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Kバレエ ロミオとジュリエット(2014/06/13)

ジュリエット:荒井祐子
ロミオ:宮尾俊太郎
マキューシオ:福田昂平
ベンヴォーリオ:栗山廉
ティボルト:杉野慧
ロザライン:浅野真由香
パリス:ニコライ・ヴィユウジャーニン

Bunkamura オーチャードホール
★★★☆

 Kバレエの若手公演はうまい具合に化学反応が起こらないとつらいということを如実に感じた公演でした・・・。くるみ、バヤデールといい具合に化学反応が起きた作品が続いてたから忘れてましたが、こういう、テンションがあがらず過ぎていってしまう公演があったことを、久しぶりに思い出しました・・・。
 先にまずかったことを言ってしまうと、荒井さんと宮尾さんはやっぱり相性が悪いと思います。再演に引き続き2回目だから・・・と思いましたが、残念ながらさっぱり心動かされませんでした。荒井さんのジュリエットはKバレエ初演で一番最初に見たジュリエットですが、本当に感動的で大好きですし、宮尾さんもうまく作品にはまればいいということをバヤデールで感じました。お互いの呼吸が伝わってこないと言うか・・・それぞれ以前よりうまくなっているのが分かるのに、バラバラの世界で踊っているようにさえ感じました。一目惚れの運命の恋は「なんで恋してるの?」と思わせちゃだめなんですよね・・・。荒井さんについてはその手の不満を感じたことはありませんし、宮尾さんもバヤデールでガムザッティと「運命の出会い」をしていました。そのとき感じた胸の高鳴りを今回は感じることができず、そして二人の若い故の疾走が物語の要となる作品では、二人の間の愛情が感じられなければほかがどんなにもり立ててもおもしろくないものだとしみじみ感じました。

 全体的に若手公演というせいもあってか、序盤が固く、さらに言えば主演カップルがあまり場を暖められず、なにが原因と言いきれないですが、盛り上がりに欠ける公演でした。今回が初役という人も多く、そういえば退団者多かったなあと久しぶりに思い出してしまいました。
 そんな中ですごく印象的だったのがまず井上さん。1幕の冒頭はこんな大きな役が付いたのは初めてであろう栗山ヴェンヴォーリオ(とても細身で端正、そして宮尾さん以上と思われる長身!)とこれまた抜擢と言っていい福田マキューシオががちがちに固く、まず盛り上がれませんでした。Kバレエのダンサーって飛んで跳ねてがうまいという以上に、舞台の上でいきる、演じる喜びを知っていると思うのですが、それが感じられない。若い、ある意味盛り上げ役と言っていい二人にそれを感じなくてどうしようかと思っていたのですが、そんな中見える井上さんの踊りがなんとも鮮烈なこと!一挙手一投足が流れ星のように強い光を放っており、しかし動きが正確で勢いがあり、思わず目がいきました。勝ち気でどこかコケティッシュ、みんなを引っ張って行けそうな姉御肌でもあり、大変魅力的でした。
 お目当ての杉野ティボルト、よかったです。2幕がとてもよかったので1幕を思うとまだ調整中だったかなと思うのですが、出てきた瞬間からぶち切れた目をしており、なんというか、作品に入れているという安心感がありました。若いなあと感じるところありつつ、帽子が似合わないなあと思うところはありつつ、でも臆すことなく舞台の真ん中にいる姿、切れてても品格を失わない所作がとても気に入りました。なんとなく剣の強いティボルト・・・という感じがしました。
 マキューシオベンヴォーリオはどこから・・・と言うわけでもありませんが、マキューシオが引っ張っていく形で徐々に作品に入っていった気がします。福田さんのマキューシオは品のよい端正さがあるけれどひょうひょうとつかみ所がなくそして女好き。2幕でいろんな娘さんたちと仲良くしていましたが、それが絵になるというかほほえましいというか、不思議な雰囲気です。ロミオの恋わずらいを心配したりベンヴォーリオを引っ張っていったり、若干兄貴風吹かせているところも好印象。後半になるほど足取りも軽くなり、ひょうひょうと生きていることそのものが楽しそう。不思議とあの奇抜な色の衣装も似合っており、最初はどうなるかと思いましたがとても好きになりました。ベンヴォーリオも話が進むにつれて個性が見えてきます。細身の長身ということで一瞬弟分に見えないのですが、どこかおっとりしている雰囲気が末っ子気質という雰囲気を感じました。踊りもさわやかというか軽やかと言うか・・・もうちょっと足先までコントロールできてる方が好みですが、あの長身なので今は厳しいかなあとも思います。先々楽しみです。
 もともとティボルト大好き人間なのでティボルトとマキューシオの決闘が結構クライマックスになりがちなのですが、今回は間違いなくそのパターンでした。まず酔っぱらいティボルトがすてき。多分、キャピュレット卿にこってりとしぼられたのでしょう。完全に前後不覚であり、けれど品格を失っておらず、ちゃんと色気も伴っているのに驚きました。うーん、このバランス、どうやって覚えたのかしら・・・。踊りにも安定感があり、ファンとして一安心です。マキューシオとの決闘シーンはお互いの力の加減を知ってるからこそと言うか・・・全く手加減なしという決闘で迫力がありました。このシーンはティボルトが弱い、マキューシオが強いどちらかを強く感じるのですが、今回は後者でした。1幕からティボルトは結構強いように思えたのですが、ひょうひょうとしていてマキューシオの腕前はそれ以上。ギャップ萌えと言いますか、迫力満点でなおかつティボルトを軽やかに手玉に取るマキューシオがとても魅力的に見えた瞬間でした。
 マキューシオの死はティボルトも見たいしマキューシオも見たいしで視線がさまよっておりましてなんとも言いがたいのですが・・・ティボルトの方を結構見ていたのですが、「自業自得だ」と言わんばかりの表情には空恐ろしさを感じます。目のはしにマキューシオが入る程度だったのですが、血が流れているという演技、程良く力の抜けた踊りが魅力的で、思わず見入っていました。
 ・・・と、このあとロミオとティボルトの決闘になるわけですが、今回一番印象的だったのはこのあたりでした。そのあと、あまり心に残らなかったのが残念です・・・。
 マンダリンボーイズ(勝手に命名)は皆さん良いバネを持っているので視線が定まらず大変でした、目が足りない・・・。とりあえず池本さんが相変わらず端正でつま先がきれいなのと、兼城さんが軽やかだったのが確認できたので満足します。2幕のモンタギューボーイズ(勝手に命名)の中に浜崎さんがいた気がします(キャスト表がないので自信なし)。足のラインがとってもきれいになってました。
 女性については大好きな日向さんがジュリエットの友人しか出ず、この役がいまいち好きになれないのでテンションが低いままです。浅野さんのロザラインは悪かったところはないのですが、でも印象が薄のも事実・・・。
 演出として大きな変更はなかったと思います。なにせ再演をあまり見てないので印象が薄のでよく分かりません。
 というわけで若干テンションいまいちですが、始まりましたロミジュリ月間、今回もちょっと通います。

[2390] ゆず (2014/06/13(Fri) 23:31:41)



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