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Notre Dame de Paris(2013/03/17)

シアターオーブ
★★★★★

 たーのーしーかったー!

 初めて行ったロンドンでなぜか一番気に入ったのがこの作品。もう一度行きたいと思いつつも、日程があわなかったりただのドイツ語圏俳優の追っかけと化したりツアー版は日本までこなかったりで結局オーブに来てくれてようやく久しぶりの再会を果たしました。本当はそれこそ通いつめるほど行きたかったのですが、仕事が繁忙期かつKバレエの公演と重なったりで、結局2回しか見れませんでした・・・うう、暇ならアンダーキャストも全制覇したのに・・・。

 2週間前の1回目は最前列のかぶりつき席で、2回目の今回は2階から見ました。この選択は正解でした。初見だったら1回目に最前列というのは全体を見ることも字幕を見ることもできなくてどうしようもない席だったでしょうが、作品としては見てますしDVDを繰り返してみてるので特に気になりませんでした。そして細かいところを見ずに全体を見ると割り切れた2階席は照明やダンスが本当に素晴らしく、感動的でさえありました。オーブは決して狭い劇場ではありませんが、とても狭く感じました。ダンサーもある程度人数がいるのは確かなのですが、それ以上に劇場の端から端まで縦横無尽に駆け回る。そしてアクロバット要素の強いダンスは空中もよく使っていて、2階席から見ていても同じ高さで踊っている人がいるということに驚きました。空中も含めてこれほど隙間なく使う演出は珍しいと思いますし、また、大きな劇場はこう使うべきではないかと感じさせられました。演奏はテープですが、実際のところこの作品にはこれであっているのではないかと思います。オーケストラ演奏のいいところは演じる者に合わせることができるという面もあると思うのですが、この作品はソロで歌ったり踊ったりするシーンが極端に少ない。ソロで歌っていても結構な割合で背後にダンサーがいます。背後にダンサーがいることを考えると、演奏もダンスに合わせなくてはいけません。ダンスも一人のダンサーに会わせるわけではないので、100回再生しても同じテンポになるテープ演奏の方がこの作品には向いているのではないかと感じました。また、テープとはいえ楽器一つ一つの音を感じる良質なものなので、不満をあまり感じなかったというのもあると思います。

 えーと、さすがに10年もファンやってて、10年ぶりともなるとなにから語ったらいいのか分かりませんが・・・。
 オリジナルキャストに特別執着のある人間ではありませんので、キャストについては特に不満なし。「いつも見ている、きいている人たち(各国のCDやDVD)」と違うのに、ちゃんとイメージ通りのキャラクターで驚きました。
 カジモドはしゃがれ声も出ますが、元は澄んだ美しい青年の声なんだろうなと感じる声。醜い姿、一途な愛、そしてそれらが醸し出す全体的な哀れさ。切々と訴える声が押しつけがましくなく、心に染み渡ってきました。
 フロロは渋い声が本当に素敵。そして濃いい顔立ちがまた素敵。彼は主役の一人に見えますが、なぜかと思ったら結局彼がタイトルである「ノートルダム・ド・パリ」を一人背負っているのですね。愛によって破滅する男の一人であり、古い教会の権威の象徴。彼が主役というより、彼がこの作品そのものなのかもしれません。そういいきれるほどの存在感は、さすがに、見事。頑なではあるけど、冷たく感じられつつも厳しい司教補佐そのものであった彼が、ただの執着心の固まりのストーカーになる姿はどこか必然性を感じつつも、どちらの姿もとても自然でした。
 グランゴワールは最初は違和感を感じたものの、「カテドラルの時代」が終わる頃にはすっかり引き込まれました。個性を感じられるけど美しく伸びやかでぶれのない声、特別ハンサムではないけど魅力的な容姿、ちょっとひょうきんなところもフロロと宗教について語れるほどの知性を感じられるところも、すべて好きです。狂言回しとして物語を引っ張っていきつつも、登場時間が長いけれど悪目立ちせず、しかし最後までしっかり存在感を残しているバランス感覚がさすが、絶妙です。
 エスメラルダは、今日は若干調子が悪いように感じました。彼女はフルール・ド・リのソプラノとは逆に地声を聞かせるキャラクターだと思うのですが、残念ながらあまりそれを感じませんでした。2幕ではちょっと持ち直してくれて一安心。しかし、かわいらしいエスメラルダでした。ここ1、2年で急に大人になったという風情で、今まで子供扱いして相手にしてもらえなかったのに、ようやく大人扱いしてもらえるようになって無邪気に喜んでいる。内面が子供なのに体だけ成長してしまった10代の娘の危うさの固まりみたいで、色っぽさと子供っぽさがちょうど両立していました。スタイルがいいので妖艶に見えるときもあるのですが、踊ったときの手足の動きがどこか子供っぽい。あれは魅了されても仕方ない、そう思えました。
 クロパンはジプシーたちのリーダーでありエスメラルダの庇護者。濁った延びのある声がしびれるほどかっこいい!魂の底から絞り出すような声は、彼の歌う歌詞にぴったりでした。そしてエスメラルダの庇護者と感じる距離間が素敵。彼女を抱きしめても、それが男女の愛情でなく親が子に与えるものに等しいものとわかっる部分がとても好き。
 フェビュスは・・・ええと、いいから一発殴らせろ。いい曲は歌うけれど、これほど損な役回りもないですよねえ。「最低のくず男」と思わせてなんぼの役ですから。憎まれて当然の悪役ともちょっと違いますし。美しく好青年と思わせる声に、「ご自慢の顔」といいたくなる顔立ち。いや、ほんと殴らせろ(誉めてます)。
 原作とミュージカルでは細かいところの描写が違いますが、ミュージカルの造形が好きなのがフルール・ド・リ。小さな顔にブロンド、白い肌にピンクのドレス。「いいおうちのお嬢さん」というイメージを体現したような存在だと思います。夢見る少女が「女」という化け物になってしまうのが彼女のおもしろさだと思います。まだ幼さを残しつつも冷たい女に化けた彼女は本当に素敵。結局彼女が最終的にフェビュスの手綱を握ると感じられるから、フェビュスのことがまあ許せなくないのかもしれません。まあ、それはいいとして一発殴らせろ、フェビュス。

 正直、この作品は見る人を選ぶと思っていました。暗いし、小難しいし、宗教的だし、死にまくるし、とりあえずフェビュスはぶん殴りたいし。けれどミュージカル好きのみなさんが見に行って「おもしろかった」と言っている人が結構いて、ほっとしたような、驚いたような不思議な気持ちです。癖のある作品ですが、音楽がいいこと、そして出演者のレベルが高いことは確かです。いろいろ教訓じみた話や哲学的な歌詞はありますが、それになにも感じなくても、ただ曲がきれい、アクロバットがすごいだけでも満足できますし、それを許してくれる作品だと思います。興業的にどうだったか知りませせんが、再来日を望む声がすでにそこかしこで聞こえるのがうれしいです。遠い未来でも近い未来でも、もう一度会えますように。

[1978] ゆず (2013/03/19(Tue) 00:14:44)




不思議な作品

こんにちは、読んでいただいてありがとうございます。
実際舞台をご覧になってどうだったかなと、ひとりそわそわしております。
色々小難しい作品ですが、細かいところをすっぱり忘れて珍しいタイプの音楽に聴きほれ、ダンスに目を奪われる、それだけで十分だと思うのです。
私もそこからスタートして、気付いたら今日までどっぷりファンです(笑)。
パルメさんのノートルダムとの出会いがいいものでありますように。

[1980] ゆず (2013/03/22(Fri) 00:00:16)




詳しく有難うございます

こんにちは。

初見にあたり、楽しみな反面、果たして自分がこの作品を気に入るか、理解できるのか・・と、同じくらい不安と言うか心配もあります。
ですが、最後の4行で不安や心配より、まずはノートルダムの世界に身を委ねてみよう、そんな気になりました。

いよいよ明日、ノートルダムデビューです♪

[1979] パルメ (2013/03/20(Wed) 23:08:18)



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