王ぶり。男二人を従え、妖艶なまなざしで愛を与えている雰囲気。ぐっと引き込まれる魅力を感じました。
 花のワルツは席の関係で中村&篠宮ペアばかり見てました。篠宮さんも夏のコンサートでみたとは言え、本公演では初とは思えない安定しています。雰囲気もぴったり。そしてそれ以上に安定して華やかな中村さんの踊り!振り付けがばたばたしているのを気づかせない、柔らかで華やかな動きでした。安定感も抜群で、うっとり見ほれてました。
 スペインは福田&石橋がとにかく光輝いていて、女性に目がいかなかった・・・。Kバレエはずっとつきあってじっくり見てますのでなおいっそうわかるのだとは思いますが、二人とも「伸びている」ことを感じる、光輝くような踊り。光を放っているような華やかで切れのある踊り、目が離せませんでした。・・・二人のスペインの解釈が若干違うような気がしたのはご愛敬かな。(あと女性二人に目がいかなかったこと・・・)
 ネズミの王様は栗山さん。たっぱがある上に頭にネズミの頭を乗っけているのでかなりの高身長。宮尾さんの王子を上回る大きさというのはそれだけで存在感があります。ネズミの格好をしているのになにやら不思議な風格があって、今まで異常に「王様」を感じさせます。ネズミで、悪役で、それなのに不思議なエレガントさを感じさせる存在感。おもしろいです。まだ頭にのっかっているネズミの頭が「帽子」に見えてしまうところがあるので、それがちゃんと「頭」に見えたらおもしろいと思います。全公演連続だと思うので、この先が楽しみです。

 さて、プログラムで見るとわかっちゃうソリストの少なさ。ファーストアーティストさんたち早くあがってこないかなあと思っています。福田さん、蘭さん絶好調、石橋さん好調、荒薪さん、酒匂さん、篠宮さん、長島さんは堅実にうまい、杉野さんは若干伸び悩みかなという雰囲気。
 この後どんな風に変わっていくか、楽しみです。

Kバレエ
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(2014/12/20(Sat) 16:00:49)





  Artus(2014/11/23)

Theater St.Gallen
★★★★☆

 ザンクトガレンおなじみのワイルドホーンミュージカル(モンテクリスト伯がこの劇場初演です)。おもしろかったです!…というのもちょっと違うかな。いろいろネガティブな感想をふまえそれを元に楽しむべきところが分かっていったら楽しかったです。正直、ストーリーが骨太で楽曲が斬新、セットや衣装が豪華…を求めたら失望します。ありきたりのストーリー、いつものワイルドホーン先生の音楽、どちらかといえば簡素なセットと役者が机や椅子を手で動かす場面転換。決して派手な作品でもないし、だからといって骨太な作品でもない。コンサートだと思って見に行くとちゃんとストーリーがあることにびっくりするくらいのバランス。でもおもしろかったです。
 そのおもしろさの理由ははっきりしていて、なにが「売り」かを分かっていることにあると思います。とにかくこの作品、メインキャストがすばらしいです!Patrick Stankeのアーサー、Annemieke Van Damのグイネヴィア、Mark Seibertのランスロット、Sabrina Weckerlinのモルガナ、Thomas Borchertのマーリン。数々の作品で主演をこなしてきた方々の歌声と存在感はさすがの一言。そしてこの作品、ストーリーがだめだから役者を楽しむ…でなく役者を楽しむためにストーリーと楽曲があると言っても過言でないほどすべてが役者のために存在してます。でもワイルドホーンの作品って基本的にそれでいいと思うんです。脚本も常にいまいちですし。役者にあてがきされた役、役を魅力的に見せるためのシチュエーション、シチュエーションを生かすための歌、歌をつなぐためのストーリー。作品というのはテーマがあってそこから作られていくと思うのですが、この作品ははっきりと「役者」が中心にあり、そこからすべてが作られているように見えます。本来好きなパターンでないのですが、曲も含めて役者のために作っていると割り切っているところが大変好みでした。
 まじめな話を続けますが、それぞれ役の格好をしているだけでなく、その役者自身の本質を通じてその役を生きているように思いました。姿形をまねただけじゃなくって、ちゃんとその時代に生きている存在感がある。そして物語がちゃんとそれぞれの役者の本質を生かす形になっている。だから姿形をまねただけの作品にならず、ストーリーにそれほど深みがないのに妙に心に残る作品になっているのだと思います。
 ちなみに物語の展開ですが、序盤、マーリンがなんだか意味ありげに剣を岩に刺すまではまあ良かった…悪くはなかったのですが、そのあとアーサーが剣を抜きマーリンがアーサーの出自を告げるあたりのばたばたがすっごい三文芝居で、言葉がわからないくせに「ちょっと脚本家呼んでこい」という気分になりました。この時点でストーリーにあきらめがついたのは事実です。早いうちにわかった良かったというか、序盤のストーリーの盛り上げが難しいのは事実でこれは仕方ないというか、これをふまえるとこの後はまだましだったというか…そんな感じでした(ピンチになる→助けがくるのパターンがうんざりするほど多いので、ストーリーに対する期待は早めに捨てると意外とおもしろくて楽しめます)。ちなみに、元のアーサー王伝説をご存知の方は簡単な設定以外は全部忘れたほうがいいです、ストーリーが全く違って混乱します(モンテクリストと同じくらいの違い)。

 長々真面目な話をしてきましたが、メインの役者の話。
 Patrick Stankeのアーサーはその朗らかな声と分かりやすく実直な内面が大変魅力的でした。ランスロットについては後述しますが、ランスロットがグイネヴィアに思いを寄せて複雑な気持ちでいることを、たぶん彼は他人に指摘されるまで気づかなかったでしょう。グイネヴィアとの結婚式で言葉を交わすランスロットとグイネヴィアを見かけ、「世界中で一番好きな女性と親友がこんなところに!(意訳)」と言ったのが象徴的。多分その根の明るさが根本にあるから、たとえば怒りで我を忘れて暴君のような物言いをしても憎めないし、グイネヴィアやランスロットを心から慕ってるのが分かるし、だからこそ二人に裏切られたと思ったときの衝撃が伝わってくる。いい意味で単純な性格で、自分で誓いをたてたことは絶対に全うするだろうと思える。ストーリーにあまりまとまりがない作品で、しかも濃いキャラばかりなのに、ちゃんと物語の中心は「王である」決意をしたアーサーのソロ、「Was macht einen Koenig aus」なんですよね。そもそもPatrickの声によく合ったいい歌だと思いましたが、実際に聞いてみると物語のすべてがそこに集約されていくような力強さがありました。だからこそ、風邪(フェイスブックで自己申告あり)で高音がでなかったのが残念ではありました(シングルキャストなので代役なし)。彼の朗らかな高音がこの歌のラストで聞けたらそれはそれはすばらしいだろうと思っていたのでそれだけが残念です。とはいえ、ただの無邪気な青年から王者にふさわしい貫禄を備えるまでの流れがとても自然だっただけに、彼で見られたことはうれしいのですが、やはり心残りはあります…。ちなみに、一カ所CDより上げていた部分があって、主演の意地は見させていただきました!
 良いとは聞いていたMark Seibertのランスロット、いやー、本当に良かったです!私の中ではティボル以来のヒット。アーサーにとって兄弟のような親友であり、アーサーが王となる運命を受け入れたあとは彼の忠実な臣下となるけれど、アーサーの思い人と知らず出会ったグイネヴィアを愛するようになる…というドラマティックな役ではありますが、とにかくすべての面で魅力的。アーサーと仲の良いただの青年であるときはとても朗らかな好青年。相変わらずがっちりした体格で(しかも軽装なのでそのたくましさがしっかり分かる)、岩に突き刺さった剣くらい引き抜けるだろう、笑ってないで本気出せ!と思えるあたりはご愛敬(笑)。後にアーサーの臣下になるととたんに品のいい騎士になります。銀色の鎧に彼の金髪がまたよく映えて、本当に絵のような騎士姿。影がひとつもないような状況からグイネヴィアに出会い、心を動かされ、しかし、彼女がアーサーと愛し合っていることを知る。このあたりからの報われなさがとにかくすばらしい!グイネヴィアへの思いに偽りはないけれど、別にアーサーから彼女を奪いたいわけではない。グイネヴィアとアーサーが並んでいるところを見ているときの複雑そうな表情を見ているとこちらまで切ない気分になります。1幕前半では本当に迷いなんて一つもないように見えるほど朗らかだったのに、グイネヴィアと出会ってからは幸せな結末が想像できなくなりました。グイネヴィアを思うソロ(歌詞を読むとかなりストーカーっぽいがそのあたりはイケメン無罪ということで)の力強いように思えて高くか細いけれどしっかり届く甘い声が本当に魅力的。彼のルックス、力強く明るく朗らかなところと、そのルックスに似合わぬ繊細さがすごく生きた役でした。Markのこういうところが好きなんだとすごく久しぶりに思い出しました。
 さて、ランスロットのグイネヴィアへの愛情は見ていて痛いほど分かるのですが、たぶん最後までそれを気づかなかったアーサーとグイネヴィア。アーサーと同じような明快さがあり、その朗らかさとまっすぐさが魅力的なAnnemiekeのグイネヴィア。二人の男性を振り回しておきながらまったく嫌味に写らないのは彼女もまっすぐだからだと思います。アーサーにつれなくされて寂しかったというのがアーサーから心が一時離れた原因だというのは分かりますし(アーサーに助言したら「誰に口を利いている、国王だぞ」と言われて呆然と「ごめんなさい、私は自分の夫と話していると思ったの」と言ったときの可憐さというか、折れそうな孤独がどうしようもなく愛しい)。彼女もとても多面的な魅力を見せてくれました。登場した瞬間のどちらかといえば少女のような無邪気な愛らしさを持っているのに、時が流れるにつれてごく自然に王の隣にあるにふさわしい女性になっていきます。エリザベートで初めて彼女を見たときまるで恋に落ちたような気分…と思ったのですが、グイネヴィアが登場したときも同じことを思いました。本当になんてかわいらしいんでしょう!生き生きとして朗らかで、彼女を嫌いになる人なんていないだろうと思える温かさがありました。また、かわいらしいだけですまないのがグイネヴィアの魅力ではあると思います。確かに愛を語る女性ではありますが、実際ランスロットやアーサーの命を救ってるのも事実で…なんとなくそういうところがこの作品をRPGっぽくしてるとは思いますが、愛を語って守られるだけではないあたりがAnnemiekeらしいと思います。ソプラノが美しい役ではありますが、それでも芯が強いと感じさせるあたりも本当に彼女らしい。ちなみに今回のメインキャストは明らかに巨人の国の住人たちで、決して小柄でない…むしろ女性にしてはかなり大きい彼女がふつうに可憐な女性に見えました。ランスロットに抱きかかえられてる時なんて、小さく儚くしっかり抱き止めなければ消えてしまうんじゃないかと思うようなかわいらしさがありました(このシーンがまた二人とも破滅に向かって進んでいる空気があって大変美しかったです)。
 Sabrina Weckerlinのモルガナはなんというかイメージぴったりというか、なんとなく彼女の力強さを全面に出した感じ。こういう純粋な悪役って演じたことはなかったと思いますが、すごくは肌になじんでる。モルガナがらみが実は一番聞き取れず、自分のせいではありますがそこが残念でした。異父弟のアーサーを憎み、魔術師マーリンをたらし込む存在。メインキャストの中で唯一の「悪役」側にいるキャラクターですが、4対1のハンデなどものともせず、抜群の存在感でした。復讐にとりつかれてはいるけど決して自分を見失うことはなく、芯のしっかりした女性。どこか哀れさを感じさせるところもあり、報われてほしかったです。最初の修道女姿は鬱屈とした感じがしましたが、そこを飛び出して復讐を誓い、マーリンから魔道の秘密を盗もうとしている(?)あたり、アーサーと敵対する王と取引をするあたりのりんとした雰囲気は大変魅力的でした。相変わらずの力強い声は絶好調。そして、どんなに悪女を気取っても、どんなに力強い声で歌っても、強くなりすぎずどこか弱さを感じられるところが彼女のいいところだと思います。露出度の高い服を着ても色気がほとんどないところも、彼女らしくて好きです。
 Thomas Borchertの魔術師マーリンは言うまでもなくはまり役。おでこ全開の白髪長髪という姿にはびっくりしましたが、実際に見てしまうと意外と違和感なし。どれだけ偉い魔術師様かは知りませんが、その存在そのものがこの世ならざるものを感じさせました。すごく重要な役というわけではありませんが、音域の高めな部分を歌いあげる曲があり、登場したとたんに存在感を出さなくてはいけないという、今の彼のためのような役。高圧的なようなひょうひょうとしているような不思議な存在感で、偉そうだけど重くなりすぎない独特の存在感でした。アーサーと話しているときに感じるすべてを見通しているような笑みがなんとも印象的でした。モルガナとの二重唱は聞き応え抜群でしたありがとうございます。ぜいたくを言うならもうちょっとがんがんアレンジする曲が聞きたかったです。

 アンサンブルについてはそこまで特筆するようなことはなし。CDに比べてミュージカルでしたが、割り当てられていた曲も含めインパクトは弱かったです。魅力的だったのはアーサーの父と敵対する王くらい(壮年男性が魅力的と思えるあたり、さすがの層の厚さを感じさせますが)。TdVなんかでお名前見たことある方もいましたが、印象に残らなかったのが少し残念です。

 演出はいまいち…と聞いていましたが、悪くないと思いました。作品自体が役者ありきで作られているので、こんなものかなと。レベッカ(演出家はウィーンレベッカ、今公演と同じ)でもキャストが椅子や机を手で移動するような作りだったのですが、ちょっとそれが多用されすぎていたのが気になりましたが、場面転換はスムーズだったと思います。曲を聴いて訳して、いまいちどう演出されるか分からなかった曲も予想外に盛り上がる曲になっていました。「Schwert Und Stein」は訳しているとまるでアーサーが独り言を言っているようでしたが、曲の入り方も歌い方もいきなり王になる運命を突きつけるマーリンへの腹立たしさをぶつけるのがとても分かりやすかった。「Ein wahrer Held」ではグイネヴィアが沈んだアーサーを励まし、運命を受け入れるように心を動かしていること、互いに引かれあっていることがよく分かりました。「Die ruhmreiche Schlacht」は王になる決意をしたアーサーにひざまずくランスロットの朗らかさが魅力的。その後も物語が盛り上がっていくのがわかり、とても楽しい場面でした(というか、Thomas、Patrick、Markの重唱とか幸せすぎます…)。「Heute Nacht faengt es an」は訳知り顔で歌い始めるマーリンが良かった。曲的に若干1幕終わりの盛り上がりがない気がしましたが、演出は1幕終わりにふさわしいかっこよさでした。あと、ここに限らないのですが映像の使い方は好きです。「Morgen triffst du den Tod」は音だけでも戦いを予感させる音楽で魅力的でしたが、実際に見てみるとなおさら。居並ぶ騎士たちの、ただ立っているだけで美しいその姿が印象的でした。繰り返しになりますが「Was macht einen Koenig aus」はCDで聞いたときは「派手なソロの1曲」という感じだったのですが、実際に見てみるとちゃんと物語がここに集約していくことがわかり、これだけ個性豊かなキャラクターがそろっているけれど主人公はアーサーだとはっきり印象づけられました。

 衣装はいいものもあり悪いものもあり。鎧姿のように時代を感じるものもありましたが、現代的なものもありました。予算の関係か作品としてのアレンジかはちょっと見分けがつきかねました(アンサンブルの軽装がすごく現代的だったから)。ただ、全体的にすっきりしていて、簡素なセットとの相性は良かったと思います。
 カツラは本当に良くなってた!モンテクリストやドラキュラで感じた嫌がらせのように変な髪型もなくなってましたし。
 オーケストラについては言うまでもなく鉄壁。できればハープが欲しかったところではありますが。和太鼓があったことにはびっくりしました。和風になるわけではなく、激しい感情を表現するような使い方がおもしろかったです。
 ワイルドホーンですので、ほぼ全編歌です。CDに収録されていない曲もいろいろありました。一度しか聞いてないのでさすがに覚え切れませんが、グイネヴィアとランスロットの裏切りをアーサーが知ったあたりの「Alle vorbei(だとかなんとか…)」と繰り返す歌はかっこよかったです。
 ちょっと気になったのが殺陣のシーン。剣がとても重いことがよく分かってしまいました。実際にそれがその時代の剣の重さなのかもしれませんが(日本の剣は切るもの、西洋の剣は叩き潰すもの…と聞いたことはあります)、舞台としてはスピード感にかけ、いまいち魅力を感じませんでした。人数が多いシーンで、剣あり槍ありと結構おもしろそうだっただけに残念です。

 多分、キャストが変わるとがらりと雰囲気が変わる作品だと思います。日本だと日生あたりでやりそうですし、ドイツだとテクレンブルクあたりが好きそう。韓国も好きだと思います。いつか別の地域でやるとなったらまったく別の作品になると思います。そんなおもしろさを感じる作品でしたし、そういう作品だからこそぎりぎりファーストキャストで見られたことがうれしかったです。また、メイン5人にはそれぞれきっちり見せ場があるので、5人それぞれのファンとしてもまたうれしかったです。いろいろ文句はあったはずですが、見終わっての感想は「楽しかった」、ただそれだけです。


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欧州大陸側ミュージカル
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(2014/12/15(Mon) 00:33:58)




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