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Kバレエ くるみ割り人形(2013/12/22) マチネ
マリー姫:佐々部佳代
くるみ割り人形/王子:池本祥真
ドロッセルマイヤー:杉野慧
クララ:河合有里子
雪の女王:中村春奈
雪の王:遅沢佑介
赤坂ACTシアター
★★★★☆
本音を言ってしまうと、キャストが発表されたときは喜びつつ、作品として成立するか心配になりました。Kのくるみはドロッセルマイヤーさえこけなければなんの問題もなく楽しめる作品です。万が一ドロッセルマイヤーが半端でも、それは元来の作品通りマリー姫とくるみ割り王子がフィナーレを美しくもり立てれば十分に楽しめます。ところが、ドロッセルマイヤーとマリー姫とくるみ割り王子が初役。雪の女王と王は鉄壁の中村&遅沢ですが、このふたりは登場時間が短く、とても作品全体を支えられるとは思いません。どうなってしまうのかと思いつつも、それはファンの性として若手のデビューを見守りに行くくらいの気持ちで出かけました。
不安だらけだったのに、これがすっごい楽しかった!ファンの贔屓目はあるにしろ、瑞々しさと安定感のある、大変おもしろい公演でした。
まず、パーティーのシーンの底支えをしていたのはヘイドンさんによるシュタールバウム氏でした。昨日の公演からやたら目を引く方でしたが、今日はこの役が彼でなくてはならない意味を感じました。ヨーロッパの上流家庭のクリスマスパーティーという華やかな雰囲気を、彼の品のいい佇まいが盛り立てていたのは間違いありません。では、本来その役割であるドロッセルマイヤーが目を引かなかったかというと、確かにヘイドンさんには劣りますが、十分すぎるほど楽しませてくれました。前方席で見ていたために後方までそれが伝わっていたか分かりませんが、若干服に「着られている」ところはありつつも、伸びやかに舞台全体に伝えようと動くよう姿は大変心地よかったです。なにより舞台の端でパーティーのお客さんたちと話す姿がとても饒舌で、これは外れないと確信できました。
印象的だったのはパーティーが終わってから。招待客が帰っていき、子供たちと夫人が部屋に戻っていき、主人が召使いたちに仕事の終わりを告げ、ろうそくの明かりが落とされる。元々大好きな演出なのですが、ろうそくを消す老人、そして主人に存在感があり、静かなシーンなのですが「これから何か起こりそう」という期待が高まるシーンでした。クララはとてもかわいらしく、ねずみたちにくるみ割り人形をとられて途方に暮れた後で勇気を振り絞っておとぎの世界に飛び込んでいく様子がとても自然でした。そしてドロッセルマイヤーが世界を変えていく。動きは驚くほどキャシディさんと似ていました。けれどキャシディさんが美しく物語を彩るなら、杉野さんはその若々しい勢いで世界を切り開いていく感じがしました。Kバレエのドロッセルマイヤーは「彼さえきちんとしていれば作品は失敗しない」と言われてきた役です。その難しさはよく知っていると思います。その役をこれほど堂々と、不安も畏怖もなく踊れることに驚きました。
池本さんの踊りについては不安はいっさいありませんでした。ボリショイ育ちらしいきれいなポジションと伸びやかな踊り。くるみ割り人形のきびきびとした動きは彼の個性に合っていて、青年将校らしさも引き立ちました(くるみ割り人形は小さい方が栄えるのではと失礼なことも思ったり)。驚いたのは王子に戻ってから。これほど柔らかく踊り、あたたかく微笑む人だとは思いませんでした。ハンサムとはいいがたい(失礼)顔立ちですが、踊りと笑い方で、ちゃんと王子に見えることに驚きました。なにより、ほっそりとした足に白いタイツがとてもよく似合っていました。
・・・ここまでが素敵だったんで、パドトロワは見なかったことにしてあげます・・・。
雪の女王と王は出てきただけでわくわくするような貫禄。ただ驚いたことに、遅沢王がいまいち盛り上がりに欠けました。確かに堂々とした踊りで雰囲気はあるのですが、明らかに途中で息切れを起こしていましたし、リフトが1回変になっていましたし、昨日主演を踊ったとはいえプリンシパルなのだからもう一息なにか欲しいと思ってしまいました。逆にすばらしかったのが中村女王。堂々とした踊りは余裕すら感じさせ、最後まで息切れなく、安定した踊りを見せてくれました。アームスも柔らかく、いつか主演で見てみたいと思わせる存在感がありました。
1幕が終わった段階で、驚くほど楽しい公演だと確信できました。2幕ももちろん楽しかったのですが、困ったのが佐々部さんのマリー姫。マリー姫は若手抜擢もある主演ですのでそれほど難しいことを求める気はないのですが、初主演でもないしファーストソリストなのに、ちょっと精彩に欠ける踊りでした(ソリストだったらこれで十分かとは思います)。難しいことを言われたとおりにこなしているのは分かるのですが、それ以上のものがない。時折ちゃんと踊れているか不安に思っているように見えて、お稽古を見ている気がしてしまいました。技術はあると思うのですが、マリー姫としてなにを感じているか感じられなかったのが残念でした。
2幕は踊り見てるんだかドロッセルマイヤーとクララ見てるんだかわからなくなることがあるのですが、今回も分からなくなりました。それくらい、見ていて楽しいふたりでした。各国の踊りについてあれこれ楽しそうに話している姿が本当に楽しくて!クララはどこか踊りたそうに見えて、だからドロッセルマイヤーが踊り始めたときいても立ってもいられず立ち上がったのは納得ですし、ふたりが一緒に踊り始めるのもとても自然でした。踊りが難しかったりリフトが絡むとふたりとも若干目が泳ぐのはご愛敬(苦笑)。最後の人形たちへのご挨拶まで、楽しませていただきました。
昨日の公演のマリー姫とくるみ割り王子のグランパドドゥが愛と幸福にあふれた結婚式だったので、今日は物足りなさを感じました。池本さんのサポートが意外と様になっていたというよい点はありましたし、佐々部さんの踊りもちゃんとできていると本人に伝えたい位にはきれいでした。ではふたりの間になにか特別な魔力があったかというとそれがなく、それが不満でした。まあ、でもドロッセルマイヤーとクララが素敵だったので文句はありません(Kのくるみはそういう作品だと認識している)。
[2334] ゆず (2013/12/24(Tue) 01:19:28)
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