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アイーダ(2011/08/06)
アイーダ :井上智恵
アムネリス :大和貴恵
ラダメス :阿久津陽一郎
メレブ :金田暢彦
ゾーザー :飯野おさみ
アモナスロ :牧野公昭
ファラオ :維田修二
【男性アンサンブル】
黒川 輝、朱 涛、田井 啓、品川芳晃、江田あつし、河野駿介、森 健太郎、徳永義満
【女性アンサンブル】
松本昌子、宝生 慧、加藤久美子、大村奈央、駅田郁美、杏奈、高橋亜衣、濱田恵里子
★★★★★
アイーダもう一回見たいなあ、智恵さんのアイーダいいって話だもんなあ、あ、そういえば去年マイルが失効する前にANAのクーポンに交換したんだけど、使っちゃわないともったないな。
というわけで、今年2回目の大阪遠征となりました。本当に、海にいるときに通っておけばよかったのに!
私が四季に通わなくなった理由はおもしろくない舞台に複数回当たったことと生オケを使わなくなって切れたということがあります。後者については問題継続中ですし改めてほしいのですが、前者については今年かなりいい舞台に出会えていると感じています。四季はキャストが読めない上にロングランの当たり外れがあるのですが今回のは間違いなく当たりでした。初日の直後に行ったときよりも、全体的に研ぎすまされていてとてもよかった!これだったら昼夜してもよかったかもしれないと思っています。(まあ、マチネだけ見て大阪のバレエ友達とおしゃべりして翌日マンママチネというスケジュールもなかなかいいものですが(笑))
まず、悪いところを言ってしまいます。生オケにしてくれ、あと、やっぱり脚本レベルでいろいろ台詞が変に分かりやすすぎるので(メレブのゾーザーの説明や牢屋でのアイーダとアモナスロとの会話など)突っ込みはいろいろ入れたい。それと、桟橋のシーンはいい加減どうにかしてくれ、泣けるか否かと言ったら今回はさすがに泣けたが、命がけの迫力という意味では今回も0点です、どうにかしてくれあのシーン・・・。
キャストで言ったら外れなしなんで、主役から。智恵さんのアイーダ、とってもかわいかった!濱田さんの方が王女然としていましたが、智恵さんはどちらかと言えば普通の女の子。自由奔放であるのは彼女の美点であるけれど、それは王女の資質ではない。王女になれない、王女になることを求められた、一人の恋する娘。自分が今までどれだけ愚かだったか捕らえられてから知り、奴隷であることを受け入れる姿、ヌビアの民を救うことを求められて逃げ出そうとする姿、可愛らしく、痛々しく、とても魅力的でした。今回はアムネリスがとても大人びていたこともあり、いい意味で子供っぽく見えました。ヌビアの救世主として君臨できるほど彼女は大人でもなければ強くもなかった。私の描いていたイメージのアイーダそのものでした。そして、恋する姿のかわいいこと!ラダメスに「愛してる」と言った辺りのやりとりが今までになく自然で、可愛らしく、二人でじゃれ合っている姿に心躍りました。歌の面では今までイメージしていた智恵さんのかわいい声でなくてびっくり。低く骨太で伸びやかなその声はアイーダにぴったりでした。ああ、やっぱり役者さんってすごい。
ラダメスは今回も阿久津さん。前回見て気に入ったので今回もいてくれてうれしい!このまま完走でしょうか?前回もよかったですが、今回ますますよくなったなあと思っています。戦場に出て何かを奪うことしか知らなかったけど、それはそのことしか教えられなかったからで、とても実直で正直で、どこか不器用でさえあるところが彼の魅力だと思っています。「アイーダがラダメスに恋に落ちる」辺りは濱田さんとの方がよかったかなと思いましたが、2幕は今日の二人の方が好きです。アイーダに出会ってどんどん変わっていくところがとても自然。序盤の残忍さがなくなっていって、迷いながら自分の生き方を探しているところが好き。そして彼の年齢を調べて本気で驚いた、え、もうこんな年だったの!?ま、まあ、私が学生の頃から役者さんですからね・・・。Mathias Edenborn(ドイツ語圏ラダメスオリジナル、ウィーン版ベンヴォーリオが有名かな、今度エリザベートのフランツやります)に似てるなあと思いつつ見ていたのですが、老け役まっしぐらな彼より年上とはびっくりだ・・・。・・・今すぐクロロックやってくれないかなあ・・・(上背があって高音のでる役者が気に入ると誰彼なく同じこと言ってるので特に他意はありません、日本のシステムでは無理なことくらい私もわかってるさ・・・)。
びっくり大当たりキャストの大和アムネリス。登場時は声はよく通るけど最初から王女然としてどこか知的なところがアムネリスっぽくないと思いましたが、ちゃんとアムネリスでした。阿久津ラダメスと並んでも身長にほとんど差がない、智恵アイーダと並ぶと親子のように身長が違う。ここまで身長によって役がせばまってしまうと思った人初めてです・・・。アムネリス、今までの二人は最初は頭の軽いおばかな子でしたが、彼女の場合はきちんと知的に見えました。それが違和感があったのですが、結局知的に見えても彼女は王女としてなにをすべきかなにを知るべきかを知らない人でした。頭がよくてもその頭の良さは美しさを磨くことにしか向かなくて、王女としてどうなるべきかということには向いていませんでした。そして徐々に彼女は王女としてなにをすればいいかを知っていく。自分の才能の使い方を知ったアムネリスは凛とした女王になる、その姿は本当に美しかったです。私はラブロマンスがあまり好きではありません。生まれ変わって再会するなんて普段ならときめかないものです。でも、アイーダとラダメスの時空を越えた再会はとても好きです。それは、二人の再会がアムネリスの望みだから。優しく二人を見守るアムネリスを見ると、これでアムネリスが救われたと思うのです。アムネリスはラダメスのことを確かに愛していたし、アイーダのことも友達と思っている。そして、王女であるアイーダとは本当の意味で友達になれたと思うのです。それを自分の手で、自分の意志で断ち切ったアムネリスにとって、それは納得した決断ではあれ心残りではあったと思うのです。墓の中で再会を誓ったアイーダとラダメスの物語は、そこである意味ハッピーエンドだと思うのです。けれどこの再会を見届けたとき、アムネリスの物語はようやく終わるともうのです。喜びや悲しみを超越したその暖かな笑顔に満たされました。
遠征のお目当ての一人、飯野さんのゾーザー♪前回見たときは7年前に見たかったと暴言を吐きましたが、なんのなんの全然現役でした。この間見たときよりも凛々しくてすてき!飯野さんのゾーザーは力みがなくて好きです。「悪い人です」と正面切って言うような人ではない。むしろ彼自身は「息子に甘すぎる父親」と自分のことを評価していてもおかしくない。それなのにやっていることは身勝手で残忍というのが彼の魅力だと思います。偉そうな態度といい高音中心の歌といい・・・とにかく飯野さんの魅力を改めて感じる役でした。ゾーザー、大好きなのです♪
密かにお気に入り牧野さんのアモナスロ。維田さんのファラオはそれはそれで病弱な王者として好きですが、こちらは武人の王者という雰囲気があっていい。牢獄でとらわれの王者というのが一目で分かる。囚人の服を着ているが故にその威厳がにじみ出てくるような気がします。とても哀れに見えるところが、作品の雰囲気にぴったり。本当に素敵なキャラクターに仕上がってるので説明台詞が多いのがもったいない・・・。
メレブはひたむきなキャラクターでした。アイーダへの信頼は彼女が王女であるからということからきていて、彼女自身をメレブは知らない。それでも故国に帰りたいという慎ましやかな願いを抱く彼を悪く言うことはできない。彼自身もかわいそうだなとしみじみ思うのです。
そして今回感動したのがアンサンブル!前回見たときよりも迫力が増していて感動しました。特に男性陣。幕開き直後の兵たちは勢いがあり、その力強さが恐ろしい。ゾーザー軍団は動きが本当にシャープで、これが見たかったのだとひとしきり感動しました。
久しぶりに日本語のミュージカルにはまったのですが、聞きながら脚本レベルの突っ込みができてしまうのでちょっと集中できないところもあるかなと(苦笑)。引っかかるところはいろいろありつつも、とても好きな作品だと改めて感じました。
[1728] ゆず (2011/08/15(Mon) 00:48:38)
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