海賊
2007/05/24
Kバレエカンパニー
オーチャードホール

メドーラ松岡梨絵
コンラッドスチューアート・キャシディ
アリ橋本直樹
グルナーラ荒井祐子
ランケデム輪島拓也
ビルバントドゥ・ハイ
サイード パシャイアン・ウエッブ
ギリシャの少女達長田佳世
東野泰子
樋口ゆり
神戸里奈
小林絹恵
副智美
浅川紫織
柴田有紀
鶴谷美穂
浅野真由香
中島郁美
中谷友香
白石あゆ美
海賊の男達ビャンバ・バットボルト
田中一也
ニコライ・ヴィユウジャーニン
宮尾俊太郎
ピョートル・コプカ
安西健塁
リチャード・バーマンジ
リッキー・ベルトーニ
イアン・バードン
ピエトロ・ぺリッチア
高島康平
物乞い小林絹恵
アレクサンドル・ブーベル
パ・ド・トロワ東野泰子
樋口ゆり
長田佳世
鉄砲の踊り浅川紫織
鶴谷美穂
木島彩矢花
ビャンバ・バットボルト
田中一也


 あちこちでニュースになっていた哲也の降板。 その後の公演に初めて足を運びました。

 哲也もいない、都さんもいないとなると空いてるかな〜と思ったら、やっぱりすっかすか〜(涙目)。 数にしてみればそんなに多くはなかったかもしれませんが、あちこちにぽつぽつ見える空席は ちょっと寂しいものがありました。 うう、この公演だって本来は完売だったのに・・・。 ま、その恩恵にあずかって良席に座れた人間が言っていい台詞ではないかもしれませんがね。 座れたのは個人的なベルトポジションのすぐそば。 って言うか、視界に日本が世界に誇れる男性トップダンサーが二人いるような気がするんですけど・・・ (あとから聞いた話だと、実は三人いたっぽい・・・死角になってたあそこに座ってた人か・・・がっくり)。 舞台も見やすく、そんなおまけもあったりしてとっても素敵な席でした。 後悔するがいい、キャンセルした人!

 というわけで、半休を取って当日券を買って見てきました。 オーチャードは千鳥になってないんでセンターは見づらいですね・・・なんだこの使えない劇場。 前の人の頭が邪魔でしたが、色々面白かったんでよしとします。
 今回のお目当ては松岡さんのメドーラとキャシディさんのコンラッド。 なんですが、見ていて気付いた、この演出って二人が幸せたっぷりに踊るシーンがない。 頼みのパドトロワは見せ場をアリに取られちゃって、あらあらとほほ。 そのあとのパドドゥはしっとり美しくって好きなんだけど、メドーラは頭の半分でグルナーラのことを心配してる感じ。 コンラッドがメドーラをかわいがってるのは分かるんだけど、対するメドーラの反応が悪いので 微妙にのどに骨が引っかかったような感じがします。 悪いと言うわけではないけどちょっと物足りないかな。

 全体の観想を言うなら、自分でもびっくりするくらい哲也の存在の大きさを実感したという感じ。 今日も面白かったには面白かったんですが、やはりこの作品は哲也がいてこそ成り立つのかなと。 哲也が出てくるだけで客席の温度が上がって、それがすごくいい方向に作用していたような気がします。 技術的に高いものを見られた驚きというのもあるけど、それ以上にあの「拍手が止まらない」という 異常なテンションの高さを、哲也は作ることができたのだとしみじみ思ってしまいました。
 踊りの面では哲也の存在感の大きさを感じましたが、ストーリー的な面になると橋本さんの方が好きです。 あの一歩引いてコンラッドに従い、ついていくところはとても好き。 相変わらずコンラッドはへたれ中のへたれでしたが、でも、アリが彼についていくことには 何の疑問もありませんでした。 コンラッドに指示されてちょこまか動くアリのかわいいことかわいいこと! 振り付け的に「哲也向け」でいまいちぱっとしないところもありましたが、 ラストの展開には何の疑問も湧かないアリでした。 橋本さんのアリでもう少し振り付け調節してくれないかしら? このくらい存在を控えてくれていた方が、個人的に好みです。

 席が前のほうになったせいか、それともキャストが変わったせいか、随分と物語が分かりやすくなっていました。 席が前のほうになったということについては一点心当たりがあります。 やっぱり、物語の核となるべき部分をこまごまとしたところでこちょこちょやりすぎ。 前の方に移動してもそれはやっぱり感じてしまったので、この演出の問題点ではないかなと思います。 でもまあ、席の問題か役者の問題かはともかく、実際問題として今回の方が分かりやすくって面白かったから良し。 グルナーラからパシャが首飾りを奪い、それを取り戻したメドーラが結局海賊のアジトに行っても それを見ては不安そうな顔をしていたのが印象的。 ああ、忘れないでいてくれたのね! コンラッドに戸惑いながら引かれていくところも良し、最後に悲しそうでありながらも 新しい世界に生きていこうと、微笑を浮かべる姿も良し。 あとはビルバントを攻撃する時の動きがもう少し大きいといいなあ。 って、これはもしかして小道具側の問題かしら?
 コンラッドは相変わらずコメントに困るなあ。 リフトくらいしか見せ場がないんだから、見せ場取らないでよ、アリ! 踊りが下手なのは笑って許せるんですが(半分嘘)、今の彼のように雑なのはちょっと見ていて辛いです・・・。 丁寧なところが魅力だったんだけどなあ。 芝居は相変わらず上手いです、しゃべんなくても思ってることは分かります。 存在感もさすが。 アリが自己主張しないのもあいまって、軸が一本に絞られたと言う感じも心地いい。 でも、それだけと言うか・・・・。 うーん、その役になってることは分かるけど、その役として呼吸するまでは至ってないと言うか・・・・。 今考えてることは分かるけど、彼が今までどう生きてきて、これからどう生きていくかが分からないと言うか・・・。 すごく贅沢なことを言ってるかもしれませんが、今までのキャシディさんっていつもそうだったので、 どうしても贅沢を言ってしまいます。 でも、コンラッドって演技する隙があんまりないかもしれないと思わなくもないんですけどね・・・。
 輪島さんのランケデムは楽しかった! 技のきれは橋本さんの方が上かもしれませんが、憎めないところがありつつしっかり悪役やってるのが素敵。 物語の中の存在感がすごくバランスがよくて気に入りました。 しばらく見ないうちにジャンプも高く、美しくなってびっくり。 この人のジャンプは高くてスマートで美しいわ。 ただ、手を上げると肩が上がるのか、ちょっと肩の辺りが美しくない。 このあたりが課題でしょうか。 物語に弾みをつける感じの軽やかな動きが魅力的でした。 本当にこの人も、お芝居面白いな〜。
 ビルバントはドゥさん。 やっぱり私はこの人が好きです。 もうちょっと鋭さが欲しいけど、全体的なスマートさはとても好き。 コンラッドとアリと三人で踊ってるシーンがばらばらなのは何とかなんないものかしら・・・。 ランケデムは悪役ではあるけど根はそこまで悪くないという感じがしましたが、ビルバントは相変わらず根っこまで 腐っているような感じがします。 そうそう、これがいいのよ♪ やさぐれて、肩の力を抜いてぶらぶら歩いているあたりの不気味さが本当に魅力的。 多少小物感はありますが、身も心もまっくろけっけのビルバントは本当にお気に入り。

 色々書きたいことはあるけど、時間がないので箇条書き。
・キャスト表を書き写していて気づいたんですが、ギリシャ娘が文化会館のときより増えてる・・・?
・メドーラには最初、コンラッドが一方的に惚れたのね。 そのあたりの流れがちょっとすっきりしたかも。
・海賊3人とランケデムとの最初のやり取りは分かりやすくなった。 ランケデムの「お前らに用はないんだよ」がはっきりしただけだと思うんだけど、それで随分違った。
・ビルバントがらみは、ちょっと「動きが小さい」ということが多いかも。 「腕を怪我してるから反撃できない」のくだりは、もっと大きくやってくれたほうがおもしろいと思うのだが。
・絹江さん、最高!! 乞食の踊りのコケティッシュでキュートなこと! ブーペルさんが来て彼女の踊りの魅力に磨きがかかったという人がいるけど、納得。 二人とも最高に魅力的でした。 この場面の曲も好き。
・グルナーラは結局ランケデムに強制されて踊ってるのね、と思った。
・輪島さんのランケデムは、がたいのよい悪人だけど、雰囲気が軽妙で動きが軽やかだから、重くなりすぎないでよいなあ。
・金持ちを騙すときの誘い文句、コンラッド「ものすごい美女だ」ビルバント「ものすごいグラマー!」、らしくていいなあ(笑)。
・ランケデムは結局、コンラッドたちが紛れ込んでることに気付いてた? アリの登場は、場を引っ掻き回して、コンラッドが変装してやって来たことを隠してるようにも見えました。
・アリとランケデムの踊りは、やっぱり東京文化がすごすぎたからなんとも。 同じような実力の二人だと、なんかつまらない。
・そういえば、以前まで気になっていた輪島さんのリフトがそんなに下手だと思わなかった。 もしかして上手くなった?
・グルナーラの首飾りにからんだ物語が分かりづらい! もう少し中心で分かりやすくやって欲しいなあ。
・松岡さんのメドーラはアリのことが好き(お友達、という意味ね)という感じがする。 やっぱり、コンラッドを含めた三人の関係は今日のほうがすき。
・ヴァリエーションの3人は、どうもさえないような気がする。 この日は佳世さんがピルエットを失敗してあらららら。 この間より、樋口さんに目が行きました。 彼女の柔らかな腕の使い方と、細かい脚の動きは結構好きかもしれない。
・白鳥ほど目立ってないけど、やっぱり女性の踊りもそろってないなあ・・・。 まあ、そこまで気にならないけど。
・絹恵さんを発見。 やっぱり彼女は哲也の振り付けがめちゃくちゃ似合ってる!
・浅川さんの鉄砲の踊りはかっこよかったわ〜。 ドゥさんと組んでくれちゃったりしたもんだから、オペラグラスが手放せませんでしたよ。
・ビルバントの手下二人って、鉄砲の踊りの二人なのね。 田中さんのメイクが悪人メイクで、かっこいいんだかかわいいんだかという感じでつぼにはまった。
・苦々しい顔して頭を下げるビルバントがお気に入り。 本当に、何を見に来てるんだ、自分(笑)。
・コンラッドとメドーラのパドドゥはよかった。 でも、コンラッドがグルナーラのことを忘れてたのが気になったなあ。 変な話、演出上はグルナーラのことを忘れてるけど、松岡メドーラだけ覚えてるって感じに見えてしまった。
・この辺の話の流れは、あらすじを読まないと分かりにくい。
・夢の中の踊り、衣装はかわいいんだから、もう少し面白い振り付けで見たかった。
・グルナーラとパシャの踊りは結構面白いと思う。 あと、彼女と他の娘さんたちのやり取りも好き。
・パシャのところに帰ってきたランケデム、「捕まっちゃったんだよー・・・なーんてね」というところの軽妙さ! この胡散臭い笑顔がなんとも魅力的。
・パシャがメドーラとグルナーラを見比べて「・・・似てる?」というような仕草をしていました。 確かに二人とも似てるしね、姉妹って設定を生かしたいのは分かるんだけどね、それ、意味ないから!
・最後のランケデムとビルバントの諍い見逃したー。 やっぱりここはごちゃごちゃドラマが起こりすぎてるよ、好きなのにもったいないことした・・・・。
・最後にメドーラがどこか物悲しげな顔をしてくれていたのがある意味救いかな。 このあたり、もう少しどうにかなりそうなものだけど・・・?

 というわけで、やっぱり直して欲しいところは多々ありました。 でも、なんだかんだ言って楽しんでしまった公演でした。 この方向性でいいので、再度練り直して再演して欲しいなあ(いつの話だ)。



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