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エビータ観劇 2005/02/06
カーテンコールを見ていてふっと思ってしまいました。
このキャストで渋谷さんの代わりに柳瀬さん入れて、ジーザスやってくれないかなあ。
(まじめに考えると司祭様とかピラト様とか足りないっちゃ足りないんですが、でも大好きなヘロデ様と、大好きなユダと、大好きなマリアと、それから骨太なアンサンブルさんたちがそろってるとどうしてもそんなことを考えてしまう)
そんなわけで、久しぶりのエビータです。いやー、懐かしい。前回の公演のころ、私はキャストホン(HPが無かったから)で毎週下村さんがどの作品に出ているかをチェックしているじょしこーせーという生き物でした。一月くらい全く名前を聞くことが出来なくて、それは別に新作に出るわけでもないときにしては信じられないくらい長い期間で、どうしてるのかと思っていたらいきなりマガルディで出てきた、びっくり仰天したものです。で、それからしばらくして、マガルディをやらないと思ったらいきなりペロンなんてやってて、心底驚いたものです。今回はやらないと思っていたマガルディをやるかと思いきやまたペロンだし。ほんと、心臓に悪いです(笑)。
見終わって一番の感想は「やっぱりこの作品が好きだ」ということ。なんだかんだ欠点が無いわけではないんですが、それでもはっきりと「好き」と言える作品だと感じました。不協和音に近い音楽や、勢いのあるダンスシーンがともかく好き!前回の公演に通いつめたこともあり、今回も通いつめたい気分でいっぱいです。・・・実際はあと1回しか行かないわけですが・・・・。
今回、演出ががらりと変わりました。今回のほうが好きなシーンもあれば、前回のほうが好きなシーンもある。でも、平均的には今回のほうが好きです。たとえセットがどっかの「春」とか「海」で見たことがあるものでもね(苦笑)。場面転換が早くなったところとか、セットはずいぶんすっきりしているのに「地味」じゃなくて「シンプル」と感じられるところが良い。あと、1幕の「ニューアルゼンチーナ」でプラカードがスペイン語になったのもよかった。日本語だと「どこの昭和だよ」って気分になるから、いや、時代としては大して違わないんだが。今回のも前回のも両方のいいとこ取りが出来ないかなと思ったのが2幕冒頭。今回はアンサンブルさんたちが客席に下りてくるのだが、それがよかった。1階席前方に座っていたからかもしれないけど、彼らと一緒になって立ち上がって手を叩いて「エビータ!」と叫びたい気分だった。その時代にあったと思われる、あたり一面を飲み込むような「熱気」の中に一瞬取り込まれた気がして、それが嬉しかった。前回のほうが良いと思ったのは、やっぱりこのシーンでエバは高いところから下にいる人たちに語りかけていると思うんで、それが忠実に再現されているところが良かったなと。今回のせり出し舞台、それに比べるとちょっと微妙です、あと、その後のシーンに移るとき、ドレスを着たままあわててスタンバイ場所まで走るエバのシルエットが見えてしまったのがなんとも・・・・。スカートの形を整える彼女の姿が見えなければもっと良かったのに。
キャストの話を。
井上さんのエバ。彼女はすごくかわいいイメージがあったのでどうなるかと思っていましたが・・・かっこいいよ!どすのきいた声も、難しそうな高音もしっかりはまっている。野心満々という強さも、「美しい」とあちこちで賞賛される姿も両方とも感じられた。チェと比べてちょっと押しが弱いところもあるとは母上談だけど、私はあまり気にならなかった。JCSのマリアも良かったけど、エバも良い♪他のところを見ようと思っても、思わず目で追ってしまう魅力がありました。そんなこんなですっかりファンです。
芝さんのチェ。さすがと言うか、なんと言うか、はまり役・・・・。芝さんについてはユダかチェが一番のはまり役だと思っているので、もう、それ以上言葉が見つかりません。何度か「その無駄なダンス、いらん」と思ったのは事実ですが(苦笑)。相変わらず迫力のあるいい声をしているところとか、むやみやたら熱いところが素敵。一番舞台に自然に存在していると感じられました。
下村さんのペロン。えー、稽古場写真を見たときは結構似合ってると思ったんですが・・・衣装が大きくて、かえって小さく見えました・・・ああ。白い軍服のズボンがすかすかしていて、ちょーちんぶるまーに見えて仕方ありませんでした・・・ああ・・・。「体の小さな人が精一杯大きく見せようとしている」感じがしました、まあ、横幅については事実その通りなんですが。別にそこまで膨らまさなくてもいいのになどと思ってしまいました。が、そのほかの部分についてはちゃんと「気が弱い軍人大統領」でした♪冒頭のエバの葬儀から存在感は抜群。落ち着いた物腰とか、尊大な態度とか、でもエバの勢いに飲み込まれているところとか、すごく「らしい」。下村さんのあのくせのある声も今回は押さえ気味。すごく普通の人でした・・・って、ものすごい勢いで褒めてるんですが、そんな気がしないのは何故・・・?「ニューアルゼンチーナ」でエバの勢いにすっかりうろたえつつのせられてその気になっているところとか、2幕の病気のエバを気遣うところが好き。「アンドロマック」のピリュスみたいな感じかと思っていましたが、そのときよりずっと「武人」という言葉が肌に馴染んでいるように見えました。次に見る日が来るのが楽しみです♪
渋谷さんのマガルディ。ええと・・・「腰を振ろうとしているけど恥ずかしくってうまく出来ない」マガルディでした。衣装も地味だし・・・。歌はさすがだけど・・・なんともさえないおじさんでした。
久居さんのミストレス。なんかもう、「ハローバイバイ」としか言いようがない。ミストレスの歌って、もっときれいなソプラノを堪能できると思ったんだけどなあ。
ちなみに、アンサンブルさんたちは熟練者ぞろいですごーーく良かったです。有無を言わせぬ勢いと迫力がありました。だからこのキャストでジーザスを(以下略)。メインキャストも好きなんですが、このアンサンブルの皆様もかっこよくって好きです。多分、アンサンブルがだめだったら、ここまで満足することは出来なかったと思う。四季の舞台では久々に「贅沢なキャスト」の舞台だと思います。是非、このキャストで千秋楽まで突っ走ってもらいたいものです。
最後に、エビータについてのいらん知識のコーナー(笑)。
アルゼンチンは 1816年に独立。公用語はスペイン語。エバは1919年生まれ、没年は1952年。彼女の遺骸は長いこと発見されなかったが、蝋で加工されていたため、発見されたときも美しいままだった。そんな風に保存されたのは「聖人の遺骸は腐らない」という説に準じられたものなのかとも思う。(有名なところだと、フランスはルルドの聖ベルナデットとか、イタリアはアッシジの聖キアラとか。ふたりともそのきれいなままの遺骸は公開されてます、アッシジまで行ったのに、その日運悪く見ることができなかったのも今となってはいい思い出・・・)
ちなみにカサ・ロサーダの「カサ」は家、「ロサーダ」はピンク。というわけで、「カサ・ロサーダ」は「ホワイトハウス」ならぬ「ピンクハウス」。・・・・そのセンスが理解できない・・・・。(実際に見たら、印象も変わるかもしれないけど)
キューバは1902年に独立、その後アメリカの半植民地時代を経て1959年にキューバ革命。ゲバラの友人フィデル・カストロさん、現在もバリバリの現役です。公用語はスペイン語、アメリカから経済制裁をくらっているため、アメリカと目と鼻の先にある、アメリカから一番遠い国。
エルネスト・ゲバラは1928年生まれのアルゼンチン人。「チェ」というのはアルゼンチン特有の言い方で「ねえ君」というようなもの。南米大陸縦断の旅に出たのが1951年。カストロと出会ったのが1956年。ボリビアで殺されたのが1967年。彼はアルゼンチンで革命を起こしたかったとどこかで読んだ気がするけれど、それを思いながらこの作品を見ると、なんとも言えず重いものがある。
あ、四季劇場の売店にあったゲバラの本、当然のように持っています(笑)。写真が多いのと、その写真に添えられたゲバラの言葉が素敵なのと、というわけで、お気に入り♪
私の南米に対する興味の原点は、間違いなくこの作品でした。下村さんのファンである私と、芝さんのファンである母上。お互いにこの作品をきっかけに上っ面だけですがアルゼンチンやキューバに関する本を読みました。いろんな意味で、今回の観劇は「原点回帰」だと思ったのでした。
[57] ゆず (2005/02/06(Sun) 23:16:46)
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