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モーツァルト!ブダペスト版感想・その4
場面ごとの感想です。場面解説+その時感じたこと、記憶があいまいなものも含めて全部書いてます。その点をご了承ください。
キャストについては
こちら
を。
セットについては
こちら
を。
曲名だけ通常の文字の色にして、詳細は白文字になってますので、反転して読んでください。
ハンガリー語のタイトル(というかシーン解説?)と同じシーンと思われる東宝版のタイトル、およびウィーン版のタイトルを書いておきます。参考までに。
A BECSI PRATER EGYIK SZINPADAN ES ELOTT
(Sauschwanz von Drecken)
(このままのあなた)
プラター公園。お祭り中という感じで、色々大道芸のようなことをしている人が居ました。火を噴く男くらいしか覚えてないけど・・・。ヴォルフガングは前の車輪が異常に大きい自転車に楽しそうに乗っていました。舞台の中心にいるのは仮面(というか目の穴が開いたぼろ布)をかぶった大道芸人たち。一目で分かりますが、もちろんウェバー一家です。何かやるのか参加者希望中。ヴォルフガングが名乗りを上げたのか、それとも指名されたのかは忘れましたが、最初は他の人にまぎれて座っていたのに途中で自分のことを指差しながら嬉しそうに舞台中央に駆けて行ってました。頭からぼろ布かぶって、みかん箱よりちょっと大き目の箱の上にうつぶせになる。斧が振り上げられ、ヴォルフのぼろ布に包まれた頭がこれまたぼろい大き目の四角い布で隠され・・・斧が振り下ろされる。するとぼろ布の影からぼろ布袋で包まれた何かが飛んできた!中を見てみると人の頭・・・の模型が(笑)!自分にかぶせられたぼろ布を取ったヴォルフは、めちゃくちゃ楽しそうに観客のざわめきを見ていました。ちょうどそのときアルコと鉢合わせ。彼はヴォルフガングを探していたわけでも、プラター公演に遊びに来てたわけでもなく、ただ散歩をしに来ていたように見えました。最初は謝るように見えたヴォルフだけど、途中で何か言われて切れたのでしょうか。四つんばいになって犬の振り。ついには片足上げるような動きして、完全にアルコをばかにしきってました。また後先考えてない・・・。
ここで音楽が始まるのですが、ヴォルフののりが良くってすごく気持ちよく聞けました。絶対ろくでもない歌詞なんだろうけど、言葉の響きがすごく軽くて明るくって楽しかった!アルコはプラターに遊びに来ていた人々に上着もズボンも鬘もむしりとられて、ほうほうのていで逃げ出していきました。その姿に向かって男も女もみんなお尻を突き出してたのがおかしかった。
というわけで、お前まだコロレドに厄介になってる身の上だろ!という突っ込みを入れたくなるくらい気分よさそうなヴォルフガング。「あーすっきりした!」とでも言いたそうな雰囲気です。ここに来てようやくセシリアを含むウェバー一家が正体を現します。一緒にお酒ラッパのみしてみたりしてすっかりくつろいでるヴォルフガング。コロレドの名前を口にしたときすごくうんざりした顔をしてたのでまだそこに厄介になってるんだろうとは分かりました。しかし、アルコにあんなことして、どういう顔で帰るつもりだったのか・・・。ところでこのときヴォルフの顔がすすでかなり汚れてました。いつの間に?
セシリアさんの新しい旦那さんは白髪のおじさんでした。アロイズィアが結婚したと知ってがっくり来るヴォルフガング。そんなヴォルフに対してコンスタンツェは彼女のほうから積極的に彼にアピールしてるようでした。で、二人っきりになるとヴォルフの方も悪い気はしていないという感じ。コンスタンツェがヴォルフのほっぺに付いたすすをふいてあげるところがかわいくってたまらなかった!にっこにこ笑いながら大人しく拭いてもらっている様子は、大きな子供がここにいるとしか言いようがありませんでした。ただ、拭く方の布もあんまり綺麗じゃないし、拭き方も丁寧じゃなかったんで、全然綺麗にはならなかったんですが(笑)。その後なんかじゃれているふたり。地べたに座り込んで、ヴォルフは犬の鳴きまねを、コンスタンツェは猫の鳴きまねをする。しなを作ってみせるコンスがかわいい。四つんばいになってすれ違うような動きをしながらじゃれ付いて、コンスのお尻のあたりに軽く噛み付くヴォルフ。さすがに怒ったのか、正座してビンタするコンスとビンタされても嬉しいのか、全くテンションが下がらないヴォルフガング。今度は彼女にキスをする。コンスタンツェはヴォルフの反対の頬を叩くんだけど、ヴォルフは全く気にせずに何度も何度もキスしてる。「好き」がもう全開になっちゃって、手がつけられなくなってます。すごく嬉しそうにしてる姿が、やっぱり子犬みたいでかわいい。子犬と猫がじゃれついている感じがしました(コンスタンツェは色っぽいんで、「子猫」じゃない(笑))。かわいくて無邪気な「好き」。なんとなくほほえましいような光景でした。ヴォルフのほっぺた、相変わらずすすだらけだし(笑)。
A TANCMESTER HAZA SALZBURGBAN
(終わりのない音楽)
クリスマスツリーを飾っているナンネルとレオポルト。マチネはレオポルトもちょっと影が薄くって、どっちがこの家の主か分からなかったシーン・・・。訴えかけるナンネルとそれにうろたえるようなレオポルト。なんか本当にナンネルがかわいそうに見えた。クリスマスツリーの飾りのろうそくに火をつけるふたり。クリスマスって家族団らんの象徴なんでしょうか。ろうそくの明かりは暖かいはずなのに、ふたりきりで火をつけるその姿がすごく寂しそうに見えた。誰か一人足りない、そんな感じがしました。
A SALZBURGI HERCEGERSEK REZIDENCIAJA A BECSI NEMET HAZBAN(Jobb nekem Becs)
(Ich bleibe in Wien!:僕はウィーンに残る!)
コロレド邸に乗り込んできたヴォルフガング。もう「誰の話も聞こえない」状態で苛立ってます。そんなさなか、舞台の中央の円柱型の部屋が回ってコロレドがいる部屋が出てくる。お風呂場というか、サウナ室というか・・・そんな感じ。この時のコロレド、パンツ一枚。背中にマッサージをする女の子を乗せて、台の上に寝っ転がっていました。頭のほうには腰にタオル巻きつけたおにーちゃんが座っていて、そこに腕を預けてすっかりおくつろぎでいらっしゃいました。乗り込んできたヴォルフガングが指差して笑ってましたが(相変わらず後先考えてない)、同じく私も爆笑したい気分でした。もう、あらゆる意味で最高に恥ずかしかった(笑)!後ろに3人いて計4人いるお兄さんたちがみんな腰巻タオル+白い鬘というあまりにもありえない格好だったのもおかしかった。コロレドはというと、慌てて起き上がり、台の上に敷いていたタオルを体に巻きつけておりました。その後、従者さんが肩にもタオルかけてくれました。いつもスマートなコロレドが見せた大慌ての姿がおかしいおかしい。大慌てでタオル体に巻きつけて、それでも偉そうに歌ってるの。おかしいって(笑)!そうそう、ソワレのコロレドさんは細身で足もきれいで素敵でございました、うっとり。
かなり大きなタオルで目隠しをしてもらって、その向こうで服を着るコロレド。地色が金という、めちゃくちゃ豪華で、重そうな服でした(多分、素肌の上にその服を羽織っただけだと思う)。服を着て、さっきのことは無かったことにするかのように、ヴォルフガングも無視して仕事を始めるコロレド。書類に目を通してるのかサインをしてるのか、とにかく事務作業をやっておりました。苛立ったヴォルフが一枚の書類を取り上げたため、冷たい目で彼を睨みつけるコロレド、相変わらずスマートでかっこいいわ〜♪重そうな服を着て、書類片手に逃げ回るヴォルフを追うコロレドもまた素敵でした。
このあたりの細かいところは忘れたんですが、曲が一区切りついた後、コロレドに何か言われ、ヴォルフはわざとらしく仰々しくお辞儀をしていました。多分初めてじゃないかな、こんな品のいい態度取ったの(笑)。こんなの見せられたら「蹴飛ばして追い出せ!」と言いたくもなりますよ。この時コロレドは本当に苦しそうにお腹を押えてました、やっぱり神経性胃炎?そしてヴォルフは尻を蹴飛ばされて追い出されるのでした。
ラストのオクターブ上げがお見事!まさに突き抜けるという感じでした。
って、何でこっちの拍手がすごく盛り上がってるうちに次の音楽が始まってるんじゃー!拍手がすごかったので、次の曲の冒頭数秒は2回とも聞けませんでした・・・もったいない!
BECSI UTCA(Arnyekdal)
(Wie wird man seinen Schatten los?:影を逃れて)
自由になったと思ったら、隣にアマデがいた・・・そういうことなのかなと、いまさら思っています。
相変わらず曲を書いているアマデ、隣にいるヴォルフガングは追い詰められているように見えました。インクが出なくなったのか、どこか困ったようにヴォルフを見上げるアマデ。ヴォルフガングが相手にしないとまた書き始めるけど、やっぱり書けないのか困ったように見上げる。ヴォルフが袖を捲り上げるとアマデはためらうことなく腕にペン(音叉)を突き刺す。血が流れるけど、そのことは全く気せずにアマデは曲を書き続け、ヴォルフガングの方は痛みを感じていないように見えた。それは「痛くない」のではなく、体の痛みを感じられないくらい精神的に追い詰められてるように見えました。舞台の中央に走っていくヴォルフ。中央には円盤が舞台に垂直になるような形で立っている。そこによじ登って、十字に束縛されるような感じになるヴォルフ。そんな状態でもやっぱり歌う、歌う・・・すごいよ・・・。最後はやっぱりオクターブ上げ。歌いきったあとにがっくりと頭を落としたところが印象的。力尽きるというほどではなかったけど、何か常軌を逸したものがありました。一度暗転して、もう一度そのままの状態でうっすら明かりがついた。そこがちょっとミュージカルっぽくなかったなと、久しぶりに思った(笑)。
それにしても、マチネヴォルフは追い詰められたときの歌の迫力が半端じゃない。力強いけど、切羽詰っているのがよく分かる。まさに圧巻という感じのラストでした。
ちなみに、アマデはずーーっと曲を書いていました。「曲を書くのが楽しい」という気持ちとか「曲を書かなくてはならない」という強迫観念はなく、ただ無心に書いていました。生きることと曲を書くことが同義であるかのように書き続けていました。ヴォルフガングとあまりにも違うその姿は、怖い、というよりはどこか哀しいものがありました。
[167] ゆず (2005/06/18(Fri) 02:16:19)
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