というわけで、久しぶりのジーザス観劇と相成りました。 ペンダントももらってきました。 初日ということで、ペンダント用のカウンターはえらく混んでいましたが。 予想していたより立派で、何より裏に「JESUS CHIRIST SUPERSTAR」とちゃんと書いてあるのがうれしい♪ 有効活用方法を模索中です(笑)。
 さて、観劇記録なのですが・・・・JCSという作品が、私の最愛ミュージカルだということを ご理解くださってる方のみお進みください。 好きなものほど求めるものが高くなるというか・・・なんというか・・・。
 とりあえず、キャストです。

ジーザス・クライスト :柳瀬大輔
イスカリオテのユダ :芝 清道
マグダラのマリア :佐渡寧子
カヤパ :高井 治 アンナス :喜納兼徳 司祭1 :長 裕二
司祭2 :増田守人 司祭3 :小林克人 シモン :大塚 俊
ペテロ :賀山祐介 ピラト :村 俊英 ヘロデ王 :下村尊則

男性アンサンブル
女性アンサンブル
青山祐士 遠藤敏彦 赤瀬賢二 藤田晶子 イー スンミン 大西奈穂
香川大輔 伊藤丈雄 木内宣輝 大前さおり 織笠里佳子 李 京禧
佐藤圭一 吉末高久 高 栄彬 李 周映 イ ジンヒ ソン インミ
ジョン ユホン ユ チャンミン 中村啓士 チェ ウンシル ミンジュ 孟 甜
田中彰孝 古野 健





 ファンとして何より先に言いたいのが・・・下村さん、ぶらぼー!! ファンの贔屓目でも何でもいい、とにかく素晴らしかった! いえ、前から素晴らしいことは知っていました。 この間の東京公演でも、それはそれは素晴らしかった! でも、それを明らかに上回ってるんじゃないかと思うほど、素敵だった。 ヒノデロで足が細くなったのでしょうか、もう、見せびらかすかのようでしたよ(笑)。 その素晴らしい足の蹴り上げっぷりといい・・・おーい、見えるよ(笑)。 まるで毎日身につけているようなマント捌きの素晴らしさ、またこれが布の質がいいのかきれいなんだ。 ヘロデガールズを指図すするところとか、偉そうなところがすごく慣れていてとても素敵。 自分が主役だと思ってるような存在感の大きさ、でもこのシーンに限っていえば彼が主役だ(笑)。 5分弱、ノンストップ突っ込みいれる余裕もすきもなし。 いるだけでなんかおかしく、かっこいい。 本当にはまり役だとしみじみ思いました。 ファンとして、至福の時間を過ごすことが出来ました。 ありがとうございます。

 あと、やっぱり忘れてはいけないのは芝さんのユダ。 「ユダの自殺」と「スーパーースター」の歌い方が一部変わっていました。 私はこっちのほうが好きだ♪ 「ユダの自殺」の絞り出すような声でなく、つぶやくような声で「愛したのか」。 なんとも切ない感じが心に響きました。 柳瀬さんのジーザス、やっぱり高音が心地よい! 目線や表情が、なんというのかな、不思議な透明感があって好きです。 「ゲッセマネ」は結構迫力あったけど、もう少し伸ばしてくれるとうれしい。 あと、もう少し、もう少しやせてくれー! おなかとか太ももとかふくらはぎとか・・・気になってしまいました。 それにしても、近頃なんかあの髪型が似合いますね♪ はじめに見たときは全然似合わなくてどうしようかと思ったのですが・・・・。 ぼろ衣装もなじんでいて、まさにそのものといった存在感がありました。 素敵だ。
 カヤパ様にアンナス、ピラトにそれから司祭様たち。 こんなに彼らにときめいたことはありませんでした。 特に喜納さんのアンナス、ああ、最愛のシモン・・・! シモンで見られなかったのは残念ですが、うーん、これがなかなかよかったです。 アンナスは微妙な音程が多いので、安心して聞けるだけでもポイント高い、歌いこなしてくれればなおさらです。 高井さんの渋い声もつぼにはまりました。 というか、司祭様たちみんな歌が巧くって腹黒そうで素敵。 ピラトも、もう少しドラマが欲しいかと思うことはありましたが、鞭打ちの場面がなんとも良かったので問題なし。

 で、あとは顔洗って出直して来い!
 何度もいいますが、私はこの作品が好きです。 一番好きなミュージカルであり、一番好きな物語です。 だからやっぱり高いものを求めてしまいます。 期待して、期待して劇場に行きます、期待を裏切られたらやっぱり不満に思います。

 って言うか、マリアーーーー!!!! 本当に、本当に彼女のことが好きなんですよ、私は! だからやっぱり、うまく演じて欲しい、いろいろなものを伝えて欲しい、沢山のものを彼女から受け取りたい。 見た目はなかなか魅力的でした。 薄黒い肌がなんとも魅惑的、でも、それだけ。 「私巧いでしょう」と言うように歌っているように見えてしまいました。 確かに巧かったです、でも、それ以上のことが伝わってこないマリアなんて・・・・。 ソプラノだとはっきり感じる声、彼女はジーザスを「堕落させる」ことなんて出来ないように感じました。 本当にきれいで、とても巧くて、声量にも余裕があり・・・でもそれだけ。 私のマリアのイメージにそぐわないし、新しい解釈を与えてくれるわけでもない。 私は彼女がとても好きです。 以前の公演を見たときもイギリスで見たときも、彼女がいるときは彼女ばかりを見ていました。 だからちょっと頭に血が上ってるかもしれません、すみません。 バリバリのソプラノで歌われる「私はイエスが分からない」は苦手です。 それだけです。

 シモン、びっくりしました、ここまで歌える方だったんですね! 微妙にアレンジの入った聞き覚えのない歌い方はなかなか魅力的でした。 あの迫力のある声、たまらなく魅力的です。 ただ、やっぱり「歌が巧い」だけのような気がする。 歌い方は好きなのでもっと、なんだろうな、「狂信者」になって欲しいと思います。 文句はありますが、実は結構楽しみにもしています。

 ペテロは・・・すいません、記憶にありません、すでに。 「やり直すことは出来ないのですか」、この作品の中で好きな曲のひとつなのですが、まあこれがひどくて、 それはまあいいとして、とにかくきれいな音だったことしか覚えてません。 だからペテロも記憶にありません。 まあ、可もなく不可もなくといったところだったんでしょう、多分。

 群集はねえ・・・・何で回を重ねるごとにレベルが下がるんだよ! キャスト表を見ただけで分かります。 どんどん「舞台慣れしてない」キャストだらけになっていく。 一人二人混じってるならいい。 でも、舞台慣れしていない人の中にベテランが混じる・・・という形になるととんでもないことになる。 今回は本当に目を疑うようなことが何度もありました。 舞台の上を普通に歩くなんてことは少なくともこの作品では無いはずだ! 何の感情も無く、ただ指示されたから「歩いた」だけのように見えた人が何人もいた。 そんな作品じゃないと思っていたから、とにかくショックだった。

 思ったのは「ジーザスってこの程度の作品?」ということ。 これしか何かを与えてくれない作品?これしか感情の無い作品?
 私が何で四季のJCSが好きだかということをまだ語っていなかったと思うので、この機会に。
 四季のJCSの中には二つの軸があると思っています。 ユダとマリアのジーザスへの人間対人間の思い、そして群集からジーザスへの、人間から 人間で無い特別な何かへの思い。 ユダとマリアは対称的である。 ユダはジーザスを理解していたから彼が何を求めていたか分からず、マリアは彼を理解していなかったから 彼が何を求めていたかが分かった。 ジーザスにとっては二人とも必要だったと思う、全く違う立場にいた二人。
 群集は前半と後半で対称になっている。 想像を超える強さでジーザスを愛し求め、しかしやがてはそれと同じ強さで彼を憎む。 この対称が残酷で、とても美しいと思う。 愛も憎しみも一過性のものであるが、とても強い。 薄っぺらいものではるはずなのに、激しい。 それは個人個人の思いだけでなく、ひとつのうねり。 だから私はこの作品のアンサンブルを「群衆」と呼びたいのだ。
 群集の力強さ。 狂喜とも呼べるジーザスへの執着。 その力強さ、その異常さ。 しかしそれが当たり前のように舞台に満ちている。 憎しみも本当に強く、全ての仇のように彼の死を望む、その恐ろしさ。 その異常な情熱が満ちて、そしてうごめいているからこそ、一瞬の静寂がこの上も無く美しい。 「スーパースター」の曲が始まったとき、ジーザスが十字に担ぎ上げられてユダとソウルガールが出てくるとき。 全ての決着がつき、生きてるものの時間が止まったその瞬間。 私はこの時間がとても好きだった。 熱気にあふれ、いろんな人が動き、ぶつかっていたのに、何も動きが無い時間が訪れた。 今までの強い感情や動きがあればこそ、その静寂は美しい。 それがなければただ時間が止まってるだけにしか見えない。 なんというのか「このシーン、もっと面白くてもっと好きだったんだよな」そう思うことしか出来なかった。

 嫌いな作品なら諦められるんだけどなー。 好きな作品だから諦めきれない。 別に無いものをねだってるわけじゃないと思う。 以前は確かに面白かったんだから。 柳瀬さんや芝さんは確かにレベルアップして、面白くなってると感じることが出来たわけだから。
 と、群衆についてめちゃくちゃに言っていますが・・・藤田さんはよかったです。 他にも何人かいい人はいたのですが・・・何せ顔の見分けがつかないもので。 目立ってしまうくらい、彼女は何かに取り付かれているようにジーザスを愛し、憎んでいました。 彼女くらいの思いの強さがスタンダードだといいのですが・・・・。 できなければせめて舞台を走り回れ!疲れたような後姿で歩くな! と、話を元に戻しまして。 「ホサナ」と「狂信者シモン」の間の、言葉にも出来ない、行動でも表現することも出来ない思いが胸のうちに あるような動きがなんとも印象的でした。 ジーザスを嘲笑するところもよかったし・・・ああ、素敵だ・・・・。

 しかし本当に群集はどうにかならんものでしょうか。 正直、四季のキャストに国外の人が混じるのはあんまりいい気はしていませんでした。 結局彼らは最後には自国に帰ってしまうのだろうし、そしたら日本の役者のレベルが 上がることにはつながらないわけだし。 でも、うまい人なら、仕方ないかと思えた。 やっぱりいいものを見たいというのが一番の願いだから。 へたくそで異人さんで、もう、最悪。 お願いだからまともなキャストで見せて欲しいです。 私も「異人さんが多くて舞台の出来が不安」なんていいたくないけど、近頃の状況だと どうしてもいいたくなるようなところがある・・・・。
 そんなわけで、強烈な辛口でお送りいたしました。 とにかく私はこの作品が好きなのです、好きだからどうしても妥協はしたくない。 しかも今日が本当の初日ならともかく、福岡で似たようなメンバーで一月やってるし・・・・。 それなのにこのレベルって・・・・先々心配です。 正直「皆さんがんばって上達して」なんて甘いことを言うような元気はありません。 「早くキャストチェンジしてまともなの見せて!」としか言えません。 いい作品なのにー、好きなのにー。

 見ている最中も不満だらけでした。 でも全てが終わって、ほとんどからになった客席から舞台を眺めてみました。 何も無い、誰もいないエルサレムの広野。 やっぱりこの作品が好きだと、改めて感じました。
 また見に行きます。 今日よりは面白い作品が見られることを祈りながら。
(2004/06/26)


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