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眠れる森の美女(2010/5/28)

 Kバレエの眠りを見るのは2回目です。白鳥、くるみ、眠り、コッペリアの順で見て、コッペリアでははまったので、はまってから初めて見ることになります。前回はねー、康村さんで見ようと思ってS席取ったのに怪我しちゃったねー、それはいいんだけど、康村さんの出演日二日のうち一日は代役デュランテで、私がいった日が東野さんで、まあ、これがいまいちな上にもう一日がデュランテだと思うと腹が立って腹が立って・・・。長田さん&キャシディさんのフロリナ王女とブルーバードが素晴らしく良かったのだけが救いでした。(今思うと、翌週のコッペリアこそS席で見るべきだったんだよなあ。哲也のフランツ、見たかった・・・)

 長くなりましたが、そんなわけで若干苦い思い出のある作品ではあります。また、作品としてもそれほど強烈なインパクトがあったわけではないので、正直言ってしまうと「熊川版」として大改変をしていただきたかった作品でもあります。残念ながら久しぶりの上演でも特に変更はなし。もちろん初演とは衣装も振り付け他、細々としたところで工夫はあると思います。でも、ほかの作品に比べたらずいぶんスタンダードな作りのままではあると思います。まあ、そんな全幕ものが一つはあってもいいかな?
 全体の感想ですが、衣装もセットも素晴らしく豪華!美しいダンサー、美しい音楽(指揮は井田さんでしたが、ずいぶん良くなってきてる気がします。後は奏者の方が・・・)、美しいセット・・・。ああ、こんな贅沢な時間はない!と思える瞬間です。ダンサーについては女性ダンサーの不足ぶりと男性ダンサーの充実ぶりが相変わらず目立つ気がします。去年のくるみの時よりは若干ましになって気がしますが、やっぱり女性ダンサーにはがんばってほしいという気持ちが拭えません。男性は相変わらず素晴らしいです。キャスト表に出てないので気づきにくいですが、精霊たちの付き人のダンサーの素晴らしいこと!はっきり確信は持てなかったのですが、遅沢さん、橋本さん、浅田さん、ビャンバさん、西野さん、伊坂さんかなあと思っています。つまり、ファーストソリスト、ソリストクラス、良くないわけありません。キャスト表に名前がないのに、結構踊ります。6人もの男性ダンサーが一気に踊る姿はやっぱり圧巻。それぞれKバレエダンサーらしく足が強いし個性も豊か。こういうかっこよさを見せられると、どうしてもソロがあるのにいまいち個性が埋没しがちな女性ダンサーの力の弱さが際だってしまう気がします。質も数も、いまいちなんですよね。群舞もバラバラしているのが気になるし、ソロもいまいち個性が光ってない。夢のようにきれいだけど、ふとした瞬間、もう少し上を目指してほしいと思ってしまいます。あ、相変わらず足音が静かで、それは魅力だと感じました。
 まず今日のお目当ての荒井さんのオーロラ。ああ、この役ってこんなに難しいんだとしみじみ感じてしまったというのが本音です。かわいいことはかわいいです、安定してることは安定してます。確かにお姫様だけど踊り自体もどちらかというと天真爛漫、闊達なイメージがあるので、そんなに違和感はありません。でもローズアダージョはバランスのシーンで彼女の朗らかな笑顔が消えていたのは事実。荒井さんの足は鉄壁だと思っていたので、バランスが終わってほっとしたような笑顔が浮かんだのが驚きでした。やっぱりあのシーンは息を詰めながら見るしかないのかなあ。それ以外にも1幕は若干、彼女らしくないふらつきが見受けられた気がします。2幕3幕になっていくにつれ、ようやく彼女らしい安定感が見れた気がします。
 哲也も、いろいろ善し悪し。毎回どうしても思ってしまうのですが、技術は落ちてる。「さすが熊川哲也!」と思うところもあったけど、今まではこんなもんじゃなかったよねと言いたくなる部分も、やっぱり増えてきた。あんなに息を切らせて踊る哲也を、初めて見た。かつての熊川哲也はもう見れないかもしれない。でも、王子役としては良くなったと思います。一時よりずっとパートナーを受け止める度量が深くなった気がします。王子と王女二人のまとまりが良くなったと思う。怪我をする前に見たくるみは、本当にバラバラだっただけに、意外な感じがしました。なんだかんだ言いつつ、やっぱりこれからも見ていきたいと思う人です。
 さて、このツアーのお目当ての一つ、キャシディさんのカラボス!・・・こちらも善し悪しでした。存在感はいうまでもなく抜群でした。彼女が舞台にいるだけで視線がそちらに自然と動く。コミカルに見えて品格があり、悪役だけど美しく憎めない。カラボス側の人物は少ないのですが、彼女の存在一つでとても大きな存在に思える迫力がありました。問題は一つ、たまに男に見えるんだ・・・。ダウエル卿の時はそんなことなかったと思うのですが・・・。どこが、というのは説明しづらいのですが、ふとした瞬間、ああこの人は男だと思ってしまう。ぶっちゃけほかのダンサーならそんなこともあるかと流せると思うのですが、その役として呼吸できるキャシディさんらしくないことだと思います。ただ、カーテンコールでお辞儀をする姿は「女性」だったので、この後美しい女性に化けてくれるのではないかと期待してます。インタビューでも、レディであるということを強調してましたしね。
 個人的に眠りと言えばこの人ともいえるリラの精。予想通り良かったです。もう少し予想を超えていいところがあってほしかったなあというわがままな気持ちもあるので若干そこが不満でしたが、まあ、それはわがままかな。美しく凛としたリラでした。マイムもなめらか。ゆったりとした動きが美しい。もう少し存在感が表に出てくればいいかなと思うところはありましたが、不思議とカラボスと対になるシーンはその存在が輝き出すんですよね。そういう意味では満足です。彼女はまだオーラが白いところがあるので、もう少し柔らかく暖かな色が付けばいいなあと思います。
 それ以外のキャストで一押しなのがなんといっても橋本さんのブルーバード!そりゃ彼のことですからこの役は何度も踊っていてKバレエで踊る前からずっとなじんでいたでしょうが、それにしても、予想通りとはいえ、完璧でした。飛んでいかないのが不思議なほどの軽やかさ、そしてフロリナ王女との何ともいえない暖かなやりとり。見ていると何となくドラマが浮かび上がります。まるで鳥に変えられた王子を見ているような・・・と思ったら実際そういう物語が背景にあるようですね、納得。神戸さんのフロリナ王女も予想よりずっと暖かみと存在感のある美しさでした。物語を感じる、すてきなシーンでした。
 長靴を履いた猫と白い猫もコミカルでかわいいシーンでした。伊坂さんはやっぱりキャラクター精の強い役の方が似合います。そして一瞬誰か分からなかった副さんの白い猫が本当にキュート!アチチュードの足のキュートでちょっとなまめかしい感じがたまりません。
 赤ずきんと狼、狼の足のバネが見事でびっくり。ビャンバさんも、こういうキャラクター性が強い役の方が輝くのかもしれません。

 やっぱり古典は古典でもジゼルのように物語のある古典の方が好きだなあと感じてしまったのは事実ですが、生まれて初めて「眠り」を寝ないでみました(笑)。

[1631] ゆず (2010/06/26(Sat) 02:19:42)



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