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Kバレエカンパニー「海賊」(2012/05/26 マチネ)

メドーラ/松岡梨絵
コンラッド/宮尾俊太郎
アリ/西野隼人
グルナーラ/井上とも美
ランケデム/浅田良和
ビルバント/伊坂文月
パシャ/スチュアート・キャシディ

★★★★
オーチャードホール

 哲也のいない公演その1です。キャスト表を眺めていて気づいたのですが、この公演は本当にアンダーキャストという雰囲気です。ソワレのキャストは東京文化会館で2公演ある時のキャストと酷似していますが、この公演はこの公演限りという人が結構いたので楽しみでした。

 一番のお目当てだったのは浅田さんのランケデム♪大変残念なことに夏公演の主要キャストに名前はないし、ランケデムはこの日限りだし、ファンとしては見られる限り見るしかありません。やはり生まれ育ちの良さを感じさせてしまう人なので品が残ってしまうし笑い方も凶悪さ控えめという感じなのですが、やはり踊りは絶品だと思います。絶対吊ってるとしか思えないゆったりとした滞空時間、その中で見れる姿勢も本当にきれい。あと、彼のつま先は本当にきれいで、いつ見てもうっとりです。とっても楽しそうに演じていてくれてみているこちらも大満足でした。細かいところなんですが、死に方は横になったために息をしていることが分かりづらくって気に入りました。ちょっと陽気な感じで明るいところが長所でもあり欠点でもあるかな。鞭さばきも前回に比べてずっとよくなっていたので、個人的にもっと見たかったです・・・。
 キャシディさんのパシャという贅沢キャストを見られるのは、私は今回限りでした。外れるわけがない、びっくりするほど存在感抜群、サポートが鉄壁なパシャでした。ニコライさんに比べてコミカル度は低めでしたが、大金持ちだけどなんかやりたいことがうまくできてない、愛すべきおじさまでした。ちょっとした仕草に品があるのがさすがキャシディさんです♪他のパシャと違うと思ったのが、実はメドーラに本気で一目惚れしたんじゃないかと思えたところ。ハーレムで彼女が戻ってきたときの喜びが、なんだか他の人と違う気がしました。
 井上さんのグルナーラ、意外とよかったです。井上さんは今まで全く注目してませんでしたが、こんなに踊れる人がいたのかとちょっとびっくりしました(回転がちょっと弱いかな)。みんなのお姉さんという雰囲気がありつつもふわりと優しい踊り。初役とは思えない安定感でした。個性が薄い感じがしたので、今後そのあたりを期待します。
 メイン3人なんですが、昨日は3人それぞれ異なった迫力がありましたが、この公演は真ん中に大輪の花一つ、後は添え物と言った感じでした(苦笑)。悪くないんですが、昨日のような迫ってくる迫力はなし。宮尾さんのどこかぼんぼん然としたコンラッド、西野さんの端正なアリ、どちらも悪くないんですが、せっかくの冒険活劇なんだからもっとはじけてほしかったです。このあたりがおもしろいなと思った点なのですが、キャシディさんや哲也の方がバレエ本来の型を大きく崩してるから迫力があるんです。どの程度まで崩してもバレエ本来の型から逸脱しないと知っているかのように。そういう意味で宮尾さんや西野さんは小さくまとまっていて、きれいだけど迫力が足りなくて、「海賊」という作品には物足りなかったのが残念でした。
 西野さんは踊りが本当に端正でした。王子を踊るにはまだちょっと存在感が足りないとは思いますが、貴族を踊ったらとても映えるであろう雰囲気。男性的魅力のある哲也や橋本さんのアリと違って、どこか彫像のような美しさがありました。振り付け的にはアリを踊るだけの実力があったと思います。回転系は哲也のコマのような回転には劣りますが、それでも軽やかな勢いのある若手らしい跳躍は見ていて胸が躍ります。アリを演じるのがとてもうれしいんだろうという一つ一つしっかりした丁寧な踊りには好感が持てましたが、もっとはじけて心のままに演じてほしいなというところもありました。・・・書いていて分かりました、ちょっと堅かったんだと思います。役に対する思い入れ、ただの「海賊のアリ」でなく「熊川版海賊のアリ」に対する思い入れはひしひしと感じられたので冒頭とか終盤はすっごく良かったのですが、全体的な盛り上がりをもっと希望。でもいいダンサーには違いないので、次に期待したいです。
 宮尾さんはいっつもコメントに困る・・・。やっぱり彼は踊りの基礎がなってないのですよ。足がバラバラしてる、軸がとれてない。もうこの年になったら基礎がまともになることはないかなあと、ちょっと残念に思っています。彼についてコメントが困る理由はそういうだめなところだけでなく、それだけだめなのに舞台の中心にいることに不自然さがないこと。多くの部下たちを引き連れて舞台の真ん中で見得を切るシーンがぴたりとはまるんです。はったりかもしれませんが、このはったりは本当に彼が天から授けられた才覚だとさえ思います。誰にでもできることじゃない。そういういい面と悪い面の二つを同時に見せられてしまうので、彼についてはいつもコメントに困ります。
 松岡さんは安定の美しさでした。荒井さんにはまだちょっと及ばないとは思いますが、それでも哲也が気に入るのが分かる美しさ。踊りもずいぶん安定してきましたし、やっぱり彼女はずっとこのバレエ団で育ってきたので踊り方が振り付けにぴったり合っていて素敵です。以前はアームスの使い方が引っかかったんですが、今日はそれもなし。クールビューティーといわれている彼女ですが、今日はちゃんとかわいらしさもありました。
 初役の伊坂さんのランケデム。伊坂さんはキャラクターを演じると本当にはまることはランケデムでも証明されてるので、とっても期待していましたが、逆にビャンバさんのすごさを思い知ることになりました・・・。演技が淡泊、踊りに鋭さがない。ビャンバさんだったらここがもっと分かりやすかったのに、ここでこんな細かいおもしろいことをやってたのにといろいろ浮かんでしまいました。初演の頃はそこまで大きな役でなかったのに、ビャンバさんがしっかり演技も踊りもうまくないと栄えない役にしたのだなあと思ってしまいました(彼についてはソワレに続く)。

 そして、キャスト表にニコライさんとビャンバさんの名前を見つけてびっくり。何という働き者・・・。見るだけでもこんなに大変なのに(笑)。

[1857] ゆず (2012/05/28(Mon) 22:00:49)



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