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Kバレエ くるみ割り人形(2013/12/23)
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マリー姫:神戸里奈 くるみ割り人形/王子:遅沢佑介 ドロッセルマイヤー:スチュアート・キャシディ クララ:荒蒔礼子 雪の女王:白石あゆ美 雪の王:池本祥真
赤坂ACTシアター ★★★★
宮尾さんが怪我で降板ということでのキャストチェンジがありました。これについては働かせすぎだと思うので、芸術監督にはそのあたりちゃんと気を使っていただきたいと思ってしまいました。今年は本当にいろんな仕事こなしすぎです・・・。撮影部隊が入っていたのですが、大丈夫なのかといらぬ心配までしてしまいました。
相変わらず今年のくるみ割り人形が楽しくて仕方ありません。若干難点を感じたのはグランパドドゥでした。ふたりとも登場したときはそれこそ立っているだけで品格を感じ、ようやくの主役登場と思わせてくれました。ところが実際に踊り始めるとなにかが足りない。ちょっとしたタイミング、それこそ1秒にも満たないタイミングで、なにかがずれている。合わせようとしているのは分かるのですが、その「合わせよう」としていることが見えてしまっている感じがしました。そう思うと、昨日見た佐々部&池本や日向&伊坂はそろえようという気負いなくそろっていたように思えます。若干のちぐはぐさがありますし、ソロも特に遅沢さんより池本さんの方が芯が通っていてきれい・・・と一瞬思ったのですが、男性プリンシパルの仕事はそこではありませんでした。なんというか、ちゃんと全体が見えているのが分かるんです。マリー姫の後ろに控えながら彼女をサポートしているのが分かるし、ちゃんとクララへの心遣いも見える。自分の踊りや演技をしっかりこなすのはもちろん、女性への心遣いを忘れずちゃんと全体を見る。それが男性プリンシパルの仕事なのだと気付かされる存在感でした。踊りも以前と雰囲気が変わっている気がして驚いたのですが、とても柔らかく、王子としての品格を感じました(書き忘れてますが、マリー姫が目覚める直前、本当に目覚めるのかという不安がよぎり、だからこそ目覚めた時の喜びを一層感じます。マリー姫の手を取るという些細なしぐささえ、優しく温かい)。神戸さんの踊りもとてもよかったです。昨日のクララとは違ってとても凛とした美しさがありました。日向さんのマリー姫と神戸さんのクララを見たとき「おてんば」という本質を感じましたが、今日はそれを感じませんでした。クララと一緒に踊っていても、身長差があまりないのに確かにマリー姫はクララのあこがれの「大人の女性」でした。踊りも相変わらずの安定感で、バランスはゆったりとけれど安心してみていられましたし、足裁きも細やかで美しい。回転は多分浅川さんより安定感があります。もう少し幸福感を感じられるとこのみなのですが、空気をはらむような柔らかなアームスが大変魅力的でした。 悪くはなかったのですが、やはりこのふたりは合わない気がします。身長差がありすぎてあまり美しさを感じませんでした。特にピルエットのサポートをしているときそれを顕著に感じました。リフトにはなんの不安を感じなかったあたりはさすがベテランですが、今までほとんどくんだことがない理由を感じました。これだったら伊坂王子の方がいいように思いましたが、伊坂さんはこの役に慣れていないので、合わせるのは大変そうですからこの組み合わせで仕方ないのかもしれません。
かれこれ4回目(・・・)になる今年の観劇ですが、どうも今までと方向性が違うように思います。今までのクララはもう少しおとなしくて、冒険を通じて闊達になっていく気がしました。けれど今年は最初から闊達に思えます。不思議と強く感じるメッセージが「いずれ大人になっていく少女」という側面。それをくるみ割り人形もしくは王子とのラブロマンスを通じて感じる演出はありましたが、Kバレエ版は違います。「マリー姫」というどこかクララに似た面影を持つ凛とした美しい女性へのあこがれ、そしてドロッセルマイヤーという紳士のエスコート。王子の最後の敬礼が彼自身の青年時代への別れのようにも見え、また、クララを抱き抱えるドロッセルマイヤーの横顔にも、いつか美しく成長するクララの姿を想像しているようも思え、おとぎの国との別れが少女時代の終わりのようにも思えました。・・・と結論づけるには若干ラストシーンでそのメッセージを感じないので、私の気のせいかもしれませんが(苦笑)。
クララとドロッセルマイヤーには特にコメントはありません。いつも通り、本当に楽しかったです。パドトロワは大好きなんですが、いい加減振り付け変えた方がいい気がします・・・毎回毎回手に汗握ります。サポートがうまいくるみ割り人形とドロッセルマイヤー、そして一人で勝手に回ってるクララがそろうことなんてなくなっているのですから、それに合わせた振り付けにしていただきたいです。パドドゥはやはり基礎をきっちり押さえたキャシディさんだときれいです。(あと、キャシディさんは若手に教えると彼自身の踊りが軽くなる気がします、今日はとても良かった) 雪の女王と王はすばらしかった!あの、ダンサーごろしのとんでもないテンポの振り付けを美しく踊りきったことに驚きました。昨日はミスが目に付いてしまったのですが、昨日、どこでミスをしたか忘れたほど完璧でした。全体的に攻撃的な振り付けの中で、女王と王のほほえみは柔らかすぎるきもしますが、堂々たる美しさでした。白石さんはテンポが速いのに決して音に追われている感じがせず、むしろ音を追っているような不思議な雰囲気でした。細やかなパも空中で一瞬止まっているような美しさ。空中で止まっているという点では池本さんも同じ。王については彼が一番うまいかもしれません。白いタイツが本当に似合っており、ジュッテの時、降りる前にわずかに前足があがる技術力には見る度に感嘆の息が漏れます。 今回目が行くようになったのは灰色の上着を着た男の子。フリッツとよく悪ふざけをしています。多分、中国人形をやった兼城さんではないかと思っています。ちょっとつま先まで神経が通ってないのですが、軽やかで細やかな足裁きと、正面を向いて空中で180度足が開いているような柔らかな跳躍がすてきです。
最後に。やっぱり久しぶりで生オーケストラで見たいです。音の質は録音の割にはとてもいいと思います。しかし、かなりテンポの速い振り付けが多く、細かいところを指揮者にコントロールしていただきたいと思いました。なかなか難しいのは分かるのですが、もう一度見てみたいです。
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(2013/12/25(Wed) 01:37:07)
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Kバレエ くるみ割り人形(2013/12/22) ソワレ
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マリー姫:日向智子 くるみ割り人形/王子:伊坂文月 ドロッセルマイヤー:ニコライ・ヴィユウジャーニン クララ:神戸里奈 雪の女王:白石あゆ美 雪の王:池本祥真
赤坂ACTシアター ★★★★☆
2日間で3組の「くるみ割り人形」を見てきました。えーと、正直言ってしまうと最近退団者も多く、今回もメイン4組中2組が役デビューでふたりが主演デビューでドロッセルマイヤーまでデビューさせてどう考えてもどこかに外れくじがあるだろうと思っていました。ところが外れなし、どれも満足度が高く、一組は大当たりと、近年希にみる楽しさです。そろそろ私の感性の方を疑うべきじゃないかと思うほど楽しかったです。ええ、とにかく楽しかったんです。 今回の舞台の立役者は神戸さん。もう、本当にかわいい!出てきた瞬間に分かるヒロインのオーラ。本当にかわいい。子供っぽい仕草が嫌味なくはまるし、一つ一つの踊りも丁寧。パドトロワもサポートに若干不安がありつつも、神戸さんが勝手に立ってるし回ってるから問題なし(笑)。書いていて思ったのですが、この公演は確かにクララが主人公でした。ドロッセルマイヤーもマリー姫もくるみ割り王子もみんなわき役。それで物語りが成立することに驚きましたが、それできちんと筋が通っていたので過不足を感じなかったのだと思います。クララと一緒にクリスマスの夜の冒険物語を共有する、楽しかったです。 ニコライさんのドロッセルマイヤーもよかったです。彼のドロッセルマイヤーは寡黙なイメージがあったのですが、結構饒舌にクララと話してくれて、楽しかったです。踊りは杉野さんの方がいいかなと思ったのですが、比べてみるとはっきりと分かる品の良さ。ドロッセルマイヤーさんが何者であるかは明言されていませんが、ニコライさんだと王家に「長年」仕えている風格がある。踊りも安定していますし、「鉄壁」ともいえる神戸さんの踊りをきれいに支えている。パドドゥも見ほれるほどきれいにまとまっていました。若干クララの方が物語を引っ張っているように感じたのですが、不思議と不自然さを感じさせない関係でした。
日向&伊坂は「丁寧」と感じました。ふたりとも特別うまいわけではありませんが、お互いのことを信頼していて、安心している。寄り添う姿にも違和感なく、その距離間がとても自然でした。特別な存在感がなかったから残念ながらマリー姫とくるみ割り王子が主役ではなかったけど、クララが主人公の夢物語を彩るおとぎの国のお姫様と王子様としてとてもきれいでした。伊坂さんのくるみ割り人形は笑ってしまうほどきびきびとした勢いがありました。その分、王子は柔らかくってあたたかい。マリー姫を腕に抱いて安堵した気持ちのまま、グランパドドゥまでいっているように見えました。日向さんについては去年のことがあるので私の中で「よくぞここまで!」という気持ちがあります。シンデレラ以来の主演。シンデレラの時は宮尾王子に頼りっぱなしという感じで、でもそれがいい方向に働いていました。今回は伊坂さんには頼れないからどうするかと思いきや、やっぱり頼っていた・・・というか、頼り方が本当にうまいのか、しっかり体を預けてくれるので見ていて安心しました。技術的には若干不安なところが残りつつも、どこか誇らしげなほほえみが心地よかったです。ふたりともずっと応援してきたので、若干見守りモードはあったかもしれません。けれど今ふたりが持っているものを出し切った、ふたりの気持ちがうまく役に一致した、いい公演だったと思います。回転とか若干軸がずれたところを意地で持ち直していたり、ベテランだったらちょっと小言を言いたくなりますが、役デビュー&主演デビューを思うと暖かな拍手を送りたくなります。 これは佐々部&池本の時にも思ったのですが、池本さんも伊坂さんもサポートにそれほど慣れていない割には様になっていました。ピルエットのサポートが一番あぶなかしかったのですが、リフトは意外と安定感がありました。また、ふたりで同じ動きをするときに手の角度や足の高さがそれほど違わず、絵になっていました。こういうところが、Kのよいところだなあと思います。 ちなみに、マリー姫とクララと比べてクララの方が踊りがうまいパターンは滅多になかったと思います。けれど不思議と雰囲気の違いで、マリー姫がクララのあこがれの姫に見えるのが不思議です。このふたりはどこか似ているのが好きなのですが、日向さんと神戸さんの場合、根っこにあるのは「おてんばさ」。日向さんの根っこに闊達さがあり、けれど今は品のいいお姫様。最後のマリー姫のキスが、彼女からクララへの「素敵な女性になって欲しい」というメッセージに思えました。 白石&池本の雪の女王と王は見事な迫力でしたが・・・王のサポートがあらあらまあまあでした・・・。これは明らかに練習不足でしょう・・・。練習不足を攻めるのでなく、昨日の遅沢さんと同じように主演と兼任で練習不足になって踊れなくなるような役なら振り付け変えなきゃだめだと思うんです・・・パドトロワもしかり。マチネと同じ女性が鉄壁で男性がよろしくなかったのでついついそう思ってしまいました。踊り自体は、池本さんもマチネで主演を踊ったとは思えないほど余裕のあるものでした。本当にこの方のジュッテはきれいです。白石さんは鉄壁。とても速いテンポなのに、音に追われることなくその早さを感じさせつつも貫禄を見せている。さすがです。
ヘイドンさんについてはそろそろ「動かないでください・・・」と言いたくなるくらい視線泥棒です(苦笑)。酔っぱらい招待客とのやりとりに目を奪われているうちに「クララの涙を拭うドロッセルマイヤー」というお気に入りのシーンを見損なってしまって地団太踏んでます(笑)。 基本的に男性のダンサーが豊富なKバレエですが、やはり女性の方が安定感がありますね。井上さんと中村さんの花のワルツは本当に華やかで美しくて、男性ダンサーに目が行きませんでした(それはそれでちょっと残念)。スペイン人形の山田さんが本当にきれいで色っぽかったです。はー、うっとり・・・。どうしてもバレエダンサーは楚々とした感じになるので、こういう艶めかしいダンサーは大歓迎です。そういう役ですし。手の動きや首、肩の動きが本当にきれい、強い目線もすてき。中国人形はもはや鉄壁の安定感、フランス人形はセンターの梶川さんが安定してかわいい。
本当に見ている間中楽しくて楽しくて、終わってしまうのが寂しくて。とても幸せな時間でした。何で今回こんなに楽しいのか、訳が分かりませぬ・・・。
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(2013/12/24(Tue) 01:26:52)
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Kバレエ くるみ割り人形(2013/12/22) マチネ
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マリー姫:佐々部佳代 くるみ割り人形/王子:池本祥真 ドロッセルマイヤー:杉野慧 クララ:河合有里子 雪の女王:中村春奈 雪の王:遅沢佑介
赤坂ACTシアター ★★★★☆
本音を言ってしまうと、キャストが発表されたときは喜びつつ、作品として成立するか心配になりました。Kのくるみはドロッセルマイヤーさえこけなければなんの問題もなく楽しめる作品です。万が一ドロッセルマイヤーが半端でも、それは元来の作品通りマリー姫とくるみ割り王子がフィナーレを美しくもり立てれば十分に楽しめます。ところが、ドロッセルマイヤーとマリー姫とくるみ割り王子が初役。雪の女王と王は鉄壁の中村&遅沢ですが、このふたりは登場時間が短く、とても作品全体を支えられるとは思いません。どうなってしまうのかと思いつつも、それはファンの性として若手のデビューを見守りに行くくらいの気持ちで出かけました。
不安だらけだったのに、これがすっごい楽しかった!ファンの贔屓目はあるにしろ、瑞々しさと安定感のある、大変おもしろい公演でした。 まず、パーティーのシーンの底支えをしていたのはヘイドンさんによるシュタールバウム氏でした。昨日の公演からやたら目を引く方でしたが、今日はこの役が彼でなくてはならない意味を感じました。ヨーロッパの上流家庭のクリスマスパーティーという華やかな雰囲気を、彼の品のいい佇まいが盛り立てていたのは間違いありません。では、本来その役割であるドロッセルマイヤーが目を引かなかったかというと、確かにヘイドンさんには劣りますが、十分すぎるほど楽しませてくれました。前方席で見ていたために後方までそれが伝わっていたか分かりませんが、若干服に「着られている」ところはありつつも、伸びやかに舞台全体に伝えようと動くよう姿は大変心地よかったです。なにより舞台の端でパーティーのお客さんたちと話す姿がとても饒舌で、これは外れないと確信できました。 印象的だったのはパーティーが終わってから。招待客が帰っていき、子供たちと夫人が部屋に戻っていき、主人が召使いたちに仕事の終わりを告げ、ろうそくの明かりが落とされる。元々大好きな演出なのですが、ろうそくを消す老人、そして主人に存在感があり、静かなシーンなのですが「これから何か起こりそう」という期待が高まるシーンでした。クララはとてもかわいらしく、ねずみたちにくるみ割り人形をとられて途方に暮れた後で勇気を振り絞っておとぎの世界に飛び込んでいく様子がとても自然でした。そしてドロッセルマイヤーが世界を変えていく。動きは驚くほどキャシディさんと似ていました。けれどキャシディさんが美しく物語を彩るなら、杉野さんはその若々しい勢いで世界を切り開いていく感じがしました。Kバレエのドロッセルマイヤーは「彼さえきちんとしていれば作品は失敗しない」と言われてきた役です。その難しさはよく知っていると思います。その役をこれほど堂々と、不安も畏怖もなく踊れることに驚きました。 池本さんの踊りについては不安はいっさいありませんでした。ボリショイ育ちらしいきれいなポジションと伸びやかな踊り。くるみ割り人形のきびきびとした動きは彼の個性に合っていて、青年将校らしさも引き立ちました(くるみ割り人形は小さい方が栄えるのではと失礼なことも思ったり)。驚いたのは王子に戻ってから。これほど柔らかく踊り、あたたかく微笑む人だとは思いませんでした。ハンサムとはいいがたい(失礼)顔立ちですが、踊りと笑い方で、ちゃんと王子に見えることに驚きました。なにより、ほっそりとした足に白いタイツがとてもよく似合っていました。 ・・・ここまでが素敵だったんで、パドトロワは見なかったことにしてあげます・・・。 雪の女王と王は出てきただけでわくわくするような貫禄。ただ驚いたことに、遅沢王がいまいち盛り上がりに欠けました。確かに堂々とした踊りで雰囲気はあるのですが、明らかに途中で息切れを起こしていましたし、リフトが1回変になっていましたし、昨日主演を踊ったとはいえプリンシパルなのだからもう一息なにか欲しいと思ってしまいました。逆にすばらしかったのが中村女王。堂々とした踊りは余裕すら感じさせ、最後まで息切れなく、安定した踊りを見せてくれました。アームスも柔らかく、いつか主演で見てみたいと思わせる存在感がありました。
1幕が終わった段階で、驚くほど楽しい公演だと確信できました。2幕ももちろん楽しかったのですが、困ったのが佐々部さんのマリー姫。マリー姫は若手抜擢もある主演ですのでそれほど難しいことを求める気はないのですが、初主演でもないしファーストソリストなのに、ちょっと精彩に欠ける踊りでした(ソリストだったらこれで十分かとは思います)。難しいことを言われたとおりにこなしているのは分かるのですが、それ以上のものがない。時折ちゃんと踊れているか不安に思っているように見えて、お稽古を見ている気がしてしまいました。技術はあると思うのですが、マリー姫としてなにを感じているか感じられなかったのが残念でした。 2幕は踊り見てるんだかドロッセルマイヤーとクララ見てるんだかわからなくなることがあるのですが、今回も分からなくなりました。それくらい、見ていて楽しいふたりでした。各国の踊りについてあれこれ楽しそうに話している姿が本当に楽しくて!クララはどこか踊りたそうに見えて、だからドロッセルマイヤーが踊り始めたときいても立ってもいられず立ち上がったのは納得ですし、ふたりが一緒に踊り始めるのもとても自然でした。踊りが難しかったりリフトが絡むとふたりとも若干目が泳ぐのはご愛敬(苦笑)。最後の人形たちへのご挨拶まで、楽しませていただきました。 昨日の公演のマリー姫とくるみ割り王子のグランパドドゥが愛と幸福にあふれた結婚式だったので、今日は物足りなさを感じました。池本さんのサポートが意外と様になっていたというよい点はありましたし、佐々部さんの踊りもちゃんとできていると本人に伝えたい位にはきれいでした。ではふたりの間になにか特別な魔力があったかというとそれがなく、それが不満でした。まあ、でもドロッセルマイヤーとクララが素敵だったので文句はありません(Kのくるみはそういう作品だと認識している)。
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(2013/12/24(Tue) 01:19:28)
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Kバレエ くるみ割り人形(2013/12/21) ソワレ
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マリー姫:浅川紫織 くるみ割り人形/王子:遅沢佑介 ドロッセルマイヤー:スチュアート.キャシディ クララ:荒蒔礼子 雪の女王:井上とも美 雪の王:石橋奨也
赤坂ACTシアター ★★★★★
毎年おなじみ観劇納めのKバレエくるみ割り人形。行こうか迷った公演だったのですが、本当に楽しかった!
Kバレエのくるみ割り人形は、姫と王子が物語をきれいにまとめるパターンと、ドロッセルマイヤーがクララを導く冒険物語としてまとめるパターンがあります。今回はちゃんとその両面が見えました。ドロッセルマイヤーはキャシディさんですからもちろん外れがありません。踊りについてはちょっと目をつぶらざるを得ないところもありましたが、安心感のあるサポートと少女の冒険物語の導き手としてふさわしい暖かさは相変わらず。その変わらぬ職人芸に、うっとり見ほれていました。荒蒔さんのクララは、顔立ちが特別かわいいわけでなく最初はそこまで目が行かなかったのですが、物語が進んでいくに従って闊達になり、魅力的になってきました。ドロッセルマイヤーとのちょっとしたやりとりがあたたかくて楽しかったし、不安だったり緊張したときにスカートを握りしめるのがとても自然でかわいらしかったです。 クララとドロッセルマイヤーが楽しそうであれば失敗することのないこの演目、ありがたいことに今回はマリー姫とくるみ割り王子も絶品でした。松岡さんがいなくなってしまい、考えてみると浅川&遅沢はこのバレエ団で唯一と言ってもいい「パートナーシップ」を感じさせるふたりだと思います。年齢、背格好、そして表現の方向性や踊りの雰囲気。すべてが一致している。そしてふたりとも、熊川&荒井ほどの実力がないにしろ、そのふたりに次ぐ実力であると自負している堂々としたたたずまいでした。特に遅沢さんにそれを感じました。今まで「好調、不調」ということのあった踊りですが、今回はそのどちらでもなくプリンシパルの名に恥じない踊りをしようという意気込みを感じました。真ん中に立っていることに気負いがなく、見ていて心地よかったです。一方の浅川さんは幸せそのものに見えました。考えてみれば昨年は怪我でマリー姫を踊ることができませんでした。踊れる喜びはそれこそ生きる喜びといった雰囲気があり、光輝くような美しさで、幸せそのものが踊っているように見えました。荒井さんほどではないけど音を大切に踊っているのが分かる。ひとつのポーズから次に移る時が空気をはらんだように美しくって見惚れました。特にKバレエのくるみのグランパドドゥは結婚式の場面ですから、浅川さんのまとった幸福感が、物語に説得力を与えていました。遅沢さんはやはり演技が好きです。マリー姫が目覚めた後、幸福感があふれ出すからこそ、それまでどれほど不安だったかが分かる。本当にお似合いの、ようやくここまで来れたという感じの二人で、グランパドドゥは技術的な安定感と共に、これからはこの二人が一緒に歩いていくということが当たり前に感じられました(ふたりとも若干回転が弱いのはご愛嬌)。
雪の女王と王は王がいまいちだったことをはっきりと記憶しています・・・。もともと難しい振り付けなのはその通りなので仕方ないところがあるのは分かるのですが、完全に音に追われている気がしました。ただ、振り付けの難度と彼の階級を考えるとそれもやむなしと思ってしまうのですよね・・・。 びっくりキャストはシュタールバウム氏のルーク・ヘイドン!今までどの作品も素敵だったので、こんなちょい役なんてもったいないとおもいつつ、ちょい役でも素敵なものは素敵ですね・・・。ほんのちょっとした仕草でも気品と存在感があり、気がつくと目線が彼を追っていました。特にキャシディさんのドロッセルマイヤーとのやりとりは絶品。このまま2時間二人がマイムでしゃべり通しでも飽きないと思えました。ところで、最後にろうそくを消す老人は誰でしょうか?いつもと違ってたやたら目が行くので気になっています・・・。ドロッセルマイヤーが出てきて「旦那様、今です」とばかりにサンタクロースの変装をしに行くところとか、フリッツがくるみ割り人形をクララから取ろうとしているときに招待客にお酒を渡しているところとか、どうでもいいところに目が行ってしまっています(そして楽しい)。 逆に残念ながら印象に残らなかったのがネズミの王様。特に悪かったところがあるわけではないのですが、だからといってよかったところが思い出せないのです。難しい。
演出の変更はよく分かりませんでした。いつから変わったか分からない部分としては最初の場面転換でドロッセルマイヤーがコートを脱ぎつつ・・・だったのがコートを着たまま天使人形をプレゼントしていました(室内でコートを着ているのが若干不自然)。ラストにクララを送り届ける場面でもコートを着ていたのはあまり記憶にありません。フリッツがくるみ割り人形をクララから取り上げた後壊してしまうのは首だけ持って体を落としていました。泣き真似をする姿もあまり記憶にありません。こんな細かい部分しか思いつかないほど大きな変更がなかったのですが、基本的に今の演出はまとまっていて好きです。
というわけで今年も始まったくるみシーズン、楽しみます!
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(2013/12/24(Tue) 01:04:05)
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ジーザス・クライスト=スーパースター(ジャポネスク)(2013/12/11)
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ジーザス・クライスト:神永東吾 イスカリオテのユダ:芝 清道 マグダラのマリア:高木美果 カヤパ(大司教):高井 治 アンナス(カヤパの義父):吉賀陶馬ワイス 司祭1:佐藤圭一 司祭2:清水大星 司祭3:真田 司 シモン(使徒):佐久間 仁 ペテロ(使徒):五十嵐 春 ピラト(ローマの総督):村 俊英 ヘロデ王:下村尊則
★★★★ 四季劇場(自由)
JCSの、特にジャポネスクの感想を書くのはとても難しいです。とにかく大好きな作品なんで、「好きです!」以外言葉がない。見ている最中はそれこそ、相変わらずオーバーチュアの白衣さんたちの動きにいちいち感動している、未だに。覚えるほど、飽きるほど見ているはずなのに、未だに新鮮に感動しているくらいには好きです。そんなわけでいつも感想は書きづらいのです。
やはりまず書くべきは芝さんのユダでしょうか。正直ユダについてはもう少し若い人の役であると思ってるので新ユダの誕生を待っているのですが、それでも演じてたら見ちゃいますよね・・・。ジーザスを経たうえのユダはすべてを分かったような、達観したような、どこか穏やかな目ですべてを見ているように思える。低く響く声がその印象を強くいている。声は調子がいいのか悪いのかちょっとはかりかねました。昔は伸びやかに出ていた高音がちょっとかすれている・・・と思いきや悲鳴のような高音がきれいにコントロールできた状態で出るし、なによりすべてを支配するスーパースターのすばらしさ!劇中劇のようなジャポネスクをすべて束ねるようで、見事でした。すべての感情が完全に歌と一致していて、本当に自由自在。調子がいいのか悪いのか不明でしたが、ただ一言「見に来てよかった」です。そろそろ若手のユダも見てみたいのですが、やっぱり実際に見てしまうといいなあと思います。 少し板に付いた感じのする神永ジーザス。私の中では柳瀬ジーザスを一番見ているのでまだ印象が強いのですが、柳瀬ジーザスがどこか巫女のような美しさをたたえていたとしたら、神永ジーザスは美しいのにそれは人間のものと思える部分がありました。登場時から美しいのですが、それは話が進むほど強くなる。そして不思議なことに、ゲッセマネを経て、自分の運命を受け入れた後で、明らかに強くなっている。とても美しいのに人間味を感じ、美しさをますごとに彼がただの青年であると感じさせる。とても不思議なバランスでした。人間味があるからこそ、たとえばむち打ちの時に、打たれる瞬間に引き締まる筋肉に彼が人間であるという悲劇を感じ、けれどその美しさがあるからたとえばスーパースターの時、この世のものとは思えない美しさに言葉を失う。夢と現を行き来している感覚があったせいか、すべて作りものである世界に浸っているふとした瞬間、すべての感情が真実のものに思える。ジャポネスクはJCSの四季版の演出の一つで、ひとつの異端としてまとまっています。それでもこうしてキャストごとに見える世界が違うから、舞台ってやめられないのだなあと思います。 神永ジーザス、ユダとのやりとりはいいのですが、特に前半の群衆とのやりとりはもう一息かなと。ジーザスは孤独にいると感じたのですが、若干彼が自分から孤独のからにこもっているように思えました。もちろんそういう面もあると思うのですが、もう少し彼自身は人を愛しているのにそれを理解されないというすれ違いが感じられたらいいなあと思っております。 高木マリアは「今宵安らかに」はとてもよかったです。まさに「美しい声だから伝わるものがある」という感じで、少しすれた感じと暖かに包み込む感じのバランスが魅力的でした。ただ、「私はイエスが分からない」は美しすぎる。まだ耳の中に保坂さんの歌声が残っているから感じるのかもしれませんが、もう少し一曲の中にドラマが感じられるといいなあと思うのです。堕落させようかって言ってるのに、このマリアは堕落させられる気がしない。 司祭たち、バランスがよくて好きなのですが、なにより高井さんのカヤパ!低音部が地の底から響くかのごとく深く艶やかで、聞きほれます。表情が読めないメイクと、この世のものとは思えない低さで響く声、素敵です。 シモンは熱さというより忠誠心を感じます。忠犬のように、理解しているより従っているという感覚が強いです。また、愛されたいと思っている姿がなにか頭をなでられることを望んでいるような子犬のように見えます。これはこれで好きです。 下村ヘロデは見事というか職人芸というか(苦笑)。これが正解というわけではないのに、これがすべてだと勘違いできるほどの勢いがあります。反論を許さない勢いがありますね。手の動きの柔らかななめらかさ、扇子の美しい舞が加わり、問答無用でおもしろいと思わされます。見れば見るほど破廉恥な格好なのに、華やかに見えますし(笑)。新しいヘロデもそろそろ出てきていいと思うのですが、演出を変えない限り無理でしょうね・・・。 群衆はもう一息。エルサレムで見たときはもっと熱いと感じたので、エルサレムとジャポネスクでは群衆の「熱」の質が違うのかもしれません。どちらかといえば決められた動きの多いジャポネスクですが、その決められたうごきからにじみ出る熱というのが好きだったので、もう一息がんばっていただきたいです。ただ、もうちょっと熱がほしいと思ったのは中盤までで、ジーザスのむち打ち辺りからは熱が感じられるようになってきました。 今回は珍しく2階席から見ていました。最後の磔で群衆たちは観客の側を見ている・・・その感想がとても印象的で、なにか意味があるのかと思ってみていると、まるで自分がジーザスと同じ視界を共有しているように思えました。自分を愛していると言っていたのに、最後は石を投げ十字架まで追いつめた人々。その顔を眺めてみて、けれど憎くはないなとジーザスと気持ちを共有したかの気持ちで見ていました。キリスト教を知らない人のために和の要素を入れて作られたえんしゅつですが、最後には聖書に帰っていく。不思議な余韻が残りました。
ところでツイッターで話題になっているラストシーンですが、私が初めて見た99年版のジャポネスクではマリア一人でした。エルサレムではマリアと使徒たちで、これは変更がありませんが、いつの頃からかジャポネスクのラストシーンからマリアがいなくなりました。マリアが一人静かに見上げる十字架の美しさと、やがてマリアすら闇に飲まれジーザスの姿だけが闇に浮かぶ終わり方が好きだったので、ジーザスが一人というシーンは物足りなく思っていました。できればこのマリア一人という演出の復活をお願いしたいのですが、ただあくまでもマリア一人がいいので、マリアと使徒たちという演出にはしてほしくないなあと思うのでした。懐古ファンとしての独り言です。
最後に一言。すりあし返して・・・・・・・・・。
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(2013/12/15(Sun) 22:01:39)
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