| Tanz der Vampire |
| 2007/10/05 |
| Theater des Westens Berlin |
| Graf von Krolock | Thomas Borchert | |
| Sarah | Christina Maria Ogink | |
| Professor Abronius | Jens Janke | |
| Alfred | Alexander Klaws | |
| Chagal | Jerzy Jeszke | |
| Magda | Katja Berg | |
| Herbert | Haldor Laegreid | |
| Koukol | Stefan Büdenbender | |
| Rebecca | Maike Katrin Schmidt | |
| Tanzsolisten | Milena Alaze(Rote Stiefel Solo/Nightmare Solo) | |
| Kevin Hudson(Weißer Vampir) | ||
| Phillip Kempster(Rote Stiefel Solo) | ||
| Ákos Tihanyi(Schwarzer Vampir) | ||
| Gesangssolisten | Sven Fliege | |
| Philipp Hägeli | ||
| Tanzensemble | Hannah Carter | |
| Tiziana Doneda | ||
| Silvia Lambertoni | ||
| Silvano Marraffa | ||
| Florian Theiler | ||
| Alice van den Beucken | ||
| Gesangsensemble | Sanne Buskermolen | |
| Fanny Drenthe | ||
| Anne Hoth | ||
| Nina Janke | ||
| Svenja Kuhl | ||
| Christopher Morandi | ||
| Sven Prüwer | ||
| Stephanie Sturm |
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注:キャストは5日のものですが、感想は5・6日通して感じた全体の雑感です。 |
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良い舞台を見るたび、悪い舞台を見るたび、舞台って不思議だなと思います。
悪い舞台を見ると、どうでもいいはずの細かいところまで気になって文句をつけたくなる。
良い舞台を見ると、冷静になったら突っ込むべきところが大量にあるはずなのに、そんなものが全てどうでもよくなる。
そのことをしみじみ思い出した舞台でした。 というわけで、ベルリンTdV×3です。 1回目は「これが見たかったけどやっぱりなんか違う」と思い、2回目は「やっぱりこの作品は好きだけどベルリンではもう見たくない」と思い、3回目は「またベルリンに来て見たい!」と思うようになりました。 さすがに3回見たんで「慣れ」とか「諦め」とか「愛着」というのもあったと思うのですが、やっぱり3回目は別格に良かったと思います。 また、1、2回目もそれぞれ異なった面白さがあって、よくできたいい作品だとしみじみ感じ入ってしまいました。 まず、「致命傷」と言うべきベルリン版の欠点を上げておきます。 どうあがいてもどうにもならないなと思ったのが舞台の狭さ。 縦も横もノイエフローラはもちろん、ライムントよりも狭い (翌日レベッカを見たとき、確信しました)。 顕著に出てしまったのが宿屋のシーンとダンスシーン全般。 ザラの部屋、お風呂場、教授とアルフレートの泊まる部屋どれもこれも狭くって、必要なセットを置いただけという感じ。 もともと狭くなるセットなのは分かるけど、狭すぎて人がぶつかりすぎと言うか、狭すぎて皆居所がなさそうと言うか。 あと10センチあったらもう少し見場がよさそうなのに、その10センチが取れない感じ。 Thomasクロロックが風呂場で両手を広げるとますますその狭さが際立つ感じ。 マントを翻すだけのスペースが欲しかったけど、それが取れない物悲しさがありました。 ダンスシーンは狭いところにぎっちり詰め込まれた感じがして、窮屈な感じがする。 ダイナミックなダンスシーンなのに、どこかスペースを気にしているような気がして勿体無いとしか言えません。 舞台が狭いからそう見えたのか、実際そうなっていたのか、螺旋階段が細くなっていました。 それだけで、全体のセットが貧相に見えてしまうのが不思議です。 高さがないなと思ったのは霊廟のシーン。 アルフレートが教授の靴を脱がしちゃう辺りがかなり無理やりでした。 教授が足をがんばって引き上げないと、教授の足がアルフレートの頭の上に来ないのです。 もっと厳しいと思ったのが照明。 この作品は「闇」がないと成り立たない。 でも結局舞台だから部分部分にはライトを当てないといけない。 舞台が広ければライトの当たらない部分に「闇」が存在するけど、狭いとどうしても全体が薄明るい感じになってしまう。 もう少し舞台幅があれば、もう少し薄暗い感じが出たのではないかなと思います。 作品全体の雰囲気が明るいのは役者さんたちの雰囲気によるものもあると思うのですが、 舞台の狭さも手伝っているんじゃないかと思いながら見ておりました。 舞台が広すぎて面白くないと思ったことはありますが、狭すぎて面白くなくなっていると思ったのは初めてです。 ちょっと腹が立ったのがいくつかのシーンカット。 レミゼと同じですね、リピーターなら分かる程度にチョコチョコ削られていました。 そのおかげで微妙に余韻がなくなっている。 好きな部分が削られているところもあり、かなりショックを受けながら見ていました。 さすがに3回(5月を入れれば4回)も見れば慣れて諦めもつきますが。 はっきり「違う」と分かったのは1幕の「Du bist wirklick nett」、ザラがお風呂に引っ込んだ後のアルフレートの「Sie isi ziemlich kokett」から始まる一連の台詞がなくなっていた。 「Tot zu sein ist komisch」でシャガールがマグダが起き上がってこないことに驚いたシーン、 短くなったおかげで音と合ってない。 1幕ラスト、クロロックがアルフレートに語りかけるシーン一部カット。 並べてみると少しですが、どれもこれも印象的で好きな部分だったのでなくなって寂しいです。 「ステージエンターテイメント、ちょっと顔貸せ」と思ったのは音響。 オーケストラがうるさかった! 「マンマ・ミーア!」の開幕時の音がかなり大きいのと同じ感じです。 ちょっとびっくりするというか、耳をふさぐとちょうどいいというか。 全場面ではありませんでしたが、何度かそういうことがありました。 実際、耳を軽く塞いでいる人もいましたし。 オケの音をじっくり聞いて楽しめる作品でもあると思うので、これは勘弁して欲しかった。 とりあえず悪いところはこれで終了。 楽しかったところ、行きます。 ファンなので真っ先に書きますが、Thomasのクロロック、本当によかった! 色々良かったことはありますが、特にびっくりしたのが声が低くなっていたこと。 5月のコンサートのときは感じなかったので、ちょっとびっくりしました。 彼らしい軽やかな高音はそのままに、声質だけが下がっていました。 Thomasの声質はクロロックをするには少し高いのではないかと思っていたので、もうびっくりするやらうれしいやら。 Thomasの声が、私の理想とするクロロックの声に近づいてくれていて、 それだけでもう「来てよかった」という気分にさせてくれました。 「Die Unstillbare Gier」は解釈が、「Tanzsaal」はオクターブ上げのアレンジが2日とも異なっていて、 一粒で二つおいしいという気分でした。 相変わらずの響きのよい声にしゃべっているような軽やかな歌い方。 すっかり役になじんでいて、生まれたときから牙がついてたんじゃないかと思うくらい自然なしゃべり方と歌い方に、 見ごたえがあるのに全く計算を感じさせない演技。 ああ、やっぱりいい役者さんだとしみじみ思いました。 こう思えるときが、一番幸せです。 セカンドキャストを目当てに行ったマチネのキャストはほとんどソワレと変わらなくって残念でした。 唯一異なっていたのがクロロック。 Philipp Hägeli、5月に行ったときはクコールでした。 どうして欧州の役者さんはこうも化けるのがうまいんでしょうか・・・。 感想としては「悪くない」かな。 5月のJackよりは好きです。 化け物っぽさはありましたが、伯爵と言うことが許されるだけの貫禄がない。 実年齢的にも若いのでしょうが、妙に若々しさのある伯爵でした。 悪い意味でなくてね、「Gier」の時「若さ」があるから未練と言うか、足掻きというか、そういうのが感じられて面白かった。 理解はできるけれど納得はできないと言うような憤りがあって、これはこれで面白かったです。 1幕はちょっといまいちかと思いましたが、2幕は彼なりのクロロック像が見れたので、結構満足しています。 教授は3日とも磐石でした。 すごく自然にのびのびと演じているのがとても気持ちよかった。 役者としてのベテランも大切だけど、「役として」のベテランも大切だとしみじみ思いました。 両手を後ろのほうに伸ばして体を大きく前後に揺らしてその反動だけで上着を脱ごうとしたり、 寝る前に自分の体に添うように布団の形を治したりする動きがとても自然。 自然と言うか、いつもそうやってそう(笑)。 霊廟のシーンでアルフレートが杭を打てなくって「なんで」と問いかける時につり橋にぶら下がりながら足をちぢこめていたのがとってもかわいかった。 歌声は軽やかで自由自在。 Veitの時もそう思ったのですが、やっぱり教授はしゃべるように歌えるくらい歌のうまい方にやっていただきたいです。 高音の伸びも素晴らしく、気持ちよく聞くことが出来ました。 アルフレートも3回とも同じ。 だけどこちらはいまいちかなあ。 特にお芝居については悪くありません。 くりくり頭でないのが残念だけど、情けなくってかわいい、いい子です。 おどおどおっかなびっくりしているのが板についていました。 でも歌がいまいち。 「Für Sarah」はがんばっているのは分かったけど、がんばってるのが分かっちゃだめでしょ、プロなら。 何事もない顔して高音をやすやす出す方がいっぱいいたので、余計物足りなかったのかもしれません。 うーん、3回も見たのにあんまり印象がない。 アルフレートは長時間お付き合いするキャラクターなんで、 本当に「良い」と思わないとお付き合いが辛いのかもしれません。 ザラは2人。 2人とも結構気に入ってます。 ただ、ChristinaはThomasとの声の相性がいまいちだったのが残念。 単体だとかわいいのに、Thomasと一緒に歌いだすと魅力半減で勿体無かったなあ。 胸が大きいのに色気がなく、健康的なかわいい子でした。 Katrinは声量が素晴らしくってまず惚れた。 続いてThomasとの声の相性ばっちりでますます惚れた。 そして最後の豹変もさすがの貫禄で、止めを刺された。 そんなわけで、とても幸せな気分で「Totale Finsternis」を聞くことが出来ました。 やっぱり迫力のあるザラだと、良いですね。 意外なところでつぼにはまったのがマグダ。 セカンドキャスト目当てでマチネを見たとはいえ、お気に入りが3回連続で見られるのはうれしいものです♪ まず胸がでかい。 おお、これならまさしく「Die sind gross」だ、服からこぼれんばかりに揺れておりました。 腕を腰に当てて肩を揺らすと胸まで揺れるという素敵仕様! ・・・というセクハラ発言はここまでにして、見た目もいいんですが、歌もまたいいのです。 フィナーレでマグダのソロパートが終わりの部分、普通下がるところを上げたマグダなんて初めてです。 軽々とかっこいいことをやってくれるので、びっくりしつつすっかりほれ込んでしまいました。 「Tot zu sein ist komisch」も聞き応えたっぷりだったし、霊廟のシーンも魅力的でした。 初めて出会った「また見たい」と思えるマグダです。 ヘルベルトは特別よくもなく悪くもなくと言う感じかしら。 この役については何か自分の中に相当なこだわりがあるみたいで、なかなか「この人は良い!」と思えません(笑)。 Haldorは声が太めなので、ちょっとイメージに合わなかった気がします。 「Wenn liebe in dir ist」のシーンの歌声がちょっと野太くってずっこけた。 でも、ごついのにえらくかわいいヘルベルトでした。 教授にお尻叩かれてる時にお尻ふりふりしたヘルベルトなんて初めてだ(笑)。 シャガールは・・・どうもシャガールで「これはあたり!」という人が思い浮かびません。 ちょっと作りすぎ感があって、お腹いっぱい。 地味に2人見ることができたレベッカ。 Maikeさんが好きだったので、2日目もじっくり見ようと思っていたのにキャストチェンジしてしまってとても残念。 あったかい感じが、好きだったのです。 6日マチソワしたSvenja。 顔立ち、所作、物腰全てがおばさんっぽくて、一体どんなおばはんなのかとプログラムを見たら、素顔は 結構きれいなおねいさんでした。 あれ? 経歴を見る限りそこそこ若そうなのですが、レミゼのマダムテナルディエとかエリザベートのゾフィーをやっているのを 見る限り、「老け役が得意な若手」ということでしょうか。 ・・・ちょっと興味がわいてきました。 Thomas、Jensに引き続きましてのベテラン、Stefanのクコール。 やはり彼のクコール、大好きです。 背中にこぶがついているのもあって、顔が腰の位置より下にあるように見えます。 腰痛めないかというより、息苦しいんじゃないかと思うほどなのに、動きが軽やかなあたりがさすがです。 どっちかと言えば乱暴者だし、姿は醜いのに、ストーリーが進むに連れて観客を味方につけていっているのが 肌で感じられて面白い。 それにしても、客席に尻むけて、盛大に尻の穴引っかく役者なんて、生まれて初めて見ました(笑)。 「Ein guter Tag」のシーンなのでアルフレートが美声を響かせているのに、かなり台無し(笑)。 このあたりのアルフレートの声にうっとりしているところとか、彼に驚かれて悪態ついているところもかわいい。 霊廟で、大慌てで棺のふたを元に戻すシーンとか、シャガールに「Schlafen」と言いつけるところもかわいい。 舞踏会の前に、微妙におしゃれなかっこうしてるのもかわいい。 とにかく大好きなクコールです。 カーテンコールでいきなり腰を元に戻すと、すらりとしていてなかなかかっこいいんです。 あそこまで作れてしまうのが、不思議です。 それにしても、このベテラン3名は、どこまでが素で、どこまでが演技か本当に分からない・・・ (全部演技ですけどね)。 役柄がすでに本人の体の一部になっているようにしか見えません。 そして今回惚れまくったのがVanni ViscusiのSchwarzer Vampire! Rote Stiefel Soloも良かったですが、とにもかくにも何は無くとも、Schwarzer Vampire。 過度なまでの男性性を感じるセクシャルさと、何をするか分からない恐怖感。 この二つがいい具合に交じり合って、目が離せませんでした。 「Finale」まで釘付けでしたよ(というか、ここにSchwarzer Vampireがいるって初めて知った)。 ヘルベルトもやってるそうなので、これも機会があれば是非見てみたいです。 色々問題点はありましたが、相変わらずテンションの高い作品で面白かったです。 1幕で首ひねることがあっても、2幕の「Totale Finsternis」に聞き惚れ、「Carpe Noctem」で魂持ってかれ、霊廟での教授とアルフレートのかわいさを眺め、自堕落なマグダと一生懸命なクコールに見惚れ、本しか目に入ってない教授、舞踏会のことで頭がいっぱいのザラ、やることなすこと全てがおかしいヘルベルトと、それに振り回されるアルフレートに笑わせられ、「Gier」でしんみりしたあとは演出に全く隙のない舞踏会があって、それからばたばたと物語りは結末に向かい、そして「Finale」。 特に何があるわけでもないのに、本当に勢いがあって楽しい作品です。 「Finale」で背景に血が流れ落ちてくるのを見ると、「ああ、やっぱりこの作品楽しいな」としみじみと思います。 また見たいのですが、次はもう少し広くて、広すぎない劇場が良いなと、わがままを思っているところです。 |