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ダディロングレッグズ(2014/03/09)
★★★★
シアタークリエ
評判がいい作品、ようやく見ることができました。当たり前ですが、日本語で見る新作はいいですねえ、分かりやすくて(笑)。そして、最後まで楽しさと好奇心を失うことなく見ることができて、とても楽しかったです。日本語もほぼすべて聞き取れるけど作りものめいた言い方じゃないのがすてき。
なにはなくとも真綾ちゃんのジルーシャのかわいかったこと!下手側に座っていたこともあり、とても近い距離で彼女のくるくる変わる表情を見ることができたのが楽しかったです。なんて生き生きとしているんでしょう!とにかく彼女がかわいくってかわいくって仕方なくって、それだけで幸せな時間でした。「孤児院で育った」という湿っぽさはないけれど、なにか特別な物を持っているとは思えなかった女の子が、だんだんと変わっていく姿がとても魅力的でした。服装もとても分かりやすかった。最初の孤児院の服はやはり子供っぽかったけど、スカートになるだけで雰囲気ががらりと変わる。でも、あのジャケットは幕開きの頃の彼女に着せても似合わなかったと思う。背筋がしゃんと伸びて足取り軽やかで、ニューヨークもそりゃ颯爽と歩けると思う。牧場でのエプロン姿も大変かわいらしかったです。ゆっくりとだけど、確実に大人になっていく。それを確かに感じることができました。
そして脚本と、なにより演出が素敵でした!こういう、少ない物を使って場面を想像させる作品って好きです。堂々とセット(小道具)を動かしているのだけど、それが全く不自然に感じないのがおもしろかった。席の関係で窓の外の景色は見えませんでしたが、照明で季節が分かるし、牧場の開放感は伝わってくる。そして同じ空間に見えてちゃんとジャービスの部屋が別の空間に見える。想像力の大切さを口にするジルーシャを象徴するようにこちらの想像力を試されるような作品ともとれますが、過剰にならず、けれど不足することもなく描かれている情景を伝えてくれました。個人的には二人で過ごした牧場のエピソードが好きです。ちょうど私の目の前が小川だったらしく、やたらはしゃぐジャービスがかわいかったですし、荷物を大きく動かすので何事かと思ったらきれいに山の形になるのが素晴らしかった。そしてジルーシャがやりたいと行っていたけどできなかったこと、乗馬にしろ射撃にしろカヌーにしろ、それを一緒にやったというのが相変わらず大人げない(笑)。そして山に登って雨に降られての雨宿りのシーン。幻想的と言ってもいいほどきれいなシーンで、だからこそこのとき見上げた月がジルーシャの心に残り、後々サリーと同じ場所を訪れたときにジャービスがいないことを寂しく思ったことも当然に思えました。
女性の立場についても深くつっこみすぎず、でも「学力を手に入れるために女の子らしさを捨ててはいけない」(曖昧)という言葉や参政権がないことをちらりと入れていて、時代の違いを感じさせる程度には女性の身分の低さを感じさせてくれてよかったです。
個人的に一番印象に残ったのが「チャリティ」のあと、ジルーシャが1000ドルの小切手を送ったこと。これで3000ドルすべてを返してしまったら、ジャービスがジルーシャに与えた物はなくなってしまう。もちろん孤児院にいた頃のジルーシャにはそれだけのお金を稼ぐことはできませんでしたし、全部返したからといってジャービスがジルーシャに与えたことが消えるわけではない。けど、ジャービスがジルーシャから与えられた物に等しい物を自分は与えてないと思っているのに、せめてあげていたお金すら返されてしまったら、本当にジャービスは与えられるばかりの側になるように、彼は感じているような気がしました。ジルーシャはまっすぐに前を見て、理事となって「ミスタースミス」に会おうとしていることも含め、心に残ったシーンです。
井上君、演技はよかったです。品があるのにどこか子供っぽいところがしっくりくる。ミスタースミスの秘書としてタイプライター打ってるところとか大好きでした。もちろんコメディの間のとり方も絶品だったし歌もうまいのですが、どうしても声をわざと低く出そうとしているように聞こえたのが引っかかりました。カーテンコールでのご挨拶の時の声の高さは好きです。あと、スーツってああいう物なんでしょうか。なんとなく、「仕立てたときから大病して痩せた」人が着ているように見えました。半端にぶかぶかに思えたんですよねえ…。
「ダディロングレッグズ」というタイトルはしっくりこなかったのですが、ジルーシャが見つけた蜘蛛のエピソードでちょっと納得しました。あのシーンはなんとなく「あしながおじさん」よりも「ダディ」のほうがしっくりする気がしました。なんとなくの、感覚的な響きなんですが。
派手な作品ではありませんが、クリエという劇場にぴったりの良作でした。珍しく誰に勧めても好きになってもらえるだろうと思える作品です。作品の作りもとても丁寧で、初見では見逃してしまった細かいこだわりも確かめたいと思っています。毎日見たい作品ではないけど、また再演があったら行きたいです。
[2385] ゆず (2014/05/28(Wed) 00:27:55)
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