| 白鳥の湖 (Kバレエカンパニー) |
| 2007/02/24 |
| 東京国際フォーラムホールC |
| オデット | 吉田都 | |
| ジークフリード王子 | 芳賀望 | |
| ロットバルト | スチュアート・キャシディ | |
| オディール | 松岡梨絵 | |
| 王妃 | 天野裕子 | |
| 家庭教師 | ディヴィッド・スケルトン | |
| ベンノ(王子の友人) | 橋本直樹 | |
| 王子の友人達 | 副智美 | |
| アレキサンドル・ブーベル | ||
| 神戸里奈 | ||
| アッパークラス貴族 | 東野泰子 | |
| 浅川紫織 | ||
| 樋口ゆり | ||
| 鶴谷美穂 | ||
| 浅野真由香 | ||
| 中島郁美 | ||
| 杜海 | ||
| ニコライ・ヴィユジャーニン | ||
| ピョートル・コプカ | ||
| 宮尾俊太郎 | ||
| 田中一也 | ||
| ミドルクラス貴族 | 山田麻利子 | |
| 笠井千愛 | ||
| 河村未来 | ||
| 中谷友香 | ||
| 白石あゆ美 | ||
| 高見澤彩 | ||
| 山口愛 | ||
| 米澤真弓 | ||
| 安西健塁 | ||
| 荒井英之 | ||
| リチャード・バーマンジ | ||
| イアン・バードン | ||
| ピエトロ・ペリッチア | ||
| 合屋辰美 | ||
| 長島裕輔 | ||
| 高島康平 | ||
| 4羽の白鳥 | 神戸里奈 | |
| 小林絹恵 | ||
| 副智美 | ||
| 中谷友香 | ||
| 2羽の白鳥 | 長田佳世 | |
| 柴田有紀 | ||
| 6人の姫 | 長田佳世 | |
| 東野泰子 | ||
| 副智美 | ||
| 樋口ゆり | ||
| 柴田有紀 | ||
| 中島郁美 | ||
| ナポリタン | 神戸里奈 | |
| アレキサンドル・ブーベル | ||
| ピエトロ・ペリッチア | ||
| スペイン | 浅川紫織 | |
| 鶴谷美穂 | ||
| 沖山朋子 | ||
| 木島彩矢花 | ||
| 杜海 | ||
| ピョートル・コプカ | ||
| 宮尾俊太郎 | ||
| スティーブン・ウィンザー |
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結論から言ってしまう。
フォーラムCの1階席はだめだ、使えなさすぎる。
センターに並んだ大人4人の影も形も前の人に隠れるってどういうつくりをしてるんだ?
見ながら真面目に「このスロープを階段にするにはいくらかかるんだろうか?」と考えてしまった。
1階の通路前の席は要注意です。
見えないにもほどがあるよ、全く。 |
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舞台自体については、思いのほか面白かったです。
突っ込みどころもありましたが、一通り楽しませていただきました。 このバレエ団の演出では、多くのバレエ団では一人のダンサーが踊っているオデットとオディールを二人で踊っています。 それはそれで良し悪しだとは思うのですが、3幕は「良し」だったと思います。 ロットバルトとオディールに支配された場、そこに浮かび上がるオデットの儚く弱々しい白い面影。 オデットの登場は一瞬ですが、ここがダミーのダンサーで無くオデット当人だと胸に迫るものがあります。 ジークフリートに懇願するようなその姿が、本当に短い時間なのにとても印象的でした。 このシーンを見ることができるだけでも、オデットとオディールを分ける意味はあるかも。 作品自体なのですが、まず幕開きの時にセットに緞帳が引っかかって緞帳が破れる。 えー、観劇暦少なく数えても十数年になりますが、こんな事態は初めてです。 緞帳が上がりきっても破れているのははっきり分かるし、引っかかったセットの方はがたがたゆれてるし・・・ 出鼻をくじかれました。 破れたものは破れたままでどうしようもないんで、気になるのです。 一幕は全体的にやんちゃな感じ。 芳賀さんもようやく舞台の中央に立つのに慣れてきた印象があるけど、「ねえ、本当に悩んでるの?」と 問いただしたくなるような根の明るさは健在。 子供のころは野山で駆け回ってたんじゃないかと思うような雰囲気もあって、 王子様というよりは領主様といった雰囲気。 お城で貴族たちが集まって・・・という典雅さにはかけてると思います、別に今に始まったことでもないけど。 東宝系のミュージカルであるような「品が無いから貴族に見えない」というものと比べちゃうと もちろんレベルが違いますけどね。 品はあるけど、情緒に欠けるといった感じがしたんです。 私自身はそういうことをあまり気にしないんですが、やっぱりこの作品だと気になるんで何とかして欲しいです。 橋本さんのベンノ、素敵でした。 ちょっとメイクが濃いのが気になりましたが、端正な顔立ちに上品な物腰。 踊りは端々に不安なところが見受けられましたが、立ってるだけなら舞台の上で一番貴族っぽかったかも (それ以前に、バレエ団内で一番きれいな顔をしてると思う)。 踊りにも品があって魅力的でした。 背があと10センチ高かったら間違いなく王子役として重宝することになると思うのですが、はてさてどうなるのかしら。 ブーベルさんは相も変らぬ軽い物腰にうっとり。 ただ、アラベスクの膝が微妙な曲がり方をしていたときがあったのが気になったといえば気になりました。 神戸さんもまた華のある美人さんになっていました。 テクニックも安定してきたと思います。 でも、二人そろうとちょっと安定感が足りなかったような気がしました。 なんか微妙に息があってなかったような? 副さんはほとんどソロでしたが、安定感が増したような気がします。 こぢんまりした感じはありますが、でもかわいらしくって見ているとほんわり気持ちが和みます。 それにしても芳賀さん、大きな動きが出来るようになったなあ。 二幕までは幕開きにちょっと時間がかかりました。 何があったのかと思って幕が開いてみると、緞帳が直っていました。 うーん、さすがそれが仕事とはいえ、すごいわ〜。 この舞台、三、四幕が山場だったと思います。 一幕はまあこんなもんかといった感じだったのですが、二幕から徐々に調子が上向いてきました。 それにしても都さんはすごい。 もういまさら何言ってんのかという感じだが、それでもやっぱり改めて言いたくなるほどすごい。 「二羽の鳩」や「くるみ割り人形」の時に比べるとちょっと不調なのかと思ってしまうところも無きにしも非ずだったけど、 それにしてもあの鉄壁と言いたくなるような安定感は素晴らしい。 オデットは、その翼の元で仲間を守る母親のような存在に思えました。 ぴんと張り詰めた空気のまま彼女たちを守っていたのに、ジークフリートに出会って肩の力を抜いて寄り添う。 悲しみに沈んではいても、まとった空気が優しくなったのが印象的でした。 もちろん、白鳥達を守る母であることに変わりはないんですけどね。 白鳥達の中央でジークフリートにリフトされるシーンの美しさは圧巻でした。 四羽の白鳥、やっぱりこれは好きです。 なかなかいい感じにそろっていましたし、細かい足裁きも美しかった。 そして絹恵さんは相変わらずこのテンポの速い振りがよく似合っていました。 二羽の白鳥もよかった。 このバレエ団の階級の中で一番納得が出来ないのは、柴田さんがJrソリストであること。 もう一つ上であるべきじゃないかと、この舞台を見て改めて思いました。 長田さんの堂々として上品な踊りと比べて、そんなに引けを取ってはいなかったと思います。 長田さん、雪の女王やミルタのときは白いバレエが似合わないのかと思いましたが、さすがに白鳥は似合いますね。 おおらかで、美しい白鳥でした。 キャシディーさんはねえ・・・・。 どうしてこの人はソロを躍らせるとこうなんでしょうか。 彼のソロをいいと思ったこと、一度も無いんですけど。 今回は踊りにくいというか動きにくそうな衣装とメイクだったんで色々ハンデはあると思いますが、 それにしたってあれは無いでしょ(涙)。 「くるみ」の時はちょっと上向いてきたと思ってきたんですが、今回はまた下降。 「海賊」もこの調子だったら、もはや泣くしかない。 このバレエ団のコールドについてはコメントを控えたくなることが多いんですが、 2幕の白鳥のコールドは無いでしょう。 アラベスクを上げる角度もタイミングも違うって、プロとしてどうよ。 ばらばらのアラベスクアチチュードを何度もやられたときは、泣きそうになりました。 あと、バレエ団の人数が少ないんで、どうも上手い人下手な人がごちゃごちゃ混じってる気がしました。 変な話、下手な人の中に上手い人がいると、下手な人の下手さが際立ってしまうんですよね。 正にそんな感じでした。 演出がきれいに決まったのがラストシーン。 場を支配し、オデットを支配するロットバルト。 ロットバルトの手によって白鳥の姿になるオデットは先ほどまでそばにいたのに距離的な問題以上に 遠い存在に感じられる。 このときのロットバルトの支配する力の強さと、オデットの目がうつろになり手が本当に羽ばたくように動き去っていく様が とにかく印象的。 自分の手の及ばない世界に彼女が囚われていると実感するには十分すぎるものがありました。 演出的にもよかったし、都さんの手の動きがまた半端なくすごかった。 えーと、関節って、どこにあるの? 三幕のロットバルトとオディールを見れただけでも、この舞台に足を運んでよかったと思えました(感涙)。 ここしばらくずっとこの二人のロットバルトとオディールを見たいと思っていたんです。 見れてよかった〜。 六人の姫、特に頭3人がかわいかった〜! ちょっと驚いたのが東野さん。 振り向く時の仕草が、なんとなくお姫様っぽく感じました。 無意識に出てしまう高貴さというか・・・。 こういう華やかさを持っているとは、知りませんでした。 ナポリタン、ここについては振り付けに文句が大いにある! 全力で走ってるところの最中に振りを付ければ踊りになるってわけじゃないぞ! 全員音に追われてる気がしたんですが、どう考えても振りが多すぎる。 踊れない人が多いなら振付けなおせ。 雰囲気は悪くなかったので、もったいないというのが正直な感想です。 あ、ブーベルさんの軽やかさはこちらの方が光っていました。 神戸さんもかわいかったのになあ、もったいないなあ。 スペインもそこそこよかったような、やっぱり振り付けが悪かったようなといった感じ。 すいません、目の半分が別のところ向いていました。 そんなわけで、大本命のロットバルトとオディールのシーン。 二幕では微妙に精彩を欠いていたロットバルトですが、ここに来て本領発揮という感じがしました。 こんなこと繰り返すと、踊んなくていいからとか本気で言いそうな自分が怖い。 とにかく存在感が圧倒的。 彼が現れた瞬間、場は彼に支配されていました。 黒くて高貴な、ロットバルトの世界。 二幕のときは「首の動きが鳥っぽくて面白い〜」くらいの感想だったのですが、 こちらは「王者の貫禄」を見せ付けてくれました。 オディールが持っていたのは、鮮烈な美しさ。 闇を引き裂き、闇の中に映える雷光のような鮮烈さでした。 色香はあまり感じられなかったし、惑わすような妖艶さも無かった。 あったのは彼女が「そう」といえば黒いものも白く見えてしまうような存在感。 登場の時のインパクトがとにかく強くって、二人が一時舞台から姿を消した時は その余韻に浸ることが出来たほどでした。 松岡さんは相変わらず技術的に不安定なところがあったのですが、迫力は増していました。 全てをさらっていく魔力が感じられました。 彼女のオディールはオデットのことがとにかく嫌いではないかと思いました。 特にどのシーンで感じたというわけではないのですが、見ているうちにそう思えてなりませんでした。 彼女にあったのはオデットとジークフリートを破滅させることに対する喜び。 それは明らかに悪意なのですが、あまりにも真っ直ぐすぎて悪意に見えないという不思議なものがありました。 ロットバルトとの関係はよきパートナーといったところでしょうか。 バレエの解説書とか見ると「親子」とありますが「親子兼パートナー」でも問題はないかな? とにかく「パートナー」ということだけは外せない。 計画を練るのがロットバルトで、実行するのはオディール。 そしてロットバルトの目的はまたオディールの目的でもある。 オディールは彼女の意志で動いてるけど、ロットバルトの言うことに従う方が上手くいきやすいから それにしたがっている。 そんな感じの二人でした。 淡白ではあるけれどちゃんと呼吸のあっている二人の姿は本当に素敵でした。 完全に、二人の術中に落ちていました。 そしてそんな最中に浮かび上がるオデットの姿。 それは二人の罠に落ちたジークフリートを救おうとしたオデットの祈りのように思えました。 懇願するその姿の儚さと哀れさ。 最後の最後までジークフリートを信じようとするその姿に心打たれました。 自分でも意外なほど心打たれたシーンです。 芳賀さんはやっぱり「喜び」を表現すると似合いますね。 ここの踊りは彼の雰囲気も合っていて伸びやかで「これはすごい」と素直に思えました。 松岡さんはフェッテに案の定ダブルを入れてきました。 彼女はこのくらいダブルが入ってるのが一番いいのかしら。 場を支配するロットバルト、ジークフリートを跪かせるオディール。 明らかにこの場の勝者はこの二人です。 印象的で、とにかく美しいんで、一度このシーンはセンターで見てみたいものです。 このあと、ロットバルトが「よくやった」というようにオディールを抱きしめていたのが印象的。 淡白だと思っていたけど、ちゃんと二人ともお互いのこと、好きだというように見えました。 ジークフリートに誓いを立てさせるロットバルト、とにかく強い。 逆らいがたい王者としての貫禄がある。 この時、オディールはちょっとだけしなを作るように弱々しく振舞っていたのが面白かった。 ジークフリートが誓いを立てたとたんに現れるオデットの姿。 ここはもう、胸が引き裂かれる思いでした。 ジークフリートが色香に惑わされたわけも無かったし確かにずっとオデットに対する誠実さが感じられたので 彼の嘆き方を見ているとこちらまで押しつぶされそうになります。 最後の最後でロットバルトは「悪魔」としての本性を現したように思えました。 城内が蜂の巣をつついたように大騒ぎになるのは当然のことでしょう。 王妃が嘆くのも当然、息子が「悪魔」に対して誓いを立ててしまったのですから。 ジークフリートが我を取り戻した瞬間に走り去っていくのも納得。 鮮やかで禍々しく、そして人の気持ちに筋の通ったこの展開は息を飲むものがありました。 そして舞台はあっという間に四幕へ。 オデットは白鳥達の女王でしたが、オディールもまたある種の女王なのだと感じられました。 誰かを従わせずには生きていけない生来の力強さ。 白鳥達の中で禍々しく輝くオディールもまた、三幕とは違った意味で魅力的でした。 この白鳥達の中にあるオディールを見ることができるのも、Kバレエ版の楽しみだと思います。 それにしてもこのシーンのオディール、オデットが嫌いだというのが3幕より露骨になっています。 もはや、ロットバルトがオデットにかまいすぎてて腹が立っているという理由さえ、想像できてしまいます。 二幕のオデットは一人で立つために気を張りすぎず、誰かと寄り添うことを覚えました。 そんな状態で「誰か」を失ったらどうなるか。 寄るすべを失い、だからといって一人で立つことも出来ず、崩れ落ちそうになっていました。 それでもジークフリートを責めるでもなく、自身の失態を詫びる彼をむしろ包み込んでいるように見えました。 ジークフリートは自責の念にかられているし、オデットは自身の命運が尽きたことを分かっている。 そんなどうにもならない状況なのにもかかわらず、二人の姿を見ていると心が温かくなりました。 陳腐な言葉で言うならば、そこにあったのはお互いを思う心。 その気持ちが、とても暖かかった。 個人的に一番血が騒いだのが舞台上にメインキャスト四人がそろったシーン。 これを見ると「オデットとオディールが別人ばんざい!」と思ってしまいます。 あざ笑うようなオディールの確かなオデットへの憎しみ、オデットとジークフリートの運命を翻弄するだけの力を持った ロットバルトの強さ。 お互い思いあい、道を切り開こうとするオデットとジークフリートの儚さ。 ロットバルトとオディールが並んでる姿を見てるとどうしても思ってしまうんです。 何をどうあがいても、勝てるわけ無いだろ、これ。 絶対的な力に対する静かな絶望。 自分も、ジークフリートもこの運命から逃れられないなら死ぬしかないとオデットが思うのも当然でしょう。 隙がなさすぎます、あの二人。 ここまではすごく良かったのですが、この後のオディールの退場はいまいち意味が分かりませんでした。 もったいない。 また、ジークフリートが身投げをするまでは理解できるのですが、その後ロットバルトが弱る理由が分かりにくい。 この辺は、バレエのお約束事ってことで、目を瞑るべきなのかしら・・・? でも、この後のシーンはとても好き。 白鳥達は自分たちの意思で、自分たちの力で自分たちの命運を定めたように見えます。 その意志の強さは、確かに悪魔を振り払うほどの強さと清廉さがありました。 そして浮かび上がる天上の世界。 やっぱり都さんの幸せオーラは素晴らしいです。 見た瞬間、こちらの幸せになります。 幸せそうに抱き合う二人を見てしまうと、「これでよかった」と思ってしまいます。 本当に、幸福な一組の恋人たちにしか見えませんでした。 二人にかしずく様な白鳥達もとても美しくって・・・今までの文句なんて全部吹き飛んでしまう、美しいシーンでした。 ああ、いい舞台だった! というわけで、予想よりも楽しんでまいりました。 このバレエ団には似合わない作品だと思っていましたし、似合っていないところは確かに似合ってなかったんですが、 面白かったからまあいいかという感じです。 まだ薄い層も少しは厚くなったみたいだし、前からいる人たちは確実にステップアップしている。 やっぱりこのバレエ団が好きだと思えた公演でした。 |