眠れる森の美女
2006/03/12
東京国際フォーラム Cホール

オーロラ姫東野泰子
フロリムント王子熊川哲也
カラボスサー・アンソニー・ダウエル
リラの精松岡梨絵
フロレンス王ギャビン・フィッツパトリック
王妃天野裕子
カタラビュットロリアン・スローター
元気の精副 智美
鷹揚の精小林絹恵
優しさの精長田佳世
勇気の精神戸里奈
呑気の精中平絢子
ルビー神戸里奈
サファイア副 智美
ゴールド輪島拓也
白猫中平絢子
長靴をはいた猫小林由明
フロリナ長田佳世
青い鳥スチュアート・キャシディ
赤ずきん小林絹恵
宮尾俊太郎



 K−バレエカンパニーというのは私にとってちょっと感想を扱いにくいバレエ団でして・・・。 セットとか、衣装とか、振り付けとかストーリーが、私の好みを知ってんじゃないかと思うくらい好み。 良い悪い、上手い下手をぶっちぎって黄色い悲鳴を上げたくなるような要素がつまってるんで、どうも感想は書きにくいです(苦笑)。

 しかし・・・どうも今回は小粒という印象が否めませんでした。 最大の原因は、お目当てだったオーロラ役の康村さんが疲労骨折で降板していたということ!! ゆっくり養生して治してくださいと言いたいけど、やっぱりなんとも言えないものがあります。 「眠り」を見るのはこれで3回目なのですが、どうもオーロラ姫に恵まれません。 いつも「ローズアダージョ」がえらいことになってます。 今日もえらいことになってました。 「ローズアダージョ」って、息を詰めながら、はらはらどきどきして見るもんじゃないんだよね、きっと本当は・・・。
 オーロラの東野さん、若さ溢れるといったはつらつとした雰囲気は悪くありませんでしたが、いかんせん安定性と存在感に欠けていました。 もちろん、下手ではないのですが、何というか、満足感、のようなものがないんですよねえ。
 そんなわけで、いつもと同じように目がいってしまうリラの精。 「存在感」ってなんなんだろうなとしみじみ考えてしまう美しさでした。 彼女がそこにいるとそれだけで華やかになるんです、うっとり。 「糸つむぎの針に刺されて眠りにつく」というマイムを何度も繰り返していたんですが、これが妙に華やかで美しく、柔らかくって、気に入っています。 後半はほとんど踊ってくれなかったのがちょっと残念。
 「存在感」ってなんなんだろうなと思ったもう一人がカラボスのアンソニー・ダウエル。 何というか、さすがとしか言いようがない・・・。 場を支配する力がすごかった。 それに、ものすごい美女で・・・。 大柄で黒い服をまとった(しかもそれが似合う)美女というのは、もうそれだけで見ごたえがありました。 カーテンコールではおじさんに戻ってて、びっくりしましたよ(笑)。 衣装もメイクもおんなじだと思ったのに・・・不思議です。
 さて、18000円の君(いえ、彼の出る公演だけ値段が跳ね上がるのですよ・・・)こと熊川さん。 相変わらず楽しそうに飛んで跳ねて回ってました。 適度に品があって、相変わらず飛んだら降りてこないし、回ったらいつまでも回り続けてるし・・・。 今回は彼が目当てじゃなかったのですが、見たら見たでやっぱりかっこええなーと見とれてました。 いつも彼に対してはこんな感じです、私(苦笑)。
 さて、上記のように私にとって扱いづらいバレエ団なのですが、その中でも筆頭なのがスチュアート・キャシディ。 どーも、彼についてはコメントに困ります。 前回の「くるみ割り人形」のドロッセルマイヤーさんは掛け値なしに素晴らしかったです。 貫禄のある落ち着いた上品な物腰と、クララの初々しさが良い感じに似合っていて、各国の踊りそっちのけで、その踊りを見ている二人にオペラグラスを合わせそうになったものです。 上記の書き方から分かってもらえると思いますが「青い鳥」をやるというのはめちゃくちゃ意外でした。 良かったかというとちょっと・・・。 なんですが、動きの一つ一つが本当にきれいで、決まるんですよね。 ジャンプの連続は大丈夫かと思えば、踊ってる最中は息切れを感じさせない軽やかさと安定感はさすがプロという感じでした。 あと、フロリナ王女とのバ・ド・ドゥで、足を上げるときにタイミング、高さまでそろった状態でぴたりと止まるところが素敵でした。 フロリナ王女も華やかで貫禄と安定感があって、目を奪われました。 この二人のシーンが一番楽しかったかも・・・まあ、私がキャシディさんのことが気になって仕方ないからかもしれませんが(苦笑)。 メインの踊りが終わったあとも、彼が舞台上にいるときは彼の方にばっかり目が行って困りました。 明らかに付いちゃいけないところに肉が付いてるんで、もうとっくに最盛期は過ぎちゃってるダンサーさんだと思うんですが・・・もっとうまい人は星の数ほどいるって理性では分かってるんですが・・・どうも気になって仕方ありません。 ほんと、一つ一つの動きに品があるんです。 次回の公演「ジゼル」ではアルブレヒトをやるそうです。 これで最後か、最後でなくても次回を見るよりは今回だし・・・と、現在心揺れてる真っ最中です。

 なんか、キャシディさんのことを語ってるだけの感想になっておりますが(苦笑)。 相変わらずセットが美しかったです。 特に3幕の宮殿の幕の重厚さに感動。 すごく落ち着いた色合いに見えるのに華やかなのが不思議です。
 今一歩何か物足りないなという部分はあったのですが、相変わらず解釈はがちがちの古典、ダンスもクラシック(だけどちょっと今風)、セットと衣装は華やかという、私にとって一番好きな世界に浸ることが出来ました。 楽しかったです。
 さて、次の「ジゼル」はどうするか・・・。



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