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  SoM新規取扱CD

SoMで新規に取り扱いのあったCD。

Musical Forever 2
 指揮者Caspar Richterの引退に際して行われたコンサート。
 購入済みですが、1枚なのに曲数が多いことから分かるように、ダイジェスト盤のような風情。
 真面目な作品ととらえるより、お祭り騒ぎのおすそ分けをもらうくらいの気持ちでいた方がいいです。

WENN ROSENBLÄTTER FALLEN
 以前、Pia様が参加していたCDの舞台版のキャストかな?
 そこそこいい曲だったと思います(歌が少なかったので若干記憶があいまい)。

Theaterblut(Christian Schöne)
 聖女エリザベートでルードヴィッヒの弟ハインリッヒを演じていた方のCD。
 J&Hやエリザベート、M!からの曲があるあたり、ドイツ語圏俳優らしいCDだと思います。

JESUS CHRIST SUPERSTAR - Original Italien Cast 2007
 新しくはありませんが、とても珍しいイタリアキャストのJCSです。


欲しいものメモ
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(2011/05/16(Mon) 00:38:23)





  ロミオとジュリエット(2011/05/07) Kバレエ

ロミオ:熊川哲也
ジュリエット:東野泰子
マキューシオ:橋本直樹
ティボルト:遅沢佑介
ベンヴォーリオ:伊坂文月
ロザライン:松岡梨絵
パリス:宮尾俊太郎
 ★★★★

 場面場面とっても好きで、DVDもよく見ていたので楽しみにしていた公演でした。
 久しぶりに見たら、振り付けが変わっていてびっくり。いえ、Kバレエですし、振り付けが変わるって言ってましたから少しは変わってるとは思っていましたが、ここまで変わってるとは思わなかった!1幕は半分以上、2幕でも半分弱変わってると思います。とにかく、変わってないところをあげた方がいいというくらい変わっていました。コンセプトは同じなので「新作」というほど変わっていませんが、曲の使われる場所が違うところもありましたし、びっくりしました。
 まず大きく変わったのがロザライン。パーティーの前シーンでキャピュレット家の若者達とのダンスがあり、ますますあばずれ ビッチ多数の男を手玉に取る女になっておりました(笑)。ティボルトとはキャピュレット卿には隠しているみたいですが「仲のよい親戚」でなく「恋人」になっていました。男の視線を集めることを喜ぶ恋人には、ティボルトも手を焼いてるみたいです(笑)。私がティボルトが好きということで彼ばかり見ているとどうしてもロザラインが目にはいるのですが、初演以上にロザラインが「ジュリエットの対になるヒロイン」になっていたと思います。松岡さんも本当にきれいで、あれだけ美しければあこがれの的になるのも当然と思えました。ティボルトの死を知ったときの怒りと悲しみもすごかった。彼女はマキューシオの死を知らずなにがあったか知らないから、純粋にティボルトの理不尽な死に怒り、嘆いている。曲の構成上、ストーリーの進行上仕方ないのですが、復讐を誓ってそうなロザラインがその後どうなったかがわからないのが、とても残念です。
 今回一番のお目当ては遅沢さんのティボルトでした。振り付けの変更は少なかったのですが、一番の見せ場である2幕の決闘シーンは大きく変わっていました。マキューシオを刺した後は彼とのやりとりも増え、瀕死の重傷者を笑い、邪険に扱う様が彼の性根の悪さを表しているようでした。相変わらず動きも鋭く、嫌な奴ですが見目麗しく、本当に目の保養でした。今回は1回しか見ないのですが、彼のためにチケットを増やそうか悩んだほどでした。
 悪ガキ3人は初演より性格付けがはっきりした気がします。ロミオは遅沢さんのロミオ像がデフォルトになったように感じました。平和主義者で剣を取らない。頭に血の上ったロザラインを諫めたり、ティボルトとマキューシオの仲を仲裁しようとしたり。ちょっとふつうの青年と違う、どこか浮き世離れした穏やかさがある気がしました。だから、マキューシオの死によって理性を失う姿が痛々しい。逆にマキューシオはお調子者で交戦的。ティボルトの挑戦に乗ってしまうけんかっぱやさとそれに対応できるだけの実力がある。ベンヴォーリオはそんな個性的な二人に振り回される弟分。ちょっと危なっかしいところもありつつ二人にかわいがられてるし、個性的な二人を追いかけている。ちょっと浮き世離れした穏やかさ・・・という設定が哲也の個性と合っているかというと微妙なところもありますが(苦笑)、初演より3人の個性分けができてたのはよかったですし、橋本さんのちょっと鼻持ちならない感じがするけど憎めないマキューシオ、兄貴分二人を追いかけ回してるけど一番の常識人(笑)で人懐っこいベンヴォーリオという組み合わせはよかったです。見ていてなんだかほのぼのした気分になります。踊りの面で一ついいことじゃないけどよくなった点がありまして・・・。この三人組のなかで初演はやっぱり哲也の踊りが飛び抜けてて三人組としてもまとまりがあまりなかったのですが、今回はきれいにまとまってました。まとまってましたが、別に橋本さん伊坂さんが哲也の水準に追いついたというわけではないのがちょっと寂しいところではあるのですが。
 東野さんのジュリエットははまり役ですね。無垢で純粋なところ、なにもしなくてもお嬢様なところが、そのおっとりした彼女の気質がジュリエットだと思いました。踊りも本当に羽のように軽やか。すごくよかったと思うのですが、後ひと味何かが足りない。う〜ん、それが舞台の難しさなのかもしれません。
 乳母はこんな若い方で大丈夫かと思ったら相変わらずコケティッシュでかわいい、パワフルな乳母でした。これはキャラクターの設定が秀逸だからできたのかも。キャピュレット夫人もちょっと心配したのですが、美しく優雅な貴婦人でした。キャピュレット卿には言うことがありません。この舞台の屋台骨を支えている人だと思います。彼がいるだけで舞台が引きしまる。パリスは存在感が出てきたと思うのですが、何となくうごきがもっさりしてるのがもったいない。

 振り付けの変更なのですが、あまりにも多かったので思い出せるところだけ。
 元に戻してほしい筆頭は舞踏会のシーン。ジュリエットの友人の踊りは助長。この作品はスピード感も大切だと思うので、あの場面はお預けを食らった気分でした。その後のジュリエットの登場からロミオと恋に落ちるまでの時間も前の方がマスクの向こうに徐々に惹かれていく胸の高鳴りが感じられました。ティボルトの死後、キャピュレット卿がなかなか出てこなくて、最後のモンタギューの旗を引き裂くシーンがなかったのがちょっと残念。これはティボルトの死によって生じた憎しみを両家のさらなる対立という形でなく、ロザラインが愛する人を失った苦しみという一点に集中させたか等かとも思います。全体的なことなのですが、哲也の現在マイブームなのか「二番プリエで横歩き」という振りが頻出してましたが、これはいまいちきれいじゃなかったのでどうにかしてほしいです・・・。
 ロザライン、ティボルト関係はほぼ再演のほうが好きです。キャラクター付けがはっきりしたと思いますし、ロミオとジュリエットに対になる存在として二人の姿が浮かび上がってきたと思います。ロザラインと三人組の踊りも楽しかったし、マキューシオの死のシーンはティボルトのさらなる非道っぷりがよく出てた。マンダリンダンスは一部振り付けが気に入らないところもありますが、男性4人+ベンヴォーリオという組み合わせは「うちのバレエ団これだけ踊れるイケメンがいるんだぜ、いいだろう!」という哲也の声が聞こえそうな気がしましたが、全くその通りだったので目の保養でした(笑)。

 初演の方に見慣れてしまったので再演の振り付けの方がよかったと言い切れないのが残念なところですが、カンパニーの実力としてはやっぱりあがってると思います。私自身がロミオとジュリエットという作品はタイトルロールの二人の恋よりも周りの人々の生きざまに惹かれるので、雑多な街の様子やそこにいる人々が生き生きと闊達にしているKバレエ版はとても好きです。
 一つ思ったのが、哲也には早く完全新作を作ってほしいということ。ロザラインという存在がとても魅力的ですがその複線がうまく解消できてると思えないのです。それは曲やストーリーを考えると当然で、だったらその点までしっかり解消できるようなオリジナルのストーリーを作ってほしいと感じました。哲也にはそれができると思うのです。全幕ものの新作が久しくないので、来年あたりないかしらと期待しております。

Kバレエ
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(2011/05/08(Sun) 13:35:39)





  ジーザス・クライスト=スーパースター エルサレムver.(2011/5/5)

ジーザス・クライスト   :芝 清道
イスカリオテのユダ    :金森 勝
マグダラのマリア     :高木美果
カヤパ(大司教)     :金本和起
アンナス(カヤパの義父) :阿川建一郎
司祭1          :平山信二
司祭2          :内海雅智
司祭3          :伊藤潤一郎
シモン(使徒)      :本城裕二
ペテロ(使徒)      :飯田達郎
ピラト(ローマの総督)  :村 俊英
ヘロデ王         :下村尊則
★★★★★

 JCSが好きです。
 今まで見た舞台の中で、この作品が一番好きです。10数年前に初めて見てそう思い、今もその思いは変わってません。中でも特に四季のジャポネスクが好きです。国外で見たのはイギリスとドイツで1回ずつだけですからあまり偉そうなことは言えませんが、とりあえず今のところ、四季版が一番好きです。

 久しぶりにJCSを見たという満足感でいっぱいです!好きな作品だからまだ上を目指して欲しいというところもありますが、久しぶりに胸一杯満足がいく作品が見れて本当に幸せです。こういう満足感があるから、舞台を見るのってやめられないのですよ!

 初日直後に1回行ったのですが、段違いによくなっていました。特にジーザス。芝さんのジーザスは悪くないけど何かあとひと味足りないというのがなくなり、きちんとジーザスとして一貫した個性が見えました。まだもう一息という部分もあるのですが、まだ伸びしろがあるという感じでこれからどう伸びていくかとっても楽しみです。
 芝さんのジーザスは神になりきれなかったジーザス。人と違う力を与えられ、けれど神にはなれなかった、そして人にも戻れない。このあたりのジレンマが「ジーザスの神殿」辺りから出てきて、その中途半端さが、やりきれなさがとても切なかった。自分を求める人たちに手をさしのべるけどなにもできない、その苦しさが、追いつめる群衆の力強さと相まってこちらに伝わってきました。群衆の手を振り払ったとき、ジーザス自身も傷ついたのがよく分かった。そしてゲッセマネで捕らえられた後も、彼は結局神にはなりきれなかった。嘲りの声を聞くまいとしても聞こえるし、痛みを感じまいとしても痛いし、心も傷ついていた。それを精一杯顔に出さずこらえようとするのが、芝さんのジーザスでした。神になりきれなかった男は人間のまま、それでも神の名を唱えて死んでいく。前回は見えなかった芝さんのジーザス像が今回はちゃんと見えて、満足です。

 金森ユダも良かった。運命に翻弄される一人の人間。 前回は何にも感じなかったジーザスとユダのやりとりも、今回はちゃんと二人の感情の流れが見えた。ジーザスはユダを振り払いたくなかったし、ユダは振り払って欲しくなかった。ジーザスはユダのことを信頼していて、振り払っても彼を失うことはないと思っていたけれど、そうじゃなかった。ユダが出ていったとき、ジーザスは自分の運命を受け入れることを決めたように思えました。ユダを見送ったあとで一人背中を丸めうずくまるジーザスの姿が本当に哀れだった。
 舞台ってたまに理屈ではそこまですごいと説明できないけど、とんでもなく心が揺さぶられることがあります。今日のスーパースターはまさにそれ。なにが心にぴったりはまったのか分かりませんが、声を上げて泣きたい気持ちを抑えながら見ていました。金森さんのユダの声も迫力があったし、うまいけど上品でないそのしゃがれ声はユダにぴったり。ジーザスは地べたを這うように十字架を背負い歩いていく。芝さんはご存じの通りそんなにスタイルはよくありませんが、その姿は14世紀くらいの宗教画のように、人間的であり神々しくもあった。それは意地だったのかもしれない、無心だったのかもしれない。その姿を、群衆たちの動きを、司祭たちの視線を、その場にあるものすべてを感じながら、見入っていました。この瞬間、私は舞台じゃなくって今起こっている事件を見ていたのだと思います。そのくらい、のめり込みました。
 そして最後、今までの騒ぎが嘘のように静かになったゴルゴダの丘の上で息絶えたジーザスと十字架を見上げるマリアと弟子たちの姿、そして地面に描かれた十字架の影をそれこそ夢を見るような気持ちで見ていました。本当にいい舞台でした。

 ほかのキャストも今回はびっくりするほど「当たり」でした。特に大当たりで喜んでいるのが司祭の5人!みんな歌がうまくってあくどくて、聞いていて本当に幸せです。ユダを追いつめる存在感もあるし、ジーザスに対するものとして存在している。
 シモンは今回特に好きでした。歌も迫力あるし、若くて勢いがある。なにより体が柔らかいのか足がきれいに開いているのですが、これが程良くがに股に見えて(笑)、なんとも言い難い品のなさになっておりました。これがまたこの作品の泥臭い雰囲気を盛り上げてくれたと思うのですよ。
 ペテロも気に入っています。線が細く、弱い感じのする青年。この弱さがちゃんと声にも姿にも出てて良かった。
 楽しみにしていた下村ヘロデ。久しぶりに見ましたがやっぱりいいですね♪今回は若干衣装がよれよれしている感じでしたが、5分間のエンターテイメント、大変楽しませていただきました。スリットから覗く細い足、金のおぱんつ、自在に操る赤いマント、そして王者らしい威圧感とジーザスに対する嫌らしいまでの圧力。きらびやかな衣装に負けてないその豪奢な雰囲気と、重い空気を振り払いこの先のさらに重い展開のための体力を蓄えるための余裕を与えてくれる華やかさ。十分に堪能いたしました。

 キャストが全体的に良かったのもそうなんですが、群衆が久しぶりに良かった!これですよ、これ、ジーザスはこれがないと!四季のジーザスはジーザスよりも群衆が大事といっても過言ではないかもしれませんん。全力で愛し、全力で求め、そして全力で裏切り、憎む。この力のぶつかり、舞台で転げ回る人々、これがあってのジーザスです。前回見たときは「群衆じゃなくってこれじゃアンサンブル!」と切れたものですが、今回はちゃんと群衆でした。雑多で猥雑な感じ、薄汚れて顔のない感じ、そこにいるのは個人じゃなくて群衆という大きな存在の一部。その雰囲気が良く出てました。個人的にエルサレムで一番注目している群衆、鞭打ち男は今回もいい男で満足でした。あの跳び蹴りが魅力的なのです。

 上を求めればもっときりなく求められます。芝さんのジーザスはまだ作り込めるし、群衆ももっと力強くなれる(あとマリアどうにかして・・・)。それでも今日はこれだけの舞台を見せてもらえて本当に満足しています。近頃四季の舞台を見てもどうも上品に品よくおとなしくまとまっている感じがしましたが、歌も芝居も、いい意味ではみ出していて迫力がありました。四季特有のしゃべり方も全編歌ということで違和感なし。それどころかあのはっきりしたしゃべり方のおかげで一言一句ちゃんと聞き取れて、ストレスなく聞くことができました。
 これから続くジャポネスクとアンコールエルサレム。このままさらに上を目指し、駆け抜けていって欲しいです。

劇団四季全般
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(2011/05/05(Thu) 18:45:13)





  アイーダ(2011/4/2)

アイーダ  :濱田めぐみ
アムネリス :佐渡寧子
ラダメス  :阿久津陽一郎
メレブ   :中嶋 徹
ゾーザー  :飯野おさみ
アモナスロ :石原義文
ファラオ  :勅使瓦武志

 オリジナルキャストが来たということで、大阪まで行ってきました!とっても楽しかったです、また行きたい!

 アイーダは東京千秋楽直前にみたのですが、キャストがいまいち気に入らなかったので、このオリジナルキャストは本当にうれしかったです。キャストが良くなった分、良いところと悪いところがはっきりした気がしますが、やっぱり好きな作品です。
 濱田さんのアイーダは眼福でした。そもそも今回の遠征のきっかけはツイッター上で「濱田さんはアイーダそのもの」という呟きを見たからでした。東京で見たときのアイーダも力強くて素敵でしたが、「そのもの」といわれるキャストはやはり舞台ファンとして見てみたいものです。実際に見てみて納得しました。何者にも捕られない王女、自由で愚かで高貴。すべてが魅力的で、特別だと思わせる。なによりその歌声!日本の女優さんってソプラノの方が多い気がするのですが、メゾソプラノ、アルトの声って素晴らしいと思えました。力強く迫力のある、しかも音域ぴったりと思える歌声は聞き応えがありました。この声だけでも、遠征の甲斐があったというものです。
 アイーダは彼女の思うとおり、人の上に立つ者として優れているわけではないと思います。その自由な心は魅力的だろうけど、それ故に捕らわれたのだとしたらやはり王族としてふさわしくないと思う。それでも育ちはいいから気品はあるし、彼女を女神として求める人の気持ちも分かる。自由でありたいと思う心、人に求められ運命に縛り付けられる姿、それでもラダメスに惹かれる心。私はアイーダは愚かだと思ってる。でも、愛に殉じて王女になりきれなかった彼女がとても魅力的だと思うのです。
 阿久津さんのラダメス、やっぱりラダメスはがたいがいいと見応えありますね。こちらも眼服(笑)。ダメダスと一部で呼ばれているだめな男ですが、だめな男だけど惚れるのは分かるなあと。ルックスがいいのはもちろんですが、自分に正直で不器用なところが魅力的。見終わって、ラダメスはアイーダに会って初めて人の心を持ったのかもしれないと思った。アイーダに会った直後、彼女に体を洗えと言ったときの笑い方動き方がとても残忍だった。それが徐々に変わっていく。自分の物をすべて与えてしまう(将軍だったら奴隷を救うのにもっと遠回りだけど深いことができるはずだけどそれをしない)、全てをなくしても家を造ることができると思う(自分たちで作るというより、誰かに作らせるような側面が強い)、彼は結局最後までぼんぼんで将軍だったけど、愛を知らない心で精一杯アイーダの愛を得ようとした。そんな不器用なところが、そんな素直で真っ直ぐなところが、たまらなく魅力的だと思えました。
 ドイツ語圏ミュージカルファンとして思ったこと二つほど。Markのラダメスはそれは見応えがあっただろうなと思います、主に体の面で(笑)。ドイツ語圏のオリジナルラダメスはMathiasですが、彼はクロロックのセカンドもやったことがあります。20代か30代そこそこでやっているはずなので、阿久津さんがやってもおかしくないんだよなあと思いながら見てしまいましたが、悪くないと思います。たっぱと声量があれば、後はメイクと熱意と解釈だけ。ちょっと高めの声はクロロックの音域にも不自由しなそうですし、あり得ないことですが見たいなあとちょっと思ってしまいました。若いクロロックはそれはそれで魅力的なのですよ。
 話を戻しまして、アイーダとラダメスのこと。二人ともものすごく自然に演じていたのはもちろんですが、反発するところ、惹かれるところも自然でした。反発しあうのはとても当然だし、だんだん惹かれていくのも、うまくいえないのですが二人が互いにとって特別だというのがとてもよく分かった。二人が惹かれる姿がとても分かりやすかったから、二人の王女の物語でなく、ちゃんと3人の物語に見えたのだと思います。
 もう一人の主人公というか真の主人公というか、アムネリス。佐渡さんの声は見事でした。高音部が全く裏返らず、伸びやかに出てくるあたり、脱帽です。ほのかアムネリスの方がかわいらしいかなと思ったのですが、最後まで見るとその芯の強さと内側の娘らしさ、そして王女としての凛々しさ、物語のもう一人の主人公として完璧なアムネリスでした。アイーダという物語は愛に殉じるアイーダとラダメスの物語であり、アムネリスの成長物語でもあるのは、今更私が言うことでもありませが、まさにその通りだと思います。最初、アムネリスは芯の通ったバカと言いますか、ある程度ものが分かった上で美しさを磨くことに命を懸けてる。ラダメスを昔から好きだったのだろうなというところにも嫌みが全くないし、頭の軽そうな物言いもかわいらしい。そして後半は指導者として目覚めていく。彼女を見ていると、この物語の先には穏やかで平和な未来が待っていると思えるのです。ちょっと夢見がちなことをいってしまうと、アイーダとラダメスは生まれ変わり再会するのですが、アムネリスは多分生まれ変わってない。アイーダとラダメスは自分の役目を果たしてないから、そしてアムネリスはその役目を果たしたからだと思うのです。アイーダはヌビアを救えなかったけど、アイーダとは異なった立場で、アムネリスはヌビアを救ったと思うのです。強く凛としていて争いを好まない賢い女王、アムネリスを見ているとそんな未来が見えるのです。それにしても、佐渡さんそんなに若くないはずなのに、「完璧なスタイル」という言葉に恥じないスタイルがすごい・・・!
 飯野ゾーザー、お目当ての一人でした。7年前に見たかったとちょっと思いましたが、見れて良かった。出しゃばりすぎることはないけど確かに主張しているその存在感はさすがの一言。特別残忍なことをしようとしているのでなく、王を毒殺しようとするのもアイーダを殺そうとするのも、目的のために必要な手段だから当然やるのだと当たり前のように言うのが、ゾーザーという人間なのだと思わされました。
 このあたりのキャストさんたち、何かが違うと思ったら、そのものなんですよね。なぜそうするのか、どうしてそう感じるのかということがちゃんと説明できていて、こちらに伝わってくる。やはり、長年演じている方々は別格です。

 作品についてあまり語ってきませんでしたが、エジプトというロマンを感じる舞台設定でありながらシンプルで子供連れでわくわく楽しむ気のしないこの作品、とても好きです。
 ローブのダンス、この曲はイメージしていたよりずっと重くて、初めて見たときはびっくりしました。アイーダが戸惑うのも、ヌビアの民がアイーダを求めるのもよく分かる。つぎはぎだらけのローブに込められた思い、そして彼女にそれを全て背負えと迫るヌビアの民の迫力。この迫力があるから、アイーダがどれだけ必要とされているか分かるし、それ故にアイーダが追いつめられ迷うのも分かる。このシーンと同じ意味で、奴隷たちのところにゾーザーの手下がアイーダを探しに来るシーンが好きです。アイーダがどれだけ必要とされているか、そしてその重圧がすでにアイーダ自身にとって背負いきれないものになってることもよく分かるから。

 一通りほめたのですが、どうしても納得ができない桟橋のシーン!そこにいる人たちの思惑が交差しあい、未来が決する重要なシーンのはずなのにだんどっているようにしか見えないのですよ・・・。ものすごく大切なシーンなんだから、もうちょっとがんばっていただきたいです。

 なんで東京にいるときに通いつめなかったんだろうと後悔した作品は、また大阪に来たい思うに十分なおもしろさを持った作品でした。ただ、おもしろいことはおもしろかったのですが「ヌビアはなくならない、私たちの中で生きている」という言葉がなんかリアリティーを持ってびしびし響きました・・・。不幸なときは無条件に幸せな物語を、暗い物語はある程度幸せなときにと言う事実をちょっと突きつけられたりしたのでした。

劇団四季全般
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(2011/05/05(Thu) 18:34:37)





  ライオンキング(2010/8/26)

ラフィキ   :鄭 雅美
ムファサ   :内田 圭
ザズ     :雲田隆弘
スカー    :下村尊則
ヤングシンバ :山地貴能
ヤングナラ  :木村紅葉
シェンジ   :孫田智恵
バンザイ   :韓 盛治
エド     :岡本繁治
ティモン   :中嶋 徹
プンバァ   :川辺将大
シンバ    :田中彰孝
ナラ     :岡本瑞恵

千秋楽がまもなくなのにまだ見ていないアイーダを見に行こうと思ったらこの日は残念ながら昼の部しかなくって仕方なくライオンキングに行きました(あらすじ)。

さて、下村スカーが復活し、先週までダブルだったのにシングルになったので喜び勇んで行ってきました!

ちょっと四季に対する苦言になってしまうのですが、演技に迫力がないのはどうにかならんものでしょうか・・・。
全体的にいまいち迫力がなくて、舞台が広く遠く感じる。
普段行ってるバレエの劇場よりずっと小さな場所なんだから、もっと迫力出してほしい。
そして、少なくとも2年ぶりなのに、新鮮味のなさにびっくりした。
アドリブも演出の変更もいらない。
でもやっぱり役者ごとに持ち味の違いはあってほしい。
これだけ期間を開けて見たのに新鮮な驚きがなかったのが残念でした。
アドリブでも演出の変更でもなく見る度に新鮮な驚きがあるのが、舞台の楽しさだと思うんだけどなあ。

というマイナス点は下村スカーに完全にあてはまらないといったら嘘になりますが、まあ、でもやっぱり初演キャストは別格よね・・・。
おもしろかったです。
贔屓目もあるかもしれませんが、彼がいると舞台が締まる気がします。
演じてるという気負いがありませんものね、とても自然。
ただ、「スカーの狂気」はちょっといまいち。
はまるとものすごい迫力のシーンですが、ちょっと肩すかし。
そのかわり「覚悟しろ」は相変わらずの大迫力。
ハイエナ達を見下し悦に入る姿はその存在感、迫力、美しさ、すべてを以て「悪役とはかくあるべし」という素晴らしさでした。

全体的に、前回見たときよりはよくなってたと思いました。
(ティモンとプンバァがいまいちだったのが残念・・・)
とりあえず私はスカーがよくって、ラストに向かう流れの中でシンバがかっこよければ満足なので、そういう意味で気持ちよく最後までみれました。
うん、二幕の中盤は中だるみしたんだけどね。

いろいろ思うところはありましたが、楽しい公演でした。
ファンとしては、カーテンコールで満面の笑みを見せてくれた下村さんを見て、感慨深いものがありました。


劇団四季全般
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(2011/05/05(Thu) 18:27:45)





  "Aida" in Darmstadt

アイーダがDarmstadtで上演されるとのことです。
Darmstadtはフランクフルトから電車で30分くらいのところにある街です。
ロングランや短期公演ではなく、1シーズンの間に何回か飛び石で公演があります。
以前JCSを見ましたが、アンサンブルが60人ほどいて、一部は職業役者っぽくない感じがしましたが、全体的にはとても面白かったです。

キャストは以下の通り。

Christopher Murray (Radames)
Dominique Aref (Aida)
Randy Diamond (Zoser)
Sigrid Brandstetter (Amneris)

Dominique Arefは以前アイーダを演じたことがあるかたみたいですね。
Randy DiamondはケムニッツのJ&Hで見たことがあります。
ゾーザーという年でもないと思うのですが・・・。
そして、ラダメスがなんでChris Murray・・・。
いえ、彼のことは好きですよ、外れ舞台のないいい役者です。
でも、ゾーザーじゃなくって、ラダメス、いい年なのに!
ちょっと首をかしげるキャストですが、Chris Murrayはこちらの期待をいい意味で裏切ってくれる役者さんなので、これはこれで見てみたいです!

欧州大陸側ミュージカル
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(2011/05/01(Sun) 01:38:10)




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