「明日って何時から?」「・・・1時から・・・」「そもそも、どこでやるの?」「・・・オーチャード・・・」。 「初演のトート様だよ」ということを何度か言ってようやく彼の名前を覚えてくれた母上との会話です(苦笑)。 そんなわけで、久しぶりの親子観劇と相成りました。

 ドイツやウィーンでの舞台を思い出して、たまに思うことがあります。 「本当にいい作品だったの?」って。 席がよかったから感動したのかもしれない、日本では劇場が悪いから感動できないのかもしれない。 何度かそんなことを考えました。 うすうすと気付いていました、でも、今日確信しました。 その考え方は、大間違い。 私は向こうでやっぱりいい舞台を見たから、感動したのだと。 そのときたまたま席が良くて、劇場が良かっただけなのだと。

 マチネ、すごい席で見ました。 3階席、いやー、何をどう造ればここまで見づらくなるのか、正直疑問です。 劇場のどうしようもない使いづらさに文句を言ってたら開幕。

 Uweの「Wie kann es moeglich sein?」は、今まで私がドイツで、ウィーンで見たものとある意味同じだった。 心臓がどきどきして、わくわくして、沢山の情報が頭に叩き込まれる感じ。 母上も言ってました「頭を思いっきり叩かれたような感じ」だと。 なんだろう、これをどう言葉で説明したらいいのか分からない。 とにかく、ミュージカルって本当にいいと思える。 歌があって、芝居がある。 歌はあくまで手段であって、目的じゃない。 その気持ちを伝えるためにもっとも相応しい手段が歌で、それを使ってるだけ。 そう、だから私はミュージカルが好きなんだ。 3階なんていうとんでもない席に座ってても、それは伝わってきた。 文句しか出てこないような劇場であっても、それは確かに伝わった。 「面白かった」よりもっと強い気持ちで、「すごかった」。 うん、見に行ってよかった。 まあ、そんなわけでソワレも急遽見たのですが・・・・。 (だって、ドイツに行っても確実に見られるという保障はどこにもないし! ←ベルリンまで行ってふられた苦い思い出)

 まあ、そんわけで、個人的に一番好きなのが「Wie kann es moeglich sein?」です。 本気で、すごかった。 コンサートだからー、とか、ぼんやり構えてて、ごめんなさい。 そこにいたのは明らかにコロレドだった。 感情を表現するために音符を自在に操っているよう。 とにかくすごいとしか言いようがない。 誰かと比較するのは間違ってるのは分かってる、だって、彼は「オリジナル」なのだから。 でもやっぱりすごいし、見ることができて本当によかった。 なんかもう「すごい」しか言葉が出てこないなー。

 あと、エリザベートは欠かせないポイントですね。 こちらは「すごい」というより「素晴らしかった」かな。 「闇が広がる」と「私が踊るとき」は絶対聞かせてもらうと思っていたので、満足です。 やっぱりこの二曲は素晴らしい。 「私が踊るとき」の派手さがやっぱりつぼにはまりました。 生で聞いた中では一番好きです♪ 一路さんのソロは日本語だったので、微妙に会話が成り立ってないかもしれないともいましたが(笑)。 「最後のダンス」も、これも・・・誰と何と比べるのは間違ってると思います。 「日本に来てくれてありがとう!」とだけ行っておきます。 何であんなに軽やかに、あんなに迫力のある歌が歌えるんだろう。 一部日本語で歌われたのですが、かなり驚きました。 マチネと比べて、ソワレのほうがうまかったです(笑)。 いろんな意味で、驚きました。
 彼のトートを見ていてふとおもったのが、ルドルフといるときとエリザベートといるときと、存在感が違う? こんな短い時間ではなんともいえませんが、何か引っかかるものがありました。 全編通しで見て、ゆっくり考えてみたいわ(笑)。 エリザベートといるときは「憧れ」でもあり、ルドルフといるときは「恐怖」でもあったような気がする。 なんだろう、何かが決定的に違った。 うーん、やっぱりもう一度トートをやって欲しいです。
 ところで、エリザベートの曲が素晴らしかったこ理由のひとつに「セットがシンプルだった」というのがあるような気がします。 何と比較してるかってこないだの東宝再演のこと。 ベッドの上でたって歌うより、こっちのほうが絶対いいよ(「私だけに」)。 改めて、電飾は本当に無駄だと感じました。
 話は戻りまして。「星よ」・・・・・ベルリンで聞きたかった、というか、一作品全部で見たかったよ、ばかーーー! と叫ぶしかありません、あんなものを聞かされてしまっては! 姿勢とか、背中に回された腕とか、もうそこからジャベール。 もう十字架切るところなんて、絶対ジャベールの衣装を着てるようにしか見えませんでした。 その頑なさが、たまらなく魅力的でした。

 困ったのが井上さんの「Love changes everythin」と一路さんの「Someone like you」。 すごくよかった、歌としては。 でも、あくまでただの「歌」。 「Love changes everythin」のときは頭の中を「Seeing is believing」がぐるぐる回ってた。 ローズに裏切られ続け、それこそ酸いも甘いも経験しつくして歌う歌のはずなのに、 何で一度もローズに裏切られていないまだ幸せ一色のころのシーンが思い浮かぶのかと。 でも、これはコンサートだからそれでもいいのか、っていうか、そもそもこの歌詞の意味ってなんなんだ (訳してはいないが、四季の訳がとんでもないってことはなんとなく想像がつく)。 などと考えているうちに気付いたら終わってました。 遠征して見るほどにはお互いに好きなので、母上と顔見合わせあって苦笑。 「Someone like you」もおんなじ感じで・・・結局これはルーシーの歌なのか、それともただの歌なのか、 それが分からないうちに終了。 うーん、コンサートってどういう態勢で聞けばいいんでしょうね・・・難しい・・・・。

 Uweさんかっこいいわー、というのが正直な感想です。 CDは色々聞いてたけど、見るのは初めてだし。 こんなにかっこいいとは思いませんでした。 しかも、役への入り込み方がすごいから、作品のほうがいいっていうのは想像がつくし (コロレドとジャベールとトート、歌ってたときの表情が明らかに別人だった・・・・さすが・・・)。 今度の欧州旅行のときにもう一度ベルリンに行こうか、でもまたいなかったらもう立ち直れないとか、色々考えてます。 本当に素晴らしかった。 そして母上も、私が何故向こうまで見に行くのか納得してくれました。 あの感覚、あの胸の高鳴り。 それを体験しに私は飛行機に乗って芝居を見に行くのだと感じました。
 ミュージカルがやっぱり好きだと感じた1日でした。 長かった、そして、幸せでした♪(2004/06/19)


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