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二都物語(2013/08/03)

 感想を一言でいってしまうと「困った」。いろいろと、どうしたらいいもんだか・・・。
 前触れもなくネガティブトーク始まりますので、以下は続きで。


 客観的に見ると悪い作品じゃなかったです。曲は特別良くはありませんが、特に悪くはない。演出は若干場所を持て余してるきもしましたが、悪くなかったです。シンプルなセットも板をうまく使ったところも良かったのですが、2階から見たせいかセットがちゃちく見えてしまったのが残念でした。ストーリーが堅実なのでシンプルなセットでということはわかるのですが、劇場に対してしょぼく見えてしまったのはちょっと残念でした。もう少し小さい劇場だったらぴたりとはまった気はします。
 キャストは悪くはないし、うまいのですが、特別良くはなかったかなと。たしかに、みなさまうまいです。うまいけど、そこまで言うほどでもないという気がしました。特にメインの3人が「この人たちでなくてはならない」という絶対的なバランスを感じなかったのが残念でした。シドニーの飲んだくれ弁護士具合も、ルーシーのどこか世間ずれした純粋さも、チャールズの品の良いまっすぐさも良かったです。けれどたとえばシドニーとチャールズが並んだとき、服を取り替えてシャッフルしてもどちらが飲んだくれ弁護士で貴族かということがわかるかというとそうでもなかったですし、ルーシーはシドニーと並んでもチャールズと並んでも、何かバランスが悪い。うまいんだけど、それ以上でないというのがちょっと引っかかりました。最近どんどん贅沢になってる気はするのですが、「キャスト」が売りならバランスの良さも目指してほしいなあと思います・・・「うまい人」をそろえるのが東宝の限界なのかなとちょっと思ってしまいました・・・。
 わき役まで見ると若干「役不足」を感じることはあれど、みなさま歌も演技も達者だし、オーケストラも重厚で音の面でストレスがたまることはありませんでした。(ただ、そのあとソワレでバレエ見に行っちゃったんで、オケのインパクトは薄くなっちゃいました、ごめんなさい)

 悪くはなかったんです、悪いところがあったのはむしろ私の内面だというのはわかってるんです・・・。
 自堕落な人生を送るのではなく、誰かのために犠牲となり若くして人生を終える・・・。
 これ、私が理想とする人生です(笑)。人生はやり直せないからはよ生まれ変わってこんどは健康な体になりたいわとか、結構日常的に思ってる。目的なく生きるより、誰かのために死ぬ方がいい・・・その方が幸せだと思っている人間にとって、この物語の終わり方は「ほーら、私の思った通りじゃないの!」としか思えなかったのですよ(笑)。しかも、死にゆく前、もっとも心細いであろう瞬間、自分の死が確かに自分の思った通り人を救えるのか疑う瞬間、他者の手を握っていられる。自分は無価値じゃないと感じながら時間を過ごすことができる・・・なるほど、そのほうが私が思っていたよりベターです。最後の方はシドニーがうらやましくてうらやましくて・・・何で私は彼のように生きられないのかと思ってしまいました。とても美しく幸福感のあるラストで・・・ああ、何度思い出してもうらやましいです
 だから正直、終わってからしんどかったです。残念ながら、私はシドニーみたいになれないから。

 シドニーがなぜ自堕落だったかわからなかったからかもしれません、どこか品の良さがあって、ちゃんと仕事があるから、十分やり直せると思えたからかもしれません。最初から最後まで自分の命に執着がなかったように見えたからかもしれません。自分の命に執着がない者が、自分の命を投げ出す理由を見つけてそのまま自分の命を手放しただけ、そしてその引き替えに人生という戦いにこれ以上挑むことなく、最高の幸福を手に入れただけ。私にとってはそういう作品でした。

 私にとって、この作品がミュージカルというより芝居のように思えたのが悪い方向に作用したかもしれません。ミュージカルは物語が理解できなくても音楽に身をゆだねることができますが、それができなかった。また、そうやって音楽に身をゆだねることができるのがミュージカルの良さだと思っているので、作品の方向性が全くあわなかったのかもしれません。(これと逆だったのだ直後に見たアメリカン・イディオット。音楽中心で物語があるんだかないんだかのレベルで話が進んで行きます。テーマを受け止めることはできなかったけど、音楽があったからとても心地いい時間を過ごすことができた)
 でも一番困ったのは、この作品を私自身はとても期待していたことだったりします。珍しく開幕前にチケットを手にしていましたし、プロモーションを見ても最近の東宝の作品にしては珍しく歌にけちを付ける隙がなかった。久しぶりにこれだけの好条件がそろったのに、私はこの作品を楽しむことができなかった。じゃあ、私は日本でどのミュージカルを見ればいいんだろう。それが、一番「困ったこと」かもしれません。

 余談。
 この話を見たあと色々しんどかったので記憶にある好きな作品に浸っていたのですが、その一つが「フリードリヒ」。ドイツの地方都市のミュージカルプロダクションですが、二都と逆・・・とまでは言いませんが、私が求めてるのはこっちかなあと思ったのでした。ざっくり言ってしまうとこちらは主人公が生き残りその親友が殺されるのですが、昔のように朗らかに笑えなくなっても生き続けなくてはならない物語が好みでしたし、メインキャストの若手3人がそれぞれ年齢的には20代半ばくらいなのですが、王子、その姉、士官という組み合わせのバランスが年齢、声質、体型すべてに至るまでバランスがよく、良く見つけてきたなあと思えるところも好きです。・・・などと思いながら上記の感想を書いておりました。

[2275] ゆず (2013/08/13(Tue) 22:55:22)



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