くるみ割り人形(Kバレエカンパニー)
2008/12/24
赤坂ACTシアター

ドロッセルマイヤースチュアート・キャシディ
マリー姫荒井祐子
くるみ割り人形/王子橋本直樹
クララ副 智美
人形の国の王様/シュタールバウム氏ショーン・ガンリー
人形の国の王妃/シュタールバウム夫人天野裕子
ねずみの王様スティーブン・ウィンザー
フリッツ酒匂麗
雪の女王樋口ゆり
雪の王輪島拓也
粉雪東野泰子
神戸里奈
白石あゆ美
日向智子
花のワルツ浅野真由香
中村春奈
ビャンバ・バットボルト
ニコライ・ヴィユウジャーニン
アラビア人形松根花子
遅沢佑介
石黒善大
スペイン人形木島彩矢花
井上とも美
小山憲
内村和真
中国人形白石あゆ美
小林由明
ロシア人形荒井英之
長島裕輔
フランス人形神戸里奈
日向智子
渡部萌子


(2014/10/29 書きかけ記事発掘)
 この日のチケットを取った訳は言うまでもなく橋本さんの王子でデビューが目当て!平日しかなかったので、ちょっと毒づきながら会社を脱出してまいりまいた。
 結果として、一番お気に入りのクララの副さんに巡り会えるチャンスはこの日しかなく、また、王子と姫のバランスもいい素敵な公演でした。 今年は3回見ることになりましたが(同じく平日のみの松岡、遅沢はあきらめた)、この回が一番楽しかったです。

 まず、やっぱりこの作品のヒロインはクララでもあるんですよ。 それはその後の樋口、清水ペアの時に思いました。 クララが他のキャストから浮かび上がってないと、作品自体の魅力がぼやけてします。 楚々とした雰囲気の副さんのクララはやっぱり相変わらず、かわいい。 透明感のある嫌味のないかわいらしさと、さすがにクララは初演から演じているから程良く慣れている熟練感と、それでも失われない初々しさが、このおとぎ話の世界にぴったり! ドロッセルマイヤーは最初は他人であったのに、だんだん親しげになっていくのも愛らしいなと思います。 この物語は彼女の目線で楽しむものだと思っているので、副さんのような初々しくも安定しているクララは本当に素敵だと思います。 楽しく彼女と一緒に旅をすることができました。
 さて、まずクララを語ってしまいましたが、それ以上に舞台を盛り上げてくれた橋本王子と荒井姫のこと。 もーー、こんなに情緒豊かな組み合わせはKでは初めて! 今までベストのマリー姫はもちろん都さんだったんですが、組み合わせでいったらこの二人に軍配が上がります。 すごく丁寧に、物語が見えました。 この作品ってこんなに物語り性豊かなと思ったんですが、残念ながら後の公演ではあまり感じられませんでした。
 この物語はちょっと変則的な「眠り」を感じさせます。 結局、王子様(クルミ割り人形は王子じゃないというつっこみもあるかもしれないが、めんどくさいので王子で統一)がお姫様を救いにいく物語。 違うのは、助けるのは不思議な力を持った女の子だということ、そして、もっと大切なことは、ずっと昔から王子様はお姫様のことが好きで、お姫様は王子様が好きだったということ。 今までこれは冒頭の結婚を夢見るマリー姫のところで語られていましたが、今回はこのシーンがありません。 しかし、今まで以上にこれを感じました。 たぶん、王子と姫のバランスがよかったんだと思います。 今まで結構どっちかがマイペースだったんですが、今回は両方ともお互いを見ている感じ。 踊りにいっぱいいっぱいになることなく、幼い頃から互いを見つめ続けていた雰囲気のあるペアでした。 荒井さんの方が明らかに年上オーラでしたが、それがまたなかなか魅力的でした。 ずっと王子のことが好きだったお姫様は彼が迎えにくるのを待ちながら輝かんばかりの美しい姫君となり、そして王子は姫を迎えるにふさわしい将校となった。 誰もが歓迎する婚礼はネズミさんたちのいたずらによって阻害され、それを小さな女の子が解決する。 なんというか、夢物語として完璧だったと思います。 呪いの解けたマリー姫を抱き上げる王子の柔らかな眼差しが、とにかく印象的でした。 本当に、胸一杯幸せに満ちた夢物語でした!
 少しはバレエの話もしましょう。 とーにーかーく、荒井さんのマリー姫がきらきらでした。 この人ってこんな煌めくような美しさを持っていたのかと驚かされるような、宝石箱のような美しさでした。 相変わらず安定感はあるし、丁寧で安心してみていられます。 対する橋本さんは久しぶりの大役、お帰りなさい!!! 軽々とした感じはありましたが、いい意味での重さがなくってちょっとさらっとした味付けになっていました。 そこが残念といえば残念ですが、やんちゃな将校でそこそこ見目のいい彼はこの役にぴったりでした。 Kのくるみはこの役にしっくり来るダンサーがいなかったことが不満だったのですが、彼はぴったりでした。



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