見に行けないかと思ってたら、見に行ってしまいました、やったーー!!
 私、この作品には人一倍思い入れがあります。 私にとって、青い鳥の前身の作品、ドリーミングは四季との出会いの作品です。 ちなみに、初演(ちょっと自慢)。 この年齢で、初演のドリーミングを見ている人間はほとんどいないと思います。 かれこれ20年前の話です、母親に連れて行かれたこの作品が、私の人生の色々な意味での基盤になっています。 そんなわけで、どうしても「初演と比べて」「再演と比べて」といった話が多く 出てくると思いますのでご了承ください。

 で、初演と曲目が変わったシーンのメモ書きから(しょっぱなからこれですみません)。
 精たちの登場、火は違った、パン、ミルク、チローが不明、あと、全員で歌うシーンも、他同じ。
 光が同じで、それだけで泣けてきました。
 メインテーマ、青い鳥、歌詞は同じなのに、曲は単調になったような?
 思い出の国、歌詞も曲も全く違う。
 森、歌詞はほとんど削除、曲が長くなった完全なダンスナンバー。
 (おもいあがあったーにんーげんにー♪って結構好きだったんだが)
 光の歌・・・やっぱり「こーころーにやみをー」は帰ってこなかった、好きなのに・・・・。
 太った幸福たち、歌詞だけ同じで曲が違う。
 小さな幸せ「早く大人になりたい子供たち〜今の自分がいること」まで削除。
 光の歌、やっぱりちーがーうーーー。
 時の老人の歌、削除。
 違ってたのはこのくらいだな。 思ったより全然変わってなくて、ほっとしました。 シンプルだけど、なんか心に残る曲が多かったので、どれもこれもとても思い入れがあるんです。
 キャストはこんなんでした。

チルチル大徳朋子 ミチル伊東瞳 犬のチロー望月龍平
猫のチレット谷内愛 パン小林アトム 吉原光夫
佐藤匡子 牛乳村井まり子 砂糖百々義則
光/隣の娘村田恵理子 夜の女王/ベリリューヌ/ベランゴー前田美波里 祖母丹靖子
祖父/カシの大王松宮五郎 母親チル/母の愛早水小夜子 父親チル喜納兼徳
時の老人吉谷昭雄



男性アンサンブル 上出匡高
谷本充弘
井水類
野島直人
横山清崇
中條郁司郎
村瀬美音
上田亮
廣野圭亮
女性アンサンブル 松下沙樹
遠藤瑠美子
柴田桃子
ヴァネッサ・ルート
丸山知紗
山崎ゆみ子
藤津愛弓
真鍋奈津美
滝口律子
北涼子
増嶋あゆみ
古屋敷レナ


 まず言ってしまいたいのが、光のこと。 私、この役は本当に長いこと憧れつづけていました。 結局、私が見たのはただ一人の役者さんだから、私はその方に憧れてたわけでもあるんですが、 役者の名前を覚えるということを知らないころから、彼女にはとても大きな憧れを抱いてました。 だから、私は彼女の曲全てに思い入れがあり、光に対して、求めるものも大きいです。 村田さん、歌は素晴らしかったです。 精たちの登場のシーンでは、その透明感のある歌声に、本当に聞きほれました。 ただ、しゃべってると、どうも、なんか違う・・・・。 他の精たちの間で埋没してしまうとでも言うのでしょうか。 「え、今、光がしゃべってたの!?」と思うことしばし。 幸福たちが憧れる存在感の大きさや、高貴さが感じられなかったのが残念でした。 ただ、本当に歌は素晴らしいです、素晴らしいから、森や喜び達の前で歌う歌が 古い方の、あの、天から降ってくるような高音の曲に戻してくれると・・・すみません、 やっぱり、諦めきれないんです。 あ、村田さんの話からずれてしまった、歌は、これだけ思い入れのある人間が聞いても、 素直に感動できるものでした。 これから芝居面でうまくなったら、かなり面白いだろうな。
 光ほどではないけど、思い入れのあった夜の女王。 もはや「下村さんの夜の女王見たい〜」は、再演終了以降、私の口癖になってます。 そんな中で見た美波里女王・・・・。 すみません、「様」つけて呼ばせていただいていいっすか!!?? もう、ひとつひとつの動き、言葉がつぼにはまりまくり。 素晴らしかったです、女王陛下〜〜!!! 美しいよ〜、かっこいいよ〜〜!! 彼女を見るだけでも、価値があります。 ただ、素晴らしすぎて光がさらに弱く見えるのも事実・・・・。 ベリリューヌもなかなかきれいだったんですが、ドレスがなんかシンプルすぎて、そっちに気を取られていました (再演では、ピンク色の、かなりたっぷりした感じのドレスでした)。 とにかく、もう一回観たいです。
 チルチル、今までずっと男性が演じていたのでどうなるかと思ってましたが、 幼いかわいさが前面に出ていて、結構好きです。 ただ、ミチルとの身長差がもう少しあったほうがいいかも。 まだまだ子供なのに、お兄さんぶってる所が大変かわいかったです。 ミチルは、もう、単純にかわい〜〜!! 砂糖とのやり取りがとにかく好きでした。 砂糖もなんかみょうちくりんだしね。 この2人、別の意味で兄弟みたいで大変かわいいです。
 ペッパーの印象があまりにも強かったチロー、どうなるかと思ってたら、これまためちゃくちゃかわいかったです。 ああ、こんな犬なら飼ってもいいかも!(犬は基本的に敵です) 何をされてもどこまでもついてきます!!というところがかわいくてかわいくて。 文句をつけつなら、もう少し大型犬に見えるほうがいいかな? 動きがネコっぽいというか小さいというか、膝に乗っかるサイズの犬に見えました。 でも、かわいいんで、そんなこと全く些細なことなんですけどねー。 私なら、あのチローに冷たくなんてあたれませんよ、何があっても! そのくせ食べ物には執着するし、もう、かわいくてかわいくて仕方ない! 別の意味で心配だった谷内さんのチレットも魅力的でございました。 きれいで、いけ好かない雰囲気が漂ってる。 つまらなそうに足を組んで座ってる所なんて、正にネコそのものといった風情です。 そりゃ、ネコは本職と言えるかもしれませんが(笑)。 女王陛下と歌う所は少し押しが弱いかと思いましたが、他のシーンではうっとりしっぱなしでした。
 その他の精達。 パン、さすが、貫禄があります。 何やるにしても、妙に面白い! 火、火だよ燃えてるよ! がむしゃらに燃えてるところが、なんかかっこよかった。 水、きれい! とにかく、ルックすが最高に似合っててきれいでした。 動きも優雅だ。 牛乳、かわいい! ちょっと歌声が好きじゃなかったんですが、動きがかわいくてかわいくて仕方ない。
 なんじゃこの豪華キャストは!?と目を疑ったその他の方々。 おじいさんおばあさん、ああ、正におじいさんおばあさんだよー! それしか言いようがないです。 空気が柔らかくってあったかくって、丸い。 優しくってゆったりしていて、のどかな気分になる。 凄く気持ちよかった。 母の愛、素晴らしかったです。 きれいっていうのが、しっかり目で見て分かる。 喜び立ちの中でも一際きれいで、もっとも素晴らしいものだと光が言ったのも頷けました。 でも、ラストで見たぼろを着たところもまた素敵だった、というか、ある意味こっちの方が素敵だった。 なんか、すっかり策略にはまってる気もしますが。 お父さんの方は、ほんの少ししか出ませんでしたが、ああ、愛しの喜納さん! 太った幸福で金持ちの幸福をやっていた喜納さん! こんな所でお目にかかれるとは思ってませんでした、わたくし、大変幸せです! 正に金持ちののんきさといやらしさを合わせたような、みょうちくりんな太った幸福も、 お母さんに比べてどこか少し影の薄い、けれど優しい雰囲気たっぷりのお父さんも、どちらも好きです。 あー、幸せ〜♪ カシの大王、さすが、威厳たっぷり、怖いってばー! 時の老人、使い方があまりにもったいない! なにか、あらゆるものを超えた怖さというか、雰囲気がありました。 確かに、恐ろしく長生きしてそうな雰囲気だ。白くて長い髭が、本当に自前みたいにお似合い。
 と、ここまでキャストを誉めてきました。 ええ、本当にキャストの皆様は素晴らしかったです。 個性豊か、観ているだけで楽しい方たちばかり。 問題は、それを全く生かしてない脚本なんだよな・・・・。 とにかく、精たちの出番があまりにも少ない。 一緒に旅をしているという実感が全くない。 だから最後の別れのシーンがあまりに唐突で全く感動できない。 もったいないよー、精達、本当にみんな面白いのにー! ラストも唐突で意味不明。 言いたいことはなんとなく分かるけど、あまりに変じゃないか? 娘の病気を治すために青い鳥が欲しいって、現実世界ではおかしくないか!? もらってすぐ治るのも変だし、それで逃げて泣き出したり・・・ああ、もう、この辺全く意味不明。 家に幸せがあると分かったから青い鳥は青くなった、しかし、幸せはすぐに逃げてしまう、 そんなことを言いたいような気はするのだが、もっと他に方法はなかったのか!? よく分からないうちに幕が降りたという感の方が強いです。 もったいないなー。 話もばらばらしてまとまりがないと思いました。 個々のシーンは面白いんですけど、まとまってどうこうというものがあまりない。 そういう意味で、本当にもったいない作品だと思います。
 今回ヒットは小さな幸せ。 もとから好きなんですが、太った幸福たちがどいて、薄暗い中からぴょこぴょこ立ち上がるところが つぼにはまりました。 かわえーー!! 喜びたちは逆に、踊りが多すぎてかえって鬱陶しく感じました。 森のダンスは、なんか地味に感じました、どうしてだろ? 墓場のシーンは、不思議と印象深かったです、あれだけのシーンなんですが。 でもやっぱり一番は夜の御殿ですね。 地味になった感じはしますが、あの、セットと一体化したドレスは素晴らしい! 正に女王に守られてるって感じで好きなんです。 ナイチンゲールはきれいだし、戦争は本気で怖かった(+かっこよかった)し、 風邪はかわいかったし、女王陛下は素晴らしいしで、かなり本気で楽しみました。 珍しくパンも砂糖もいるので、いろんな意味で充実したシーンだと思ってます。 ここ、もう一度見たいな。 未来の子供たちのシーンは、好きだったけど、今回はちょっと印象が薄いです。 衣装は、前のてるてる坊主みたいなもののが好きだな、色もはっきりしてていいし。
 いろいろ書きましたが、チケット代分は楽しめました。 ただ、それだけって気もしますが、うーん・・・・。 切り離して考えるならとても面白いんですが、作品としては弱いという気もします。 でも、私は好きです。 あちこち直して、もっと面白く、まとまりのある作品になるといいのですが・・・・。 たとえそうでなくても、あと何回かは見てみたい作品です。 なんだかんだ言って、かなり楽しめました。

 5月11日追記
 母上が観劇してきたため、2人で色々話しました。 うーん、やはり母上の方が辛口だわ、あまりうかつには書けんね(苦笑)。
 ダンスが多すぎるというのが、共通の意見でした。 森のシーンはやりすぎ、喜びのシーンではもはや邪魔の域に達してるという意見で一致しました。 キャストについては、母上チルチルと砂糖べた褒めでした。 火はねー、悪くないけど「吉原さんなら、こんな感じかなー」という予想そのままでした。 時の老人、チローはあまり気に入らなかった模様。 光は・・・語り倒してしまいました、2人とも思い入れ強いから。 色々文句も2人で言い合いましたが、やっぱり大変楽しそうでした。 そして最後に一言、「美波里さんだけで、チケット代のもと取れるね」。