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  ジーザス・クライスト=スーパースター エルサレム・バージョン(2012/11/18)

ジーザス・クライスト : 神永東吾
イスカリオテのユダ : 金森 勝
マグダラのマリア : 高木美果
カヤパ(大司教) : 金本和起
アンナス(カヤパの義父) : 吉賀陶馬ワイス
司祭1 : 佐藤圭一
司祭2 : 清水大星
司祭3 : 真田 司
シモン(使徒) : 本城裕二
ペテロ(使徒) : 玉真義雄
ピラト(ローマの総督) : 村 俊英
ヘロデ王 : 下村尊則
四季劇場(自由)
★★★★

 JCSエルサレム千秋楽です。ご存じの通り私はジャポネスクの方が好きなので、前哨戦終了といった感じです。波乱多き前哨戦でしたが・・・。
 久しぶりに見た神永さんは当たり前ですがずいぶん変化してました。所在なさげにしていたところはなく、ここにいることへの覚悟が決まったように見えました。声もちゃんと抑制が利くようになっていて、ここで声を張り上げるといったことがきちんと調節できていました。ちょっとシャウトっぽくできるところもすてき。ロックオペラなのだからそのくらいやっていただけるのも歓迎です。ただ、話が進んでいくに従ってちょっと引っかかるところがありました。ユダとなにかがかみ合ってないような?いえ、もちろんユダとジーザスはかみ合ってないところがあって当然なのですが、なんというか、別の作品を生きているというか・・・。
 この違和感の正体はよく分かっていないのですが、一つ感じたのがゲッセマネ。神永さん、クリスチャンでしょうか。クリスチャンとそうでない、いわゆる八百万の神様の日本人とどこが違うのかというと、「神」の定義が確立しているか曖昧かの違いです。ドイツ語圏ミュージカルを見てるとまれに感じるのですが、敬虔な信者でなくても彼らにとって「神」というのに確立したイメージがあり、その存在に語りかけるとき、神と自分の距離が私生活の中で確立した上で語りかけている。神永さんにはその気配を感じました。それについては違和感はありません、ドイツで見たゲッセマネはそんな感じでした。そして群衆はもちろん「神」なんてかけらも感じてないので、ジーザスだけ「神」をその身のそばに感じていたとしても全く違和感はないんです、群衆とジーザスとの関わりの中では。ちょっとこれでいいのかと首を傾げたのがその後の裏切りのキス。ジーザスは神に語りかけ、その答えをずっと待っていました。待って待って待ち続け、得られた答えはユダの口づけでした。このシーンがユダとジーザスの物語でなく、ジーザスと神の対話の続きに見えたのは初めてでした。それはそれで話に筋が通ってるようには見えるのですが・・・ええと、でもユダはそう思ってないよねという違和感がありました。それが原因かは分からないのですが、今日は全体的に「ユダの物語」と「ジーザスの物語」が交差してないように感じました。今まで私はJCSを「ジーザスと群衆の物語」であり「ユダとジーザスの物語」だと思っていました。けれど意外とユダとジーザスって一緒の場面にいないのだなあと思ってしまいました。・・・思ってしまうほど、二人が別の世界に生きているように感じました・・・。「最後の晩餐」もなにかしっくりこず・・・うーん、このあたり、ジャポネスクでこなれてくるといいのですが・・・。悪いわけじゃないのですが、なんとなく二人の熱気の質が別物に思えました。ここはユダが主導権を持っていた気がします。個々で悪い訳じゃない、けれどなにかしっくりこない、不思議なJCSでした。なんでしょうね、これ、うーん。
 千秋楽ということで群衆は熱かったですが、たのむ、JCSなんだから通常公演でこのくらいの熱さをくれ!「なにが起きるか教えたまえ」の抑圧された感じから始まり、群衆一人一人のはじけそうな感情は良かったです。前方席だったので一人一人の顔が見えたのも良かった。でも、お願い、ジャポネスクは初日からこのテンションで・・・!
 シモンのアレンジが熱かったのがうれしかったです。やはり好きなシモンです。ペテロも安定してきて一安心です。司祭たちも好きだし、ピラトやヘロデに文句があるわけでもなく、うーん、うーん、なんでしょうこの引っかかり・・・。
 というわけで、良かったけどなにかしっくりこないジーザスでした。

劇団四季全般
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(2012/11/18(Sun) 21:22:59)





  ジーザス・クライスト=スーパースター エルサレム・バージョン(2012/11/08)

ジーザス・クライスト : 神永東吾
イスカリオテのユダ : 金森 勝
マグダラのマリア : 高木美果
カヤパ(大司教) : 金本和起
アンナス(カヤパの義父) : 吉賀陶馬ワイス
司祭1 : 佐藤圭一
司祭2 : 清水大星
司祭3 : 真田 司
シモン(使徒) : 本城裕二
ペテロ(使徒) : 玉真義雄
ピラト(ローマの総督) : 村 俊英
ヘロデ王 : 下村尊則

四季劇場(自由)
★★★★

 金曜日。仕事も終わり、さっさと帰ろうかと思いながらツイッターを眺めていたら、ちょっとした騒ぎでした。「芝さんのジーザスが病欠で代わりに神永さんがジーザス」。当日券がS席ありになってるのを確認して、ちょっとだけ考えて、浜松町まで行く電車に乗りました。巡り合わせがあれば行ってしまえ、私の信条です。実は、今日は鞄の中にめがねが入っているから行く気になったのです。私は近視でめがねなしでは舞台なんてとてもみれないのですが、普段は持ち歩いていません。今日は仕事の関係でたまたま持ち歩いていました。この偶然にのっからない手はない、といったわけです。ちなみに観劇用の度の強いめがねではありませんので、残念ながら細かい表情までは見えておりません。その点ご了承ください。

 神永さんのジーザス、最初は声も安定せず、本当にここにいていいのかちょっと不安げに感じました。しかし、おもしろいことにそういったことが「こういうジーザスもあり」と思えました。神永さんのジーザスは神の力を与えられてしまったふつうの青年。病を治すことができるから英雄のように祭り上げられてしまったけど、基本的には心優しいだけのふつうの青年。どこか所在なさげに不安にしているところも、そんな風に祭り上げられた青年の不安定な心のように思えました。ストーリーとしては一通り筋は通るのですが、もう少し主役としてのオーラがほしいと思いましたがそれはこれからに期待したいです。声は音程が合っているところはきれいに出ていますが、中途半端に高いところは地声にするか裏声にするか定まってなくてちょっと不安定に感じました。演技も、序盤は特に群衆に紛れていたのでもうちょっと研究してほしいなと。「今宵安らかに」で退場していくとき、ジーザスの後ろ姿を見失うなんて初めてでした・・・。ホサナでも、むしろほかのジーザスはいろいろ工夫していたのだと改めて気づかされるほどでした。けど、ホサナのソロは声がぴったりで、澄んだ青年の声がよく響いていて、このあたりからこのジーザスがどんどん好きになってきました。病人たちに詰め寄られるあたりの差し出す手が優しくて、だからこそ自分に与えられた力と役目とそしてそれに伴う期待に戸惑っているように感じました。最後の晩餐はユダが魂までも傷つきながらジーザスを裏切ろうとしているのに、そこまで気合いが入ってなくてちょっと残念・・・と思っていたら、ユダが去った後、差し出さした手をどこか戸惑うようにみていて、彼は自分がやったことによって失ったものの大きさに、ようやくここで気づいたように思えました。ユダはジーザスを失うことの痛みに気づいていたけど、ジーザスはユダが去ってからようやく彼を失う痛みに気づいた・・・という感じでしょうか。ゲッセマネはさすがにもうちょっとがんばってほしいのですが、ひとり取り残された心細さのようなものがすごくしっくりきました。曲の前に使徒たちに語りかけるときも、どこか状況を理解していない、どうして自分は孤独なのかと問いかけているようにも思えました。捕らえられてからの荒野の転がり方はもう一息かと思いましたが、むち打たれ終わる寸前、このままこの人は気を失うのではという力の入り方に目を奪われました。そしておそらく今までみた中で一番痛々しかったスーパースター。十字架を引きずってよろめいたのは本気だったと思うのです。ちょっと手に汗握りましたが、だからこそ、そこにあるのが美しい聖書物語でなく、ふつうの青年が血を流しながらつづった血なまぐさい現実だと感じられました。磔の姿も大変美しく・・・これ、急ごしらえなんかじゃありませんね。まだちょっと早いとは思いましたが、ちゃんと稽古を重ねているように感じました。こういうデビューの仕方でなく、せめてダブルキャストでだして、観客も心の準備の上で迎えられたら良かったのにと思ってしまいました。良いジーザスだっただけに、このデビューの仕方がちょっともったいなかったです。

 というわけで、最初はどうなるかと思ったのですが、幕が下りたときはちゃんとジーザスを見たという満足感がありました。むしろ、マイナスだったのが群衆・・・・えーと・・・今期1回目なのですが、なにこのこぢんまり上品にまとまった群衆・・・。迫ってくる迫力がない、どこかはみ出している勢いがない。ジーザスの群衆なんだから!もっと勢いがないと困る!
 ユダも最初は勢いがなくって金森さんどうしたんですかだったのですが、裏切りのあたりで魂が入ってくれてほっとしました。安定していいのであまり書くことがないのですが、あの伸びやかなだみ声はすばらしいです。最後の晩餐でジーザスから手を振り払われた後の、もうすでに正常な人間ではないようなふさぎ方がみごとでした。そして相変わらずカーテンコールでは目がユダのまま、戻ってきてませんでした。
 シモンは前回の公演の時に気に入った方だったのでうれしい♪今日も元気いっぱいでした。
 ペテロも今期新しい方初登場だったと思いますが、気に入りました。ちょっと癖があるけど基本的には澄んだ声。三度の否認のところは足が震え腰が引けていて、ペテロの人間くささを感じました。
 そして安定の下村ヘロデ。もう、この人なにもんでしょうね、なんでこんなに楽しいんでしょう。すばらしい脚線美と金のおぱんつみれて、ファンとして大満足です。
 というわけで、神永ジーザスデビューの感想でした。芝さんのジーザスも見たいですが、このまま続投でも個人的にはぜんぜんオッケーです。芝さんの体調不良が悪いものではありませんように・・。

劇団四季全般
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(2012/11/09(Fri) 23:47:06)





  下村さんディナーショー

下村さんがディナーショーをやるとのことです
四季をやめても四季での出演が多く、ファンとして喜ぶべきか嘆くべきか本当に微妙でした。
でも、こういうのを見ると、外にいるのも悪くないなと思ってしまいます。

劇団四季全般
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(2012/09/15(Sat) 00:14:54)





  アイーダ(2012/04/15)

四季劇場(秋)

アイーダ:秋 夢子
アムネリス:大和貴恵
ラダメス:阿久津陽一郎
メレブ:大空卓鵬
ゾーザー:飯野おさみ
アモナスロ:川原洋一郎
ファラオ:石原義文

★★★☆

 昨年気づいたら大阪に3回遠征したアイーダ。交通費に比べるとチケット代なんてかわいいものだよねと、間違ったことを悟りつつ、久々の観劇となりました。
 まず、オーバーチュアを聞いたとたんに、分かってはいたけどげんなり。テープの平面な音。チケット代が違うことが分かっていても、この間のジキル&ハイドはよかったとしみじみ思い出してしまいました。今回気付いたのが、テープの音は耳で聞いてるけど、生オケは体で感じてるということ。私の聞いてる生オケというのは数名のバンドからバレエのフルオーケストラまでそれこそピンキリなのですが、やはりすべて音が体に染み渡ってくる感じがするんです。でも、テープだとそれが体に響いてこず、音が鳴ってるのを耳が拾ってるだけという感覚になります。そう考えると私が好きなシーン、例えばローブのダンスや「ケパイヤ」のあたりのシーンで舞台で足を鳴らしたり物を打ちならすというのはそれはそれで一つの「生音」なのだと感じました。声以外の音が響くから、なんだか体が揺すられる感じがするのです。それがとても心地よかった。

 ということを真っ先に書いてしまうくらいには物語に入り込めませんでした・・・。あーあ・・・。私これを見に大阪まではるばる行ったのかと首を傾げるほど。ひとつはまーたひどくなった開口しゃべり。四季がこれを推し進めるのは日本人の役者さんも外国人の役者さんも同じイントネーションでしゃべれるようにするためだとうがってしまうほど。やはり幕が開いたばかりということで、代表の思惑が強く働いてるのでしょうか・・・。せりふが生身の人間ぽくなくてつらかったです。
 もうひとつは、えーと、これはいいお芝居ってどういうものか論になってしまうのですが・・・。舞台を見ていてなにが楽しいかって、脚本レベルでは理解できなかったことが理解でき、脚本レベルでは好きでないキャラクターを大好きになることだと思うのです。それは役者さんのほんの些細な仕草や話し方でなんとなく感じることで、それが脚本に対する正解なのか、それ以前に本当に役者さんはそれを表現したかったのかさえ分かりません。ただ、ふと瞬間、なぜか「ああ、そういうことだったのか!」と腑に落ちることがあるのです。その答えはひとつではないので、何度同じ作品を見に行っても出演者によって、また受け取る側の体調と気分と置かれた状況によって異なるため、舞台というのは何度見ても新しい発見があり、おもしろいのだと思うのです。「アイーダ」という作品が難しいと思う理由のひとつに、主役であるアイーダが誰からも理解され、愛されるキャラクターではないことがあると思います。アムネリスは逆で、誰からも愛されるタイプだと思います。辛さを乗り越え、成長していく彼女の姿は涙を誘い、よほど間違えない限りこの作品を見た観客は彼女に共感すると思います。逆にアイーダはアムネリスのように優れた王者の資質を示せたわけでなく、やっぱりキャラクターとして弱い。けれど演じる役者さんによって彼女の気持ちが理解できて、彼女を愛することができる。話が長くなってしまいましたが、つまりアイーダを好きになれなかったから面白くなかったんだろうなということです。秋さん、技術的な破綻はいっさいありませんでした。演技が下手だったわけでもないんですが、どうしてもアイーダという女性が好きになることも嫌いになることもできず、物語がざるを水ですくうようにひっかかりなく流れていってしまいました。好きだという方もいらっしゃるので相性だと思います。そんなわけで主役に対してうまいと思えても魅力的と感じられなかったので、あれもこれもさらりと流れていってしまい、そういえば先週は仕事きつかったな・・・などということばかりが頭にこだましておりました。江畑アイーダのときも似たような感じだったので、私にとって好きになれるアイーダ役者さんの範囲ってとても狭いのかもしれません。
 なーにみにきたんだっけなーとただ下がりのテンションを上げてくれたのが「この父にしてこの子あり」。いやー、飯野さんと阿久津さんの組み合わせ(私にとって重要な順(笑))は大阪でさんざん見ましたが、やっぱり素敵です!四季の舞台って全体に模擬戦と言ったらいいのか、なんというか気持ちを本気でぶつけ合う感覚が薄かったのですが、ここは別!本気で、お互い遠慮なく気持ちをぶつけ合う姿がとっても爽快でした。ここまでくると開口も気にならない(笑)。とっても気分良く聞くことができました。阿久津さんについては大阪では気にならなかった開口が気になったのとやはりアイーダに共感できてなかったからラダメスの魅力も減っていたのが残念だったなと。しかし、相変わらず疑いを知らぬ実直バカぶりがとてもすてきです。飯野さんは今日もすてきなゾーザーでした・・・。ちょっと年かなと思うところもありましたが、それでも本当にすてき。見に行くのを迷っている方には、彼のゾーザーは見ておくべきと太鼓判を押します(笑)。なんというか、こういう年輩でしっかり歌と演技ができて、舞台を引き締めてくれる人ってミュージカル界の宝です。開口もあまり気にならず・・・どうしたらほかの若手もこんな風に自然にしゃべれるのかしら・・・。記憶よりずいぶんソフトな感じで、彼も父親なんだなと感じられるところもあったからこそ、彼の底に流れる非情さがはっきりして、とても好きなバランスでした。
 大和さんのアムネリスはアムネリスの中では異色でないかと思います。1幕もあまりきゃぴきゃぴしておらず、ある程度地に足がついてる感じがします。王女としての威厳と女の子らしさのバランスがあと一息かなと思うところもありましたが、私、彼女のアムネリス大好きなのです。高すぎないテンションとか、それでも美しい王女を演じてるところとか、あとそこにいるだけで華やかなとことか、意外とかわいらしいところとか、最初はどこか高慢で冷たい感じがするとか、そしてもちろん、最後の威厳と二人への優しい眼差し!相変わらず伸びやかな美しい声をしていて、高身長という珍しいハンディを持っていますが、是非これからも活躍してほしい方です。
 アモナスロは川原さんだから、押しの強さはあったけど若干近所のおっちゃんっぽかったです。ぼろを着ていてもにじみ出る威厳がなかったのは残念でしたが、牢屋の中の台詞に「父親だからこそ」という面があり、今までとは違った感覚で見られたのが面白かったです。アンサンブルさんは最近よく分かっておりませんが、脇坂さんはさすがかっこいい人がいるなと思ってみてみると脇坂さんだったということばかりでした。さすが素敵です。

 四季のミュージカルってこんなものよね、という感じでした。役者の実力も演出も破綻はしてないけど何か物足りない。でも、この作品の底力はそんなものではないと知ってるので、また機会を見つけて見に行きたいです。

劇団四季全般
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(2012/04/15(Sun) 23:57:01)





  ミュージカル・キャリアコンサート・PartT「Try to remember」(2012/03/04)

ヤマハエレクトーンシティ渋谷
出演者:
宝田明 / 光枝明彦 / 流けい子 / あぜち守 / 世古潤一 / 宮本竜圭 / 沢木順

★★★★☆

 「60歳未満の若造は放っておいて、ミュージカル界でキャリアを積んだベテランでコンサートをしよう!」というテーマの元に開かれたコンサート。全席自由、会場は150人とか200人しか入らない小ぢんまりした場所、楽器はエレクトーン1台。常日頃、ドイツのSound of Musicのコンサートをうらやましく思いながら指をくわえて見送っていた身の上ですが、日本にもこんなに素敵なコンサートがあったのかと開眼する素晴らしさでした。トークは達者だし、皆様歌に若い勢いはなくともちゃんとパンチのある音階のしっかりした、表現豊かな歌唱力をお持ちで、ただただうっとり聞き惚れました。だって、全員ちゃんと背景の見える歌を聞かせてくれるんですもの・・・言う事ありません。
 惜しむらくは、彼らの思い入れのある作品と私の好きな作品の時代と場所が違うこと。やはり私は欧州大陸側のミュージカルが好きですけど、彼らにとって名作ミュージカルはやっぱりWE、BWの英語ミュージカルなのですよね。ちょっと残念でしたが、それ以外は本当に楽しいコンサートでした。ただ、あまりに楽し過ぎて、どうして今の日本のミュージカル界は・・・と思ってしまったのも事実(苦笑)。沢木さんをうまく使えなかったのは日本のミュージカル界の損失だと、今でも思ってるわけですよ・・・。歌唱力はそりゃオペラ歌手には劣るかもしれません。けれどこの年齢になってもしっかり広い音域をキープし、日本語をしっかり聞き取れるように歌い、歌でなく演技として歌うこの方々はのようなミュージカル俳優、やはり私は大好きです。いつかこの方々に日本ミュージカル界の問題点とか語ってほしいわー。「セルバンテスをやりたいと言ってはいけない」とか、禁句が多すぎてとてもできそうにないけど(笑)。

 印象的だった曲をいくつか。
 マイフェアレディの「運が良けりゃ」。誰が歌うのかと思ったら、まさかの合唱(笑)。これがまあ、男性キャスト全員にはまるはまる(笑)。全員遊び人というか、なんだろうな、日本人離れした軽やかさを持ってる。こういう人たちだから、ここまでこの業界で生き残ってきたのかと、しみじみ。
 サウンドオブミュージックの「Climb every Mountain」。もーーーーー、素晴らしかった!!!!サウンドオブミュージック、映画時代からの大ファンのお母様も拍手喝采!黒いドレスに黒いショールが本当に修道女のようで、その高く響く声が祈りであり、厳しき母の導きであるように思えました。美しくて包容力があって、厳しさと、愛と、祈りと、すべてがその声にありました。
 サウンドオブミュージック「エーデルワイス」。この曲は結局一つの花の歌ではなく踏みにじられた故郷を思いながら歌った歌なわけですが、そういう悲しさがにじみ出ていました。故国への深く静かでおしつけがましくない愛を感じました。
 シャンソンの「ジャッキー」。歌詞をすっぱり忘れてる鳥頭ですが、とても気に入りました。物語性のある歌を、情景を見せてくれる人が歌ってくれれば気に入らないわけない!
 ラ・マンチャの男「見果てぬ夢」。若干ぷるぷるしすぎのおじいさん演技が気になりましたが、歌詞がガンガン心に届く。実りがたい夢を、敵の多い道を、この人は歩んできたのだろうと思わせる。夢をかなえることが大切なのではなく、その道のりが大事。そのことをしみじみ考えさせられた。
 タイタニック「Still」。元から大好きだった曲なんですが、やっぱりいい歌だ〜。包み込む光枝さんの声と高貴な流さんの声がまさに品のいい老夫婦でした。こんな年の取り方って、人類の永遠の憧れだと思うの。
 美女と野獣「愛せぬならば」。ちょっと大仰だったのでもう少し演技をおさえてほしかったけど、でも、ノーメイクなのにそこに野獣がいた・・・。そこに至るまでのあらすじを解説するレベルの入れ込み。「彼女を愛することができなかったら、もう滅んでも構わない」。醜い姿でも、愛する心は尊いと・・・ああ、カジモドやってほしかった・・・。細かいところなのですが、ほんの少し触れただけだと思ったのに彼女の服の袖を引き裂いたという演技がとても心に来ました。彼女を傷つけてしまった自分に、改めて傷ついているようでもあり、そしてそれでも愛している自分のことに気付いたようでもあり。
 オペラ座の怪人「ミュージックオブザナイト」。優しく包み込むような歌声が美しい〜〜〜。もうおじいちゃんの年齢なのに、こんな高低差のある歌が歌えてしまう不思議。ファントムにしてはいい人さが前面に出てしまってるかなと思いましたが、コンサートとしてその歌声を堪能しました。
 ファンタスティックス「雨が降る」。実は全く見たことのない作品のひとつ。少年少女の恋を先ほど老夫婦を演じた二人がやってるのにこれはこれでしっくりくるのが不思議。湿った空気、二人だけの世界。独特の空気感があって、面白かったです。
 屋根の上のバイオリン弾き「サンライズサンセット」。なにが驚いたって、最後の7人のハーモニー。これだけの人数がいて、声の美しいハーモニーを楽しめるって珍しい・・・!

 というわけで、大変お得なコンサートでした。調子に乗って、是非次回もやっていただきたいです!

劇団四季全般
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(2012/03/04(Sun) 22:56:42)




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