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  Kバレエ 海賊(2015/06/20)

メドーラ:ニーナ・アナニアシヴィリ
コンラッド:遅沢佑介
アリ:井澤諒
グルナーラ:小林美奈
ランケデム:石橋奨也
ビルバント:ニコライ・ヴィユウジャーニン
サイードパシャ:スチュアート・キャシディ
神奈川県民ホール
★★★★☆

 一度やってみたかった、「Kバレエ全公演観劇」をやってみました。前回の「海賊」は7回見てるので6回なら問題ないだろうと思ってのことでした。結果的には、これだけ見てもまだ映画が楽しみなくらいには楽しめました。

 最後となったこの回は最後だから全体を見る・・・という目標を立てたもののそれが実践されていないのはいつものこと。兼城さんが物乞いと海賊にいるのに、いったいほかのどこを見ろと・・・。
 そんな感じだったにも係わらず、全体的におもしろいと感じたのでやはりよい公演だったのだと思います。部分部分見ていくとちょっとした取りこぼしのようなものもあり、「今までの集大成」と言うほどまとまりのあるものではなくとも、確かに楽しい公演でした。

 ニーナさんについては今回が一番よかったと思います。登場シーンあたりがどうもちぐはぐだったのがきれいにまとまっており、力任せという感じをあまり受けませんでした。そのほかKバレエ特有の振り付け部分の音の取り方もスムーズになってました。美奈さんのお姉さんぶりも相変わらず。彼女も踊りがどんどん安定してきた気がします。
 そしてやはりこの二人は陽と陰、太陽と月のように思えます。そんな二人の性質の違いがこの物語にぴったりで、明らかな「年齢の壁」があるにも係わらず、この二人の姉妹というのは悪くないと思ってしまうのです。
 遅沢さんのコンラッドは相変わらず堅実な踊り。ソロもびっくりするほど軽やかでした。助けてくれたメドーラの手の温もりにふれて・・・というところも、手の中からすり抜けていくメドーラの手の温もりが感じられるかのよう。まっすぐに一目惚れして幸せです、ではなくてどこか切なさを残しているのが遅沢さんらしいコンラッドでした。メドーラとの踊りもまとまってきて、特に洞窟でのパドドゥがなんか付け焼き刃だったのがちゃんと暖かみのあるものになっていて安心しました。
 井澤さんのアリ、見た目がたまに橋本アリを思い出させますが、彼よりもっとコンラッドの後ろに控えている感じ。コンラッドの忠臣という雰囲気がとても強く、本当にあらすじ通りのアリです。演技がとても細やかで、たとえば漂着してから目覚めるまでの時間の、途切れ途切れの意識をなんとかつかもうとしているかのような指の動きや、意気消沈しているコンラッドをなんとか励まそうとしているところ、そしてメドーラとの出会いを見守っているところなど、大変印象的でした。踊りはソロもよかったのですが、2幕の冒頭の海賊たちと踊るところが迫力はあるけど軽やかで気に入りました。
 ニコライさんのビルバントも相変わらず好調。踊りはそんなに細やかでもないのに、決して力押しでもないバランスはさすが。鉄砲の踊りで女奴隷をどちらかというと侍らせる雰囲気でしたがちょっとしたやりとりが楽しかったです(蘭さんとだと踊りながらなんとなく駆け引きを楽しんでいる感じでした)。一歩先が見えているようなビルバントで、冒頭の漂着シーンで「戦えない」と判断するのが早い(これはアリも同じ)。コンラッドほどでなくともある程度部下たちから信頼を得ているのは確実で、その存在感が彼の手下として見えているのは二人でも、もっと大きな組織立ったなにかを感じることができました。女奴隷たちやメドーラのことをどちらかと言えば宝石のように「戦利品」ととらえていることが伺え、コンラッドとの間にある埋めきれない溝を感じました。
 頭がいいのは石橋さんのランケデムも同じ。「ビジネス」と言いたくなるくらいしっかり働いていました。最後にメドーラをパシャに届けに行くシーンも「お買い上げいただいたから納品まできっちり」とでも考えているかのよう。パシャを上客だと理解してるけど、金を出すまでは特別ひいきにすることもなく、ちゃんと守らせるルールは守らせている。「商品」と「客」に使い分ける顔もはっきりしている。鞭の音でグルナーラたちを踊らせるシーンが印象的でした。伊坂さんのお金持ちとのやりとりから、「客」からのリクエストに応えて場を盛り上げているのがはっきりわかりました。それにしても美奈さんと石橋さんの組み合わせはいいですね!松岡さんと輪島さん以来、グルナーラとランケデムが踊ってるのは「パドドゥ」だと感じさせる組み合わせでした。

 兼城さんは物乞いか海賊のどちらかと思ったらまさかの両方。大変うれしかったのですがおかげさまで目が全く足りませんでした。物乞いは女物乞いをかわいがっている感じが、すごく兄妹っぽくて好きです。背中が大変柔らかい方ですので、見慣れたはずの物乞いおきまりの踊りも足がとんでもない角度であがっておりました。パシャが登場するあたりのちょっとしたソロはまるで空中で止まっているかのよう。ぴょこぴょこ飛び回る姿が大変かわいく、また、女物乞いとふたり強かに生きてきたんだろうと思える雰囲気が好きです。海賊の男たち、前回は若干当てはまってない感じもしましたが、今回はきれいにはまっていた気がします。ぴったりきっちり踊ってるけど上品になりすぎないところが素敵。舞台にいるときはちょこちょこ見ていたのですが、鉄砲の踊りで同じくビルバントだった杉野さんがビルバントの踊りをまねしているところに女奴隷よろしく寄り添って気持ち悪がられていたのがおかしかったです(こういうところまで見ているから目が足りない)。
 お金持ち→海賊の伊坂さんは自由そのもの。奴隷市場でも楽しかったですし、洞窟のシーンも楽しかった。舞台の端の方にいても愉快そうに踊るように歩いているその姿だけで楽しい。ビルバントとの手下としてのふてぶてしさ、鉄砲の踊りの色気と、どのシーンも外れのないおもしろさでした。役固定だった篠宮さんも楽しかったです。奴隷市場でのあの場慣れした落ち着いた雰囲気はいったいなんなんだろう・・・。石橋さんと一緒の時はビルバントと部下としてふたりは対等という感じでしたが、伊坂さんとだと伊坂さんの方が若干格上という感じです。伊坂さんほどのふてぶてしさはなくとも、なんとなく底知れない感じのする存在感が好きです。コンラッドに襲いかかるあたりの踊りはふたりとも軽やかで無駄に見応えがあります。
 杉野さんの酔っぱらいぶりがいろいろでおもしろかったとか、池本さんは海賊なんだか王子なんだかたまにわからなくなるけどシェネが美しくて見ほれたとか・・・そんな風にあちこち見てるので目が足りません。
 オダリスクはファーストキャストでなかったのがちょっと残念でした。きれいにまとまってるけど、やはり千秋楽はファーストキャストを見たかったなというのと、蘭さんはやはり鉄砲の踊りが見たかったなというのがあります。

 さて、終盤で印象的だったのはメドーラでした。海賊たちの諍いにおびえていたメドーラでしたが、コンラッドがビルバントを殺すときその姿をずっと見ていました。アリが殺されたせいか悲しみに暮れているグルナーラはその様子を見ていないのに、メドーラはずっと見ていました。その姿がとても心に残りました。
 アリの弔いをするとき、メドーラはコンラッドを見ていません。一人海を眺めている。コンラッドはアリの羽根を海に返し、自分の海賊帽は甲板に捨てる。何度見てもそう感じました。ビルバントを殺したことを見ていたこと、アリを弔うところを見ていなかったこと、そのふたつが私の中でとても印象的で、彼女にならコンラッドを任せられると感じました。コンラッドと出会ったときの彼女でなく、今の彼女なら。メドーラがなにか劇的に変わったわけではないのですが、でもやはりこの物語の中で彼女は変わっていて、なんの憂いもなく旅立っていく二人を見ることができました。

 決して全体が見れていたわけではないのに、終わってみるとメインストーリーがおもしろいという大変不思議な公演でした。細かいところも大変おもしろい作品ですので見ることができるならまだまだ見たいと思えました。
 振り返ってみると3キャストとも雰囲気が違い、なにがどうなるかと思っていたキャスティングがうまくはまっていた気がします。メインキャストも脇もおもしろく、ああ、Kバレエの「海賊」はおもしろいなあとずっと思っていました。引き続き映画館での上映が楽しみです。

Kバレエ
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(2015/06/28(Sun) 02:20:23)





  Kバレエ 海賊(2015/06/14)

メドーラ:ニーナ・アナニアシヴィリ
コンラッド:遅沢佑介
アリ:井澤諒
グルナーラ:小林美奈
ランケデム:石橋奨也
ビルバント:ニコライ・ヴィユウジャーニン
サイードパシャ:スチュアート・キャシディ
オーチャードホール
★★★★☆

 大変楽しい公演でした。
 なんというか、舞台もいい感じにまとまったのもありますし、私自身、どこをどう見れば楽しめるか…というのが分かったからかもしれません。ストーリーがきれいにまとまっていると昨日書きましたが、なぜまとまっていると感じたのか答え合わせのように見ていた公演でした。そういう意味で楽しかったこともあり、また、私のこだわりの部分がきれいにまとまっていたというのもあり、大変楽しかったです。見ているときは部分部分を見ていたつもりなのに、思い返してみると作品全体が浮かび上がる。そんなわけで2回目らしい感想にはなっているとは思います。そういうまとめ方をしている…という前提のうえ、お読みください。

 昨日の時点でちょっと納得いっていなかったのが「メドーラはニーナさんでなくてはいけなかったのか」ということ。彼女以外でもよかったのではと思う部分があったのですが、見返してみるとやはり彼女であることを前提に物語が組み立てられていると感じました。もちろん年齢や踊りの質の違いは感じるのですが、それでも彼女の性質、太陽のように光を放つ大輪の花…という雰囲気を生かして物語を組み立てているように思えました。
 メドーラが妹にグルナーラが姉に見えた理由ですが、やはりメドーラは守られる側でグルナーラは守る側だとふたりとも自然に思っているからかもしれません。アリが最初にメドーラたちの前に姿を現した時、グルナーラは自然に皆より一歩前に出て、メドーラは彼女の後ろに隠れます。その流れがとても自然だったので、メドーラは妹でグルナーラは姉だと感じたのだと思います。
 井澤さんのアリは相変わらず堅調。船が難破したあと起きあがるとき、まずは指が動いて起きあがり、そしてここはどこだろうとあたりを眺め、足を怪我していることに気づく。そのひとつひとつの表現がとても的確で、しかも音楽にぴたりと当てはまっている。コンラッドが目覚めたあと、嘆くコンラッドに対して「それでも自分は生きている」というところも好きです。全体的な話になってしまいますが、ソロの迫力は池本アリの方が上でしたが、音楽を使って丁寧に物語る部分については井澤アリの方が魅力的でした。
 遅沢コンラッドはやはりどことなくよいところの出身の気配を感じます。助けてくれたメドーラグルナーラにお礼を言うあたりでそれを強く感じます。壊れた船を見つめるときの嘆きは相当のもでした。それがあったせいかはわかりませんが、メドーラの手に触れたとき、その温もりを特別に思ったのがしっくりきました。理由はよくわかりませんが、このときのコンラッドの気持ちがすごく納得がいったので、この物語をメドーラとコンラッドの物語としてみることができたのかもしれません。

 奴隷市場については、兼城さんが物乞いにいたのでもうなにがなんだか…。意外と舞台にいる時間が少なかったのだけが救いです。荒薪さんとあわせて、とてもかわいい物乞いペアでした。すぐに二人は兄妹だと感じました。なんとなくしっくりくる組み合わせでしたし、とにかくかわいかったので、大変楽しかったです。
 石橋ランケデムは相変わらず絶好調。腰で立っている…と例えたらいいのでしょうか、ちょっとバレエとしては正道ではない立ち方をしているのですが、この立ち方でいつもなにかを見下ろす感じとにやけ笑いがまあランケデムとしてはまるはまる。不思議と金に対するがめつさはあまり感じませんでいたが、それでも仕事はしっかりとやるタイプのように思えました。
 美奈さんのグルナーラは相変わらず美しい。パドドゥを踊り終える直前、その悲しげな顔に「踊り終える恐怖」を感じました。確かにいやいやながら踊らされ踊っているわけですが、踊り終わってしまったらまた事態が取り返しのつかないところにさらに転がっていく。そんなことに気付かされましたし、また、そんな風に恐怖に震えながらも踊るグルナーラが大変色っぽく美しく、素晴らしかったです。
 これは見終わってなんとなく思い出していて思いついたレベルの話ですが、なんとなくグルナーラはもう誰も助けにきてくれないと思っていた気がしますし、メドーラは誰か助けにきてくれる…とまでは思っていなくとも、誰も守ってくれる人がいない現状に恐怖を抱いているように思えました。
 お金持ちさんたちは相変わらず楽しいことをやってくれているのはわかりつつもなかなか目が行かず。篠宮さんの場慣れして落ち着いた雰囲気と、池本さんのなんかこの場にそぐわない雰囲気がおもしろかったです。
 おもしろかったことふたつ。海岸のシーンでコンラッドはすでにメドーラに惹かれているようでしたが、メドーラにはどちらかと言えばためらいがあるように思えました。ここでの再会があったからこそなのかなと。逆にコンラッドはもう一度恋に落ちたようで、若干心ここにあらずといった感じでした。ちょっとぼんやりし過ぎという感じだったので、アリがひっかき回してくれてよかったと思えました。
 石橋さんのランケデムは伊坂さんに比べると若干肝が据わってないかと感じました。その分、コンラッドが正体を現したあとはうろたえが感じられ、形成が一気に逆転したのが感じられておもしろかったです。

 洞窟の場面で気になったのがビルバントの存在感。今まで「部下その1」位にしか思っていなかったのですが、もっと、なにか、違う。2幕冒頭のシーンではコンラッドと対等…とは言わずとも「部下その1」の存在感ではありませんでした。その理由はあとではっきりします。書くところがないのでこのタイミングで書きますが、石橋ランケデムは伊坂ランケデムと比べると肝の据わっていないランケデムで、本心を隠すようなにやけ笑いが大変むかつきました(ほめてる)。
 さて、楽しい楽しい洞窟のシーン。メインの踊りも楽しい、脇であれこれやってるのも楽しい…と目が泳ぎまくってなにを見たのかよく覚えてません。伊坂ビルバント手下が最初っから酒飲んでくつろいでるのを見たり、杉本海賊がさっさとつぶされるのを見たり、池本海賊が男らしくなったりたまに王子っぽくなってるのを見ていました。さらに細かいところにはなりますが、ヴァリエーションで完全に座っているだけのシーンは酒匂さん、杉野さん、和田さんあたりがなんとなくだらっとしていて「くつろぐ海賊」という雰囲気にぴったりだと思っています。
 グランパドトロワ(ということにする)は突き抜けた派手さはなくともきれいにまとまっていました。井澤さんの踊りは昨日は若干乱れて驚きましたが、安定していて安心しました。遅沢さんもとても丁寧に踊っている。ニーナさんはアームスが、なんというか、若干勢い任せで気になるのですが、グランフェッテが「延々回り続けてる中でその一場面を切り取った」ような安定感で、クセになるものがあります。

 ちょっと今までと違う雰囲気を感じたのはこの後でした。ビルバントの連れてきた女奴隷たちをコンラッドが解放して諍いになるシーン。今まではコンラッド対ビルバントとか海賊団の中でビルバントとその仲間たちが反乱を起こしたとかそういう風に感じたのですが、コンラッド率いる海賊団の中で一部が反乱を起こした…と感じました。もちろん人数としてはビルバント他2名という構成に変わりはないのですが、ビルバントの考えに従う存在が海賊団の中にいる、そう思えました。だからビルバントが刃物で手下を脅してランケデムを解放させた時も若干ニュアンスが違って思え、刃物で脅されたから従ったというより、冗談を言ってるのでなく本気だと分かったから従った…というように思えました。
 ビルバントたちの反乱を力で押さえつけたコンラッドですが、そんな風に反乱を起こされるとは想定していなかったようで、どこか神経質になっているような気がしました。ただの陽気な酔っ払い杉野海賊が酒を取りに来ただけでひどく取り乱すことに、彼自身驚いている、戸惑っているように見えました。内部分裂を起こしかけている原因がメドーラにあることはわかっている、それでもメドーラの手を放すことはできない。そんなコンラッドの気持ちを感じるパドドゥでした。
 さて、上記のように神経質になっている自分の気持ちを押さえようとしているので、ビルバントの手下たちの動きに気が付かなかったのはメドーラに気を取られていたからでなく、ビルバントの手下たちの動きが怪しく思えるのは自分の思い込みだとコンラッドが考えていたからのように思えました。だからギリギリまで二人の動きに気付かなかったのにも納得がいきました。そしてそのあとメドーラが連れ去られ、気を失うコンラッドを見たアリの「こうなる可能性に気付いていた」上での驚きと嘆きが、コンラッドを守ることをなにより優先する彼の本質を表していたと思います。
 薄幸な姿の相変わらず似合うグルナーラ、美しい女はちゃんとそろえたのになぜ夢の世界と同じにならないかとちょっと妄執しているように見えるパシャ、グルナーラを見かけてなんとなくにやりと笑うランケデムなんかがこのあたりで印象に残っています。あと、グルナーラとメドーラが再会したとき、グルナーラは守るべき相手を取り戻し、メドーラは守ってくれる相手に再会したように見えました。手をつなぐ姿が本当に姉妹に見えるのです。
 終盤の流れは最高でした。足を切られたランケデムを笑いながらなだめるように首を掻っ切るビルバント。先ほどは醜態をさらしましたが、ランケデムとの器の違いを感じさせる冷徹さです。グルナーラを守るアリ、メドーラを守るコンラッド、アリはグルナーラを気にかけていたけどビルバントの動きを見て飛び出す。自分の受けた傷の深さに死を予感しながらも、それでも自分の手でけりをつけるべく足を進めるアリ。コンラッドは自分の判断ミスで失われた命を嘆き、仲間殺し…多分これをコンラッドは決してやりたくなかったし、そのことをアリも知っていたから自分の手でビルバントを殺そうとした…になると分かったうえで自分で決着をつけるためにビルバントを殺す。とにかく限られた音楽の中でめまぐるしくドラマが展開するシーンなのですが、驚くほど滑らかに、音楽と一体化して心に飛び込んできました。特に井澤アリは音にタイミングを合わせるという気負いが全くないのに、ドラマティックでありながら本当に音と全くずれのない演技で見事でした。
 何度も見ているエピローグですが、コンラッドがアリと別れ弔うとき、メドーラが一人別方向を見ているというこの場面そのものの美しさに息をのみました。コンラッドはアリの羽根を海に返し、甲板に海賊の証である帽子を捨てる。何度も見た場面なのですが、アリに対する敬意とそれから自分自身への非難を感じました。そんな風に傷ついた状態のコンラッドだからこそ、この人ならきっと彼を導いてくれると思えるメドーラはぴったりでしたし、本当にそれが救いだと感じました。
 海賊アリの人生と海賊コンラッドの人生が終わり、新しい人生が始まる。すごくすっきりまとまったラストシーンでした。

 もっといろいろ書きたいことがあるのですが、時間切れ。いろいろ楽しく、見ていたところも散漫でまとまりがないのですが、あちこち脇を見ていたはずなのに最後はメインのストーリーで納得させられるいい公演でした。

Kバレエ
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(2015/06/20(Sat) 02:24:06)





  フランク・ワイルドホーン&フレンズ チケット先行発売

私も今朝気が付いてびっくりしました。

F&F東京公演、先行販売始まってます。

一応チケットの席番を確認して購入することができます。
今朝の時点ではなかなか良い席でした。
良い席はお早めに(と言いたくなるくらいいい席だった)。

欧州大陸側来日
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(2015/06/15(Mon) 23:08:37)





  Kバレエ 海賊(2015/06/13)

メドーラ:ニーナ・アナニアシヴィリ
コンラッド:遅沢佑介
アリ:井澤諒
グルナーラ:小林美奈
ランケデム:石橋奨也
ビルバント:ニコライ・ヴィユウジャーニン
サイードパシャ:スチュアート・キャシディ
オーチャードホール
★★★★
 なんともコメントに困る公演でした。
 キャストが出た時からどうなるか全く分からなかったこの公演。どうなるかと思ってましたが、いや、本当に困った。だめならだめでいいのです。そう一刀両断にできないからコメントに困る…。もともと若い人の多いバレエ団ですしゲスト迎えるのに慣れてませんし、それなのに妙なバランスでまとめようとしてるし、すごく頑張ってるのは分かるし、そこ頑張ってもなあと思いつつ、頑張り評価するのもなんだし、でも思ったよりは良かったし…。もともと日本人ダンサーの基準でも細い人が多いバレエ団の中に入るとニーナは明らかに太目だし年齢上だし、妹というよりはママンだし衣装似合ってないし、安定感と華やかさはあるものの最盛期がとっくに過ぎてしまったものを無理にまとめているのはわかるし…どうしたもんかと思っていたら最後の最後にストーリーがしっくりまとまっており、なんというか、「面白くなかった」とばっさり切り捨てることができないためにたいへん困り果てています。
 一つ面白かったのはメドーラは妹に、グルナーラは姉に見えたこと。二人並んで姉妹に見える…というのとはまた違うのですが、ニーナは妹だと思うし、美奈さんは姉だと思いました。また、メドーラというのは皆から愛され、太陽のように光を与えるタイプなのだと感じました。それはメドーラの個性なのではなくニーナ自身の個性かもしれません。でもメドーラがそういうタイプだと思うと、誰もが彼女に魅了されるのも、傷ついたコンラッドが一目で彼女に惹かれるのもわかる気がするんです。そして最後にコンラッドが新しい人生を切り開いていこうとするとき、彼の隣に明るく朗らかなメドーラがいることに安堵する。また、メドーラとグルナーラが皆から愛される存在(妹)と誰かを守り愛していく(姉)存在だと思うと、始終報われないグルナーラの存在になんとなく納得できる気がしました。祥子さんの時の公演は舞台を技術でまとめている感じで、この公演は奇妙なバランスで全体が物語がまとまってる気がしました。キャスティングが発表された時点でバランスが悪いことはわかりきっていた公演で、そんな中で皆さん本当に驚くほど話をまとめてるけどこれが「Kバレエの海賊」だと自信を持って言えるかというとそんなことはなく、けれどよくもまあこのバランスの中で物語の整合性を取る活路を見出したという部分は認めたくもあり、だからといってチケット代高いんだし…と堂々巡りに入ってしまう公演でした。メインが面白くなくってお目当ての好きなダンサーさん見て楽しかったです!でまとめるにはどうも惜しい公演なのです。ああ、本当に困る…。

 さて、話を分かりやすい部分に変えます。井澤さんのアリはいつものイメージと異なる雰囲気。遅沢コンラッドとは兄弟のような雰囲気、それでもアリは臣下。なんというか、兄弟でも嫡男とそれ以外は違うよねというか…あ、またナチュラルにいいとこのおうちで例えてしまった。やはり雰囲気は若干上品です。でも上品過ぎずしっくりくる。前方席だったため、細かい演技まで見えました。船から投げ出されたあとの起き上がる前、細かな指の動きさえも雄弁に物語を語っていて、こんなに演技がうまかったかと驚きました。仕える者…臣下というにはあまりにも身近にコンラッドを案じる姿も大変印象的でした。踊りについては力みがあったのか若干軸のずれ(珍しい)や体力切れ(珍しい)を感じましたが、基本は美しいけど力強く、魅力的でした。
 遅沢コンラッドについては、久しぶりに遅沢さんの主演を見ることができてそれだけで満足してしまうファンです…。やはりどこか高貴な血を感じつつも粗野な感じもあり、人を率いていく力を感じるコンラッド。愛を語る時はとても雄弁だけど甘くなりすぎない。コンラッドはどちらかというと踊りに見せ場がなく、サポートメインですが、まあ、サポートについては体格の問題もあってよく頑張りましたという感じでした…。ソロは少ないながらも丁寧に踊られていて気持ちよかったです。それにしてもコンラッドの衣装って本当に足を美しく見せるんですね。茶色いタイツに黒いブーツが大変美しく、見ほれました。
 コンラッドとアリは主従という関係ですが、海賊の親分と子分という言葉ではくくれないなにかを感じました。アリはコンラッドのすべてに従い、守っている。それを感じたのがビルバントが最初にコンラッドに刃を向けたシーン。コンラッドはメドーラをまず守り、アリがコンラッドを、そしてメドーラを守ったように見えました。この関係性がとても魅力的でした。
 ビルバントはまるで自分が海賊団の2番手だと思っているようでした。アリをさしおいて…というより、アリは本当にコンラッドの腹心でそういう海賊団としての地位とは違うところにいるような気がしました。そう考えるとビルバントが自分を二番手だと思うのも不思議はないように思いました。だから洞窟でコンラッドが自分に相談もなく、一人の女に入れ込んで自分の戦利品、宝や女たちを手放すことに腹を立て、刃向かったのがすごくわかる。踊りは特に印象に残らなかったのですが、やはりベテランらしい、スタンダードだけど存在感の濃いビルバントでした。
 なんというか…この公演、石橋さんのランケデム目当てで行ったのですが、メドーラとコンラッドを中心としたアリ、グルナーラ、ビルバントの関係が大変面白く、もちろんランケデムもよかったのですが、彼はパシャと同じように物語の軸にいるのでなく引っ掻き回す側にいるんだなあとしみじみ思ったのでした(そう思えたのだから、やはり話全体は面白くなかったわけではないのですよ)。

 石橋さんのランケデム、案の定はまり役でした。悪人面だけどたまに軽めの笑い顔が混じるせいで益子伊坂よりは明るめの感じのランケデムでした。仕事はきっちりするタイプですが、どちらかというと仕事きっちりという感じで金への執着は感じませんでした。女たちのことは商品と思っているとは思うのですが、多分なんとなく女好きの気配を感じるランケデム。それにしても石橋さんは見る度にうまく、本当に見る度に変わって行く気がします。ソロもずいぶん安定してきましたし、リフトも不安がない。本当にこの方は見る度に驚かされます。ちなみに上の方で井澤さんの踊りがなんか妙だったと書きましたが、奴隷市場でのアリとランケデムの丁々発止は石橋さんのほうがまとまってて良かったです。
 小林美奈さんのグルナーラもはまり役。もの悲しげな表情がグルナーラにぴったり。なんとなく悲劇が似合う雰囲気に、そこはかとなく漂う色気。グルナーラにぴったりでした。ソロもなかなか安定しています。軸がずれているような気がするのにくるくるきれいに回れるのが不思議です。石橋さんのランケデムとの相性もいいです。なにも事情を知らなかったらちょっと物足りないのかもしれませんが、若手ペアがここまでの世界観を作り出してくれることに驚きました。

 パシャのキャシディさんはさすがの存在感。なんでしょう、あの格の違う迫力は。キャラクターの方向性としてはニコライさんと同じ「にこにこ笑った女の子たちにふわふわ踊ってほしいだけなのにそれがかなわない」だと思うのですが、ニコライさんのかわいらしさはなく、もっとシリアスな感じがします。だからこそ「追い求めているものは幻」という側面が、より一層教訓じみているように感じました。
 ビルバントの手下は伊坂さんと篠宮さん。石橋さんと伊坂さんが入れ替わったようです。相変わらず伊坂さんは濃いめの雰囲気で、ニコライビルバントとのやりとりが短いながらも濃い濃い。ちょっと好色な気がするビルバントの手下で、鉄砲の踊りはしっとりと…から一歩踏み込んだ感じの色気でした、それもよかったです。対する山本さんが結構品のよい感じだったので、バランスはよかったです。ビルバントの存在感が大きく、また手下が伊坂篠宮と濃かったため、コンラッドに反逆というか、海賊団の中で反旗を翻す…というどこか組織だった動きを感じました。
 奴隷市場のお金持ちさん達は篠宮さんと福田さんが続投、石橋さんが伊坂さんに、井澤さんが池本さんになったと思います。残念ながらあまり見れてませんが、ほわわんとご満悦な伊坂お金持ち楽しかったです。
 海賊の男たちは見覚えのあるお名前の方ばかりでいったいどこを見たらいいのか…。兼城さんは和田さんと同じところ。あいかわらず軽やかで基礎のしっかりした踊りでした。池本さんはアリとは異なりヒゲを付けてちょっと海賊らしくなってました。杉野さんは相変わらずどこにいても楽しそうにおしゃべりしています。ああ、本当に目が足りない…。
 ヴァリエーションは大井田さんが安定した踊りで好きでした(ピルエットはダブルだったけど)。蘭さんはヴァリエーションより1幕のギリシャ娘のほうが好きでした。

 さていつも大好きなパシャの屋敷の襲撃シーン。ランケデムはアリとの対決の末、足(太もものあたり)を切られていました。ビルバントは遅れてやってきて、にやけ笑いでランケデムを撃つかと思ったら、撃たない。命乞いをするランケデムをなだめるようにして、薄ら笑いを浮かべながら首を掻っ切る。そういう残忍さがよく似合うビルバントでした。アリはグルナーラを守ろうとしているように見えました。だから彼女のそばを離れなかったけどビルバントの動きを見て、コンラッドを守るために飛び出して行ったようでした。アリの死を嘆くコンラッドは、やはり臣下を一人失った、以上の何かを感じました。そして「怒りに任せて」というよりは自分が「仲間殺し」になることを分かったうえで引き金を引いたように見えました。アリを殺したビルバントを許せなかった以上に、自分の判断のミスでアリを死なせてしまった、そんな自分が許せないという側面も見え隠れしていました。ビルバントを今度こそ自分の手で殺すことで、すべてに決着をつけようとしているようだったのです。
 仲間を守れなかった、仲間を殺した…遅沢コンラッドはメドーラと生きていこうとしたというより、別の存在に生まれ変わろうとしているように思いました。アリと一緒に、彼と生きた、彼を守れなかった自分を葬り、新しい人間になろうとしているように見えました。その隣にメドーラがいるのは救いに思えました。なぜコンラッドは海賊をやめたのか。宮尾コンラッドと別の意味で納得のいくコンラッドでした。(白石さんと宮尾さんの時は二人で一緒にこれから歩いて行く…という感じで、今回は自分を見失ったコンラッドの傍らでメドーラが彼に寄り添い包み込んでくれる…そういうイメージ)

 相変わらずあちこち散漫に目が行っていたのに、なんとなくラストがきれいにまとまっている。本当によくわからない公演でした。

Kバレエ
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(2015/06/14(Sun) 01:20:34)





  Kバレエ 海賊(2015/05/31)

メドーラ:中村祥子
コンラッド:スチュワート・キャシディ
アリ:池本祥真
グルナーラ:浅川紫織
ランケデム:伊坂文月
ビルバント:杉野慧
サイードパシャ:ニコライ・ヴィユウジャーニン
オーチャードホール
★★★★★

 前日ソワレとほぼ同じキャストの公演、基本的にこの公演が上映されるのはうれしいと思えるよい仕上がりでした。前日の公演より細々いいと感じました。(ちなみに感想細々書いておりますが、映像で見たら実は違ったというところがあってももうそれはご愛敬でいいかと思いつつ書きました)
 細かいところですが熊川版で重要なところ、グルナーラとメドーラが姉妹に見えるかということ。この公演のパシャの屋敷の二人は明らかに姉妹でした。心が弱ってはいるけど妹を案じる姉と、恐怖の中で姉と再会してほっとして甘える妹。しっかり者だけどどこかやつれた感じのする浅川グルナーラと、彼女より背は高いのにおもいっきり姉に甘えるかわいらしい祥子さんのメドーラの関係が大変美しく、できればこれだけ姉妹を感じる感じでもう一度1幕から初めてほしいなあと感じました。

 踊りの面では相変わらずの華やかさでした。祥子さんはグランフェッテの最後で若干着地が乱れたものの、後半のダブル連続は何度見ても息をのみます。池本アリは特別難しい振り付けでは踊ってないのですが、ひとつひとつの動きがとにかく素晴らしい!飛んだときのその高さ、空中での姿勢、足の動きの鮮やかさ。ひとつひとつ見ほれていました。キャスティング当初から心配だった祥子さんのメドーラのリフトはキャシディさんのコンラッドの代打ということでうまくまとまりました。若干アリが暇そうに見えるのはご愛敬かなと(苦笑)。とにかくこのパドトロワのシーンだけでも見る価値があると思えました。
 祥子さんとキャシディさんは結構見た目も雰囲気も踊りも相性がよいように見えて、もう少しキャシディさんが踊れたらもっといろんな作品で見られるのにと若干残念に思いました。2幕後半のパドドゥ、しっとりとした雰囲気の中で見える二人のちょっとした足の角度や動かし方がぴったりで、とても気に入りました。
 アリに見えるんだか見えないんだか分からない池本アリですが、物語が進むにつれて忠実な臣下に見えてきました。2幕のメドーラがランケデムに連れ去られたあと、海賊たちを集める動きとかとても好きでした。ただパシャのハーレムでグルナーラと再会したときは明らかに姫と再会した王子で、やっぱりこの方王子以外できないんじゃないかと思ってしまいました…とても無理なく自然で素敵な笑顔だったんです。
 浅川さんのグルナーラも相変わらず堅調。長いことファンをしていますので、昔は回転が怪しかったのにいつの間にかこんなに軸がしっかりして…という目線で見てしまうところはありますが。奴隷市場で印象的だったのはその強い目線。売られる側になってもその持ち前の気の強さは失われていないようで、最後まで「こんなこと許されるはずがない」とランケデムをにらみつけていました。その強さがとても魅力的だったから、パシャのハーレムでは心が折れてしまったように弱々しく見えたのがとても悲しかった。この弱さがメドーラと対照的で、姉妹の再会シーンももの悲しく思えました。

 伊坂ランケデムは奴隷商人が天職だと思いました。益子ランケデムは他に金儲けの手段があったらそちらでもいいんじゃないかという金にがめつい男に思えたのですが、伊坂ランケデムは奴隷商人として行うこと全てが楽しいように見えました。商品の仕入れから披露することも、「商品」がおとなしく鞭に従うことも逆らうところを無理やり従わせることも、奴隷市場を仕切ることも「商品」の価格をつり上げることも、それらが評価されて報酬を得ることも、そして売られていった女たちがおそらく不幸になることさえも彼にとっては最高の娯楽。常にきつい顔をしてるわけではなく結構笑ってる印象があるのですが、それがさらにランケデムという男の腹黒さを表してるように思えました。
 よく笑ったのは杉野ビルバントも同じ。あまり見ることのない、よく笑うビルバントでした。洞窟のシーンでメドーラにちょっかいを出そうとしてコンラッドに厳しく咎められるシーンでも笑ってる、まるでコンラッドを試すように。奴隷市場の女奴隷たちを連れてきて非難されてるところでもぎりぎりまで笑ってる。絶対近いうちになにかやらかすと思えるビルバントです。女奴隷たちが「帰りたい」と言って宝を手に去っていこうとしたときも最初は「やあ、どうしたんだい?」とでも言うように笑ってる。なにがあったかは分かってるのに笑ってるし、もちろんその直後にぶち切れる。このメリハリが心底恐ろしいビルバントでした。コンラッドに逆らうのもなにか一時の腹立ちから来たという感じでなく、もっと根の深いものに思えました。その後ランケデムと手を組んで裏切られて…となるのですが、コンラッドがメドーラを救いに行くと駆け出して行った後のビルバントを見ていると、今まではここでひとまず物語に区切りがついたと思えることが多かったのですが、それを感じませんでいた。良い悪いの話でなく、物語が続いていくように感じられたのが純粋に不思議でした。そして最後の話になりますが、アリを殺したときに笑ってるビルバントってあまり見た記憶がありません。杉野ビルバントはアリの忠誠を笑っているように見えました。その後がいまいち記憶が曖昧なのですが、弾を込めなおしたか別の銃を手にしたか、ビルバントはコンラッドを改めて殺そうと、今度こそ殺せると確信しているように見えました。けれど弾は発射されない。この瞬間、本当の意味でビルバントから笑いが消える。この男はここで殺さなくてはいけないと思えるビルバントでしたし、悪人にふさわしい末路でした。
 伊坂さんと杉野さんの組み合わせは演目によっては胃もたれおこしそうですが、こういう演目だと大変楽しいです。ランケデムをビルバントが解放するシーンも、ビルバントのなにをやるかわからない底知れなさと、なにをされるか承知の上でふてぶてしい態度を崩さないランケデムというのも大変緊張感があって面白いものでした。手を組むシーンもこれからよくないことが起こるという雰囲気にあふれてましたし、都合が悪くなるとビルバントを切り捨てるランケデムの蹴りも笑いもお見事。手を組んで裏切ってそして最後は両方とも殺されて。全ての成り行きに納得のいく二人でした。
 話はビルバントに戻りますが、前日はなんだかよくわからない踊りになっていた鉄砲の踊り、ずいぶんとイメージする「鉄砲の踊り」に近づいていました。しっとりと色気のある…というのは石橋さんや篠宮さんだったのですが、昨日より隣で踊っている蘭さんとの雰囲気がよかった気がします。

 3公演連続のニコライさんのパシャ。見ているとなんかかわいく思えてくるのが不思議です。奴隷市場を見ているときはそうでもないのですが、ハーレムのシーンを見てからまた次の公演で奴隷市場に戻ってくるとそのシーンすらかわいく見えてきてしまいます。パシャがきれいな娘たちをかき集めているのはかわいい女の子たちがにこにこ笑いながらふわふわ踊っている姿を見たいがため…と思えてしまうからかもしれません。酒池肉林の世界とは全く違う、まるで少年のふわふわした形のない夢のようなことをなんとかかなえようとしているのだと思うと、はた迷惑だと思いつつもその考え方がかわいく見えてしまうのが不思議です。また、金を使って無理やり女の子たちを集めても彼女たちは命令通りに踊ることはあっても夢の中のように笑顔を見せることはない…というあたりになにか教訓めいたものさえ感じてしまいます。(余談ではありますが、パシャのハーレムのシーンが地味なのは熊川さんらしいこだわりだなあと見るたびに思っています)

 この演目は脇でたむろしてる人たちがいろいろ自由に動いてるのでちょっと見ようかなと思うと中心が見られなくってひどい目にあいます…。奴隷市場は皆さん好き勝手やってるので面白い面白い。お金持ちさん達は皆様個性派ぞろい。井澤さんはどこか小心者というか人の良さがにじみ出ているというか、コンラッドがこいつなら静かになんとかできると思えたのも納得の存在感でした(コンラッドに服を奪われる役です)。石橋さんはなんかぽわぽわしてました。ふわふわしてるというか…、不思議な存在感でした(そして手の位置も謎)。福田さんは大変楽しそうで、踊らされてるギリシャ娘さんたちを見ながら自分も軽く手が踊っていました。篠宮さん一人しっかり者だと感じました。サポートも一人難しい部分でしたし…視界も悪い、衣装も重そうな中、お疲れ様です。物乞いの湊さんも酒匂さんも大変楽しそうに舞台を駆け回っていました。酒匂さん、最近本当に調子よさそうで見ているこちらまで楽しくなります。市場の住人達も思い思いにその場にいるようでした。あまり今まで意識していませんでしたが、あの頭の被り物をしながらの側転は結構大変そうでした…。女奴隷さんたちもパシャにアピールしたり、お金持ちさん達と楽しそうに話していたり、つまらなそうにふてくされていたりと、本当にいろいろでした。
 2幕の洞窟のシーンでの女性3人のパドトロワは意味がよくわからないと言いつつ、楽しく見ることができました。ちゃんと踊れる方だと気持ちよく見られます。井上さんは相変わらず軸のしっかりした踊りが見事ですし、春奈さんのピルエットの連続は驚くほど安定していました。佐々部さんの踊りも軽やかで細やかな足さばきだったのですが、アームスが乱暴なのが気になりました。よりによって井上さんと春奈さんがそういう細かいところしっかりしてるので、囲まれてしまうと目立つのですよ…。
 ビルバントの手下は石橋さんと篠宮さん。ビルバントは兼城さんと杉野さんというタイプの違う二人でしたが、不思議とどちらと並んでもしっくりくる二人でした。石橋さんのほうが若干流されやすく気が弱い感じがしました。コンラッドとメドーラに襲い掛かるシーンの前、二人の抜き足差し足…は軽妙でありながらどこか不気味だけどやっぱり軽やかで、大変魅力的でした。
 海賊の男たちは良く見知った名前が並んでいるというか全員見分けがつきました…。今日が最後だということで井澤さんを主に見ていましたが、相変わらずうっとりする美しいシェネでした。無精ひげを生やして足を広げて座る姿はいつもの貴族の三男坊という感じではなく(なんか彼って貴族の三男坊のイメージがあるんです…いい家の生まれだけど嫡男ぽくない)、アリはどんな感じになるかと楽しみになる雰囲気でした。

 そんなわけでいろいろ見たいものが散らばっていて見たものそのままに感想も大変散漫ですが、楽しかったです。映像としてみるとどう感じるか、それはそれで楽しみです。

Kバレエ
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(2015/06/07(Sun) 23:11:05)





  Kバレエ 海賊(2015/05/30) ソワレ

メドーラ:中村祥子
コンラッド:スチュワート・キャシディ
アリ:池本祥真
グルナーラ:浅川紫織
ランケデム:伊坂文月
ビルバント:杉野慧
サイードパシャ:ニコライ・ヴィユウジャーニン
オーチャードホール
★★★★★

 アップするタイミングを逸してしまいましたが、キャスト表を眺めてそれぞれの公演の紹介文を書いていました。そのとき、「Kバレエをあまり知らない人にもお勧めできる」と思ったのはこの公演でした。Kバレエは芸術監督を見ればわかるとおりどちらかと言えば勢いで押す感じの部分が強いので、ちょっと人に勧めづらいと言うか独特だと思うことがあるのです。でもこの公演はゲストの祥子さんがとても華があって美しいでしょうし、なによりアリの池本さんがとにかくバレエの美しさを体全体で表してくれると期待できました。それを見るためだけでも価値があるんじゃないかと思っていました。
 実際ふたを開けてみて、だいたい思った通りの公演だと感じました。この日のマチネがKバレエの若手公演らしい、いろいろ欠点はありつつもその欠点をお互いの関係性や物語で覆い隠していく舞台だったのに対し、熊川版らしい特性を保持しつつも「王道」と思えるバレエだと思いました。
 とにかくグランパドトロワが素晴らしかった!祥子さんの柔らかさがありながらも強靱な踊り、池本さんの的確でスマートな踊り。キャシディさんはさすがに年齢を感じてしまって手に汗握りましたが、女性を美しく見せるのはお手のもの。メドーラとアリの技巧合戦に加わることはなくとも、確かにメドーラのパートナーとしてそこに存在していました。「技巧合戦」ではあったのですが、あまり力押しが強すぎず、でもしっかり見せるものは見せてくれて、気持ちよく技に酔いしれて拍手することができました。
 よい方向に意外だったのが祥子さんとキャシディさんの相性がとてもよかったこと。祥子さんはどちらかと言えばコンテンポラリーのイメージの方が強く、背も高くがっしりした感じに思っていたのですが、キャシディさんの隣にいると程良くかわいらしい。一目で恋に落ちるというのも不思議はなく、ちゃんと二人のドラマを感じました。逆に予想通りだったのが池本さんのアリ。踊りについては本当にすばらしかったのですが、王子とは言わずともなにか品格を感じる。コンラッドに対して忠誠心は感じるものの、どちらかと言えば高貴な香り漂う忠誠心ではありました。まあ、あれだけ踊れればあとはいいんじゃないかと思える鮮やかさではありましたが。本当にあれはすばらしかった。

 キャスト表を見たときから濃いなあと思っていた伊坂&杉野の悪役コンビ。予想通りの濃さでした。奴隷商人が天職なんだろうなあと思える伊坂ランケデムは重くなりすぎないのにはっきりとした悪人。さすがに再演を重ねているだけあってサポートもお手のものでした。杉野ビルバントはなかなか本心を見せない悪人。こいつはいつかどこかでなんかやらかす、そんな雰囲気を漂わせていました。まあ、鉄砲の踊りが予想通り色気のない力押しになったのはご愛敬…。そんなはっきりと黒い面を持っている二人のやりとりは予想通り力強く、大変おもしろいものでした。
 浅川さんのグルナーラも相変わらず美しく、祥子さんのメドーラほどの華はなくともやはり好きなダンサーさんだなあと思いました。ただ、技術的な問題でなく個性をいうなら浅川さんは妹メドーラだと思いますし、祥子さんは姉グルナーラだと思うんです。それもあるし、祥子さんの方が身長が高いこともあり、「姉妹」というより「姉妹という設定のユニット」に見えてしまうことがあったのが残念でした。

 翌日マチネも見たのでとりあえずこのくらいで。ちなみに奴隷市場のお金持ちさんたちはFBで確認できた石橋さん、篠宮さんと福田さん、井澤さんでした。福田さんはしばらく分かりませんでしたが、井澤さんはでてきた瞬間に分かったのが自分でも謎です…。

Kバレエ
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(2015/06/07(Sun) 21:56:41)





  Kバレエ 海賊(2015/05/30) マチネ

メドーラ:白石あゆ美
コンラッド:宮尾俊太郎
アリ:福田昂平
グルナーラ:浅野真由香
ランケデム:益子倭
ビルバント:兼城将
サイードパシャ:ニコライ・ヴィユウジャーニン
オーチャードホール
★★★★★

 こういう公演があるからKバレエに通うのはやめられない!
 そういう公演でした。キャスト表を見たときからバランスの良さそうな公演でしたが、バランスよく、まとまりよく、ストーリーも踊りもおもしろい、よい公演でした。すごく楽しかったです。
 一点だけ難点がありまして…。この公演、ずっと追いかけてる兼城さんの久しぶりの公演でした。年末の「くるみ割り人形」の時から確信はしていましたが、やはりお怪我でお休みをしていたようです。久しぶりに、久しぶりに彼の姿が見られる、しかもちゃんと役が付いている。それがうれしくてうれしくて、メインの踊りでなくても彼の姿を追いかけていました。ストーリーのメインはメドーラでありコンラッドでありそしてアリであることはわかってはいたのですが、結構ストーリーそっちのけでビルバントを見ておりました…。そのせいで感想の軸が若干ずれているのはご了承ください。そういう意味でももう1回見たかったです(でももう1回あっても多分をビルバント見てる)。

 冒頭、海賊たちが商戦をおそうシーン、一番驚いたのがアリの凶悪さでした。福田さんのアリが想像していたよりずっと凶悪な笑顔で笑っていました。血なまぐさい行為を望んでいる笑い。そういうアリがまず珍しく、また福田さんがそういう表現をしてくることに驚きました。
 全体的にストーリーがまとまっていると感じた公演でしたが、このアリの気質がストーリーの根底にあるように思いました。宮尾コンラッドはどちらかというと穏やかな気質をしています。海賊業をしていて、人を引っ張っていく力はあるけど特に残忍さは感じない。そういう血なまぐさいところはアリが引き受けていた感じがしました。汚れ仕事をアリが引き受けているというよりはそれぞれ己に見合った仕事をしている感じ。それでもアリはコンラッドに仕えているのはわかりましたし、右腕であり、臣下でした。アリがコンラッドの行動に文句をつけることはない、そしてアリを失ったらコンラッドは海賊ではいられない。このあたりがすんなり理解できる組み合わせでした。
 また、「くるみ割り人形」のときに感じたとおり、宮尾さんと白石さんはとても相性がいいです。二人が並んでいる姿を見るとしっくりくる。白石メドーラはどこかおっとりした感じの女性でした。なんとなく見ていて危なっかしいところがあって、海賊と一目に恋に落ちるのもなんだか納得できてしまう。宮尾さんと並んだ姿がすごくしっくりくるというのもありますし、また、彼女のおっとりしたところがあるから宮尾コンラッドの物腰の柔らかなところもそんなに強く感じなかったのかと思います。踊りとしてすごく美しかった、というより、二人が並んでいる姿を見るとなんだか気持ちが暖かくなるような雰囲気。洞窟での二人のパドドゥも踊りが美しいとかそういうことを強くは感じなかったのに、幸せそうな二人を見てこちらが幸せになるような思いで見ていました。
 いきなり結末の話になりますが、アリと生きるためにコンラッドは海賊であり、メドーラと生きるためにコンラッドは海賊をやめたのだとすんなり理解できる組み合わせでした。宮尾コンラッドがどちらかといえば流されやすいところがあり、海賊業が天職であるアリと生きるのなら海賊でいるし、そういう血なまぐさい世界と縁がないメドーラと生きるのなら海賊をやめるしかない。前者を今まで以上に感じたせいか、後者もすんなりと理解することができました。主演はあくまでメドーラとコンラッド、でもアリは主演に等しいキーパーソンである…。最後にそう感じられた、とても良い公演でした。

 浅野さんのグルナーラも魅力的でした。しっかり者だけどどこかふんわりした感じがあるというか…明らかに白石グルナーラのお姉さん。柔らかい雰囲気が姉妹だと感じさせたし、しっかり者のところがお姉さん。踊りについて驚くようなところはありませんでしたが、とらわれの哀れさも姉としての強さも感じられたので好きでした。たぶん今まで見た彼女の役の中では一番よかった。
 今までの役の中で一番よかったのはグルナーラのお相手ランケデムの益子さんも同じでした。益子さんはどちらかというと「自分」を押す力が強くって若干くどく感じることがあったのですが、それを感じない。彼の気質からすると陽気な感じがするかと思ったらそんなところは全くない小悪党。金にがめつく、悪人面のよく似合う、いい悪党でした。
 ベテラン陣のランケデムを思うと若干底の浅い普通の悪党の益子ランケデムですが、しっくりきたのは全体のバランスと兼城ビルバントとの相性の良さがあったからだと思います。兼城ビルバントもどちらかといえば普通の小悪党。変にこじれたところがなく、良くも悪くも浅い。コンラッドに逆らったのも腹の底からの怒りというより、どちらかといえばムカついたとか、そういう浅さを感じました。ランケデムを切り捨てるときでさえ、つまらない奴と手を組んだとあっさりと切り捨てる。そういう浅い奴だからメドーラに裏切りを暴かれて今度は自分が殺される可能性がでてきたときのおびえ方がとにかく惨めったらしくて情けない。だから宮尾コンラッドが、一時は仲間であったこの哀れで惨めで情けない男を、わざわざここで殺す必要はないって思うのも分かったんです。どちらかといえば穏やかな宮尾コンラッドなら、メドーラの前で彼を殺すわけがない。そう思えたので、なんだかファンなのにほめてるんだかいないんだかわからない文章になりましたが、ランケデムもビルバントも大変バランスがいいと感じました。
 踊りについて、兼城さんはどちらかというと飛ぶ、はねるがうまい方だと思うので若干の物足りなさを感じつつも、一つ一つ丁寧な動きは見ていて大変幸せでした。実はいろいろ難しい鉄砲の踊りは、細かく一つ一つのポジションが的確にはまっており、雰囲気としてもしっとりした曲調の中にもビルバントの増長ぶりが感じられ、なかなかおもしろい雰囲気でした。

 グランパドトロワ(と言っていいのでしょうか、メドーラとコンラッドとアリの踊り)は本当に素晴らしいものでした。白石メドーラは大変踊りが安定しており、軸がしっかりしてるから安定感があるのに彼女の雰囲気もあってふんわりとかわいらしい。そして福田アリ!このバレエ団に在籍してる人にとってアリという役が特別なものでないわけがなく、たった1回の公演でいかに踊りきるか…という勢いを感じる踊りでした。思い入れと気迫は感じましたが、それが空回りになっておらず、力強さを強く感じるいい踊りでした。
 Kバレエはある程度公演期間があるせいか、初日は暖まってないことがまれにあります。それを全く感じない公演でした。それを強く感じたのは2幕冒頭の海賊たちの踊り。コンラッドに対して「俺たちの親分!」という勢いを強く感じました。
 脇のキャストは印象的な方はこの後の公演でも変わらないのでまたの機会に。ソワレにはいなかったのは蘭さんのギリシャ娘。どちらかといえば鉄砲の踊りのほうが似合う方ですのでちょっと不思議な気持ちでしたが、色の薄い衣装を身にまとった蘭さんもなかなか素敵でした。もう一人、ソワレはビルバントだった杉野さんは海賊の男たちの一人でした。海賊たちの酔っ払いダンスを始める役割でしたが、こういう部分はうまいですね。後ろの方でなんかお酒飲まされてるなあと思っていたら、とても自然な流れで舞台の前方に飛び出してきました。なかなか楽しかったので、メインの役についてない後半でもぜひやっていただきたいです。

 全体的に勢いがあり、バランスよく物語のある良い公演でした。まだまだおもしろくなる余地はあるけど不足を感じない良い公演でしたので、このキャストで是非また見てみたいと思っています。

Kバレエ
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(2015/06/07(Sun) 00:42:01)




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