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モーツァルト!ブダペスト版感想・その10

 これでようやく終わりです。お付き合いくださった方、ありがとうございました。
 と綺麗に締めたいんですが、えーと、もし万が一にでもブダペスト版M!が見に行けそうな方は、この先は無かったことにしてください。この作品の終わり方、とても気に入ってます。まとまりもいいし、分かりやすいし、印象的。だから、万が一にも見に行けそうな方には実際にその目で見て欲しいなと。前情報何もいれずに見に行った私は、本当に寒気がするほど感動しました。そんなわけで、もし可能性があるのなら、見に行ってみてください。出演者さんは色々変わるでしょうが、この演出は早々は変わらないと思いますから・・・多分。
 ↑多分、長々書いてきて、一番言いたかったことこれです(笑)。

MOZART LAKASA A RAUHENSTEINGASSEN
(モーツァルトの死)
 いつものように曲を書いてるアマデ、その隣で、憔悴しきった様子で座って(横たえわって?)いるヴォルフガング。前のシーンの明るさとつながんないんだよななんていう突っ込みを許さないような雰囲気でした。もうすっかり生気がなくなっていて、アマデが腕に音叉のを刺しても血が出てこないのが分かった。アマデは相変わらず「書けないと困る」というような雰囲気だった。心臓に血があるという説明を受けても、ただ彼の中にあるのは「書きたい」という気持ちだけのように思いました。アマデを抱きしめて「僕こそ音楽」を歌うヴォルフガング。あれほど明るくって光り輝いて伸びやかだったヴォルフガング。落ち窪んだ目と弱りきった表情の向こうにきれいな目だけがそのまま残っていました。追い詰められた雰囲気と、伸びやかな声と、陰と陽が怖いくらいはっきりしていた。そんなヴォルフガングの頬に、アマデがキスをする。ヴォルフガングが呆然とした目をしていて、それがとても怖かった。そのまま、アマデは彼の胸に音叉を突き刺す。とたん、ふたりとも崩れ落ちて動かなくなった。短いシーンだったけどとても緊張感のある、壮絶なシーンだった。

FINALE(Mozart, Mozart!)
(Mozart, Mozart!:モーツァルト,モーツァルト!)
 コンスタンツェとメスマー博士がわいわいやってる後ろで、「Mozart, Mozart!」という声が聞こえてくる。なんかこれを聞いてると「死んだらもてはやす〜♪」という言葉が思い出されて仕方ありませんでした。死んだからもてはやしに来たよ!
 円盤の周りに、手に花を持った人々が集まってくる。得にモーツァルトにゆかりの深かった人たちは円盤の上に集まっていった。それを見ているとなんとなく「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトがいたために不幸になった、あるいはまっとうな人生を送ることが出来なくなった人々」という言葉が浮かんできました。皆さん、とにかく暗い表情をしているのがその思いに拍車をかける。
 やがて、アマデが音もなくむくりと起き上がる。舞台の中央奥に向かって、円盤を越えて軽やかにかけていく。ヴォルフガングも何とか起き上がる。起き上がって、何とか這いながらアマデの後ろを追っていく。でも彼は円盤の上から転がり落ちてしまう。円盤の下の奈落に落ちたヴォルフガング。彼は彼の墓に入った(ここが「Az Egyszeru ut」でのコロレドに重なるかもしれないと思ったのは帰国してから)。円盤に向かって花を手向ける人々(これがあるから私はこの円盤を「墓」と呼ぶ)。皆が一斉に投げる中、ずいぶんと正気を取り戻していたコロレドだけが他の人よりも遅れて花を手向けていたのが印象的だった。そして曲もクライマックス、「神がつかわした」あたりかな、上手に指揮をするアマデの姿が浮かび上がる。1幕の冒頭と変わらぬその姿を見たとき、まさに「総毛立つ」とでも言いたくなるような気がしました。そして最後、本当に最後の一瞬、そんなアマデの後ろにヴォルフガングの姿が浮かび上がりました。一瞬だったのでよく見えなかったのですが、そこにいたのは今まで見てきた明るくお馬鹿な坊やじゃなくって、その抜け殻のように見えました。その直後に暗転して、終わり。「影を逃れて」はありません。というか、この後に何か曲があることなんて考えられないくらい綺麗にまとまったラストでした。台詞はひとっことも分かりませんが、「ああ、そういうことか」と素直に納得できる、語ってることは少ないけど、分かりやすくって面白いラストでした。この終わり方があるから、私はブダペスト版に特別な愛着を抱いています。

カーテンコール
 カーテンコールのときも真ん中に円盤はありました。他のキャストさんたちはその円盤の周りを通って舞台の前に出てきてました。ヴォルフガングとアマデだけその上を通っていたのが、最後の最後まで象徴的。
 ラストは幕に付いてた小さい扉からキャストの皆さんがちょこちょこと顔を出してご挨拶。これがまたなんかかわいかった♪
 そしてカーテンコールの間中も一切笑顔を見せなかったソワレのコロレド。ずーーーーっと無表情でした。うーん・・・なんか分からないけど、さすがだ・・・・。

[207] ゆず (2005/07/12(Tue) 00:40:41)



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