第11回世界バレエフェスティバル(Aプロ)
2006/08/05
東京文化会館



 2回ぶりだか3回ぶりだかは忘れましたが、3年おきのバレエの祭典に行ってまいりました! 結論から言えば4階センター1列目15000円はお得と思えるような舞台でした。 でもね、でもね、公演時間約4時間半は長すぎ。 カーテンコールの最中に劇場を抜け出すお客さんの多いこと多いこと。 普通、カーテンコール込みで4時間くらいだと思うよね(涙)。 ちょーっと玉石混合といった感じもしたので、次回はもう少し人数減らしてくれるとありがたいなーと。 お値段据え置きでいいので、よろしくお願いします。

 とりあえず、バレエあんまり見ない&ガラ苦手、全幕大好き&クラシックバレエ以外分からない人間の感想ですので、その点ご了承ください。 うーん、この気質を実感させられたのが1〜3部、それを全く感じなかったのが4部といったところでしょうか。 4部はちょっと、全てにおいて格が違いました。

第1部
ラ・ファヴォリータ(ルシンダ・ダン&マシュー・ローレンス)
 お祭り開幕、ここでがっつりお客さんのハートをゲット!・・・・という作品だとありがたかったのですが・・・。 うまいことはうまいけど、確かにクラシックだけど、なんか地味でした。

7月3日新しい日、新しい人生(ニコラ・ル・リッシュ)
 一部が終わったとたん親に「分からなかったでしょう?」と言われた。 その通り、分からなかったです(笑)。 何かを伝えようと発信してるのは感じられたのですが、受信機が壊れてるため受信できません・・・ということを、踊りを見ながら考えてしまうような作品でした。

白雪姫(タマラ・ロホ&イナキ・ウルレザーガ)
 曲と全体の雰囲気は結構好きです。 全体としてみたらどういう作品なのかと興味がわくような面白さはありましたが・・・やっぱり地味。 ロホのグランフェッテはいつまでもいつまでも回っていて、目が点。 序盤はトリプル入りでびっくりしましたが、一度バランスを崩したのか、後半は安定性にかけていてちょっと残念。

椿姫より第3幕のパ・ド・ドゥ(ジョエル・ブローニュ&アレクサンドル・リアブコ)
 振り付けとして面白かったです。 すごくドラマティックなのは分かったのですが、何せストーリーは知っていても全幕を見たことがなかったので入り込めなかったのが残念。 通しで見てみたいです。


第2部
ロミオとジュリエット(クランコ)(ポリーナ・セミオノワ&フリーデマン・フォーゲル)
 セミオノワちゃんが大人になっちゃったとか、細いのに胸が大きいとか、いらんとこで騒いでました。 いらんことで騒いでたら終わってました(ちょっと待て)。 セミオノワちゃんが大人になっちゃったことは理解できたんで、理解した頭でもう一回見たいです。

エスメラルダ(レティシア・オリヴェイラ&ズデネク・コンヴァリーナ)
 演目が頭から抜け落ちてたため、タンバリンが出てくるまで「エスメラルダ」と気付かず。 このタンバリンを使った振り付けはかわいらしいし面白かったです。

オネーギンより第1幕のパ・ド・ドゥ(アリーナ・コジョカル&フィリップ・バランキエヴィッチ)
 「ある作品の一部を持ってきました」では無く「小作品」として完成してると思えた作品。 ある娘が思い人に手紙を書いている・・・そのまま眠りに落ちた彼女は鏡の中から現れた思い人と共に踊る・・・。 そんな物語が感じられて、面白かった。 鏡の中に映る自分と、その姿にキスをする(だったかな?)鏡の中の思い人、やがて鏡の中の思い人が出てきた二人で踊る。 この演出も素敵でしたし、その後の踊りもどこか現実味のない幻想的な雰囲気のあるもので引き込まれました。 年若い娘が、正に自分の描いた理想の男性と戯れているという感じが素晴らしかった。 娘さんは夢心地、青年は人間味がないと言うバランスが本当に面白い。 夢から醒めた娘が、もう一度鏡を覗き込む・・・この結末がまた、この一曲を「小作品」にしている要因ではないかなと思います。 2部まで見た段階では、一番面白かったと、母上と意見が一致していました

ジュエルズより"ダイヤモンド"(アニエス・ルテステュ&ジョゼ・マルティネス)
 優雅で穏やかで、上品で華やか。 ああ、正にダイアモンドかと思わせる雰囲気がありました。 アニエス・ルテステュが緩やかな動きの中でもびっくりするほど華があって美しかった。

白鳥の湖より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"(イリーナ・ドヴォロヴェンコ&ホセ・カレーニョ)
 よーく知ってる作品に久しぶりにめぐり合えてほっとする(笑)。 さすが古典、踊っている方も慣れているのか、すでに役が体の芯まで入ってると感じました。 実際に見た場面は一部だけなのに、そこまでの物語、その後の物語が見えるんです。 くっきりした踊りをするオディール、キング・オブ・へたれの王子。 なかなか面白かったです。 このまま続きも見たかったわ。


第3部
扉は必ず…(オーレリ・デュポン&マニュエル・ルグリ)
 二人ともすごーーーくうまいのは分かりました。 古典作品で見てみたいっすねえ。 以上、受信機故障中でした。

眠れる森の美女(マイヤ・マッカテリ&デヴィッド・マッカテリ)
 思い出そうとがんばってはみてみたんですよ、ええ。 やっぱりこの作品とは相性悪いのかなあ。

コンティニュウム(ルシンダ・ダン&マシュー・ローレンス)
 そこそこ振り付けはおもしろかったと思う。 思う・・・・。 以上。

ライモンダ(ガリーナ・ステパネンコ&アンドレイ・メルクリエフ)
 ここまで来るともう「さすが白っぽい衣装の人多いねー」としか思えない自分がいました。 男性側のマント付き衣装はかっこよかったです。

春の声(アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボー)
 3部が始まって以来、ずーっとぼんやり見ていたけど、ここに来て目が覚めた。 この二人が舞台の上に立ったとたん「あ、これはいける!」と思える雰囲気がありました。 かわいらしくって、華やかで上品でみずみずしくって・・・・ずっと浸っていたいと思える世界がそこにありました。 こういう作品、大好き。


第4部
カルメン(プティ)(アレッサンドラ・フェリ&ロバート・テューズリー)
 結構面白かった。 このままこの二人で全部見たくなったわ。

TWO(シルヴィ・ギエム)
 2メートル四方のライトの中からはみ出すことなく踊る・・・と解説文を読んだ時は「これ絶対寝る」と思ったのですが、そんなこと全くなし。 何を訴えてるか・・・は分からなかったけど、壊れた受信機を無理やり活性化させるような威力がありました。 2メートル四方のうち、さらに中央1メートル近くは照明が一段薄暗くなっていて、見えないこともないのですがはっきりとは見えません。 その中で動く肉体の美しさ、そして光のあたる部分に一瞬現れる手の輝き。 鮮烈で濃厚、斬新で強烈。 炎のように煌く手の美しさが忘れられません。 是非もう一度見たい、映像では見たくない作品でした。 照明、音楽、振り付け。 舞台芸術の可能性についてあれこれ考えてしまう、素晴らしい作品でした。 踊りの最中は客席から咳の音一つこぼれてこず、曲が終わった後は客席からどよめきがわきあがり、それから嵐のような拍手。 ああ、舞台っていいなあ。

ベジャールさんとの出会い(ジル・ロマン&那須野圭右、長瀬直義)
 クラシック以外・・・というくくりの中ではTWOの次に何か感じられたかも。 分からなかったけど、おもしろいと思わなかったけど、飽きなかった。 ちなみに、「若いころのベジャールが好き、今はそうでもない」という母上(勿論ジル・ロマンのジの字もしらない)は筆舌にしがたいほど大絶賛でした。 TWOとこれは別格だそうです、なるほどね。

マノンより"沼地のパ・ド・ドゥ"(ディアナ・ヴィシニョーワ&ウラジーミル・マラーホフ)
 やっぱりこの作品全幕で見たい! 本であらすじを読んだきりのレベルなのですが、二人が登場したとたんに驚くくらい簡単に世界に入り込むことが出来ました。 焼け出されたかのようにぼろぼろの姿の二人がどこか神々しく見えるってこういうことかと、他の方の感想が頭をかすめました。 難しいリフトは面白いことは面白いけど、ないほうがいいんじゃないかと思えるほど演劇的世界がしっかりしていたと思います(この辺のバランスってどうなんだろ・・・よく分からない)。 濃厚だけどくどすぎない、派手ではないけど艶やかな二人の姿が印象的でした。 やっぱりこれは全幕で見なくてはならないと、決意を新たにしました。

ドン・キホーテ(ヴィエングセイ・ヴァルデス&ロメル・フロメタ)
 とにかく技巧、何は無くとも技巧。 全幕でこれやっちゃ駄目じゃないかなと思いますが、お祭りの最後を飾るにはいいんじゃないでしょうか。 とにかく超絶技巧のオンパレードという感じでした。 うーん、やっぱりこういうわかりやすい作品が最後に来るとすっきりします。 好きなんです、こういうの。 とにかくキトリのバランス感覚の素晴らしいこと素晴らしいこと。 ちょっとでも隙があったらバランス、結構ありえない時間バランス、男性のサポートは片手でそのまま延々回り続ける。 ここまで拍手が鳴り止まない中で踊ってるのを見たのは初めてです。 ソロもお互い安定感抜群。 トリプル入りのグランフェッテも安定していた。 最後は女性を上方に投げる形のリフトからラストのポーズへ流れるように移ってくれて、最後の最後でまた度肝を抜かれました。 クラシック的な技巧を見せ付ける作品がなかったのもあって、最後にこれが来てくれて本当に嬉しかった。 いやー、満足です。

 Aプロだけでも2回3回と行かれる方も中にはいるでしょうが、「これ何度も見るの辛くない?」と思える作品から「絶対にまた見たい!」と思える作品まで色々でした。 クラシックからコンテンポラリーまで、またその中身も色々で「バレエ」と名のつくものの表現の幅の広さをしみじみ感じさせるものがありました。 序盤では首を傾げたりもしましたが、終盤では言葉に尽くせぬ満足感をもらうことが出来ました。 まだ知識が足りないので、もうちょっと勉強して3年後の祭りに挑みたいです(泥沼中)。

 (ちなみにリストの方でつけたお星様は「素晴らしかった!」マイナス「おいこら、ちょっと待て」だと思っていただけると幸い)




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