キャッツ
2006/11/11
キャッツシアター

グリザベラ奥田久美子
ジェリーロラム=グリドルボーン井上智恵
ジェニエニドッツ鈴木由佳乃
ランペルティーザ王クン
ディミータ滝沢由佳
ボンバルリーナ遠藤瑠美子
シラバブ八幡三枝
タントミール高倉恵美
ジェミマ熊本亜記
ヴィクトリア金井紗智子
カッサンドラ井藤湊香
オールドデュトロノミー種井静夫
バストファージョーンズ・アスパラガス=グロールタイガー村俊英
マンカストラップ芝清道
ラム・タム・タガー福井晶一
ミストフェリーズ杜彦昊
マンゴジェリー趙宇
スキンブルシャンクス李涛
コリコパット王斌
ランパスキャット永野亮彦
カーバケッティ劉志
ギルバート萩原隆匡
マキャビティ赤瀬賢二
タンブルブルータス岩崎晋也


 約13ヶ月ぶりのキャッツ観劇となりました。 まさか東京公演の最中ここまで観劇期間が開くようなことが起きるとは思いませんでした(苦笑)。

 ここしばらく四季の作品は「悪くないけどそこまで面白くない」ということが多かったのですが、今日は掛け値なしに面白かった! 部分部分で問題はありました。 この人どうにかなんないのかと思った人もいました。 でも、面白かったんです。 2周年記念おめでとうの日だからでしょうか。 全体的にまとまりと熱気があって、時間がたつほどに作品の世界に引き込まれていきました。 カーテンコールで、指先が冷たくなるまで拍手をしたのは本当に久しぶりです。 いい舞台を見られるのって、幸せですね〜♪

 今回、祈るような気持ちでキャスト変更が無いようにと待っていたのが芝さんのマンカス。 品川の幕開き直後以来、本当に久しぶりに見ることができました。 とにかく存在感が大きくって、頼りがいのある「兄貴」猫でした。 さりげなく渦の中心にいるような、まとめ役。 いかにもリーダー格という感じの貫禄があって、見ていて安心しました。 こういうベテランがマンカスをやっていてくれるだけで舞台が締まるような気がします。 相変わらずよく響く声をしていますし・・・次見に行く時もいてくれると大変嬉しいです。
 なぜか特別印象的だったのがスキンブルのシーン。 李さんのスキンブルは声が伸びやかで瑞々しくってさわやかで、とにかく楽しくって仕方ないという雰囲気でした。 そこにあるもの全てに対して愛情を注いでいるような気さえしました。 明るくって楽しくって・・・それなのになぜか泣けました。 何故かは分からないのですが、「何でこんな楽しいシーンで泣きそうになってるのよ!」と思いながら見ていました。 なんか、清涼剤のようなものがすっと胸にしみこんでくるような感覚でした。 月明かりの中に浮かぶ列車も本当にきれいでしたし・・・。 理由は全く分からないのですが、とても印象的な曲になっていました。 素晴らしかったです。
 ダンサーの中にいてひときわ目立っていたのがランパスの永野さん。 ランパスなんて普段は全く意に介さないのですが、今回は妙に存在感があり、踊りもシャープで美しかったので 気がつくと目が彼を探していました。 帰りにパンフレットを見たら元バレエダンサーでした、納得。 特に見せ場のある猫ではありませんが、踊り方一つで結構印象に残るものなんですね。
 群舞で特に目を引いたわけではないのですが、見せ場ではきらりと光っていたのがギルバートの萩原さん。 最初のブランコの時の体の軽さから、目を引きました。 シャムネコのシーンも面白かったです。 迫力満点!というわけではないのですが、振り付けの一つ一つがちゃんと「お芝居」になっていて、 決闘になっていました。 地味〜に素敵でした。
 滝沢さんのディミータ、今までこんなディミータ見たことがないと言いたくなるくらい攻撃的でした。 ちょっとした笑顔でも、とにかく強気と言うか挑発的というか。 かっこいい姐さんでした。 踊りについては昔の方がシャープだった気がするんですけどね、攻撃的な美女というのは好きなので、 よく目で追っていました。 偽デュトロノミーに真っ先に飛び掛るのが納得いくディミータでした。 正に「猫科」という雰囲気も含めて気に入っています♪。
 井上さんは楽しみにしていたのですが、ジェリーロラムの時からなんとなく「悪女」のように見えてしまったのが残念。 ジェリーロラムらしい温かみが感じられなくって、なかなか群舞のときに探し出すことが出来ませんでした。 グリドルボーンはさすがの迫力。 今までのグリドルボーンは「シャムネコ軍団頭領の女」という感じでしたが、井上さんは 「シャムネコ軍団の女頭領」という感じでした。 グロールタイガーと並んだ時の迫力がすごかったです。 ボンバルリーナの遠藤さんはしっとりとした大人の色香が魅力的でしたが、ちょっと地味だったかも。 これは個人的な注目点なのですが、「幸せの姿」の時、レンジの上でタガーと見詰め合ったまましばし腰を 落ち着けていたのにびっくりしました。 ここって大概は訳ありの雰囲気を漂わせながらすれ違っていたと思ったのに・・・。 いつの間にこうなっていたのかしら・・・? シラバブの八幡さんは、踊りは安定して存在感がかわいらしいのに歌が不安定という珍しいシラバブでした。 手の先の丸め方が本当に子猫っぽくてかわいかったです。 高倉さんは以前の針のような細さがなくなってしまって残念。 最初、なんだかたぬきみたいに見えてびっくりしました。 でも、ラストシーンでは気高い猫に見えて一安心。 ジェミマの熊本さん、動き方は俊敏で獣のようで気に入ったのですが、何故か言葉がたどたどしく聞こえました。 見た目はすごーく良かったのに、勿体ない。 福井さんは見た目もスマートでかっこよく、声も魅力的で存在感があるのに、 何で踊りがうまくならないのでしょうか・・・。 こちらも勿体ない。 金井さんのヴィクトリアはなんだか月の光をまとっているような気がしました。 彼女が踊っていると、ライトの光も月明かりに見えました。 不思議です。
 最後にちょっとよろしくなかった方。 デュトロノミーの種井さん。 この作品は品川で、静岡で、名古屋で、ロンドンで見ていますが、デュトロノミーが デュトロノミーに見えなかったのって初めてです。 なんと言うか猫っぽくないと言うか、老人っぽくないと言うか。 日向ぼっこなんて絶対しなそうな雰囲気なのです。 歌声は浪々と響くんですが、温かみが感じられませんし・・・。 この役って結構難しかったのだと、初めて感じました。 奥田さんも同じく演じている人の若さを感じてしまいました。 ただ、歌でなく言葉を伝えようとしている歌い方は好きです。 「幸せの姿」でじっと空を見詰める横顔は正に月明かりに照らされていて魅力的だったんですが、 「年老いた娼婦」ではなく「若くして道を踏み外した女性」に見えてしまいました。 うーん、全く別の作品だったら見て見たいかもしれません。 杜さんのミストは踊りは格段にシャープで素晴らしかったんですが、かわいいところが全く無い。 雰囲気一つのことなんですが、結構気になってしいました。

 ああ、なんか褒めるつもりだったのにけちばっかりつけてる気がする。 舞台自体は本当に楽しかったです。 小難しい理屈なしに、ただこの空間にいられることが楽しくって仕方ありませんでした。 特に明確な物語やテーマが伝わってきたわけではないのですが、役者さんたちの持つ高揚感がそのまま伝わって きていた気がします。 作品の持っているパワーに飲み込まれたと言うか・・・・。 とにかく、「楽しかった」以外の言葉が思いつきません。

 2周年記念のおまけはご挨拶なし。 タイヤに白布をかけてイチゴを飾って、バースデーケーキに見立てていました。 そのあとカーテンコールが延々続き、客電がついてもお客さんは帰らず・・・最後は猫さんたちがイチゴをお持ち帰り するまでになりました(笑)。 最後に特大イチゴにかぶりついていたタガーが素敵♪



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