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  Kバレエ 白鳥の湖(2016/05/28 マチネ)

オデット/オディール:浅川紫織
ジークフリード:遅沢佑介
ロットバルト:杉野慧
ベンノ:篠宮佑一
パ・ド・トロワ:井上とも美、浅野真由香、益子倭

Bunkamura オーチャードホール
★★★★★

 昨日に引き続きの公演になります。同じ主演でどこまで変わるのか変わらないのか、それを確かめるための公演、真っ白な気持ちで挑みました。
 昨日と同じ王子の友人たちが出てきて、パドトロワ以外は昨日と同じと思える雰囲気。この公演はどうなるのかと思った答えは、意外とあっさり判明しました。
 王子が明るい。
 あれ、私宮尾さんの公演見に来たんだっけと思うくらい、明るい。愁いや影がなく、ただただ朗らか。まばゆい光の中、その光にふさわしい微笑みですっと立っている。勿論バレエですから、動きは昨日と同じです。でもそこに込められた意味が違う。昨日の「まだ会うべき誰かに会ってない」ジークフリートではない。愛されて甘やかされて育って、ちょっとのほほんとしているせいで結婚はしてないけど、ぼんくら王子ではない。結婚しろと母親に言われてうろたえるも友人たちは理解してくれず、昨日はどこか憮然としていたのに今日は誰も理解してくれないので落ち込んでいるよう。そんな風に気落ちしていても訪ねてきた友人(パドトロワさんたち)にはちゃんと礼を尽くす。とてもよい感じの王子。「こんな明るく朗らかな王子が暗い森で死ぬなんてかわいそうだあ」とかひとりで物語の先を勝手に予想して泣いてましたが、そんな風に勝手に先走らなければなんら暗い面を持たない王子でした。昨日と同じストーリーにならないことはこの時点で明らかでした。
 篠宮さんのベンノはやはりどこかやんちゃな弟分。やんちゃで弓をいじって怒られたり家庭教師にも物怖じしなかったり、そんなかわいいところもあるけど品の良さがにじみ出てるのがいいなあと思います。
 パドトロワは井上さんと浅野さんと益子さん。きっちりした踊りの井上さんと浅野さんに挟まれてもっとガンガン自分を主張してくるかと思った益子さんは意外なくらい控えめ。ベンノより落ち着いた雰囲気で、しっかり二人をエスコートしている。予想外のまとまり方でしたが、どちらかといえば穏やかな遅沢王子、篠宮ベンノにしっくりくるトロワになってました。踊りについてはとにかく井上さんが的確で柔らかでアームスが本当に美しくって好きです。
 相変わらずのよくできる友人、堀内さん。ジークフリートが悩みを打ち明けるものの、やはり彼も結婚賛成派。誰も理解してくれないことに落胆するジークフリートに対してそれ以上は踏み込ます、さらりとお酒を進めるあたりがよくできる友人。このあたりはベンノが弓をいじってたり、友人たちがそれぞれ話してたり、石橋友人が恋煩いでお花見てたりでいろいろ目が足りてません。

 2幕。遅沢さんのジークフリートがはっきり違ってるので当たり前なのですが、浅川さんのオデットも昨日と全く違いました。オデットはジークフリートよりも強い物語を持っているので遅沢さんの違いのようにはっきり言葉にすることができないのですが、でも、ジークフリートとのやり取り以前に、彼女は彼女で昨日と異なるオデットでした。登場した瞬間から確かに違ったのですが、うまく言葉にできません。昨日のように出会うべくして出会ったわけでもないし、つらい運命に押しつぶされているわけでもない。出会った瞬間なにかが変わったのではなく、出会ってからゆっくり言葉を交わしていくうちに彼女の中で変化が起こったという感じがしました。「白鳥の湖」という作品の2幕としてはイレギュラーな気もするのですが、なんというか、2幕全体の二人のやり取りが、とにかくときめく。一目見て「この人はなにか違う」という予感だけがある、そして二人で踊っていくうち、目線を交わし言葉を交わすうちにゆっくりゆっくりと思いが深まっていく。昨日と同じような位置で見ていたので間違ってはいないと思うのですが、昨日よりずっと見つめあう二人でした。見つめて、その度に思いがつのっていく。弦の音が心の内側をひっかくみたいで、それがまたたまらない。ゆったりとした音楽にふさわしく、ゆっくりと二人の物語が進んでいく。彼女のためになにかをしたいと思うジークフリートと、彼なら自分のことを理解し、救ってくれるのではないかと期待するオデット。不安に震えるオデットを励ますジークフリート…と言ったらいいのか…オデットの心が徐々に変わり、次第に寄り添うようになっていったのが分かりました。どちらかというと昨日は寄り添う一方だったように見えたジークフリートが、オデットの心を受け止め、包み込んでいるように思えた場面がいくつかあったのが意外でした。最後にオデットは白鳥たちと踊る。「これが私、これが私たち」そう踊るオデットが本当に美しくて好きなシーンです。ここに至るまでですべてを語り、白鳥たちと踊るオデットの姿が彼女のすべてなのだと思えました。全てを語ったオデットと、それを受け入れようとしたジークフリート。どちらかというと悲劇性の薄いかと思われた物語は、ロットバルトの登場によって一変します。ジークフリートの思いもむなしく、結局ロットバルトの力にジークフリートもオデットも逆らうことはできない。悲劇性が薄いと感じたせいか、オデットはロットバルトに逆らえないということをより強く感じました。彼女が背負っているものがなにか、そこでようやくジークフリートは理解したように思えました。
 夜の湖のほとりをさまようようにしてオデットを求め、そして夜明けとともにその姿は幻のように消える。このあたりも物語としては同じなのですが、なんとなく昨日より口当たりが軽いというか、余韻が柔らかいというか、そんな感覚でした。休憩時間に入った時の心の重さが、全く違ったのです。

 3幕、ジークフリートが登場した時、彼がいつも以上に戸惑っているように見えました。ずらりと来賓客がそろい、自分の知らないところでなにか話が進んでいたことを察した、王妃がなにを考えて自分をここに連れてきたかを察したようでした。各国の踊りはあまり好きではないのですが(いまいち方向性にまとまりがない)、今回初めて、これだけずらりとそろったということは身内のパーティなどではなく特別な場を用意したと感じさせて、意味のあるものに思えました。王妃はそんなジークフリートの戸惑いは分かった上ですました顔をしていて彼に口を挟ませません。幕が開いた当初から満面笑顔で踊っているベンノはこのパーティがなんのためのものか分かっていたでしょう。でもジークフリートの結婚話を「めでたいこと」と喜んでいた彼は、ジークフリートには黙っているように、といわれたら黙っているだろうなあと思えました。サプライズパーティというか、ジークフリートのためだから黙っているようにと言われたら、多分納得してなにひとつ言わないと思えました。
 6人の姫たちと踊るジークフリートは上の空。「遠いところからようこそおいでくださいました、今日は楽しんでいってください」と、母親がなぜ彼女たちを集めたか理解した上で他人行儀にねぎらっている。白いドレスを着た彼女たちはとても「特別」な雰囲気があり、花嫁候補というのは明らかでした。ジークフリートが家庭教師に話しかけると、「王子はちょっと混乱しているみたいです」と王妃に話してくれます。けれど各国の踊りが終わると彼も「ちゃんと結婚相手を選ぶように」と言う方に回ります。もう味方はいない…と言う絶妙のタイミングでベンノが飛び込んできて、ロットバルト率いるスペイン軍団がやってくるという流れがとてもきれいでした。
 オディールはオデットに似た「誰か」に思えました。ロットバルトの意のままに動く存在ではあるけどちゃんと意志と実態を持っていて、幻ではない。ジークフリートの心を惑わしもてあそんでいるのを楽しんでいるかのよう。「愛されている」状態を楽しんでいる。ジークフリートは彼女が自分のところに来てくれた喜びで盲目になっている。オデットの態度がなにか違うのも身内がいるからでそういうものだと思っていたいのかもしれません(大変豪奢で美しい親子です)。違和感に対する疑いも、喜びの前には無力と思え、こちらも宮尾さんを彷彿とさせました。遅沢さんの王子ってどちらかというと「愛することの切なさ」みたいなのを強く感じるのですが、珍しくそれを感じず、ただただ喜びだけを感じる。オディールの手がジークフリートの手をすり抜けていくのに、彼は手の中に残ったぬくもりを感じて、「彼女は幻ではない、ここにいる!」と思っているようにさえ見えました。
 本当にまっすぐで疑いを知らない王子だったから、オディールに愛を誓うのは至極当然。畳みかけるようなグランパドドゥのラスト、オディールの勝利を確信した笑みと本当に幸せそうにオディールの手に頬を寄せるジークフリートがなんとも美しかったし、ジークフリートは彼女の手にすがるようにさえ見えました。
 正体を現したロットバルトに対し、ジークフリートはちゃんと驚き失望しながらも王妃をかばっているように見えました。引き止めようとする王妃の手をジークフリートは振り払う。些細なシーンですが、物語的に昨日と大きく違う部分だと思っています。

 4幕、オデットの嘆きは昨日と違ったのはわかるのですが、なんと表現していいのかわからないので後回し。ロットバルトははっきりとオデットが呪いを解こうとしていることに腹を立て、決してそれはかなわないと見せつけているようでした。あの男はお前を裏切り、お前の呪いは永遠に解けないのだからあきらめろと、力づくで思い知らせているようでした。
 ジークフリートがオデットの元に姿を現し、オデットは心を殺そうとしていたのに、結局彼が来たとたんに許した…というより許してしまいたい気持ちになった…というあいまいな感覚が違いかもしれません。跪くジークフリートの顔を上げさせる指先がとても美しかったのですが、それが「許し」という風にまっすぐは感じませんでした。すぐにジークフリートを離れたオデットの気持ちがその時はわからなかったのですが、そのあとの二人のやり取りを見ているうちになんとなくわかってきました。この点については割としっかり見ていたので見間違えではないと思うのですが、昨日は2幕は見つめ合わず4幕は見つめ合っていた二人。今日は2幕はお互いの目を本当によく見ていたのに、4幕はほとんど見ていなかった。というよりオデットが目を背けているようにさえ思える。目を見てしまうと、出会った時のように未来に希望を持ってしまうから、目を背けているように思えました。ジークフリートのことも彼に出会って抱いた希望も忘れようとしていたのかもしれません。ジークフリートがなにかできないかと縋りついてくるのに、オデットはその懇願を軽く振り払うけど、なんというか、全力で見捨てはしない。彼のことを許して、また寄り添って、未来に希望を持ちたいけどもうそれはかなわない、だからもう忘れてしまいたい…でもそれもできなくて、結局最後の最後にオデットはジークフリートに寄り添ったように思いました。
 ロットバルトが現れて、そのあとのシーン、二人がロットバルトの手から逃れようと逃げ惑っているように見えました。今までと動きは同じだと思うのですが、初めて「逃げ惑っている」と感じました。ロットバルトは妙にジークフリートに対して攻撃的だと思いましたが、なんとなくそれが呪いを解こうとしたオデットへの見せしめのように思えました。自分に逆らった罰だとでもいうかのように。圧倒的な力の差を見せつけているようで、完全にジークフリートは翻弄され傷つくだけで勝てる見込みなんてどこにもない(ジークフリートの弱り方とロットバルトの力強さが見事)。ジークフリートを救うには自分が死ぬしかないと、オデットの気持ちの流れがとても自然に理解できました。とにかくそのくらいしないとロットバルトが止まらないように見えたし、オデットの判断は正しかった。ジークフリートが後を追うのはやはり至極当然。オデットを失って身を投げたというより、2幕でずっと彼女を探し求めていたのと同じ勢いで、ただ彼女の後を追いかけたように見えました。
 この後の白鳥たちがロットバルトに勝利し、空を悠々と飛んでいく姿は本当に美しいと思います。ぼんやり見ていましたが、フォーメーションが本当にお見事。
 エピローグ、元の姿に戻れたことに朗らかに喜ぶオデット。少し意外だったのが、ジークフリートがどこか似た感じで喜んでいたこと。自分の体を見て、「ああ生きている」とでも思っているよう。実際のところ死んでますが、ロットバルトにかなり激しく痛めつけられていた感じなので物語の流れとしてはとても納得。そうして二人は再会する。
 昨日見たときはジークフリートが手を天に掲げたときが物語の終着点だと思いました。今日も動きは同じだったのですが、今日はその直前ジークフリートがオデットを抱きしめたとき、そこが終着点だと思いました。ずっと幻のように思えていたオデットは、今確かにジークフリートの手の中にいる。ここでようやく二人は幸せになれる。そんな物語でした。

 昨日の物語は「ふたつに分かれていた魂がひとつの光になる話」だと思いました。ちょっと言い回しが変なのでほかにいい言い方がないかずいぶん考えたのですが思いつきませんでした。今日の公演が「二人が出会って恋に落ちて、不幸のない世界で幸せになる話」でしたので、多分昨日の感覚はそれはそれで正しかったのだと思います。そして今日ははっきりと二人が幸せになれた物語だと思えたので、とても軽やかな気持ちで劇場を後にすることができました。昨日の余韻はそれはそれでいいものでしたが、見る順番としてはこれでよかったと思えました。

 記事として比較が多いというのはあまりよくないと思いつつも、あまりにも同じ動きに対する意味が違っていたので、書かずにはいられませんでした。それぞれのキャラクター造詣が違って、物語も違う。よく知っているはずの物語なのに、昨日も見たのに、今目の前で物語が生まれている感覚があり、大変楽しかったです。間違いなくどちらか片方だけ見ても楽しかったと思うのですが、両方見ることができて本当に幸せでした。「悲劇性の強い物語」「どこかに救いを感じる物語」、全く別のふたつの物語。こういう新鮮な驚きがあるのだから、観劇はやめられないのだと改めて思いました。

 書くところがありませんでしたのでいまさらですが、浅川さんと遅沢さんの踊りについては昨日よりずっと良くなってました(というか、昨日は二人らしくないミスがちらほら…)。安心しました。

 ストーリーに関係ない細々したところ。
 王子の友人たち、池本さんが本当にさすがにさすがの見事な踊りです。もう毎回言ってますが、実際見事だから仕方ない。カブリオールの足の位置の高さとか足のラインのそもそもの美しさとか、別の人を見ていてもついうっかり目が引き寄せられます。本当にレベルの高さを感じるので、主演お願いします(ずっと言ってる)。
 王子の友人たちはほぼ舞台にいますが、いろいろ個性があって楽しいです、メインの踊りも楽しいのでなかなか目が行かないのが残念です。王妃登場前に池本さんと石橋さんが身だしなみチェックしていて石橋さんが池本さんの帽子直してたとか、パドトロワのシーンで石橋さんと堀内さんが井上さんの踊り見ながら「あの子かわいい」としきりに話していたとか(益子さんはともかく、浅野さんが踊ってる時もテンション低い)、まあ、そんな細かなところも楽しかったです。
 ルークさんの家庭教師はちょっと道化のようなユニークなところと、王子の家庭教師として場をまとめるところのバランスが絶妙。こういう老けメイクではなく実際に年長の方がいると物語に厚みが出てありがたいです。
 二羽の白鳥、お二方とも長身で美しいです。見比べてしまうと蘭さんのほうが大柄で迫力があり、白鳥としての美しさは美奈さんかなあという感じがします。
 各国の踊り、バージョンによっては各国の踊りと王子の花嫁候補を一緒にしていますが、そうするしかこの踊りをストーリーとして生かす方法はないのではないかと思えるのが若干の悩みどころです…。今回、なんとなくあちこちから招待された人々という雰囲気があって、それが3幕を特別な雰囲気にしており、意味があるように思えましたし、花嫁候補たちも真っ白い衣装をまとっているのがまた花嫁候補という感じがしてこれはこれでいいかもしれないと思えた部分はあります。ただ、どうしてもナポリが道化のように場を賑やかし、チャルダッシュは外交官夫妻とそのお供、マズルカはなんか集団…というバランスが悪い気はしてしまいます。踊りが全部なくなってしまうのはそれはそれでさみしいですが…。
 ナポリすみません、本当に兼城さんしか見てない。ぱっと明るくなる感じ、細かい足さばきにちょっと飛ぶだけできれいに180度開く足。同じことばかり言ってますが、何度見ても良いものは良いなあと思うのです。踊り終わっても脇でよくしゃべってるナポリさんでした(ロットバルトに怪訝な顔してみたり、そんな感じ)。
 チャルダッシュはやはり松岡さんが美しい。意外と細かい足さばきが要求される踊りで、全体ぼんやり見てるよりしっかり足元見ているほうが見事さが分かる気がします。
 マズルカ、今回ここしか見られないというのもあるのかもしれませんが、井澤さんが一番魅力的に見えました(ベンノは見られなかった…)。少年らしさもなく、でも明るく、動きは美しく、良かったです。一人目を引く女性がいたのですが、多分岩渕さん、かっこよかったです。
 スペインはやはり蘭さんと石橋さん。蘭さんは一際無機質で、それがこの踊りと役柄にあってると思いました。石橋さんの無骨さとちょうどいいバランスだったと思います。スペイン大好きなのですが、メインの踊りも重要なところなのでなかなか見ていられないのがさみしいところです。西口さんのあのくせのある雰囲気もこの踊りにあっているのですが、なかなかそこまで行きません…。

 いつまでもいつまでも思い出に浸っていたい、いい公演でした。

Kバレエ
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(2016/05/29(Sun) 22:48:52)





  Kバレエ 白鳥の湖(2016/05/27 ソワレ)

オデット/オディール:矢内千夏
ジークフリード:宮尾俊太郎
ロットバルト:スチュアート・キャシディ
ベンノ:益子倭
パ・ド・トロワ:新居田ゆり、小林美奈、山本雅也
Bunkamura オーチャードホール
★★★☆

 うーん、困った。
 正直、見る側の状況としてもよくなかったのは事実です。まれにあるのですが、観劇時に情報量がオーバーフローして受け止めきれず、時間がたってからぶり返すこと。完全にその状況で、観劇前にツイッターのチェックなどしながらマチネを思い出し泣けてくるというような状態。舞台に集中できなかったというのもありますが、そのほかなんとも言えない公演でした。

 矢内さん、結構よかったです。「主演デビュー」としてはこれだけできれば十分だと思います。とても自信にあふれた踊りで、物おじせず、しっかり踊ってる。アームスも思っていた以上に柔らかく、柔軟性の高さを感じる美しい踊り。オデットははかなく美しく、オディールは力強く。グランフェッテはさすが最近の若い子はすごいですね、ちゃんとトリプル入れてくる。正直昔から回転の苦手な浅川さんより見ごたえあるんじゃないかと思うほど。
 でもそれだけ、それ以上でもそれ以下でもない。とても美しい踊りでしたね、で終わってしまって、物語としての感動がない。これですべてがグダグダだったら抜擢ミスで済むのですが、ちゃんと美しかったから、もっと別の役のほうがよかったのではとか、相手役が違ったのではとか思ってしまい、なんとも複雑な気分。
 宮尾さんは宮尾さんでよかったのがまた残念といえば残念。やはり王子として中心にいることが当たり前になってきたし、ソロも決めるときは決めるようになってきた。良かったんだけど、なんかオデットともオディールともバランスが悪い。宮尾さんもいい年なので細いとは言いつつも若干がっちりしてきています。だからほっそりした(そして決して大柄ではない)矢内さんが隣に来てしまうと、彼女の華奢さが際立ってしまい、どこか存在感が薄く見えてしまう。オディールをエスコートしているようなバランスも気になりました。昨年秋の白石さんとの公演が大変素晴らしかったのもあり、どうしても物足りなさを感じました。
 なにかこう、うまくかみ合えばもっと面白かったろうに、いまいち盛り上がれない公演でしたが、私が悪いと言われればその通りで、またいろいろ複雑です。

 それでも楽しい公演ではありました。
 ベンノは益子さん。宮尾ジークフリートに一番しっくりくるのは益子ベンノとずっと思ってましたが、その通り、明るく華やかなジークフリートにぴったりのベンノでした。子供っぽくやんちゃなのですが、予想外にうるさくない。若さははじけてましたがどちらかといえば大人しめで、しっくりくるバランスでした。パドトロワの三人も若い感じでしたがこれがこれでとてもかわいい。山本さんは秋の公演よりも踊りがしっかりした以上に雰囲気がよくなった。穏やかでさわやかな雰囲気で、ただ踊っているのではなく、なんとなく王子の友人というか話し相手というか、今はそうでなくてもこれから距離を縮めていけそうな雰囲気。美奈さんは相変わらずかわいらしく、新居田さんは微妙に見分けがついてないのですが久しぶりにちゃんと見るとやはり好みの細やかな動き。三人のバランスもよく、大変楽しかったです。
 さて王子の友人たち、キャスト表に書いてないので「多分」という前置詞を付けたうえで(敬称略)。堀内(筆頭友人)、池本、石橋、栗山、牧野(多分)、女性は吉岡、井平くらいしかわからず。酒匂、兼城、本田、矢野、和田、三浦、田中、佐野、女性は河合、荒蒔、飯田、吉田。堀内さんは相変わらずいい友人。1幕のラストでジークフリートに踏み込みすぎず話しかけ、それによってジークフリートも悩みを打ち明けやすくなるという流れが好きです。全体をなんとなく見ていてなんかひとり完璧な美しさで踊ってるなあと思ったらそれは池本さんです。無駄に美しくってもったいないです。アントルシャの足先の美しさとか、アラベスクの角度の美しさとか…本当に素晴らしいです、見たいのがこの役かどうかというのは置いておいて。栗山さんは吉岡さんと踊っていました。ふたりともどちらかというと背が高いと思うのですが、なんとも言えずおっとりふんわりした雰囲気のお二人でお似合い。石橋さん、スペインのキレッキレぶりと違って穏やかな笑顔が素敵でした…とか見ていると目が足りません。(隙を見てちゃんとにこやか笑顔の兼城さん見ているから本当に目が足りない。いる位置は秋公演と同じで、最初は鳥かご持って出てきます)
 コールドは秋公演よりまとまりがあったかなあと思います。足音もあまりせず、好きです。
 キャシディさんのロットバルト、秋公演の時は微妙に存在感が薄くって何事かと思ったのですが、今日は私のイメージするキャシディさん。確かに踊りはいまいち荒っぽいけど、立ってる姿だけでもう別格。杉野さんが割と小技を利かせるロットバルトだと思ったのですが、キャシディさんはそんなことをせず、ただたたずむ姿がとにかく美しい。動かないのではなく、細々した動きをしないことでむしろ風格や威厳を感じる。やはりキャシディさんはいいなあと思わされました。キャシディさんのロットバルトと宮尾さんのジークフリートってあまりなかったと思うのですが(少なくとも私が見るのは初めて)、これがなかなかいいバランスでした。確かにジークフリートはロットバルトに負けるけど、程よい負け具合でした。
 ナポリ、なんとなく全体を見ていたのですが、多分こちらがファーストキャストなのかなと思えるキレのいい踊り。難しい割には見栄えのあまりしない踊りだと思うのですが、大変楽しかったです。チャルダッシュは春奈さんが美しく、伊坂さんがきりっと決めていて、熟年夫婦という感じが好きです(そしていい感じに尻に敷かれてそうな伊坂さん)(そんなこと言いつつほとんど兼城さん見てました、にこにこ笑ってないのもかわいい、つま先がきれい)。マズルカ、よくわからないけど大変美しい形で踊ってる池本さんとやたら華やかな杉野さんに目が行きます。スペインはとにかく蘭さんと石橋さんの組み合わせが好きです(仮面をしてようがこの二人くらいはわかる)。ここだけなんともねっとりした色気というか、赤と黒が濃いというか、雰囲気が重くて好きです。

 そんなわけで楽しいことは楽しかったです。

Kバレエ
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(2016/05/28(Sat) 01:57:24)





  Kバレエ 白鳥の湖(2016/05/27 マチネ)

オデット/オディール:浅川紫織
ジークフリード:遅沢佑介
ロットバルト:杉野慧
ベンノ:篠宮佑一
パ・ド・トロワ:中村春奈、佐々部佳代、伊坂文月
Bunkamura オーチャードホール
★★★★★

 なんと言葉にしたらいいかわかりません。浅川さん遅沢さんファン歴長いのでただの戯れ言と聞き流していただいていいですが、ファンとしていろんな期待をして、それを全部まとめて受け止めてもらってそれをさらに昇華してもらった気分です。ファンやっててよかったし、この組み合わせで上演してくださって感謝しかないし、見に来てよかったとしか言いようがありません。踊りについて細かいつっこみどころないわけじゃないのですが、ラストシーンまで行ったときのあの満たされた感覚、それがすべてを洗い流してくれた気がします。ジークフリートとオデットが出会って始まった物語。それ以上でもそれ以下でもなく、それ以外の何物でもない。素晴らしかったです。

 1幕でなにに驚いたかって、遅沢王子がわりとぼんくら王子だったということ。もちろん少年というほど若くはないけど、「結婚はまだ早いと思っていた」という説明がしっくり来る王子。甘やかされて育った感じで、いい年して遊んでばかり、家庭教師の言葉にも耳を貸さない。だから王妃が「結婚を」と迫ったのも分かる、友達たちと遊びほうけてばかりの王子、いい年なのだからいい加減落ち着きなさいということで、そのきっかけとして「結婚」という手段を与えた感じがします(ちなみにこの「なんでもいいからいい加減落ち着くために結婚を」という王妃の考え方は3幕につながる)。うまく言えないのですが、どこかふわふわした感じの王子。
 篠宮さんのベンノは秋公演から比べてずいぶん年齢を下げてきているように見えました。品の良さとどこか子供っぽいやんちゃさが同居している感じがしました。ジークフリートとの会話を見ていると多分二人とも頭がいいんだろうなあと思うけど、でもとても若い。これに長身のルークさんの家庭教師が加わり、全体的にジークフリートとベンノの年齢は下がりつつも浮ついた感じがせず、品のあるまとまった空気になっていました。まだ半人前という雰囲気だから1幕のラストで狩りに一緒に連れて行ってもらえることになった喜びがまっすぐ伝わってくる。
 王子の友人たちで筆頭と呼んでいる、最後にジークフリートと会話をするのは堀内さん。相変わらず落ち着いた物腰で、ちょっと控えめに王子の悩みに口を挟むところが良いなあと思います。結婚を悩む王子に対してどちらかと言えば「結婚するのも良いものですよ」と年上からアドバイスする雰囲気だったのですが、それが押しつけがましく見えないのが堀内さんらしいと思いました(そして実年齢は仕事してない)。
 1幕の終わりの頃からなんとなく思い、2幕の頭ではっきりと感じたのは、このジークフリートはまるで「誰か」に出会うことを待っているようでした。まだ出会うべき誰かに会っていない、出会っていないからまだ人間として未完成でふわふわした感じのまま、いつか出会う日を待っている。出会うべき誰かを待っているような、そういう出会うべき誰かがいるという雰囲気を1幕から感じたことってあまりなかったので、それが驚きでした。

 言葉にしてしまうと陳腐になってしまうのですが、なにかの予感に導かれ森に行ったジークフリートはオデットに出会う、そして彼女がずっと求めていた「出会うべき誰か」であったことにすぐに気付く、というのがすごくしっくりくるふたりでした。ジークフリートは森の中でずっとその気配を感じていたから、彼女を見つけた瞬間、逃してはならないと必死に追いかける。オデットは最初それに気付かないけれど、目を見つめた瞬間、真摯なジークフリートに気付いた途端、彼女も「この人だ」と気付く。ずっと探していた「誰か」にようやく出会って物語が始まる。言葉にしてしまうとありきたりになってしまって申し訳ないのですが、それがすんなり受け入れられました。
 とても好きだと思ったのは、ジークフリートはオデットと出会うべくして出会い、そして出会ってから彼女の力になりたいと思った。オデットはひとりで戦うことでなく、誰かに寄り添うことを知った。寄り添うオデットの、「この人に救われたい」という感覚というか、ほかの誰でもない、この人にこそ呪いを解いてほしいという感覚が好きでした。「呪い」と一言で言ってしまうと単純ですが、どこか戸惑いながらもジークフリートこそ「その人」であり、他にはいないというオデットの確信が、4幕の絶望につながると思えました。
 グランアダージョは本当にただただ美しいの一言。3年前から好きで好きで仕方なかったのですが、本当に美しい。この二人のアダージョ、見守る王子とそこに王子がいると見ることもなく気配で察して寄り添う姫というバランスが大好きなのですが、そこに「彼女のためになにかしたい」「この人こそ私たちを救ってくれるから寄り添える」という感情が付加されて、大変美しく、情緒あふれる光景でした。それが振付だと分かっているのですが、そっとオデットが力を抜いた瞬間、ジークフリートがその体を支えるという呼吸が、その張りつめた空気がなんとも魅力的でした。
 ジークフリートはなんとしてもオデットを暗い夜の世界から連れ出そうとする、でもそれができない、そのことをオデットはわかっている、ジークフリートは知らない。そんな力のせめぎあいの後、オデットはロットバルトの力でジークフリートの手の届かぬ所へ消えていく。オデットの羽を手に持っているとき、ジークフリートはまるで夢を見ていたのかと自分に問いかけているように見えました。徐々に明るくなっていく空の下で、夜明けとともに消えていく幻を見ていたのかと、彼は自問しているように見えました。この「夜が明けていく」というのが、なんだかすべてが夜の見せた幻に思えて、不思議な感じでした。

 3幕のジークフリートはずっと上の空でした。オデットの羽を見つめながら、誰かを待ってる、探してる。6人の姫たちを見ながらもオデットを探している。そこにオデットがいるわけがないと思ったのですが、意識せずとも、いないと分かっていてもオデットを探してしまうという雰囲気。そして胸元に隠してある白い羽を触れる姿を見ているだけでジークフリートの心の切ない痛みがこちらに伝わってくるのがさすが遅沢さん。
 今回、家庭教師がルークさんだったため、王妃が結婚を迫っているというのが強く感じられてよかったです。王妃と家庭教師、両方に挟まれたジークフリートの戸惑いは分かりましたし、多分オデットに出会う前だったら、二人の強さに折れて六人の姫の中から適当な誰かをジークフリートは選んだだろうなと思えました。
 探して探して探し続けて、だからオディールをオデットと見間違えたように思えました。最初にオディールが登場して、ロットバルトが「彼女はオデットだ」と言ったあと、オディールは去っていきます。そのときのタイミングというかなんというか、そこでオディールが去っていったからジークフリートは彼女をオデットと思ったのだと思えるタイミングでした。不思議なことに、オディールの指がジークフリートの手の中をすり抜けていく度、ジークフリートは彼女をオデットだと確信していってるように見えました。このときのロットバルトの場を支配する感覚、勝利を確信した妖艶な笑い、華やかでしたし迫力があり、素晴らしかったです。オディールはジークフリートがオデットを求める気持ちとロットバルトの魔術が生み出した幻影のようでした。オデットは背中でそこにジークフリートがいるのを感じていたのに対し、オディールは目でジークフリートを逃すまいと引きつけている、そんな二人の違いがなんとも魅力的でした。
 余談ですが、オディールのふりが若干違うように思えました。小さなジャンプがちょこちょこと削られていた気がします。
 さて、王妃は王子にふさわしい姫たちを選りすぐりで選んだのですが、オディールはどこの馬の骨とも知らない誰かです。けれど3幕のジークフリートは1幕のなんとなく流される彼と異なり、王妃の言葉をはねのけ、そして浮ついてない姿ではっきりと「この人こそ自分の結婚すべき相手」と告げます。その姿を見ていると、どこの誰かは分からないけれど、ジークフリートがこれで一人前になってくれるのならなにひとつ問題ないと王妃が思うのも仕方ないことに思えました。後ろの方で家庭教師がロットバルトの正体に気付きつつも追い払われるのもいいなあと思っております。
 ロットバルトが正体を現したとき、ジークフリートは王妃を守ろうとしているようにも、母親にすがろうとしているようにも見えました。そのせいかオデットに会うために城を飛び出していく前のジークフリートが王妃の手に頬を寄せたとき、それが別れの挨拶に見えました。なにもかも捨ててもかまわない、オデットにもう一度会わなくては行けない、そんな悲しいまでの強さを感じたので、王妃が崩れ落ちたのもなにが起こったか分からないけど息子のただならぬ決意を感じたからではと思えました。

 4幕のオデットの絶望は、最初「自分は相手を選び違えた」というものが根本にあるように思えました。信じて心を許したけれど、それは間違っていたと、それを嘆いていたように見えました。オデットはジークフリートを許すつもりはなかったというより、もう会うつもりもなく姿を隠していたのかと思えました。ジークフリートの贖罪の言葉すら聞こうとせず去ろうとしていたのに、その気配を感じ、声を聞いたら結局立ち去ることができず、振り返ったように思えました。そこからオデットの悲しみの質が変わったように思いました。「選んだ相手は間違ってなかった」「けれどこの人は私を救う人ではない」と言ったらいいのか…。寄り添いながらも、この人によって自分は救われることはない、けれど寄り添わずにはいられない、そんな悲しい空気がありました。自分が救われることはないとオデットは知ってるのに、「この人しかいない」という気持ちを、2幕より強くオデットから感じました。思い出しながら気づいたのですが、2幕より互いを見つめ合うことが多かった気がします、お互いがそこにいるのを確認するかのように。
 最後のオデットとジークフリート、それからロットバルトの関係が今までとちょっと雰囲気が違い、なんとも言葉にできません。浅川さんと遅沢さんだとどちらかというと淡泊な感じになるのですが、そこに杉野さんが加わってなんとも濃い感じに仕上がってました。ただ手を取り合って静かに寄り添っていたいのに、それを力づくで引き離し服従させようとする力。オデットへの強い執着心はもちろんあったのですが、それ以上にジークフリートを破滅させることに対しても執着心を感じるロットバルトでした。殺すというよりも、破滅させる、という言葉が近かったと思います。その姿が力強いだけでなく、ぞっとするほど美しく、また、ある種の色気を持っていた、その空気感が、なんとも異質に感じたし、その空気に巻き込まれました。いつもと違う方向で、「このロットバルトには勝てない」、そう思えました。最後にロットバルトの前に立つオデットは凛と美しく、最後の力で身を投げたように思えました。3幕の終わりの時点でもうオデット以外のすべてを手放していたジークフリートがオデットの後を追ったのは至極当然に思えました、それ以外、彼はもう必要としていなかったのだから。見ているときは圧倒されてなにも考えられなかったのですが、こうしてまとめてみるとロットバルトはジークフリートを殺すことはできても、破滅させることはできなかったのかなあと思えました。二人の思いは決して滅びないと証明されたから、ロットバルトは力を失った。そう思えたラストシーンでした。

 1幕を見たとき、ジークフリートがあまりにぼんくらで、王子の成長物語になるのかなと思いましたが、それはありませんでした。王子はぼんくら王子から成長したかというと、変化はしたけど、守るものを得たから大人になった…かというとそういう物語ではなかった。ハッピーエンドではないけど、バッドエンドとも言い難い。不思議と、必然的にそこにたどり着くべくしてたどり着いたと思える。光に包まれ、音楽とともに天に昇っていくような二人の姿を見ながら、ここにたどり着くべくしてたどり着いたんだと、そう思えました。なんのしがらみもなく光に包まれる二人を見て、こちらも心が満たされました。必然的にそこにたどり着いた物語でした。大変面白かったです。

 ソワレも続けてみましたら結構キャストがかぶっていましたので、かぶっているキャストはソワレをご参照ください。マチネのみにいらっしゃった方で印象的なこと。
 春奈さんがほんっとうに美しいです。第一ヴァリエーション、見惚れました。ひとつひとつの動きが細やかで軽やかで華やか。本当に花の咲いたような美しさがあるので大好きです。
 蘭さんの二羽の白鳥、彼女はあまり白い踊りが似合う方ではないと思うのですが、背が高い方なのでやはり迫力があります。
 兼城さんのナポリは本当にかわいいですねー。バタバタした動きのはずなのに細やかに動いてくれるのが素敵。柔軟性の高い方なので、前に上げた足がおでこにくっついてるんじゃないかと思えるのがさすが。
 松岡さんのチャルダッシュはなんとも色気があって素敵でしたし、堀内さんも渋めで素敵。マズルカの池本、伊坂、井澤というファーストソリストそろい踏みの無駄遣いっぷりがすごかったです。うまいし華やかだけど、見たいのそれじゃない。戸田さんと西口さんの並びが結構好きだと気づきました。蘭さんと石橋さんとはちょっと違ったくせのある雰囲気が良いです。

 本当にいいもの見ました。

Kバレエ
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(2016/05/28(Sat) 00:41:09)





  Kバレエ ドン・キホーテ(2016/03/12 ソワレ)

キトリ:中村祥子
バジル:宮尾俊太郎
メルセデス:小林美奈
エスパーダ:杉野慧
ドン・キホーテ:スチュアート・キャシディ
ガマーシュ:石橋奨也
サンチョ・パンサ:酒匂麗

Bunkamura オーチャードホール
★★★★

 マチネに引き続きのソワレです。観劇メモにろくなこと書いた記憶がなかったのですが、実際読んでみたらろくなこと書いてなかったので、2ヶ月以上たった上での覚え書きです。
 主演の祥子さんと宮尾さん、さすが何度もペアを組んでいるため、とても急拵えとは思えません。長身美男美女のカップルということで、雰囲気も明るく、宮尾さんの技術については「いやあ、ずいぶんうまくなったなあ」というファン目線になってしまいますが、祥子さんが中心にいて全体を引っ張っていってくれるので問題なし。さすがだと思える公演でした。
 基本的にファーストキャストだと思える公演で、マチネでいまいち物足りなかった夢のシーンも不思議と空気が引き締まった感じがしました。花売り娘たちもマチネでも十分にかわいいと思っていましたが、春奈さんと井上さんはさすがとしか言いようがない安定感。二人それぞれかわいいし、踊りもしっかりしてるし、二人で踊ると息ぴったりだしで見ほれました。闘牛士の中で井澤さんと池本さんは本当にさすがとしか言いようのない美しい動き。でも見たいのこれじゃない、王子が見たい…。
 基本的にファーストキャストだと思ったのですが、多分バランスの関係でファーストキャストはマチネの井澤さんだと思えたガマーシュ。ほんのちょっとしたところでやはり井澤さんのガマーシュってうまかったんだなあと思えましたが、石橋さんは石橋さんでタイプの違うガマーシュでした。若干鼻につく感じのお金持ち、でも腹が立つことはなく、キモカワイイという感じで楽しく見ることができました。春奈さん花売り娘と大変ずさんに踊ってるところとか、楽しかった。ちょっと品があるところもぴったりで、最終的にはこれはこれで良いなあと思えたガマーシュでした。
 細かいところだと吉岡さんはやっぱり可愛かったり、こそっと応援してる宇多さんが街の女性たちの中にいてやはりきりっと美しかったり、山本さんが踊らない役にいて心配だったり、そんな感じで。
 そんなわけで当初の予定通りガマーシュと兼城さんに全部もってかれた公演でありました。

(ところで、前回の祥子さんと宮尾さんの公演、夢のシーンでキトリがグランパディシャで出てくるだけで拍手が起こったのですが、あの高揚感ってなんだったんだろう…)

Kバレエ
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(2016/05/28(Sat) 00:24:41)





  Kバレエ ドン・キホーテ(2016/03/12 マチネ)

キトリ:白石あゆ美
バジル:伊坂文月
メルセデス:浅野真由香
エスパーダ:堀内將平
ドン・キホーテ:スチュアート・キャシディ
ガマーシュ:井澤諒
サンチョ・パンサ:酒匂麗
Bunkamura オーチャードホール
★★★★

 年明けてから1回目のKバレエの公演です。今回、仕事とか私用とかでこの日一日しか行けなかったのが大変残念です(本来はこの日も仕事入ってきたけど却下したという事実)。
 幕が開いて、さあ主演が出てくるまで兼城さんを捜そうかと思えば、なんか益子さんがいたずらしてるし、石橋さんがうろうろしてるし、修道士の格好をした池本さんが彼らしいいつもの穏やかな顔でお祈りしてるし、栗山さんっぽい人がいるし、なんか目が泳いで仕方ありませんでした。忘れてた、この作品、始終人がいるから見るとこだらけで大変なんだ・・・。どこ見たらいいのかわからないとくるくる目を回しながら、作品の楽しい空気を味わっていました(というか闘牛士たちが最初のシーンにいるとは知りませんでした、びっくりです)(ちなみに兼城さんは舞台下手側、2階部分にいて降りてきていました)。
 常に目が泳いでる状態でしたが、ちゃんと舞台の中心にいた主演の白石さんと伊坂さん。まさに「ドンキホーテ」という作品らしい軽さと華やかさ。特徴的だったのが1幕の終わり、駆け落ちのシーンがぜんぜん駆け落ちに見えない。いたずらっ子のように笑うキトリなんて、ちょっとした婚前旅行くらいにしか思ってないようにしか見えない。二人っきりで泊まりがけの旅行楽しいねーという感じが、そのあとの狂言自殺にもつながる、コメディにぴったり、なんとも軽やかでかわいらしいカップルでした。お互いが本当に好き合っている雰囲気もぴったり。ちょっとやきもちを焼かせてみたり、相手を困らせてみたり、そのひとつひとつがお互いのことをわかってるなあと感じさせます。
 それにしても白石さんのキトリのキュートなこと!技術的にお見事という感じではありませんでしたが(というか、1幕軸がぐらついてちょっと見ていて不安に)、その姿がいちいちキュート。笑顔が本当に印象的。柔軟性を感じさせる軽やかな踊りも大変キュート。みんなに愛されていることがわかる、かわいらしいキトリでした。
 伊坂さんの踊りははじけて少しはみ出している感じ、それがこの作品の派手な空気にあってるなあと思いましたが、2幕以降のほうが華やかさと技術のバランスが整っていた気がします。すっと軸の通ったピルエットのきれいなこと!話が進むにつれて軽さがありつつも軽すぎない、ちょうどいいバランスになっていった気がします。
 キトリがとにかくかわいいのと、バジルが脳天気な感じだけどはじけてて、とてもバランスがよい公演でした。技術的にぱーんと派手で、お祭りみたいに盛り上がる感じではありませんでしたが、みんなにこにこ楽しそうで、その空気に巻き込まれてこちらも楽しい気分になりました。ちなみに、片手リフトも別にそんなにも求めていないのですが、二人とも息がぴったり、危なげなく長時間の制止を見ることができました、さすがお見事としか言いようがありません。
 お目当ての一人のびっくりキャスト井澤ガマーシュ。これが本当にかわいい!ガマーシュって若干お金持ちを鼻にかけているイメージがあったのですが、そういうところを感じない、本当にかわいいだけのガマーシュ。すっとんきょうなことをしているのに不思議なくらい違和感がなく、ただただかわいい。なんと言ったらいいのか、おかしなことをしている変な人というより、ただただかわいいだけの生き物。キトリへのアピールも楽しかったし、酒場のシーンのどたばた劇は最っ高に楽しかったです(バジル狂言自殺後にバジルが足を動かしたことを賢明に訴えたり、もう一度刺してみようとするいつもの動きがいちいちかわいい)。相変わらず白タイツの似合う美しい足で、マネージュとかふつうに飛んでほしいと思ってしまうところもありましたが、大変かわいいガマーシュでした。
 メルセデスは姉御肌の切れ味さっぱり浅野さん。明るい感じだけど姉御肌のメルセデスで大変かっこよかったです。しかしなにより魅力的だったのが堀内エスパーダとのやりとり。堀内エスパーダはどちらかというと渋めの色男でいろいろ女の子にちょっかいを出してるのですが、最終的に感じるのがメルセデスを包み込むような愛情。花形闘牛士として決めるときは決めてるのですが、姉御肌のメルセデスすら包み込んじゃえるような器の大きさが印象的でした。年齢的にもメルセデスの方が姉さんに見えたりエスパーダに年上の余裕を感じたり、そういうのが「大人の恋人同士」という感じで、みずみずしいキトリバジルカップルといい感じで雰囲気が異なっていてバランスがよかったです。
 ちなみに堀内さんはジプシーのシーンでも親分として活躍。若いはずなのに、真ん中にどーんと立ってると頼もしさを感じるのでこの役はぴったり。ジプシー女の蘭さんも色っぽく、彼女をはべらす姿も堂に入っており、短いシーンですが大変見応えがありました。ところでジプシーのシーン、前回なかったバジルの踊りが復活していてうれしかったです。意気投合してひょうひょうと踊るバジル、軽やかに飛び跳ねる伊坂バジルを見ながら、このシーンが復活してよかったとしみじみ思いました。
 ドンキホーテは鉄板キャシディさん。このすっとんきょうな作品の中でもとぼけた役ですが、、不思議なことに彼がすっとんきょうな役をしっかり人間味のあるように演じてくれたせいか、彼がいることによって物語が変に浮き足立ったものになっていない気がしました。彼自身は別になにか変なことをしているつもりはない、ただ自分が信じるままに生きているだけ。それが感じられて、どのシーンがどうという感じでなく、とにかくそこにいてくれてよかったと思える存在感でした(狂言自殺をするバジルを見守るときの何事にもうろたえないところがすてき)。
 ロレンツォはお久しぶりニコライさん。相変わらずのイケメン無駄遣いですが、こちらはすっとんきょうな役で愛嬌もあり魅力的。マスコットのようにかわいいサンチョは酒匂さん。ぺたりとおしりをついて座るところがかわいいし、ゴムボールのようによくはねるはねる。ドンキホーテとは主人と従者というよりはどこか老人と孫といった感じ。サンチョがドンキホーテを慕っているのはもちろん、ドンキホーテがサンチョを見守っている感じの暖かさが素敵。この三人は公演日程中固定でした。派手なシーンはそんなにありませんが、舞台上で細々おもしろいことをやってくれるのでずっと見ていたかったです。
 全体としては森のシーンが若干雑なのが気になりました。どこがどうというのではないのですが、なんとなく足の動きや手の動きが荒っぽいと感じました。白鳥の時なんかは感じなかったので不思議です。
 さて、闘牛士とクラシカル・ジェンツ固定だった池本さん。まあそこしかいるところないよなあと思いつつ、もっと踊りが見たいなあと思いつつ見ておりました。相変わらず良くも悪くも別世界。本当にラインそのものがきれいで、なんでもない動き一つひとつがきれいで見ほれてました。バレエって曲線の美しさだなあと思うライン。栗山闘牛士と闘牛のまねごとをして牛の動きをするところがささやかですが本当に美しかったです。本当に、反った背中が描き出すラインそのものが美しい。ジュッテ飛んでいてもひとり足の角度が違ったり、いろいろさすが。クラシカルジェンツも結婚式にふさわしい明るい雰囲気に的確な踊り、楚々とした雰囲気と、なんでもない動き一つ一つ見ほれてました。・・・まあそんなところが「・・・バジルじゃないよなあ・・・」と思わせる原因でもあったのですが。踊りがうまいことは誰が見ても明らかなことなので、彼の個性を生かせる作品と役があると良いなあと願っております(ブルーバード程度じゃもう物足りない)。
 兼城さんは目立つところでは最初にタンバリンを持ってキトリと戯れるように踊ってるシーンが一番大きな役だったかなあ。軽やかに楽しそうに踊っているので見ていて心地よかったです。脇でいろいろ楽しそうにしていたので見ていて飽きませんでしたが、ジプシーにいなかったのはちょっと残念でした。相変わらずのいい笑顔、相変わらずの軽い踊りでした。柔軟性がアホみたいに高い方なので、それが生かせる役に出会ってほしいなあ・・・。
 花売り娘は美奈さんと矢内さん。美奈さんは相変わらず若干おとなしめですが、的確な踊り。矢内さんは背も高く、ジャンプも軽やかで静か。腕が堅いのが若干気になりましたが、たしかに抜擢したくなる雰囲気はありました。白鳥が楽しみです。
 石橋さんの闘牛士はまた渋い感じで魅力的(クラシカルジェンツ見たかったなあ)。踊りでいったら池本さんとは比較にならないのですが(失礼)、なんか不思議としっくりきます。前日エスパーダをやっていた西口さん、雰囲気がどう変わったか楽しみにしていたのですが、どちらかというとお疲れが見えてしまって残念でした。

 個人的ラストのお楽しみ、ラストシーンのエスパーダ。バジルが嬉々として床屋仕事をしている姿を横目に、舞台下手のエスパーダを見るのが好き。一番多いパターンとしてはエスパーダが配下の闘牛士に闘牛士の動きを教えているのですが、今回もそのパターン。大仰なまでに闘牛士ポーズを取る石橋闘牛士とさらにダイナミックに動くエスパーダ。なかなかかっこいい姿でした。

 派手ではないけど堅実におもしろいドンキホーテでした。どうやらシネマではこの公演が上演されるようでとても楽しみです。

Kバレエ
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(2016/05/14(Sat) 02:21:34)




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