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Kバレエ カルメン(2014/10/11) マチネ
ドン・ホセ:宮尾俊太郎
カルメン:佐々部佳代
エスカミーリョ:遅沢佑介
ミカエラ:浅野真由香
モラレス:伊坂文月
スニガ:スチュアート・キャシディ
バカな女とバカな男が自滅した話。ストーリーとして余りにも身も蓋もなくこれでいいのかと思ったけど、話の方向性としては二人とも同じ方向を見ていたのでよかったのかと思います。多分この二人、お互いに相手を愛したことなんて一瞬もない。
カルメンは「子供」でした。彼女の思い描く「世界」には自分しかいない。誰も彼もが自分を愛してくれるのが当たり前で、だからほほえみを投げかけている。ホセの気を引こうとしたのも彼だけが自分の方を振り向いてくれなかったから。自分と一緒にきてほしいといったのも別に彼を愛していたからでなく、そうやって自分を愛してくれる人に囲まれているのが好きだから。だからホセが自分を独占しようとした意味は分からなかったし、自分と一緒にいてうれしいはずなのに母親のことをミカエラと嘆くことも理解できなかったから、追い払った。本能のままに生きている子供。自由というよりはただ本能に流されるままに生きているだけ。そんなカルメンでした。
一方ホセはずっと流されていた。多分、彼も本心ではカルメンを愛していなかったんじゃないかと思います。ミカエラは愛情豊かだけど表現が慎ましやかだから、ホセに気持ちが届いてなかったんだろうと思います。だから愛情表現がはっきりしてる(ように見えるけど決して愛情ではない)カルメンが自分を愛していると勘違いしたんだと思います。カルメンを愛したと言うより、自分を愛してくれると思ったカルメンに流されたという感じ。驚くほど芯のない男です。ホセはカルメンが自分を愛してくれたと思ったから別の男たちと軽く戯れているのさえ理解できない。カルメンが自分だけを見てくれることを求めている・・・のだけど、そこまでカルメンを愛しているように見えないのがホセという男の芯のなさだと思います。
多分カルメンもホセも、お互いがなにか勘違いをしていることは気づきつつ、最後まで「住む世界が違う」ことに気づかなかったのではないかなあと思います。ホセはすでに破滅しているといえましたが、その破滅にカルメンを巻き込んだ感じで、愛を得るために殺したという感じはしませんでした。カルメンもなぜホセがそこまで逆上したか理解していないでしょう。すれ違ったまま滅んだ二人でした。お互いすれ違っていたのでそれはそれですっきりしましたが。
カルメンの印象が変わったのでエスカミーリョの印象も変わりました。白石カルメンの時はお互いに割り切っていて、一瞬の情熱に命を燃やす同士お互い割り切ってつきあうように見えましたが、佐々部カルメンに対してはもっと刹那的なものに見えました。このエスカミーリョは1試合ごとに女を変えると言われても納得します。カルメンは本当に刺激的な男性の魅力にめまいを起こしていましたし、エスカミーリョも彼女に勝利を捧げるというのは嘘偽りはないでしょう。ただそれらすべてが表面的で、刹那的なものに見えました。多分白石カルメンだったら別れるときもあっさり終わりそうなのですが、佐々部カルメンはエスカミーリョとの関係が終わるときはこじらせそうなイメージ。・・・まあ、エスカミーリョとカルメン、どちらが先に相手に飽きるかという話ですが・・・(多分1週間以内の話)。
それにしても遅沢エスカミーリョ素敵です。今日で最後なのでしみじみ眺めていましたが、衣装が変でもとても素敵。闘牛場前のところも個人的には金がピカピカし過ぎていてじゃまですが、赤い衣装は本当に彼に似合います。カルメンに贈り物を持っていくために山中まで行くのもそこまで彼女を愛しているからでなく、一瞬の情熱であれ全力になる彼の気質に思えました。どうしても「伊達男」というように横文字でなく漢字で表現したくなるのが遅沢さんなのですが、芯が通っていそうに見えるのにどこか浅いというか一瞬の情熱のためにすべてを傾ける雰囲気が素敵でした。
浅野さんのミカエラ、大変かわいらしかったです。バランスとしてもちょうどよかった。神戸さんよりもちろん地味な感じなので、「田舎のお嬢さん」という雰囲気にぴったりでした。かわいらしいけどあか抜けず清楚。きれいだから男たちが群がるのもわかるし、明らかに世間ずれしてないから男女問わず思わずからかってみたくなるし、その楚々とした雰囲気が腹立たしくもある。でもホセよりずっとしっかり芯のある女性だと思いました。彼女は彼女の人生をしっかり生きてると思えましたもの。
やっぱりキャシディさんはすごいなあと思ったのは、登場するとやっぱりそこに目がいくから。それだけ存在感があるから、酒場でこてんぱんにされるのにも妙な説得力がある。存在感のない若手がよってたかって囲まれてこてんぱんにされてもただのいじめみたいでおもしろくありませんもの。いつも偉そうにしている偉い人が、酒場で若い娘にこけにされるというのがおもしろいんです。陰湿に感じず、からっとした笑えるシーンに思えるのは、やはり彼の存在感と威厳あってのものだと思わされました。酔っぱらってぐでんぐでんでも品があるというのもありますしね。
モラレスの伊坂さんはさらに役と本人が一体化した感じがしました。ちょっと鼻についた彼らしい踊りも影を潜め、彼しか踊れないけど、キャラクター寄りになりすぎず、でも個性を感じる役。存在感があり、しめるところはしめるけど、軽いところは軽い。兵士らしくきりりとしているところも、酒に飲まれてぐでんぐでんなところも違った魅力がありつつも、ちゃんと一人の人物の多面性になっていました。1幕2場へのつなぎの踊りがユニークで好き。
池本さんと井澤さんは気がつくと目がいきます。多分役は固定かと思いますが、群舞にいても紛れることはありません。池本さんは軍人として出世の途中でとりあえず一時地方の現場に行ってこいといわれて、井澤さんは貴族の3男坊が家にいてもうだつが上がらないから軍隊に放り込まれて・・・などと勝手に物語りを作ってしまうくらい個性がありました。池本さんは品の良さを漂わせながらもそこそこ楽しんでいるようでしたが、井澤さんは「堅苦しい実家を抜け出してほっとしたのもつかの間、密売人たちに銃を向けられて、こんなんならいくら肩身が狭くっても実家にいればよかった・・・」という感じでした。踊りの方も池本さんは相変わらず恐ろしいレベルで軸がしっかりしていますし、井澤さんはとても優しい。くるみやシンデレラが楽しみです。
酒匂さんとニコライさんの密売人も楽しげでした。どうしても兼城さんだと妖精さんになってしまいますが、酒匂さんだとちょうどいい感じに「悪ガキ」といった感じです。やはり物語りを進めるしっかりした大人と、話をひっかき回すような悪ガキの組み合わせは楽しいです。
春奈さんは輪郭のくっきりした踊りで、久しぶりに堪能しました。杉野さんはソワレにエスカミーリョなのに相変わらずの全力投球。若干くたびれた感じのする労働者がなんともつぼにはまってます。
[2432] ゆず (2014/10/11(Sat) 23:39:35)
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