さて、チケットを取るのが大変難儀だったレミゼコンサート。 チケットの発売日に劇場に並んだところ、母上がとんでもない番号を引きまして、 無事初日を観劇することが出来ました。
 気合の入り方は「期待しすぎないように」といった感じでした。 キャストだって「岡アンジョ」「鹿賀ジャベ」「岩崎ファンテ」「駒田テナ」くらいしか認識していませんでした。
 で、禅マリウスにほれた。 全く期待してなかったのですが、もう、めちゃくちゃ良かった! 現在、私のベストマリウスとなっています、もうーーー、かっこいい! 出てきた瞬間から、なんか光り輝いてるし、コゼットに恋して色ボケだし、 コゼットが出て行くと知れば抜け殻だし、恵みの雨もカフェ・ソングも、もう、どれもこれも最高!! とにかく素晴らしかったので、コゼットとの出会いやバルジャンからの告白、結婚式をカットした 演出家にグチのひとつも言いたくなりました(笑)。
 岡アンジョの素晴らしさはもう、言うまでもないでしょう。 多少年を取っていました、声も低くなっていました。 最高の輝きを放っていたころより、衰えた部分はあったような気もしますが、そんなものをぶち壊すような素晴らしさ。 また会えてうれしかった。 あ、声量については私の記憶にあるより断然素晴らしくなっていました、さすがだ・・・・。 実は彼については愛が大きすぎたのでかえって期待をしないようにしていたのですが・・・ そんな私のばかな思いはしっかり裏切ってくれました。 すらりとした長身、伸びやかな声、日本人には見えない派手な面立ち、全てがアンジョルラスでした。 ああ、やっぱり最高だ・・・・。
 鹿賀さんのジャベール、彼の役の中では一番好きです。 2000年の年越しイベントで見たとき、もしかしたら好きかもしれないと思ったのですが、やっぱり好きでした。 ちょっと声量が足りないかとは思った、「鹿賀さんのくせ」ともいうべきものも感じられた (ソロとかで「あ、この動きジキルで見た」と思うことがあったのよ(苦笑))。 でも、それを補って余りあるものがあった。 その冷たさと、真っ直ぐすぎる性格。 なんかすごくジャベールでした、黒のコートもお似合いだ♪
 ちょっと今ひとつ声の調子が悪いような気がした岩崎ファンティーヌ・・・でも好きだ。 「夢破れて」の儚さと切なさが好き。 本当にぼろぼろになった感じがあるから、コゼットの名前を呼ぶだけでも心に響く。 ああだめだ、「どう見てもファンティーヌだった」としか書き様がないよ・・・・。
 そんなわけで以上過去キャストの4名でした。 今すぐ復帰してくれ。 もう、絶対、みんな歓迎するから! 禅さんも岡さんも、まだまだ全然若い、いけるって! 鹿賀さん、味わい深いです、ジャベールならまだ余裕です。 岩崎さん、ずっと戻ってきて戻ってきてと叫んでいました、今日からは戻ってきてと絶叫します。 本当に素晴らしかった。 それぞれちょこちょことカットされたシーンもあるし、やっぱりコンサートだから演技は簡単だった。 是非、この方々で舞台を見たいです。 って言うか見せろーーー!!
 現行キャストで絶品だったのが駒田・森夫妻。 もう、「あんたらやりすぎ」の世界(笑)。 これが舞台だったらやりすぎだと思うけど、コンサートだもの、はじけてくれるのは大歓迎。 特に今日は初日、客席は必死でチケットを取った人ばかり。 そしたら彼らにははじけて欲しいものです。 もー、最高にはじけまくってました。 手拍子どころか、笑いまで入ってくる宿屋のシーンってあっていいのか!?(笑) 暴れまくり好き勝手やりまくるご夫妻、おなかいっぱいでございました。 このシーンは「コンサートならでは」といった感じでした。
 今井さんは、可もなく不可もなくって感じかな。 うまいし、バルジャンという役が肌に馴染んでるような気はしたけど・・・家に帰ってきて何か書こうとすると 思い出せない・・・。
 坂本エポと河野コゼットは、うーん、このキャストじゃ不利だよなという感じ。 別に下手ではないのだが、何せほとんどのキャストが「ふるさとに帰ったような安心感」で 「自分であるかのように自然に役になりきってる」ものだから、「慣れてない」っていうだけでどうしてもマイナスになってしまう。 坂本さんもはすっぱな雰囲気が、帝劇で見たときよりよくなっていた。 河野さんの本当にかわいらしい雰囲気もよかったけど、とにかく相手していたマリウスが超絶良かったからなあ・・・・。 マリウスばっかり見ていたんで、マリウスのことしか覚えてません(苦笑)。
 全体的に、想像していたよりずっと良かったです。 アンサンブルも、コーラスが重さはちょっと足りないけど厚さがあって素敵♪ 劇場も帝劇より小さく、密な空間が素晴らしいです。 二階席で見たのですが、かなり近くて満足でした。 舞台上にいらっしゃるオーケストラも良かった。 その前に出演者の方々は座ってらっしゃいます。 皆さんそれぞれの態度で座ってらっしゃるので、目がいくつあっても足りません(笑)。 衣装もほとんどつけていてくれたし、役者さんたちも「芝居」として歌ってくれていた。 やっぱり初日だ慣れていないなという感じで、マイクをふく人はいたし、マイクを気にしすぎている人もいた。 でも、思い出してみるとそんなことは本当に気になりません。 面白かった、本当に素晴らしかった! 面白かったには面白かったのですが、いいからこのキャストで本公演をやれとしか言いようがないものにはなってました(笑)。 本当に面白かったよー!

 ちょっと印象に残ったシーンのことを。
・囚人の歌
 まずはじめの曲でびっくり。 え、帝劇で見たときこの歌ってこんなに重かったっけと。 このくらい重くなくっちゃやっぱり話にならないよなと、幕開きから結構上機嫌になりました。 鹿賀さんのジャベールも、はじめから良かったし。 真っ直ぐな感じが、たまらない。

・一日の終わりに
 もう少し重いほうが好みですが・・・コンサートでこれだけできれば十分でしょう。 といいますか、気になったのは禅さんのほうで。 椅子に座って待機中なのですが、このとき歌ってる表情が「マリウス」ではなくて「生きてることに必死にしがみつく民衆」でした。 実は、このときからマリウスには期待していました。 ライトは当たってなかったけど、すごく印象的だった。 あと、岩崎さんのファンティーヌがかわいかった♪

・夢やぶれて
 後半、咽の調子が今ひとつだったのが残念。 でも、もう一度これを聞くことが出来てよかった♪ 打ち捨てられた雰囲気が、本当に嫌味なく切実で素晴らしい。

・ラブリィ・レディ
 コゼットやエポニーヌを探すのが趣味なので、それが少し残念(笑)。 ところで、森久美さん歌ってるかなと思ってオペラグラスを覗いたらなぜか岡さんの口が動いていました(笑)。 いえ、声はしなかったので歌ってはいなかったと思うのですが・・・しばらく記憶が吹っ飛んだ。

・ファンティーヌの死
 やっぱりこの衣装に合うよー、戻ってきてよーな岩崎ファンテでした。 バルジャンに抱き上げられるところが見たかった。 だめだ、うまく言葉にならない。 胸が痛くなるようなファンティーヌでした。 死んだあとは舞台の中央から立ち去っていくのですが、その後姿が物悲しく、きれいだった。 (あ、「雲の上のお城」の途中で去っていきます、それまでずっと後姿で舞台にいる)

・対決
 なんか分からないけど、歌詞は良く聞き取れるしなんか迫力あるしで好きです。

・乞食たち
 山のようにカットされていて泣く。 このシーンのマリウスとテナが見たかったんだよう・・・!
 しかしまあ、登場したときからアンジョとマリウスは素晴らしかったわけですが。 岡アンジョが素晴らしいことは知っていました、「誰が導くか」を歌うのがマリウスだったのは、ちょっと残念だったけど。 岡さんも禅さんも、なんかもう後光がさしてるように光り輝いて見えました。 言葉になんて出来ません、とにかく素晴らしい。 あ、アンジョが赤いスカーフだったのがうれしかった♪

・ア・ベ・セー・カフェ
 学生のシーンは言葉の無いやり取りが面白いので、そういう意味では物足りないけど。 いや、もういいんですがね、色ぼけマリウスと、リーダーなアンジョルラスが見れただけでおなかいっぱいなんで。 もう、マリウスの色ぼけっぷりがすごい。 コゼットとの出会いのシーンはカットされたけど、本当になんか天使でも見たような夢心地の表情。 世界の何もかもがバラ色に見えてるような表情でした・・・素敵・・・。

・心は愛にあふれて
 だからマリウスが一目ぼれで大ぼけだったんだって(笑)。 たったそれだけなんですけどね、ここまで目をきらきらさせてくれると、本当に心地いい。 好きなんだとか、それ以上の感覚なんだろうな。 ここまで幸せそうだと「勝手にやっててください」とも言えず、応援したくなる(笑)。 本当に好感度の高いマリウス、素敵だー!

・ワン・デイ・モア
 超絶良かったです、はい。 これを見れただけでも、見に行ったかいがあるというものです。
 コゼットとマリウスの悲しみ、バルジャンの未来への不安、エポニーヌの孤独。 何せ歌については皆様全く不安なく聴けますからね。 聞いていて、かなり静かに盛り上がっておりました。
 そして岡アンジョ、あー赤いベストがお似合い! もう、頭のてっぺんからつま先まで、見まごうことなきアンジョルラス!! 素晴らしい、完璧です。 このシーンはとにかくプリンシパルの皆様の歌唱力が一箇所でも崩れたら総崩れになります。 そんなわけで、ちょっと弱いかと思った鹿賀さんでしたが、心配した私があほでした。 歌唱力云々より、ジャベールの頑なな姿が心に残りました、ああ、ジャベールも素敵。 森駒夫妻については、いまさらいうこともなし、好き勝手かき回してくれます。
 アンサンブルの方々の重唱も素晴らしく・・・・もう、一点のすきもありませんでした。 劇場全体に音と声と、そして光が満ちているような感覚。 心にあったいろんなものが洗い流されていくような感じでした。 もう何度も言っていますが、本当に素晴らしかった!
 ちょっと話し外れますが、このシーンだと思ったのですが、アンジョとエポがマイクを共用していました。 自分が歌ったあと、エポの高さにマイクをあわせるアンジョが素敵(笑)。

・恵みの雨
 バリケードのシーンは皆さんの動きが好きだったので・・・ちょっと飛びます。 まあ、またマリウスなのですが。 だって、こんなに悲しそうなマリウスは初めて見た。 そこにあったのは恋じゃないけど、確かに愛だった。 「愛で治せるならば」この言葉の意味が分かるマリウスでした。 本当にそう思ってそうに見えた。

・共に飲もう
 実はレミゼは97年からかなり見てるのだが、まだ学生がほとんど見分けられない〜。 そんなわけで誰か分かってませんが、しょっぱなに歌い始めた皆様最高。 明るくて、だからこそ物悲しく切ない、うん、だからこの曲はすきなのだ。
 アンジョについては酒瓶がなくて寂しいー(泣)。 しかしグランが歌ってるときはグランを、マリウスが歌っているときはマリウスを見つめる視線は良かったな。 そしてまた、マリウスが抜け殻なんだ。 完全に頭の中コゼットのことだけで、やけになってるんじゃなくって、本当に純粋に悲しんでる。 あの切ない、遠く(というか遠くにいるコゼット)を見ているまなざしがたまらなく素敵。

・最後の戦い
 あー、バリケードーー!とちょっぴり叫んでみる。 旗も振ってくれなかったし、やっぱり舞台が恋しい(というわけで帰ってきてください、岡さん)。 死んでいった方々はみんな順に後ろを向いていくのですが、そのときのアンジョがべらぼうにきれい。 すらりと細長い足が本当に絵になってて・・・・、 そういえば、本舞台ではこんな風にじっと後ろを向いて立ち止まることはなかったなと、しみじみと眺めておりました。 本当に絵になるお方です。

・下水道
 特にこれといってあるわけではないのですが・・・駒田さんはやっぱり素敵でした。

・ジャベールの自殺
 やっぱり鹿賀さんはこれだ。 なんだろうな、セットも何もないのに、セーヌに飛び込んだジャベールが見えるようでした。 聞いている間に、彼の世界に取り込まれた感じがしました。 だから、厳しくって、絶対曲げられない芯を持ってるところがいいんだよう!

・カフェ・ソング
 今まで、どうもこの曲が好きになれなかったんです。 嫌いというわけではなく、純粋に面白くない。 ということは今回は微塵も感じませんでした。 押しつぶされそうな悲しみでマリウスが苦しんでるのが分かった。 あのバリケードでの出来事がどんなに彼にとって苦しい記憶になっているか。 ああ、セットがないのが本当に惜しい。 あと、ちゃんとアンジョが出てきてくれたのがうれしかった♪

・マリウスとコゼット
 カフェ・ソングの物語はここへつながる。 こんなに仲間たちの記憶からコゼットへ思いが移り変わるのが自然なマリウスは初めてだ。 彼を苦しめている世界から救うことが出来たのがコゼットだった。 禅さんはもう、本気で泣いてました。 その目は「恋する青年」のものじゃない、もっともっと「神々しい」存在を見つけたような目。 暗い世界から、未来に向けて歩き出す力を与えてくれたのがコゼット。 仲間のことを忘れたのではなく、これから生きていくためにコゼットの手を取ったマリウス。 今までこのシーンにこんなに感動したことはありませんでした。
 だからこの流れでマリウスがどんな顔して「そうします、コゼットのため」というか聞きたかったのよ、 どんな顔してテナルディエに札束投げつけるのか見たかったのよ。

・結婚式
 そんなわけで、テナルディエ夫妻の場面になっていましたが、いや、やっぱり盛り上がるねこの二人だと。 ただ、キャストさんたちの手拍子と客席の手拍子がずれていたため、微妙に盛り上がらなかったかも(苦笑)。 面白かったです。

・エピローグ
 岩崎さんのファンテが好きだーーー!!
 まあそれはいいとして・・・今井さんのバルジャン、ちょっと健康すぎて死にそうにありませんでした。 これからも畑仕事でもして長生きしそうな感じ。
 で、またマリウスとコゼットに話は戻るのですが、バルジャンを失って 壊れそうなコゼットを抱きかかえるマリウスが素敵でした。 「マリウスとコゼット」のシーンと逆。 本当にこの二人なら手に手を取って、お互い支えあって生きていくだろうといった雰囲気がありました。
 そして最後に民衆の歌になるのですが・・・いや、もちろん素晴らしいのですが・・・ レミゼ的にこの場面でこの歌を、テナルディエ夫妻はもちろんジャベールまで歌ってしまっていのだろうか。 舞台の中心でバルジャンとジャベールが一本のマイクを分け合って歌っていいのだろうかと思ってしまいました。 でも、コンサートのラストとしては最高の重唱でした。

 本当に、心底感動できたコンサートでした。 本公演でこれを求めてしまわないか、それが心配です。 でも今は、出演された皆様、そしてチケットを取ってくれた母上に心から感謝したいと思います。 本当に素晴らしかったです、ありがとうございました! (2004/07/02)


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