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コッペリア(2010/10/02)
★★★★☆
コッペリウス:スチュワート・キャシディ
スワニルダ:荒井祐子
フランツ:熊川哲也
いやー、楽しかった楽しかった!
主役三人が若干パワー不足かなと思ったり全体が若すぎていまいち迫力がなかったりしたりしたが、なんか、そういう細かい(?)ことがどうでもよくなる作品。
前回、哲也が怪我してるときに見たけど、今回の方がずっと楽しい。
それは哲也の存在かなと思う。
フランツというキャラクターの、あの浮気性だけど憎めない軽さは、残念ながら輪島さんや清水さんでは出せない(橋本さんだとどうだろう?)。
結局フランツは最後まで懲りたのか懲りてないのか分からないし、スワニルダも似たようなもんだし、コッペリウスは明らかになにも変わらずせっせと人形作り。
誰一人懲りてないこの作品には、軽い人間がメインを張るのに似合ってる。
哲也はフランツそのものなのです。
彼の中にある少年っぽさを凝縮するとフランツになると思う。
浮気者でお調子者で、それは根っからで直るものではなくて、でもそこが腹が立つんじゃなくって「もう、仕方ないなあ」と笑ってすませられるような性質。
スワニルダが好きだけどコッペリアはかわいいから投げキッスをとばすし、ジプシーはミステリアスで魅力的だからちょっと踊ってみたいし、そういうあたりがスワニルダには申し訳ないけどかわいいなと思ってしまう。
踊りについては回転はいいけど跳躍はどんどん衰えてるなあ・・・。
昔はなにをやっても素晴らしかったけど、今は「素晴らしい」踊りのパターンが少なくて、振りのバリエーションが減ったと思う。
でもフランツについてはそんなことをさしおいて、彼がそこでにこにこ笑っていれば、それでいいやと思ってしまう。
お芝居の部分もおかしかったし。
1幕の終わりのはしごを持ってくるばか姿とか、2幕のコッペリウスのやり取りとか、本当に楽しいです。
荒井さんのスワニルダは本当にかわいい。
神戸さんのかわいさはちょっと小悪魔的でコケティッシュだけど、荒井さんのかわいさは幼いかわいらしさ。
年を経るごとにどんどん幼くなるのだから、プロってすごい。
ちょっとふくれっ面してみたり、すねてみたりするしぐさがとってもかわいい。
足裁きもとっても細やかで軽やか。
個人的には遅沢ジプシーに八つ当たりをするようにしていたのがとっても好きでした。
あと、2幕で中国人形の動きをまねるところとか。
もう、本当に、目が溶けそうなくらいかわいいなあ。
麦穂を振っても音がしないとフランツが言うときも、その寂しそうな顔がとってもかわいいのだ。
フランツはそういうスワニルダの女の子っぽさが苦手のようだけど、見ている分にはかわいくって仕方なかった。
コッペリウスの家に忍び込んだり、そのほかいたずらをするのも彼女が意地悪だからと言うより幼い愚かさといった感じ。
ただちょっと気になったのが彼女の足の強さ。
荒井さんと言えばその鉄壁さが魅力だったのですが、ここしばらくその完璧ぶりにかげりが見えるような・・・・。
若干気になっています。
キャシディさんのコッペリウス。
いつ見てもいいなあと思います。
カーテンコールまで完璧に「コッペリウス」のまま。
カーテンコールで最後に出てきたのに、真ん中じゃなくってスワニルダと祈りの隣に行くのが、「男なんかの隣になんかいられるか!」というコッペリウスの気持ちそのままで素敵。
そのあと、じっとスワニルダを見ていたり、それを彼女がたしなめたり、いや、ほんと、カーテンコールまでおいしいです。
かわいいというか、マスコットというか・・・。
一歩間違えばただのきもいおっさんなのに、なんだかにこにこしながら見ることのできる不思議な人です。
動きの一つ一つが自然なのにどこかおかしい。
しかめっ面なのに、どこかかわいい。
動きが鈍いようでリフトのタイミングは相変わらず完璧。
彼が幸せそうにしていればこっちも幸せな気分になるし、困り果てる姿はどこかかわいらしく笑みがこぼれてしまう。
コッペリアが動いたと思えば嬉しそうにお辞儀をし、本気で振り回され、本を破られて途方にくれる。
ああ、やっぱりかわいくっていいなあ。
3幕でコッペリアを直してもらって、機嫌を良くして家に帰る途中、仕事の踊りの姫ちゃんとちょっと仲よさげに手を振ったところで気分がなんとなくほっこりしました。
狂喜乱舞したのは遅沢さんのジプシー!
この人はこういうアウトローな役を演じると異常に光ります。
もうプリンシパルになっちゃったから踊らないと思ったよ・・・(涙)。
でも、見てみるとしみじみ分かる、この役はこの人以外に踊れない。
女ジプシー3人を束ねる存在感と、異端者であるという雰囲気。
短い登場時間でそれを明確に表現できるのは彼だけ。
できればもっと踊ってほしかったけど、作品の流れを阻害するからできないのかなあ。
ほんのわずかの彼の踊りは、びっくりするほどシャープで美しかった。
特別難しくはないのだろうけど、一つ一つの所作が、「完璧」というのにふさわしい動きだった。
ちなみに彼がカーテンコールででてきたのには笑ってしまうかと思った。
さすが、プリンシパルは扱いが違う。
(近頃なくなったけど、こういう小さな役にうまい人が出るという贅沢も、たまにはやってほしいもんだ)
しかし恰好がアウトローだから、コッペリウスを囲んで盛り上がっているシーンは何となく妙な感じでした(笑)。
それにしても、荒井さんはかわいいし、哲也はおばかだし、コッペリウスさんはマスコットだし、遅沢さんは色っぽいし、ああ、神様、私はどこを見たらいいの!?
ピーター・ライト版も見たことはありますが、私はやっぱりK版が好き。
曲の順番が独特だったり、コッペリアの作品じゃない曲が入ってたりして正統派じゃないのでしょうが、話がとんとん進んでいくのが楽しい。
とても分かりやすく起伏に富んでいて、にこにこ笑っているうちに幕が下りる。
コッペリウスが主役というのはどこの版もある意味同じと思うけど、報われない学ばない、懲りずに人形を作り続けるそのひたむきさというかばかさというか、そういうところが好き。
報われるからでなく、好きだから続けるコッペリウスの姿を見ていると、なんだか幸せな気分になるのです。
2幕のコッペリウスとスワニルダのやりとりが好き。
愛する人形が動いた喜びがいちいちかわいらしい。
そして思いの外コッペリア(スワニルダ)が手に負えないおてんばで途方に暮れている姿がとてもかわいらしい。
それは幸せの姿の一つなのかなと思うと、それはそれで切なくもあるのだけど。
2幕のはじめは人形たちは好き勝手動いていたけど、2幕の終わりではほとんどその場で動かない。
けれど人形でないスワニルダは手足を伸ばし、コッペリウスの手の届かないところへ飛び出していく。
人形との対比で、スワニルダがとても自由に見えるのが好き。
3幕でコッペリウスは半狂乱になっているけど、それを癒すのがぴちぴちの若い娘さんを巻き尺ではかること、そしてきれいに着飾ったコッペリアを受け取ることというのが好き。
宿屋のおやじもなかなかナイスな男です。
この作品のコーダを見ると、何ともいえない幸せな気分になる。
私も一緒に手をつないで、踊りたくなる。
幸せが舞台からぽろぽろこぼれて、こっちも幸せな気分に、楽しい気分になる。
弾むような音楽、笑顔で踊る人々、幸せを振りまくスワニルダとフランツ、そして相変わらずのコッペリウスさん。
ああ、なんて人生は素晴らしいんだろう!
そんな風に自然に思える素敵な終幕です。
さて、踊りの話に戻りますが、個人的に忘れてはならない星野姫ちゃん!
今回はコッペリアでした。
お人形のようにかわいらしい〜。
この作品である意味一番大変な役。
三幕は「仕事の踊り」を踊っていました。
相変わらずのかわいらしい踊りに癒されました。
日向さんはスワニルダの友達。
かわいらしいけど、やっぱり手足がちょっと堅いなあ・・・。
浅川さんの祈りは若干安定感にかけましたが、相変わらず美しかったです。
白という色さえ持たない、透明な踊り。
光も放たずただ透明であるという美しさが、祈りというこの役にぴったりでした。
でも、回転はしっかりお願いします。
ところでKバレエの女性ソリスト不足ぶりはもう突っ込みたくもないのですが、今回は男性もちょっといまいち。
フランツの友人にビャンバさんも伊坂さんも浅田さんもいなくって、そりゃ西野さんはかっこいいけど、ちょっとさみしい男性陣でした。
ちなみにビャンバさんの宿屋の主人は楽しかったです。
この人はコミカルな役を含め、癖のある役を演じると光ります。
(モンゴルでは王子ばっかりだったとは、なんかもったいない気もする・・・)
細かいところにつっこみはありつつも、「ま、いっか」。
完璧な舞台も大切ですが、最終的に大切なのは「いろいろ言いたいけど、楽しいから良いか」と思えることだと思います。
そういう意味で、相変わらず素晴らしい舞台でした。
[1668] ゆず (2010/10/03(Sun) 22:24:52)
楽しい思い出
こんばんは、こちらでははじめまして。
コメント、ありがとうございます!
yfkuriさんは06年のコッペリア、ご覧になってたんですね〜!
うらやましいです。
私もそのころバレエをぼちぼち見始めたばかりだったので、見てないんですよ。
(その前の週にやっていた眠りのほうと、芳賀&神戸の組み合わせで見ました)
Kバレエのコッペリアは本当に楽しいですよね。
キャシディさんはKバレエの作品に物語としてのふくらみを与えてくれる人ですが、その筆頭がこの作品だなあと思います。
バレエっぽさはぱっと見なくても抜群のリフトのタイミングとその演技力がさすが元ロイヤルの人!と思わせてくれます。
彼と哲也の2幕でのばかばかしいやり取りは何度見ても楽しいです。
哲也のフランツも、まさに「そのもの」で大好きです。
女性に対してふらふら目移りしてしまうというのより、あの、何をしても憎めないところとかが彼そのものなのかなと思います。
一つのところにおさまってないというのも、確かにそのとおりですね(笑)。
遅沢さんについては、自分でもなんであんなに見ていたのかわかりません(苦笑)。
でも、中央に出た時は結構目立ってたみたいで、休憩中に彼のこと、名前は分からなくともジプシーのことを話している人が結構いて、ちょっと嬉しかったです。
月曜日は松岡さんが祈りだったんですね、う〜ん、まさにベストキャストの日!
松岡さんは本当にきれいだから、あの1シーンだけというのはもったいないです。
yfkuriさんの感想を読んでいて、私も一週間前の楽しい思い出がまた蘇ってきました!
たまには、こういう頭を使わない、幸せになるだけの作品もいいですね〜。
[1671] ゆず (2010/10/10(Sun) 01:07:26)
Re:コッペリア(2010/10/02)
こちらでは初めまして♪
6日(月)に観てきました!
初心者にもわかり易いようによどみなく演出してある熊川版「コッペリア」は
本当に楽しかったです☆終始笑顔になれて幸せでした☆
バレエを見始めてまだ日の浅い06年に(今もまだ初心者です^^;)
主役3人同キャストで観ましたが、昨日もおきゃん度は変わらず!
熊川さんがフランツにハマるのは地のままで行けるからでしょうね♪
先日のJ-waveゲスト出演でも語っておられましたし☆
憎めなさは勿論ですが、女性はいざ知らず
視野が広くてひとつところに治まらないって部分は本当に言えてるかも(笑)
コッペリウスが憐れにならず 憎めない爺さんとして描かれているから
最後まで明るく楽しめますね☆
彼のたっぷりな演技力のお陰で
他の作品もどんなに豊かなものになっていることかと思います。
キャシディさん、やはりKバレエになくてはならない存在です☆
遅様♪やはり長身族ならではの舞の大きさは素敵でした♪
決して華はないけど 代わりに影のある役どころに異彩を放ってますよね!
yuzuさんみたいに“遅様ズーム"出来ませんでしたけど(^^)
昨日の祈りは松岡さん♪
衣装で首筋から腕全体が隠れていたのはもったいなかったわ〜☆
yuzuさんの生き生きした感想まるごとそのまま、私も同感です!☆☆☆
[1670] yfkuri (2010/10/05(Tue) 18:59:01)
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