Kバレエ 海賊 2008/08/03 マチネ
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というわけで、3連続の「海賊」でした。 この日のソワレもチケットが戻っていたことは分かったので見に行こうか悩みましたが、いい席の戻り券が買えな買ったので諦めました。 コッペリアの出費があったから、今の私の財布に1万8千円はないのよ・・・。 (コンビニで入金したのだが、「コンビニでこんなに万札出すばかって何者!?」と思うとんでもない事態になってましたよ・・・) ミュージカルだと3回見ると大体歌詞が頭に入ってくるのですが、さすがにバレエだと振りが入ってくるということはありませんでした(苦笑)。 でも、作品が今まで部分部分体にはいってきたという感じだったのに、作品そのものが一気に体に収まった感じで、昨日よりテンションが高いです。 やっぱり「海賊」、おもしろいです。
この回のお目当てはなんといってもブーベルさんのアリ! 前回見て、はまるだけはまりました。 それから昨年は鉄砲の踊りなんてやってたのに今年は姉妹共やっちゃう出世頭の浅川さんのメドーラ。 私にとってはこれだけで十分「買い」なのに、さらにベルリンからはるばる祥子さんまで来てくれるんですもの! これは行くしかないでしょう!
で、もうさすがとしか言いようがないんだけど、祥子さんが素晴らしかった! ほっそりとたおやかでありながら強靭で軽やかな足が素晴らしい! 足が強靭なのは分かるのに、振り出された足で蹴っ飛ばされる気がしない。 軽やかで美しいな〜。 都さんもそうだったけど、「嫌」という踊りが他の人と違う。 他の人はどちらかというと強く全身で「嫌」と払いのけている。 都さんと祥子さんはそんなことしない。 ちょっと軽く振り払い、顔を背け体をよじる。 さりげない仕草なのに、動きは軽いのに、全身から「嫌」というオーラが漂っている。 動きが強くないからきつくない、でも気持ちははっきりしてるから分かりやすい。 こうなると踊りとして格段に面白くなることを知りました。 やっぱり、この二人はすごい。 そんなわけで大柄だけど繊細さも見せてくれた祥子さんですが、やっぱり技術が半端ない。 エスメラルダの音楽のところで見せたピルエット、4回か5回回ってました・・・コマかと思ったよ・・・。 回った時に軸が全くぶれないし、跳んだときの足も本当にきれい。 3幕のソロの哀愁たっぷりの踊りも胸にしみるものがありました。 ぐっとこらえていた悲しみがあふれ出すような感じ。 この踊りがこんなにおもしろいなんて知らなかった・・・。 それにしても祥子さん、存在感が大きいばかりでなく実際背も高い! Kバレエの中ではそこそこ大柄に部類する浅川さんより頭半分くらい高いし、背が低いとは言いがたい輪島さんと同じくらいの身長?祥子さんのほうが高い?という感じ。 うーん、輪島さんのランケデムは好きだけど、遅沢さんの方がバランス的にはあってたかも。 自分と同じくらいの身長のダンサーを頭上まで持ち上げてしまうあたり、男性ダンサーって王子様に見えて、細く見えて、恐ろしい・・・。 (いえ、米袋持ち上げてるわけじゃないから女性ダンサーの技量あってのものとは知ってるんですが、それでもすごい) さて、グルナーラの相手役ともいえる輪島さん。 身長のこともあってちょっと分が悪かったかも。 って、哲也橋本さんブーベルさん清水さんあたりならともかく、輪島さんで背の高さどうのという日が来るとは思わなかった・・・。 それはさておき、前回の「白鳥」ではいまいちかなと思ったのですが、今日も絶好調の素敵なランケデムでした♪ 比較対照が祥子さんで辛いところはありつつも、ファンとしては見てて気分すっきりするような好演でした。 もともと王子様系で、相変わらずスマートな踊りで清々しくなるような跳躍を見せてくれるのに、悪人に徹してくれるのが素敵。 あの小ざかしさがなんとも魅力的なのですよ。 金持ちに頭を下げる小悪人っぽいところ、たまに見せるふんぞり返った時の笑みの色っぽさ、商売人としての軽妙さ、そして2幕あたりで見せるふてぶてしさ。 宮尾さんのような、根の明るさは感じない。 重くなりそうなところを、彼本来の気品のよさが支えてる気がしてそのバランスが絶品。 相変わらずもう少し大きく動いてね〜と思うことはあるけど、あの丁寧な動きはKバレエにとっては大切にすべきだと思うのです。 フランツが心底楽しみ。 祥子さんと比べられて分が悪いなと思った二人目は浅川さん。 二年前まではそれこそコールドその一だったもの。 比べて敵うわけはないけど、それでも比べられちゃう舞台って怖い。 最初の海岸の辺りはそれでもよかったのよ、クールビューティーでほっそりした美人姉妹って感じで。 私好みの二人だったんでかなり胸もときめきましたよ。 問題は奴隷市場。 祥子さんのグルナーラがあまりにも華やかで美しかったため、その後に浅川さんが出てきて「さらに美しい!」といわれてもぴんと来ない。 オーラが一回りも二回りも小さくて、演出で庇いきれてなかった。 本当に舞台って怖いなあ・・・。 そういえば彼女も台の上でアラベスクアチチュードじゃなかった、どうして? グルナーラとメドーラを見て思ったのだけど、彼女はどちらかというと優しい感じの役をやるべきなのかもしれない。 妖艶できつい感じの役をやると、きつくなりすぎてしまうのだ。 「嫌」という表現もやっぱりきつくて、蹴っ飛ばされそうという感じはしなかったけど、噛み付かれそうな気がした。 メドーラはどちらかというと優しい表現が多いので、彼女の強さが表現で中和されていてちょうどいいと思った。 というわけで、結構彼女のメドーラは気に入りました。 ファンの贔屓目ですが、彼女は見るたびに伸びて行ってるのが見ていて清々しい。 今回は随分足が強くなったと思えた。 グランフェッテはまだ安定に欠けるけど、ダブルも入るようになった。 バランスも随分良くなったし・・・。 体も柔らかいし、また次に見るのが楽しみになってきた。 「コッペリア」では祈りをやってくれると信じております♪ さて、お相手の宮尾さんですが・・・というかいい加減哲也はメドーラとコンラッドの描き方を反省して悔い改めて書き直すべきだと思うんだ。 いろいろな人が演じる役なのに、演じる人が変わった上での魅力が感じられない。 貫禄のある人がそこに立ってればいい役なの?違うでしょ! そういうわけで、清水さんから踊りを引いて身長を足したようなコンラッドでした。 正直、ランケデムなんて誰が演じてもおもしろいし、グルナーラはそれぞれ個性的で魅力があり、アリも演じ手によって存在感の違いがあり、メドーラでさえその幼さと温かみが作品に色を与えてるのに、コンラッドだけなんにもない。 むしろビルバント見てるほうがおもしろい。 キャシディさんが毎公演やるのでなければ、やはりそれに相応しい役柄にするべきだと思うのだけどなあ。 清水さんに比べたら見た目のちぐはぐさはないけど、どこにいるのかよく分からないコンラッドでした。 彼もせっかく恵まれた体格なんだから、もう少し丁寧に踊ってくれると良いのに・・・。 さて、最後に一番のお目当てのブーベルさんのアリですが、やっぱり今回も素敵でした。 彼のアリは自分の中に確たる「アリ像」があって、それにK版のニュアンスが加わってるように思えます。 だから哲也はもちろん、遅沢さんや橋本さんとも一線を画した所にいる。 前回はどこか彫像のように見えたのですが、今回はあくどそうに笑ってみたり、コンラッドと話してる時にふとした笑みを浮かべたりで、少し人間に近付いた感じ。 コンラッドの下にかしずき、その他の部下たちの上に立つ。 いつもは一歩後ろに下がり、何かがあれば身を挺してコンラッドの前に立つ。 相変わらず芯の通った美しいアリでした。 ベガーの時から思ってたのですが、ちょっと筋肉のつき方が変わった気がします。 どことなくがっしりした感じ。 「二羽の鳩」で初めて見たときの少年らしさが徐々に消えていくのを感じました。 踊りの軽やかさは相変わらず健在。 跳躍の時も足を上げているというよりは当てはまるべきところにはまったというような端正さがある。 回転も丹精で、どれだけ勢いよく回ってもきれいに止まるのがすごい。 ピルエットで高速回転して、ふっと正面で止まり、静かに足を下ろす。 化け物め! 踊りが上手いのは知っていたのですが、ちゃんばらが妙に上手い。 輪島ランケデムと剣を合わせるシーンが、踊りでもなんでもないのに印象的でした。 奴隷市場の丁々発止も軽やかで楽しかった! このシーンはタイプの違う踊りの方がおもしろいのかしら? 軽やかで端正なブーベルさんと、ノーブルだけどあくどい輪島さんの組み合わせがおもしろかった♪ ちなみに、パドトロワは特別よくもありませんでしたが、これはこれで楽しかったです〜。 ちょっと途中で拍手が途切れてしまったあたりが残念だったのですが、会場が熱くなっていた感じがして楽しかった♪ 以下ネタばれ ラストに助けたグルナーラと礼をしあうアリが美しかった! この二人は何か通ずるものがあったかと思える何かがありましたが、このシーンはお互い敬意を表したようで素敵だった。 そのあとの畳み掛けるような展開は、今日も一瞬で流れていき、やっぱり色々感じるものがありました。 やっぱりこの展開好き。 遅沢アリは肩を打たれていましたが、ブーベルアリは胸のあたりを打たれたように見えました。 自分が死ぬのを分かっていて、それでもビルバントに剣を振り上げたような感じ。 けれど死ぬことに対して恐怖も悔悟も感じさせず、ただ自分の勤めを全うしようと前を向いたまま倒れるのが、いかにも「アリ」でした。 コンラッドの別れも静かで胸を打たれました。 「別れの時間」をちゃんと区切って、そしてメドーラに向き直った感じでした。
というわけで、3回とも楽しんできました♪ やっぱりこのバレエ団は白鳥よりこういう勢いのあるほうが似合ってる! 今回は比較的中央より後ろで見たので、次は一回で良いから前方席に座りたいです。 きっと近いうちにまた再演してくれると思うので、その日を楽しみにしてます。 今度こそ、ちゃんと出てきてね、哲也!
どうでもいいのですが、会場に清水さん発見。 コンラッド髭のまんまでした。 それが何というか「真面目で温厚な人が諸般の事情で悪人に見えるように髭をはやしてる。今日はオフなんで服装は普段の真面目きっちり系」というなんともちぐはぐな雰囲気で・・・それがめちゃくちゃ素敵でした! この手のことは普段書いておりませんが、余りにも素敵だったのでメモ書き(苦笑)。 コンラッドはいまいちだったけど、フランツは楽しみにしてるんでがんばってください〜〜! あと、DVDの第九の第一楽章楽しみにしてます〜。 (買ったはいいけど、DVDプレイヤー故障中につきお預け)
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(2008/08/04(Mon) 02:13:13)
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